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                   イラスト undercooled pioさま



浅見永遠(あさみ とわ)イラスト左 18歳
本郷 瞬(ほんごう しゅん)イラスト右 18歳
(話は高校1年の16歳から始まります)




「浅見君もう部活決めた?」
そう声を掛けられ机の前に立つ相手の顔を見上げた。
172cmの浅見よりも遥かに背の高い同級生に
『誰だっけ?』という目を向けた。

「あ~あ入学して1週間経つのに、まだ俺の名前覚えてないの?」
大袈裟に肩を竦めながら「俺、本郷瞬、宜しく浅見君」
そう言いながら右手を差し出してきた。
その手をおずおずと握り返しながら「僕、浅見永遠・・・宜しく」
と挨拶を返し、読みかけの本に視線を戻した。

浅見永遠が父親の転勤について行かなかった為に寮のあるこの高校に入学したのだ。
特に人見知りをする訳では無いが、大人しい永遠にはまだ友達と言えるクラスメイトは居なかった。

「永遠って呼んでいい?俺のことも瞬って呼んでくれる?」
「あ・・・うん」
馴れ馴れしい瞬に戸惑いながら永遠は頼りない返事をした。
「入学式の時からずっと友達になりたいと思ってたんだ」と
人懐っこい笑顔を向けられ
「僕と?」と不思議な顔で永遠は確認の言葉を吐いた。

「そうだよ、皆が遠巻きに眺めてるうちにって焦ったけどな」
どうして自分が遠巻きに眺められているのか判らなかった。
別に自分は口数が少ないだけで、特別な取り得がある訳じゃない詰まらない男だと思っていた。

「ほら周り見てみろよ、羨ましそうにこっちを見てるだろう?」
そう瞬に言われ改めて周りを見回すと何人かがこっちを見ていて
顔が合ったが、皆何気なく顔を逸らしてしまう。
「あ・・・僕って皆に避けられてる?」
と自分が嫌われているかの発言をした永遠に
「違うよ逆だ、皆永遠と友達になりたがってるのさ」

瞬の言葉に首をかしげて「どうして僕なんかと?」と聞いてみた。
「ここは男子校だぜ?むさ苦しい男の中に永遠みたいな綺麗な子がいたら注目されるよ」
「それ本気で言ってるんなら怒るから・・・」
永遠は自分が綺麗だとかいう形容詞を付けられる事が嫌いだった。

「どうして?綺麗なもんは綺麗って良いだろう?」
そう言う瞬の顔をマジマジと見てみた永遠は「君の方が綺麗だ」と短く返した。
瞬には美男子という形容が一番似合っていると思う。
自分のどちらかと言うと女顔は嫌いだ、同じ整っているのなら瞬のような顔が良かった。
そう内心思った永遠だった。

この顔で得をした事など無かった。
ひ弱に見られるし、女子にももてなかった・・・
言い寄ってくるのは何故か男だけだった事に何かしら嫌悪感すら湧いていたのだ。
そして目の前に立つこの本郷瞬という男はもてただろうな、とも思った。

「永遠って寮だよな?」
「そうだよ、君も?」
「ああ、だけど寮じゃ全然会わないから・・何棟?」
「僕は南棟だけど・・・」
「えー!だって南って殆ど3年だろ?もしかして一人部屋?」
「そうだけど・・どうして南だと驚くのか判らないんだけど」

「ここは基本1年は西棟、2年は東棟、そして3年が南棟ってなってるんだ。
一部例外はあるとは聞いてたけど、永遠もその一人かぁ・・・」
一人で説明してそして納得している瞬に訝しい目を向けながら
「僕、寮に申し込むのが遅かったから空いてなかったんじゃないの?」
ここの高校に決めたのも期限ギリギリだったのは事実だった。

「だって西棟にはまだ空き部屋があるし・・・」
「ふ~ん・・・・」
内心そんな事はどうでもいいと思った永遠の返事に被せるように瞬が
「3年気をつけろよ、部屋に入ったらちゃんと鍵かけて」
「・・・どうして?」
「どうしてって!襲われたらどうするんだよ?」
「はぁ?僕女じゃないから・・・」
「女じゃないから襲われるんだよ!」
「・・・・意味判らない」

そう答えながらも永遠は入寮してから何度か
不気味な視線を感じた事があったのを思い出した。
「3年なんか受験に向かって色々なもんが溜まってるから・・」
「色々なもんって・・受験のストレス?」
「それだけじゃないから溜まるのって、あっちの方だよ」
「えっ?あっちって・・・・」

そう聞いてからその意味が判って、永遠は顔を真っ赤にしてしまった。
そんな永遠を見て「あー、やっぱ寮変えてもらえよ、拙いよマジ」
瞬は永遠の純な反応を見て不安になった。
こんな顔をされたらそっちの趣味じゃなくても襲われると思った。

「だから、男だし・・その・・た・溜まってても襲われる事ないから」
何の警戒も意味も判ってない永遠に溜息を吐きながら
「男同士でもSEX出来るの知らないのか?」と真面目な顔で聞いてくる。
「そんなの出来る訳ないじゃない・・・その・・・構造が違うんだから」

またも瞬は大きく溜息を吐き
「今日帰りに俺の部屋に寄れよ、対策教えるから」
その時に午後の始業のチャイムが鳴り約束を取り付ける前にそれ以上話は出来なくなった。
永遠は心の中でほっとし「先生来るから」と瞬を遠ざけた。
そして1日の授業が終わると、瞬に捉まる前にさっさと教室を抜け寮に戻ったのだった。






この「永遠の誓い」はもうご覧になられた方もおられるかと思いますが。
「天使の箱庭」の30万ヒット御礼作品です。

やはりあちらのブログは使い勝手がいまひとつでして・・・
あの雰囲気が好きと言って下さる方もいらっしゃいますので
両方で記事を上げて行きたいと思っております。

短編予定ですので、こちらが終わったら「天使が啼いた夜・2部」
を更新して行きたいと思っております。

宜しくお願い致します。


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                イラスト undercooled pioさま


「浅見君?」
永遠が自分の部屋に入る前に廊下で後ろから声を掛けられた。
「あ、寮長・・・・えっと?」
「仁科だよ」そう少し困ったように笑顔を向ける
少年と呼ぶには少し大人びた雰囲気の南棟の寮長の仁科が立っていた。

先日まで中学生だった1年から見ると3年は皆大人っぽい。
中にはオッサンかと思うような輩もいる。
「もう寮生活には慣れた?」
「はい・・・」慣れるも何もただ食堂で食事を摂り
あとは部屋に篭っている永遠には特別な事は無かった。

「ここは1年は浅見君だけだから寂しいんじゃない?」
「別に・・・」
一人で居る事が苦になる性格でもない、どちらかと言えば一人の方が好きだった。
「そう?何か困った事があったらいつでも相談するようにね」
「あ、はい・・ありがとうございます」

なかなか部屋に入れない永遠がどう切り出そうかと思っていた所
玄関の方が騒がしくなっていた。
寮長の仁科が不可解な顔をして玄関に行くので、仕方なく永遠も着いて行った。
永遠が顔を出すと「あー!永遠やっぱり帰ってたのか!」
そこには今日永遠に声を掛けてきた本郷瞬が立っていた。

基本各寮への行き来は自由だが、その寮に知ってる誰かがいないと
寮を訪れる機会もないし、何の目的なしに来る訳にも行かなかった。
「君は?」仁科が瞬に声を掛けた。
「俺はこいつ・・浅見永遠のクラスメイトで本郷瞬って言います、宜しく!」
「そう、僕はここの寮長の仁科だ」
「寮長ですか!宜しくお願いします」
仁科が寮長だと聞いて再び瞬は頭を下げた。

