秘密の扉へようこそ(゚∀゚)
この話は、普段よりも刺激的なエロい話を書きたい、という作者が集まって作ったブログに掲載していました。でも段々と、自分の色が濃く出るようになり(本家でも問題ないかな?)などという考えと、もっと多くの方に読んで頂きたいという欲望が湧き本家ブログでアップする事になりました。
ですが、日陰の身……新着などに載せないでこっそりアップして行きたいと思っています。
今までの話よりは少し鬼畜に走り気味ですが、裏大奥を書いた事を考えれば問題ないかな?などと自分の都合の良いように考えています。
そういう話はあまり……と思われる方は、そっと閉じて下さいね。久しぶりに読み返したら、最初っからエロ全開でした^^;
本家ブログを持たない作家さんもいらっしゃるので「宴」というブログはまだ残してあります。私もすっごく厭らしいのを書きたくなったら(笑)あちらでも、アップするかもしれません。
この「雷鳴」は今年の3月1日から4月4日、ひと月余の間にのんびりと書いた作品です。
アップ時が、32234文字です。
多少の加筆修正が入ると思います。
では、ちょっとだけアダルトな話を楽しんで下さいませ(*^_^*)
(あ……もし既に読んで下さった方がいらしたら、有り難うございました!)
「ちょっと彬!又麻雀に負けたって…」
「ああ、悪いな夕方北村先輩ん所行ってくれよな…そうじゃないと俺困るし」
彬の勝手な言い分に浅井忍は泣きたい気分だった。
「一体何度目だと思ってるの?」
「減るもんじゃないだろ?俺を助けると思って頼むよ」
浅井忍は、この大蔵彬の頼みを何度聞いてきたのだろうと思った、一度や二度じゃない。
彬が麻雀で北村先輩に負ける度に、忍はこの体を北村に差し出され好きなように蹂躙されていたのだった。
「なぁ、忍って彬とは高校からの付き合いなんだって?」
「あぁっ!あっ!そ、そうです…」
北村に下から突き上げられながら、忍はやっと返事を返せた。
「酷い奴だな、何であんなのと付き合ってる?」
「やぁ、あぁぁ…」北村は平気で話しかけてくるが、忍にはそれに答える余裕など残っていなかった。
返事をしない忍に向かって北村が激しく腰を打ち付けた。
「やあぁぁぁ…せんぱ…」
「彬と別れて俺のもんになれよ、うんと可愛がってやるからさ」
忍は激しく揺さぶられ、溜まった生理的な涙がその振動で零れ落ちた。
「ひょっとして俺、彬よりも多く忍の事抱いてるんじゃね?」
北村は何度抱いても清純さを失わない忍を、本当は自分だけのものにしたいと思っていた。
それを彬に何度か交渉してはみたが、良い返事は返っては来なかった。
北村の言葉は忍を傷つけた。
そう、最近彬は忍をあまり抱こうとはしなかったからだ。
きっと他の男に抱かれ善がっている自分の事を本当はもう見捨てているのかもしれない。
「あいつに利用されてるだけだろう?」
そう言いながら北村は忍の体をぐるっと回転させ、背後から思いっきり貫いた。
「やああぁぁぁ―――っ」忍は内臓がせり上がる感覚に嬌声を上げた。
「ほら、気持ちいいだろ、ここ?」
もう忍の感じる所など北村は知り尽くしているという感じに、前立腺を攻めてくる。
「あぁぁぁ!せんぱい…」
忍はこの姿勢が惨めで、辛くて、それでも気持ち良くてまた新しい涙をシーツにポタリと零した。
(あきら・・・・)
ここひと月彬には一度も抱かれてはいなかった。
だが、この北村とはもう3度目だ。
(もう・・・終わりにした方がいいのかもしれない・・・)
「うっ!」背後から貫いていた北村が小さく呻いて忍の中で果てた。
先に達していた忍は北村が抜け出ると同時にベッドに突っ伏した。
だが息も整わない忍の腰は引かれ元の四つん這いにさせられる。
「えっ・・もう・・」拒絶する暇もなく宛がわれた無機質の物に体が強張った。
「やだっ、やめ・・」だが北村の力には忍は敵わずそのシリコン製のバイブを押し込まれてしまった。
「ああっ・・抜いて・・先輩・・・いやだっ!」
激しく腰を振るが、再奥まで達したそれは簡単には抜け落ちる事は無かった。
「何だ、初めて?」意外そうな顔で北村が聞いて来た。
言葉も出せずに涙を溜めた目でただ頷けば「へぇ・・彬の奴に結構大事にされてるんじゃん」などと思いもしなかった言葉が返ってきた。
「ううっ!」北村の手によって、スイッチが入れられ今までに感じた事のない衝撃が体を貫いた。
「やああっ、いやっ、抜いて・・ううううっ」
言葉が終わらないうちに、忍の口は北村のペニスで塞がれてしまった。
「うううううっううっ」
「忍、ちゃんと舌使って・・上手に出来たらご褒美あげるから」
「うううっ・・」褒美なんて欲しくない、そんな言葉すら忍は発する事が出来なかった。
それでも苦しいから逃げようと自然と頭を引くと、今度は髪を掴まれ押し込まれる。
喉の奥まで届きそうな北村のペニスは牡臭さと同時にゴムの味がした。
北村は何度抱いても生で忍を貫く事は今まで一度も無かった。
それは、他の男に抱かれる可能性のある忍を警戒しているのか、それともベッドを汚すのがイヤなのかは忍には分からなかった。
何度も口の中に出し入れされるペニスを、えずきながら忍は咥え続けた。
「そう、上手いじゃん忍・・ご褒美やるよ」
そう言うと、孔を蹂躙しているバイブに手を伸ばしてそのスイッチをMAXに切り替えた。
「やあああああ――っ!」忍は咥えていたペニスを吐き出して悲鳴を上げた。
体の中で円を描くように動いているバイブは確実に忍の良い所を擦っている。
「忍、お前って本当に可愛いな、彬なんかにはマジ勿体無いよ」
「あああぁぁぁっ、もうだめっ、イクッ!」
ガクンガクンと体が痙攣するように震えて、その震えが止まらない。
「ああああ―