3年の寮長ともなれば寮生活においての影響力は絶大だった。
各寮に寮長は存在していたが、やはり3年の寮長の力は大きい。
「じゃ失礼します、おい永遠お前の部屋に案内しろよ」
図々しい瞬に閉口しながらも、ここで騒ぐわけにも行かないので
黙って「こっち」と瞬を案内しようとした。

「じゃ仁科先輩、失礼します」
「あまり大声で騒がないように」そう仁科に言われ、永遠が
「すみません・・・」と謝った。
「いや・・浅見君じゃなくて・・・」仁科は永遠には優しい笑顔を向ける。

「本郷君こっちだから」
「瞬って呼べよって言っただろ?」
小さな声で文句を言いながら永遠の後を着いて行く姿を仁科は黙って見ていた。

「へえーやっぱ広くていいなぁ」
部屋に入った途端瞬は周りを見回してそう呟いた。
8畳ほどのワンルームマンションのような1人部屋だ。
狭いがバストイレも付いていた。
他に10人程入れるような浴場もあったが、永遠はまだそこは利用した事が無かった。

「あーあ俺は早く3年になりたい!」
まだ入学して1週間なのに、もう3年になる事を考えてる瞬に驚いた。
「別に部屋なんて何処でもいいじゃない?」そう永遠が言うと
「俺らもこのくらいの広さだけど、2人だぜ?バストイレも共用だし」

「君も2人部屋なの?」
「勿論、あ、でも中学から知ってたヤツと一緒だから別にイヤじゃないけど・・」
「けど?」
「どうせなら永遠と同じ部屋になりたかったなぁ・・・」
本当に残念そうに瞬が呟いていた。

永遠の椅子に座りくるくる回っている瞬の目の前で永遠が制服のシャツのボタンを外しだした。
「永遠・・・お前何やって・・・」驚いた顔で瞬が口にした。
「何って?帰って来たから着替えるんだよ」
寮に居ていつまでも制服を着ているつもりもなかった。

「あ・・そうだよな・・ここ永遠の部屋だし」
変な奴と思いながら、永遠はシャツを脱ぎ捨てベッドにそれを放った。
瞬はシャツを脱いだ下には肌着すら付けていない永遠をじっと見ていた。
「は・肌着とか着ないのか?」
瞬の問いかけにトレーナーを頭から被りながら体を瞬に向け
「僕寒がりじゃないから」と答える永遠の胸が一瞬垣間見えた。

(すげぇ・・・ピンク)ごくんと喉が鳴りそうなのを誤魔化すのに必死だった。

上を着替えた永遠は平然とズボンのベルトに手を掛けさっさとズボンも脱ぎ捨てた。
グレーのボクブリ1枚になると、スポーツメーカーのジャージを履いた。
永遠の白い脚には脛毛も生えてなく女みたいに綺麗だった。

トレーナーにジャージという普通ではとても色気とは程遠い格好が
永遠が着ると何故か違う雰囲気に見えてくるから不思議だった。
「永遠って平気で人の前で着替えるのか?」何となく間抜けな質問だ・・
「男の前で着替えるのに平気じゃない方がおかしいよ」
それはそうだが・・・やはり無防備すぎるような気がする瞬だった。

「風呂は共同風呂に入るのか?」
「まだ入った事は無いけど・・・明日休みだし今夜はゆっくり入ろうかな?」
「止めた方がいい・・・入るなら西棟に来て入ればいいじゃん」
「どうしてわざわざ西まで行く必要があるの?」
永遠は瞬の提案に首を傾げる。

「永遠はもう少し自分を判った方がいい」
瞬の言葉に又も永遠は首を傾げる。
「昼間といい、さっきもそうだ、君の言ってる意味が全く判らないんだけど?」
「と・とにかくっ!簡単に脱ぐな!」

「余計判んない・・・どうして皆僕にそんな事を言うの?」
「みんな?」瞬の鋭い突っ込みに永遠は「あっ!」と口を押さえた。
押さえた手を離した時永遠が冷たい声で言葉を吐いた。
「・・・もう帰ってくれない?」と。




拍手やコメントありがとうございます。
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永遠の誓い 3

 07, 2010 00:00
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「天使の箱庭」の30万Hit御礼で始めた話でしたが
同時に進行していました「この世の果てで」と全く意識しないで付けた
タイトルの印象が重なってしまい、気持ち的に書けなくなってしまっていました。

2話まで書いて随分と放置してしまいましたが
間に「天使が啼いた夜」を挟む事で切り替えが出来ました。


もう話も忘れておられるかも?ですネ。
スミマセン遅くなって。

「永遠の誓い 1」「永遠の誓い 2」


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                   イラスト undercooled pioさま



浅見永遠(あさみ とわ)イラスト左 18歳
本郷 瞬(ほんごう しゅん)イラスト右 18歳
(話は高校1年の16歳から始まります)








「あ、ごめん・・俺何か気に触る事言ったか?」
ついムキになってしまった永遠は気を取り直したように
「ごめん、何でも無い」永遠は自分でどうしてそんな事を言ってしまったのか判らなかった。
何だかそういう事を言われると胸の奥がむかむかとしてくる。

「本郷君って自宅遠いの?」
「瞬って言えよ、俺の家はここから電車で40分くらいかな?」
「じゃ自宅から通学出来るじゃない?」
わざわざ寮に入っているのが永遠には理解出来なかった。
「まあな色々あるんだよ、俺だって、それに勉強する時間も勿体無いだろ?」
「勉強って・・・」永遠は此処に来て話している暇があれば・・と言いたかった。

「永遠んちは?」
「うちは今海外だから」
「へぇ・・一緒に行かなかったのか?」
「うん・・」
永遠は何故だか両親の口から一度も『一緒に行こう』という言葉を聞かなかった。
残して行く永遠を凄く心配していたのは感じたが、連れて行こうとはしなかった。
「あまり治安が良くないんだって」
そんな事を言われた気がして永遠はそう付け加えた。

永遠は両親が何日も話し合って究極の選択をしたのを知らなかった。

「そうか、でもお陰で永遠と知り合えたんだから感謝だな」
瞬の言葉に首を傾げながら
「僕と友達になっても何のいい事も無いのに、変わってるね・・瞬君」
名前で呼ばれて瞬は目尻を下げて嬉しそうな顔になった。
その顔を見てもう一度「やっぱり変わってる」と呟く永遠だった。

相変わらず永遠の椅子に腰掛け、時々ぐるっと回りながら
「俺んち、父親が再婚なんだよな、血の繋がらない弟と、
半分だけ血が繋がった妹がいるんだ・・」

「ふ~ん・・・家族多くていいね」
「へっ?」
今まで家族の事情を話してこんな風に言った奴は居なかった。
家族の中で一人だけ浮いた感じだったのは、もしかして自分のせいなのか?
と思ってしまうような言葉だった。

「まぁな~」そう言うと瞬は嬉しそうに椅子をぐるぐる回転させる。
遠慮しがちな態度で『ここ判らないんだけど・・』と問題集を持って来る弟と
まだ小さいけど『しゅんちゃ』と慕ってくれる妹。
次に家に帰った時はもう少し優しくしてやろう・・そう思いながら
足を床に着き椅子の回転を止めた。

「あ~目が回る」
そう言って永遠が腰掛けているベッドにどさっと体を投げ出した。
「子供みたいだね、瞬君」そう言ってくすっと永遠が笑った。
「あ、永遠の笑顔初めて見た」
「え?僕笑ってなかった?」
「そうだよ、教室でもいつも本を読んでいるか、ぼーっとしてるかだろ?」
そう言われてみれば、そうだったかもしれない。

『僕はいつから笑わなくなったんだろう?』
昔は・・小学校の頃は元気に走り回って笑っていたような気がする。
中学校の頃は?
1年・・・2年・・・3年?
『僕はいつ3年になったんだろう?』
中学2年から3年になった頃の記憶が曖昧だった事に気付いた。
いつの間にか3年になり、高校生になっていた。

「どうした、大丈夫か?」
瞬に肩を揺さぶられはっと我に返った。
「あっ・・・うん」
「疲れてるみたいだな・・悪かったな無理やり押しかけて」
そう言ってベッドから身を起こす瞬を座ったまま見上げた。
「何だよ、そんな寂しそうな顔するなよ」
「さ・寂しそうな顔なんてしてないよ、元々こんな顔だ・・」
「そうか?・・俺そろそろ寮も戻るよ、大丈夫か?」
「大丈夫じゃない訳がない・・瞬君も帰って勉強すれば?」

皮肉のような事を言われて、肩を竦めながら瞬は
「俺が帰ったら鍵かけておけよ」と言って永遠の部屋を後にした。

瞬が居なくなった部屋で、気を取り直したように永遠は机の上に教科書を広げた。
直ぐには集中出来なかったが、暫くすると頭の中にちゃんと数字が入り込んできた。

どのくらい経った頃だろうか、ドアをノックする音にその集中力が途切れた。
「はい?」
「仁科だけど」
ドアに向かいながら部屋の時計を見ると午後の7時になろうとしていた。

永遠はドアの鍵を外し開いた。
「勉強中だった?まだだったら夕飯食べに行かないか?」
寮の夕飯の時間は午後7時から8時までだ、
あのまま集中していたら食べ損なう所だった事に永遠は気付いて
「はい、行きます」と答えた。

食堂に着くまで永遠はその事を仁科に言い、
お陰で時間を過ぎなくて良かったと礼を述べた。
そんな永遠に笑顔を向け「もし今度そういう不測の事態があったら、
僕の部屋に来るといい、夜食用にカップ麺とか用意してあるから、
食べないよりはマシだ」と言ってくれた。

「ありがとうございます」
永遠は素直に礼を述べ微笑んだ。
「浅見君の笑顔初めて見たよ」
その言葉を言われるのは今日二度目だ・・・

『そんなに僕は笑っていなかったのだろうか?』
小さな疑問がまた胸の奥で湧き上がった。





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永遠の誓い 4

 08, 2010 00:00
それから永遠と瞬はある一定の距離を保ちながら高校生活を過ごした。
もっと永遠の近くに行きたいと願いながらも、あと一歩が踏み出せない瞬は自分自身に苛立ちすら覚えていた。

どんどんむさ苦しくなる同級生を尻目に永遠はどんどん綺麗になっていった。
男子校だ、永遠を違う目で見ている奴は何人か居たが、そいつらが行動を起こす前に瞬はいつも立ちはだかった。
自分以外に気を許さないで欲しい、他の男に優しい目を向けないで欲しい。
この気持ちは嫉妬以外何者でも無かった。

初めて永遠を見た時は、ただ綺麗な子だ、他の奴より早く友達になりたい・・
ただそれだけだった気がする。
その気持ちが特別な感情を伴っていると気付いたのは秋も終わりになる頃だった。
瞬の目を盗んで永遠に告白した奴が居たのだ。

「浅見君って、本郷と付き合ってるの?」
「付き合ってるって?」永遠にはその言葉の意味がよく判らなかった。
「その・・恋人同士なの?って意味なんだけど」
「瞬君と僕が?まさか・・・」
男同士なのに恋人か?と聞いてくる男の顔をマジマジと眺めた。
「そうか・・・安心した、じゃ俺にもまだ希望が残ってるんだな」
「それはどういう意味?」

永遠の言葉にその同級生は意を決したように
「俺、浅見君が好きだから・・・好きって言っても単なる同級生としてじゃないから、
キスしたいとか、抱き締めたいとか・・そんな意味で好きだから」

「・・・キス?・・抱き締めたい・・・?」
その言葉を聞いた途端に永遠の胸の奥に轟く何かが頭をもたげたように騒ぎ出した。
「いやっ!いやーっ!止めてっ!」
突然の永遠の言葉と自身を抱き締めるようにして蹲る姿に同級生は一瞬固まって動けなかった。

「おい!林!お前永遠に何をしたっ?」
この騒ぎに駆けつけた瞬が林の肩を乱暴に押した。
「俺・・何もしてない、ただ好きだって言っただけだ・・」
「お前・・・」瞬が林を睨みつけるが、今はそれどころではない
「永遠、大丈夫か?瞬だ判るか?」

「しゅんく・・・大丈夫・・」
瞬の顔を見た途端に苦しかった胸が少し楽になったような気がした。
「大丈夫か?保健室に行こう」
瞬は永遠を抱き抱えるようにして保健室へ行く事にした。

「なんだ、やっぱりデキテルんじゃないか?」
背後で聞こえた林の言葉に瞬が振り返り、その頬を殴りつけたいと思ったが
これ以上騒ぎを起こせば、永遠にも迷惑が掛かってしまう・・・
「そう思うなら永遠に手を出すなっ!」そう言い捨てて、教室を出た。

永遠を支え保健室に入った途端少し落ち着いていた永遠が又苦しそうにしゃがみ込んだ。
「いや・・此処はイヤだ・・寮に帰りたい」
保健室にまで拒絶してしまう永遠を今度は同じ敷地内の南棟まで送って行った。

部屋のベッドに寝かせると永遠は、やっと安心したように大きく息を吐いた。
瞬は脂汗を掻いている額を濡らしたタオルで綺麗に拭いてやった。
「制服脱いで、皺になるし体も拭いてやるから」
瞬に言われるがままに、永遠はブレザーを脱ぎシャツのボタンを外した。

「あーあ、背中まで汗でビッショリだ・・」
瞬が永遠の背中もタオルで拭いてやった。
タオルを簡単に洗ってから今度は首筋も拭いてやる。
殆ど無毛の腋の下も拭き、胸も拭いた・・・・

まだ赤ちゃんの色をした乳首に目を奪われるが意識しないように丁寧にタオルを動かした。
「ズボンも皺になるぞ」迷った後にその言葉を吐いたが
「うん」と素直に頷いた永遠は自分でベルトを外しズボンも脱ぎ捨てた。
「パンツの中は汗掻いてないか?」
「・・掻いてる」
そう言うと永遠は平然と、まるで子供が母親の前で脱ぐように、下着まで取り去った。

「おまえんちは裸族か?」からかうように言ったつもりが声が掠れてしまった。
「え、どうして?」
「いや・・・大胆に脱ぐからさ」
「だって汗掻いて気持ち悪いから、あ、悪いけど引き出しの一番上に下着入ってるから取ってくれる?」永遠は何でも無い事のようにそう瞬に頼んだ。
「あ・ああ」言われるがまま新しい下着を取り出すと永遠に渡す。

永遠は下着を履き替え、ベッドの横に置いてあった部屋着のジャージに着替えた。
「ああ、さっぱりした・・・あれ?僕どうしてこんなに汗掻いたんだろう?」
「えっ・・・」
ほんの15分程前の記憶がいとも簡単にデリートされている永遠に驚いた。

瞬はクラスメイトの安藤に『永遠が具合悪いから午後の授業出れないって担任に言っておいて』と手早くメールを送った。
普段瞬も永遠も真面目な生徒だったから、特に何も言われる事は無いだろうと思った。

「覚えてないのか?」
「何を?」
「どうして汗を掻いたのか?」
「ちょっと体調でも悪かったのかなぁ・・・」
まるで他人事のようにそんな事を言う永遠にそれ以上何も言えずに瞬は
「そうだな・・・少し休んだ方がいい」とだけ言った。

林に告白された事実の履歴さえ永遠には残っていないようだった。
男に告白されあんなに拒絶反応を示したのに、瞬の前では平気で全裸になれる永遠
この両極端な永遠の正体が何なのか今の瞬には判らなかった。



2000文字はあるのに、何故か短く感じてしまう^^;

ガーーン・・・2500文字書いてたのに、保存する時にトラブって
千尋のクリスマスの話が消えた\(゜ロ\)(/ロ゜)/

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<R18>

普段、R18でも表記しないのですが・・・
今回はR指定付けさせてもらいます。
回想シーンですが、苦手な方はスルーして下さいね。






3年生も進路がほぼ決まり、退寮して行く者も多くなった。
殆どが3年で占められている南棟にいる永遠も周りが慌しくなり少々落ち着かない環境にいた。
寮の食堂で食事していた永遠の元に仁科がやって来た。
「隣いい?」
「はい、どうぞ」席は空いているのだからわざわざ断る必要は無いのにと思いながらも、
永遠は顔を上げてそう答えた。
「もう、ここで浅見君と一緒に食事をするのも最後だ・・・」
寂しそうに言われ「いつ退寮されるんですか?」と永遠が尋ねると
「明後日だよ、でも明日は最後の片付けで忙しいから、良かったら食事が終わったら僕の部屋でお茶でも飲まないか?」
「でも・・・」躊躇ってる永遠に仁科は続けた
「最後だし、いいだろう?」
もう周りにあまり人が居ない事が寂しいのだろうと思った永遠は頷いた。
「そう、ありがとう」嬉しそうに笑う仁科に永遠も小さな笑みを浮かべた。

1年近く寮に居るが他の部屋に入ったのは初めてだった。
珍しそうに見回す永遠に、自分の勉強机の椅子を勧めた。
「明日殆どの荷物を運び出して、残りは処分するんだよ」
電気ポットで湯を沸かしながら仁科が説明した。
「そうですか・・・」
永遠は仁科が退寮する事に何の感慨もなかったから、そんな言葉しか出て来なかった。
「珈琲はミルクと砂糖入れるんだよね?」
「はい」どうして永遠の好みを知っているのか、永遠は疑問に思うべきだったのだ。

勉強机の上に置かれたマグカップを両手で持つように甘い珈琲を口に運んだ。
「美味しい」
「そう、良かった」
それから仁科の進路などの話をしながら、永遠はカップの珈琲を飲み終えた。
「あの、僕そろそろ部屋に戻ります」
「楽しかったよ、高校生活あと2年頑張って」
「・・・はい・・・・・」
急に口が重くなったような口調に仁科が首を傾げて
「どうしたの?」と聞いて来た。
「いえ・・ちょっと何だか・・」
それだけ言うと永遠は椅子から滑り落ちるように床に崩れた。

仁科はそんな永遠を自分のベッドにそっと寝かせた。
普段から部屋着にしているトレーナーとスエットのズボンを脱がすのは簡単だった。
そしてただ一枚の下着も簡単に脱がせてしまう。
全裸に剥かれたが、永遠は簡単に目を覚ます事は無いだろう。
仁科には、これが最初で最後のチャンスだったのだ。

2年前のあの日、仁科が高校1年、永遠は中学2年だった。
仁科は腹膜炎を起こし入院していた時に、風邪をこじらせ肺炎を起こした永遠が
同じ病室に運び込まれて来たのだった。
仁科は永遠を初めて見た時に大きな衝撃を受けた。
永遠の容態が落ち着くと、必死に話しかけた。
明るく笑う少年だった・・・白い頬に触れたいと思って何度も寝ている永遠に触れようとしたがギリギリの所で踏み止まっていたのだ。

自分が少年に対して感じているのが、性欲なのか愛情なのか判らなかった。
それを知る為には触れて抱き締めてみる以外に方法が無いような気がしていた。
2人部屋という事と年が2つしか違わない事で、永遠も安心して仁科に懐いてくれた。
『可愛い・・・触れたい』永遠が笑顔を見せる度に自分も笑顔を返しながら、その仮面の下でどうしたら永遠に触れられるか何時も考えていた。

「明日退院してもいいでしょう」と午前の検診で医師に告げられたのは2人同時だった。
「やった!明日退院していいんですか?」
「いいですよ、その代わり今日1日はちゃんと安静にしておいて下さいよ」
そう医師に念を押されながらも、永遠は退院を無邪気に喜んでいた。

『今夜しかない・・・』

仁科はそう心に決めた。

普段とは違い消灯の9時になるのが待ち遠しかった。
永遠は電気が消されると直ぐに寝てしまい、なかなか起きないのを仁科は知っていた。
看護士が見回りに来るまであと2時間もある。
その2時間で何が出来るかはその時の仁科にも判らなかった。

「永遠・・可愛い、綺麗だ」
眠る永遠の頬に触れ、そして口付けをした。
病院で着ているパジャマのボタンを1個外し様子を伺い、また外す。
すやすやと寝息を漏らす永遠の前が全部仁科の前で肌蹴られた。
薄いピンクの乳首に舌を這わし、嘗め回してみた。

たったそれだけの行為に仁科の頭はじーんと痺れて来た。
同級生が雑誌を見て騒ぐ豊満な乳房は無いけれど、
平らな胸板に小さな粒が着いているだけの胸なのに仁科の胸はドキドキと高鳴り震えた。
「永遠・・綺麗だ」

そう呟くと、今度はパジャマと下着ののゴムに手を掛け、一緒に下ろした。
まだタンポポの綿毛みたいな下生えも永遠らしかった。
自分のベッドの灯りだけでなく、本当はもっと明るいなかで見たかったが、永遠のベッドの灯りを点けて目が覚めるのを恐れてそれは止めた。

自分と同じ性器を持っている永遠の体をくまなく眺め、そして手で触れてみた。
永遠の肌に触れていると思うだけで、爆発しそうな感覚を覚えながら、撫で回す事を止められなかった。

もう一度、小さい粒を舐め、今度はそっと吸って見た。
「う・・うん・・・」永遠が小さく身じろいだが、起きる気配は無く
安心してその行為を続けた。
その可愛い口を吸いたいと思いながらも、気配を消す為にはそこまでは及ばなくて、
仁科はその口と手を永遠の下半身に向けて行った。

精通はあったのだろうか?と思いながら、眠る永遠の性器をそっと握りその柔らかな感触を楽しんだ。
『この奥に僕を満足させてくれる器官が存在している・・・』
仁科は早くその場所に到達したかったが、我慢してまだ起きそうもない永遠の脚を少しだけ開かせた。
すべすべと女みたいに綺麗な脚にも口付けをしてみた。

『駄目だ・・・我慢出来ない』




ひえーっ!永遠ピンチです(回想ですが^^;)


それと、リアルで月曜日まで仕上げなくてはならない仕事を抱えてしまいまして。
かなりキツイ状態になっています。
大変申し訳御座いませんが、それまでコメント欄を閉じさせてもらいます。
目鼻が立って時点で再開したしますので、ご理解よろしくお願い致します。



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<R18>

普段、R18でも表記しないのですが・・・
今回はR指定付けさせてもらいます。
回想シーンですが、苦手な方はスルーして下さいね。







『駄目だ・・・我慢出来ない』

仁科は永遠の狭いベッドの足元に座り込んだ。
そっと足首を持ち、膝を立てるように押し上げて行った。
もし途中で永遠が起きてしまって騒がないように、タオルを手の傍に用意しておいた。

仁科は永遠の脚の間に身を置き、膝裏を持ち上げるようにして押し広げた。
目の前に永遠の小さな蕾が晒され、ごくりと生唾を飲み込んだ。
ここまで行き着くまでに、仁科の下半身はいつ爆発しても可笑しくない位膨らんでいた。
『ここに本当に入るのだろうか?』
そう思いながら、そっとその蕾に触れてみた。

『あぁ可愛い・・・』
だがいくら眠りの深い永遠とはいえ、体を曲げられていたら目を覚まさない筈がない。
「んん・・・え・・・っ?・・・」まだ完全に覚醒していない永遠の顔に近づいた。
それに驚いた永遠が口を大きく開け声を出そうたとした瞬間に、手にしてたタオルを咥えさせた。
「んんんんっ!!」
永遠の目が驚きと恐怖に見開かれていた。

「永遠・・・可愛いよ、もう少しじっとしてて」
仁科は子供に言い聞かすように優しく言ったが、永遠が体を捩って口のタオルを外そうとする。
仁科はその手を押さえ、用意していた紐でその手を一つに縛り上げた。
声も出せない上に両手まで拘束されて、初めて自分が何も身につけていない事に気付いた。

「んんんーっ!」首を激しく振りながら、目でどうして?と訴えている。
「永遠好きだよ、君が入院して来た時から好きだった」
「!!」見開いた目は恐怖から拒絶、そして蔑みの篭った目に変わっていく。
「酷い事をする訳じゃないから、もう少し大人しくしてて」
仁科の言葉に激しく首を振り抵抗する永遠の脚を更に大きく開かせ体を固定する。

そして目の前に息づく小さな蕾に舌を這わせた。
途端に永遠の体が大きく跳ねた、激しい拒絶に身を捩る。
仁科はその腰をぐっと捕まえて、唾液を絡めながら更に舐め上げた。

永遠はボロボロと涙を零しながら体全部で拒絶し続ける。
だが仁科は構わずその蕾を両指で広げながら、舌先を突き刺した。
ビクンと永遠の体が大きく震え、溢れる涙は止め処なく溢れ目尻から耳の中に伝わり落ちる。
「永遠可愛い、好きだよ、もう直ぐ気持ち良くなるから・・」

充分に舌と唾液で湿らせたそこに仁科はとうとう指の先を入れる事が出来た。
一体何をされ、これから何をされようとしているのか永遠には判らなかった。
だがとても正常な行為で無い事は確かだ。
目で必死に止めてと訴えるがそれは叶う事は無かった。

仁科はパジャマのポケットから前もって貰って置いた傷薬のチューブをを取り出し、
それを指に付け永遠の蕾に塗り始めた。
薄灯りの中、薬を塗られた蕾はテラテラと妖しく輝き、仁科を誘っているように見えた。
そして撫で回していた指をぐっと1本蕾の中に押し入れた。

激しい痛みと驚きで永遠の背中が大きく反り返った。
「気持ちいいか?もっと気持ち良くしてあげるから待ってて」
仁科は携帯で調べた事を手がかりに、永遠の孔の中をゆっくり弄った。
薬を足しながら、仁科は指を2本に増やし、夢中になって永遠の孔を貪っていた。

その間中、永遠は首を大きく振りながら涙を零し続けていた。
そして仁科の指が知識として知ったばかりの奥にある丘を探し当てた。
ぐっと其処を押した途端、激しく首を振っていた永遠の口のタオルが外れた。

「いっいやーーーっ!!」それはまさに闇をつんざくような悲鳴だった。
夢中になり過ぎた仁科は永遠の口に突っ込んだタオルが取れそうなのに気付かないでいたのだ。
そして、偶然近くを通りかかっていた看護士が永遠の悲鳴と同時に部屋に入って来た。

薄暗かった部屋に灯りが点り、看護士が一瞬息を呑んだ後に
「何をしてるんですかっ!」と激しい口調で仁科に詰め寄った。
永遠は看護士の姿を薄れいく意識の中で見たような気がした。


次に永遠が目が覚めたのは、翌日の昼を少し回った頃だった。
心配そうな両親の顔に「あれ?どうしたの・・・?」
「永遠大丈夫か?」父の声に
「大丈夫だよ、僕今日退院出来るんだよね?」
午前中に退院する予定だったのに、もうこんな時間になっているのを不思議に思って聞いた。
「ああ、退院出来るよ」父の返事に安心して隣の空のベッドを見た。
「あれ?お兄ちゃんもう退院したんだ・・・挨拶くらいしてくれれば良かったのに」

「永遠・・・お前何も覚えていないのか?」

「えっ?何を・・・?」
「いや何でも無い・・・昨夜少し熱を出したらしい」
父親は機転を利かせてそう言った。
「そう・・だから体が何だかだるいんだ・・・」
「ああ、だから退院は夕方かもな」
「そう・・・」

父親と話しているうちに、自分の体と心に何か違和感を感じたが
それが何なのか、さっぱり思い出せなかった。

夕べの事件は病院の一部のスタッフと双方の保護者のみで話し合われた。
その間、仁科は別室に移され、永遠は鎮静剤を打たれ眠り続けた。
話し合いの結果前途ある二人の少年の今後を考えて大袈裟にしない事
そして忘れ、今後一切永遠に近づかない事を約束させ、
翌朝の退院予定の日を待たずに仁科は強制的に退院させられて行った。

だが仁科の「永遠があんなに綺麗だからいけないんだ・・・誰だって変になる」
と呟いた言葉に永遠の両親はショックを覚えた。
少女なら判る、だが永遠は男の子なのだ・・・
両親から見ても我が子ながら美しく生まれたとは思っていた、そしてそれが自慢でもあった。
美しく聡明な息子・・・何処に行っても人目を惹いてしまっていた息子。

だがまさかこんな事に巻き込まれるとは思ってもいなかった。
一般的な性感覚しか持っていなかった両親は驚愕すると共に、
自分達と違う目線で息子を見る者が居る事、
そして今後その目線は永遠が成長するにつれ、もっと多くなるかもしれないと・・・


あの夜の事は永遠には衝撃的過ぎたのだろう、その夜の記憶が全くなかった。
だがそれは安堵と不安との紙一重の危ういものであった。
本人が万が一そういう異質の目で見られても何も警戒しないだろうし、
警戒心を抱かせる事は折角忘れた忌まわしい記憶を呼び起こす事になるかもしれない。



そしてその2年後、入寮して来た永遠を見て仁科は内心狂喜乱舞していた。





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永遠の誓い 7

 11, 2010 00:00
そしてその2年後、入寮して来た永遠を見て仁科は内心狂喜乱舞していた。

自分の顔を見ても何の警戒心も不快感も示さない永遠を
最初は不審な目で見ていたが、何度寮ですれ違ってもその態度は変わらなかった。

仁科は中学の教諭をしていたが定年退職し、
今はこの寮の管理人をしている佐藤の元に探りに行った。
「佐藤さん、今年は1年がこの南に入って来たんだね」
優等生でこの南棟の寮長の仁科の言葉に
「ああ、何か事情がありそうなんだけど、私には詳しい事は判らないよ」
「そう、でも僕も少しは彼の事を知っておかないと、
何かあった時に対応できないんだけどなぁ・・・」と惚けて探り続けた。

「浅見君の父親ってのが海外転勤になったらしくて、急遽この寮に入る事になったらしいよ、
あ、そう言えば入寮者の名簿を見せてくれって言ってたなぁ」
「見せたんですかっ!」
突然言葉が強くなった仁科に少し驚いた顔を佐藤が向けた。
「あ、いやほら・・最近は個人情報とかうるさいから、
後で佐藤さんが困った事にならなきゃいいなぁって思って」
言い繕う仁科に「見せたよ、これ」と見せられた名簿を仁科は震える手で受け取った。

部屋番号と名前だけが書いてある方の名簿だ。
保護者の住所や連絡先は書いてはなかった。
『それにしてもおかしい・・・』
仁科はそう思いながら、あるべき自分の名前を探した。

「佐藤さん、僕の名前が無いですよ」わざと揶揄するように言うと
「あぁ仁科君のは表紙だから抜けてたんだよ」
「えっ?」
「ほらこれ」と出された東棟と南棟の名簿。
「南棟」と書かれた下に『寮長(305号室) 3年E組 仁科真一』と印刷されていた。
安心した仁科は「ま、詳しい情報が記載されてる訳じゃないから・・」
とその名簿を佐藤に返した。
私が働いていた時代は今みたいに個人情報云々が煩い時代じゃなかったのに・・・
そんな独り言みたいな事を言う佐藤に、「じゃお疲れ様です」
と仁科は大声で笑いたいのを堪えて自室に戻った。
何もかもが自分の都合の良いように流れている。
それが嬉しくて仕方なかった。


あの病院での出来事の後、両親の態度が変わった。
特に母親は、仁科の下着すら洗ってくれなくなった。
潔癖症の母は自分の息子が仕出かした行為に嫌悪し、そして許さなかった。
その当時は少し無理して自宅から通学していた仁科はそれを機に入寮を申し出、
運良く空きがあったから入寮でき現在に至っていた。
『寮で問題を起こしたら、今度こそ親子の縁を切る』
そこまで言われたが、自分は男に興味があるのでは無く永遠だから興味があるのだ
『もうそんな事はしないよ、あの時は魔がさしたんだ』
仁科自身本当にそう思っていた。

そして真面目に高校生活を送っている仁科に両親も安心していた。
だが新1年生が南棟に入寮して来た時に封印していた魔が再び姿を現したのだ。
それでも仁科はそ知らぬ振りして耐えた。
とにかく良い大学に入る事を目標に、持て余す熱は永遠の事を思いながら自慰でやり過ごした。

『これが最後のチャンスだ』2年前と同じ失敗は許されない。
自分も永遠もあの頃よりは大人になった、もしかしたらこれを機に何かが始まるかもしれない。
仁科にはそういう甘い期待さえもあった。
国立大学への切符を手に入れた事で親の信頼も取り戻し、
今夜さえ上手くいけばこれからの人生薔薇色だ。

仁科は眠れないと嘘を吐いて処方してもらった睡眠薬を珈琲に混ぜて
永遠に飲ませたのだった。
一流の大学を狙っている受験生が少しノイローゼを装い
「眠れない」と言えば医者も簡単に軽い物ならと誘眠剤を処方してくれる。
無味無臭の眠剤は珈琲に混ぜようが水に混ぜようが、
何の警戒もしていない永遠に飲ます事はいとも簡単だった。

「あの頃とちょっとも変わらない・・・」
白く透き通るような肌を眺め、そして眺めるだけでは飽き足らず、その腿を撫でてみた。
「まるで吸い付くような肌だ・・・」
ただ腿に触れるだけで気分が高揚してしまう・・この感覚はあの頃の比では無かった。
中学の頃よりだいぶ身長が伸び、その脚はカモシカのようにすらっとしていた。
体毛も殆ど無い綺麗な体は何時間見ていても飽きないだろうと思ったが
自分のカチカチに固くなった体が先へと急がせる。

そう強い薬じゃない、体への刺激で目が覚めるかもしれない危惧から
仁科は用意しておいた包帯で永遠の手首を一つに絡めベッドに縛り付けた。
口は・・・・いいこのままで。
もうこの階には自分しか残っていないのだから、多少の喘ぎ声なら平気だ。
自分も早く大学に通う準備をするようにと、親に急かされていたが、
せめてこの階に誰も居なくなるまでと指折り数えて待った。

そして今夜がその夜なのだ。
一度永遠に快楽を教え込めば後はなし崩しになると仁科は考えていた。




「どうしたんだ?さっきから携帯握り締めて」
瞬は同室の岡野に揶揄された。
毎晩永遠とメールのやりとりをしているのを知っているからだ。
「あ、メールの返信が30分も無いんだ」
「風呂でも入ってるんじゃないのか?」
「いや、永遠の風呂の時間はいつも9時頃だ、もうとっくに上がってる筈だ」
「電話したのか?」という岡野の言葉に勿論と瞬は頷いた。

「何だかイヤな予感がする・・・」もう直ぐ10時になる。
「たかが30分で・・大袈裟だな」溜息混じりに言う岡野に
「また具合でも悪くなってるんじゃ?」
そう言われたら岡野も知らん顔は出来なかった。
「南棟に行ってみよう」
岡野の提案に瞬が勢いよく部屋を飛び出した。





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仁科は永遠の両足を大きく広げ、その間に身を置いた。
内腿の感触に酔いしれながら、何度も手を上下に動かす。
そして手を伸ばし、小さな粒を指の腹で転がす。
勿論それだけで我慢できる筈もなく、そっとその粒を口に含んだ。
何度も舌で転がし、吸い上げる。
「あぁ何て可愛いんだ永遠・・・僕だけの永遠」

自分の唾液でてらてらと輝く粒を眺め満足したかのように
その唇を下に這わせ、永遠の腹を舐める。
臍の周りも丹念に唇を這わせ、そして眠る永遠のペニスを唇で柔らかく包んだ。
そして口腔に呑み込む。

先端の穴に舌先を突き刺した時「んんん・・・」永遠の小さな喘ぎが聞こえ
嬉しくなりもう一度同じ事を繰り返した。
「え・・っ、何・・・えっ?」
頭上で永遠の惚けた声が聞こえ、顔を上げた。
まだ状況が飲み込めないでいる永遠に、仁科は抑揚のない声で言った。
「声を上げたら、噛み切るよ」と。

「やっ・・何?止めて・・・」脅かされた永遠は大きな声を出せずに・・
いや出そうとしても萎縮した体と喉からは大きな声など出ては来なかった。
「永遠好きだよ、ずっと好きだった。だから僕のものになってくれるね?」
固まったままの永遠は信じられない光景と言葉にただ首を横に振り続けた。

「今気持ち良くしてあげるから、大人しく待ってて」
「いやだっ!止めて・・・お兄ちゃん止めてっ!」
自分がどうして仁科の事をお兄ちゃんって呼んでしまったのか永遠にはまだ判らなかった。
自然とそういう単語が出てきたのだ。

「あ・・・っ」前にもこんな事があった気がする。
まだ薬が抜け切らない朦朧とする思考は永遠を過去へと懸命に導く。



南棟に着くと玄関の扉には施錠がしてあった。
「くそっ」まだ10時前だ、施錠されるには少し早い。
その違和感に瞬の焦り扉を叩こうとした。
だがその腕は岡野によって止められ、「先輩に電話入れるから待て」と言われた。
岡野はポケットから携帯を取り出し開いた。
陸上部に在籍している先輩がまだ退寮しないで残っているはずだと言いながら。

なかなか出ない電話の相手に瞬はジリジリと苛立った目でじっとその携帯を睨んでいる。
「おかしいな・・・」
そう言うと岡野は一度電話を切りもう一度掛けた。
今度は5回ほどコールした時点で相手が電話に出た。
「おお岡野か、悪いな今シャワーから出た所だ」
「先輩、ちょっとここの寮にいる浅見って奴に急用なんですが、玄関が閉まってるんです」
「そうか?もうそんな時間か?」
のんびりと答える先輩に向かって
「すみません、直ぐ開けて貰えませんかっ?」
岡野の声の様子が伝わったのか、「判った待ってろ」と電話が切れた。

ほんの1分ほどの時間が凄く長く感じられ、瞬は扉が開いた瞬間に寮に飛び込んだ。
小走りに永遠の部屋を目指す瞬の背後で、岡野が先輩に礼を言ってる声が聞こえたが、今の瞬にはそれどころでは無かった。

ドンドン!部屋をノックするが応答が無い。
「永遠、居ないのか?」ノブを回してみたら鍵は掛かってはいなかった。
瞬が部屋に入ると岡野も陸上部の先輩も部屋の前に辿り着いた。

「瞬、浅見はいないのか?」
勉強机の前にも、ベッドの中にも居ない。
浴室を覗き、トイレもノックしてから開けてみたが、永遠は何処にも居なかった。

「寮長はまだ居るから、聞いてみよう」先輩の言葉に瞬の眉が上がった。
「仁科寮長はまだ退寮してなかった?」
瞬は永遠の部屋に訪れた時に何度か会った仁科の永遠を見る目を思い出した。
「仁科の部屋だ!何号室?」もうそこしか考えられなかった。
「305号室だ・・何でそんなに慌てる、最後だからって話してるんじゃないか?」
のんびりした先輩の言葉を遮るように、「永遠が危ない」瞬の目は確信を持ち、そして怒りにつり上がっていた。

瞬たちが階段を駆け上がろうとしたその時、かすかに上の階から悲鳴が聞こえた。
その声に瞬の体からは沸点に達した黒いオーラが後ろに続く岡野には見えた気がした。
一気に階段を駆け上がる瞬の後を岡野と先輩は息を詰めて追いかけた。

仁科の部屋の前に辿り着いた3人の耳にはっきり聞こえた。
「いやーっ!止めて、お兄ちゃん止めてっ!!」永遠の声に瞬が扉に体当たりする。
「とわーーっ!!」

「瞬・・・?」扉に体当たりするような音と共に瞬の声が聞こえた気がした。
「しゅーーん!助けてぇー!」
予想しなかった瞬の登場に仁科は慌てず、「大丈夫ですよ、誰にも邪魔は出来ないですから」と言った。
永遠が首を擡げてドアの方を見ると、ドアから壁にまでびっしりと家具が置かれ簡単には開けられないようになっていた。
永遠が寝ている間に全ての家具を集め入り口からの侵入を阻んでいたのだ。

「さあ外の騒音は気にしないで、僕を受け入れて」
余裕のある仁科の言葉に永遠は血の気が引いていった。
逃げようにも両手は縛られた状態のままだ、体も仁科がのしかかっている。
「いやっ、お願い止めて・・・」
そんな永遠の懇願など無視して膝裏を抱え上げた。
「永遠可愛い、あの頃のままだ」

永遠は腿が胸に着くほどに体を押し曲げられ、仁科の目の前に普段人に見られる事のない箇所を晒けだした。
舌の根の合わない程に体は震え、呼吸も苦しくなって来た。
仁科の舌が永遠の蕾を舐め上げた時にその悪寒と嫌悪感に打ち震えていた永遠からまた大きな悲鳴が上がった。

ガッシャーーン!!
永遠の悲鳴と同時に3階にある仁科の部屋の窓が人の足で蹴割られた。
「とわーっ!」その侵入者の声が瞬の声だと判って、永遠は安心したように意識を手放した。




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永遠の誓い 9

 13, 2010 13:37
自分の名前を叫ばれ、硝子が割れ散る中、空から降って来たかと思った。
瞬の声を聞いた永遠は緊張の強張りを解くと同時に意識を手放す。
瞬は自分の着ていたジップアップパーカーを手早く脱ぎ、全裸の永遠の体に掛けてやった。
永遠の痛ましい姿が心に痛い。
無事なのか・・・それとも何かされたのか今の様子では量り知る事は出来なかった。

「何をっ!」仁科の口から出た言葉は其処までだった。
言いかけた瞬間に瞬の右手が空を切った。
扉を封鎖する為に並べられた家具に強かに体を打ち付けて仁科が床に転がった。
「立てよっ!」
再び瞬の拳が仁科の左頬に振り下ろされ、そして続けて腹にもパンチが入る。
「永遠に何をした?」射抜くような眼差しで問われるが、
頬を押さえたまま仁科は状況を把握出来ないで、ただ驚きと激しい痛みに顔を歪めている。

ドンドンドン!!「瞬!」扉の外から岡野の厳しい声が聞こえた。
中の物音に何が起きているのか想像付いたのだろうか?
瞬は家具を押し倒しながら、封鎖された扉に近づき中から鍵を開けた。
廊下には心配そうな岡野や先輩、そして騒ぎを聞きつけた数人の寮生が何事かと言う顔で見守っていた。

部屋の中に岡野と先輩だけを引き摺りこむとまた扉を閉めカギを掛けた。
二人は頬を抑え蹲る仁科とベッドの上に両手を縛られた永遠を交互に見比べていた。

瞬はそんな永遠の傍に行き、縛り上げた包帯を丁寧に解き、
脱ぎ捨てられた着衣を手に取り唇を噛んだ。
「悪い、あっち向いててくんない?」
瞬にそう言われ、岡野と先輩は頷き永遠に背を向けた。
衣擦れの音とベッドの軋む音がが静かな部屋に僅かな音をたてる。

そして再び扉の外が賑やかになった。
「おい、開けろ!」「開けなさい」
寮の管理人が学校に連絡を入れ、夜勤の教師が呼び出されたようだった。
それもそのはずだ、窓ガラスを蹴破る音は寮中に響き渡ったはずだ。

「何をやってる!開けなさい!」怒鳴る教師の声を聞きながら
瞬はひとつ小さく溜息を吐いてから、岡野に向かって「開けろ」と目で合図した。
岡野も黙って頷き、カギを開けた。
と同時に教師と管理人が部屋の中に飛び込んで来た。

家具がなぎ倒され、窓硝子が割られた部屋を唖然とした表情で見回していた。
そして顔を腫らし蹲っている仁科に気付き慌ててその体を引き起こした。
「大丈夫か、仁科?」
「・・・・・」
「一体何があった?」
そこにいる教師も管理人も、ここにいる5人が普段問題を起こす事なく真面目に学生生活を送っている事は知っていた。
だからこそ、この惨状が理解し難いという顔で立ち竦む3人の顔を見回した。

「どういう事だ?」厳しい教師の目に瞬が一歩前に出た。
「俺が仁科さんを殴りました」少しふて腐れた様子で瞬が自分がやったと告白してきた。
「本郷・・・お前がやったのか?本当に?」
「俺が全部一人でやりました」

「どうして浅見が此処で寝ているんだ?」
この大騒ぎの中意識を手放している永遠をただ寝ていると勘違いしてくれた教師に
「浅見は関係ありません、ただ寝ているだけですから・・・」
本当の事を言う事が永遠にとって良い事か悪い事かの判断は出来なかった。
だが永遠を好奇の目に晒すことだけは嫌だ。

「仁科・・・」教師の目は今度は蹲る仁科に向けられた。
「・・・・」仁科の頭の中は凄い勢いで回転している。
今自分がとる態度と言葉で今後の全てが決まってしまう。
この事が公になれば勿論自分も困るが、永遠はもっと困るかもしれない・・・
だが本郷の存在は仁科にとって邪魔だ。
「仁科!」今度は強い口調で問い詰められ
「無抵抗の僕を本郷君は殴ってきました」と答えてしまった。

「理由は?本郷も元気な奴だが理由も無く手を出す奴じゃないだろう?」
「それは・・・きっと僕が浅見君と仲いいのが面白くなかったのかも?」
岡野と先輩の体が動いた気配を感じ瞬は二人を目で止めた。
「とにかく詳しい事は手当てしてからだ」
殴られた顔は腫れて、口端が切れて血が滲んでいた。
「保健室に行くぞ、本郷お前も来い」
教師に言われ、瞬は自分の手の甲も傷ついているのに気付いた。
ガラスが割れた時に当たったのだろう、手の甲が少し切れ血が滲んでいた。

先に部屋を出る教師が岡野たちに向かって「浅見を部屋まで連れて帰ってくれ」と言った。
岡野たちは頷き、心配そうに永遠を見て、そして瞬を見る。
黙って頷く瞬に岡野も頷き返した。

教師の後に続き部屋を出ようとした時に仁科が瞬の耳元で囁いた。
「永遠の体、凄く良かったよ」と。
抑えていただけで、治まっていなかった瞬にもう一度火が点いた。
乱暴に仁科の胸倉を掴んで壁にドンと押し付けた。

「本郷!」鉄拳が振り落とされる前にその体を教師が羽交い絞めした。
教師の腕を振り解こうと瞬も必死だったが、岡野の先輩も一緒になって瞬を止める。
『凄く良かったよ・・・』仁科の言葉が怒りに満ちた脳内でリフレインする。
ずっと守ってきたはずなのに、肝心な所で手遅れになってしまった・・・
自分の甘さに悔やんでも悔やみきれないで瞬はギリギリを唇を噛んだ。




すみません、まだリアル忙しくて・・・

55555のキリ番の申告があるかと思って、コメ欄あけていたのですが・・・
残念ながらいらしゃらなかったようで^^;
次の機会を楽しみにします。
ありがとうございました。


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永遠の誓い 10

 14, 2010 20:04
「宇佐美先生、俺は治療の必要はありませんから」
そう言いながら瞬は手の甲をぺろっと舐めた。
「いいから此処に座れ」宇佐美は消毒液を手に瞬を無理やり座らせた。
「ツッ!」消毒液が沁みて眉を顰めた瞬をほら見ろと言わんばかりに宇佐美が睨んだ。
その横では仁科が冷やしたタオルを顔に当てていた。

「本当の原因は何だ?」どうしても一方的に瞬が暴力を振るったとは思いがたい。
「・・・・」仁科は沈黙して瞬は「大した事じゃないです・・・」と答える。
「このままだと停学は免れないぞ」宇佐美は脅すように言うが瞬は動じなかった。
手を挙げた時点で自分の方が不利である事は充分に承知していた。
だが本当の事を言うわけにはいかなかった。
それが仁科を庇うような結果になろうとも、自分が停学になろうとも言ってはならない。

「仁科、君はどうして何も言わない?」
一方的に殴られたのなら、もっと仁科から反撃の言葉があってもおかしくない。
「・・・・・」仁科は相変わらずどう言っていいのか判らなかった。

「先生、もういいですか?俺、浅見の具合も心配だし・・・」
瞬の申し出に溜息を吐きながら、どうしたもんか?と宇佐美も考えていた。
そこに瞬の携帯が賑やかな着信音と共に震えた。
瞬はポケットから携帯を取り出して表示を見ると、永遠に付き添ってる岡野からの電話だった。

「もしもし!」瞬は逸る気持ちで携帯に出た。
「あ、瞬、大変だ浅見が目を覚まして興奮してる、早く来てくれ!」
岡野の声も切羽詰っていた。
「先生、俺浅見の所に行きます!」そう言うと宇佐美の承諾も待たずに瞬は保健室を飛び出した。

走って永遠の部屋に入ると、ベッドの上で永遠が興奮状態で「いやだっ!」と叫んでいた。
必死にその体を抑えようとしている岡野に「俺が」と言って抗う永遠の手を押さえた。
「永遠!俺だよ瞬だよ、判るか?」
「イヤッ!止めて、来ないで!」
「永遠!!」
「・・・・瞬?」瞬の大きな声にやっと瞬を認識したかのように見えた。
「永遠大丈夫だ、もう大丈夫だから落ち着いて・・・」今度は宥めるように優しく言った。

「しゅん・・・タスケテ」
瞬は壊れそうな永遠の肩に手を置き自分の胸に抱き締めた。
「大丈夫?苦しいのか?」
「瞬、痛い・・助けて・・・」永遠の細い体はガクガクと震えている。
「大丈夫だから安心して」
「いや・・入れないで、助けて痛い・・・」

この時瞬は気付かなかったが、永遠はさっきの出来事と2年前の記憶が混同していたのだ。
そんな永遠を強く抱き締めながら『くそっ!許さない仁科』
瞬の怒りは沸点をとうに越えていたが、今は永遠を落ち着かせる事が先だ。

瞬は永遠の顔を覗きこむように見て「永遠俺が誰だか判るか?」と聞いた。
「瞬?」「そうだ瞬だ、だから安心してもう怖い事は無いから」
やっと現実の瞬を確認したようだ、永遠の目からはボロボロと涙が零れ始めた。
「瞬・・・瞬」永遠は瞬の背中に腕を回しこれでもかという力で抱きついてきた。

そんな二人を黙って見ていた岡野に陸上部の先輩である曽根が
「こいつら付き合ってたのか?」と小さな声で聞いてきた。
「いや、そこまでは行ってなかったはず」
瞬が永遠を好きだと言葉にしたわけじゃなかったが、同室である岡野は瞬の思いを知っていた。
いや同級生全員が知ってるのでは?
と思うくらい瞬は永遠に近づく奴を威嚇して追っ払っていた。

それは笑えるくらいに誰の目から見ても『永遠を好きだ』という気持ちの現われだった。
だが、それに対して永遠はそういう目で瞬を見ているようには思えなかった。
一番仲の良い友達ぐらいにしか写っていなかった。

だがさっきの興奮状態の永遠を止められるのは瞬しかいないだろう・・・
無意識に瞬を違う気持ちで見ていたのだろうか?
それならばそれでいい、瞬の気持ちも報われたのかもしれない。そう岡野は思った。

「瞬、僕から離れないで・・またお兄ちゃんが僕を・・・」
落ち着いたかと思っていた永遠がまた少し怯えだした。
「大丈夫だよ、ずっとこうしてるから心配するなよ」
『お兄ちゃん?仁科の事なのか?』
瞬の中ではまだ駒が揃いきっていなかった。
だが今の永遠に色々尋ねる事は出来ない。
今はただ永遠の怯えを取り除いてやる事だけを考えた。

「今日は俺ここで寝るから?いいよな?」と言った。
「うん、でも僕寝ないから、ずっと起きてる・・・寝たら痛いことされるからイヤだ」
「大丈夫だよ、痛い事もイヤがる事もしないから、ゆっくり寝て」
そう言いながら瞬は永遠の話し方が何となく幼くなっている事に気付いた。
『もしかして、もっと幼い頃に何かあった?』
判らない事だらけだった、そして一番気になるのは
今夜瞬たちが仁科の部屋に到着するまでの間に・・・やはり・・・

痛いと言い続ける事はそういう事なのだろうか?
こんな永遠の体を調べる事は出来ない。
もしかしたら、治療した方がいいんじゃないのか?

『永遠の体凄く良かったよ』仁科の声が何度も瞬の心に杭を打つ。
ギリギリと唇を噛みながらも永遠の髪を優しく撫で続けた。



慎重に考えた挙句、もし切れてたりしたら大変だと思って、
永遠が怯えないように優しく腫れ物に触るように聞いてみた。
「永遠、痛い所に薬塗らなくていいの?」
「・・・・瞬が薬塗って」




すみません、更新だいぶ遅くなりました!!
お詫びに書き上げてから、最後の4行付け足しました(*^。^*)

次は頑張って早く書けるように・・・・努力しますっ!!


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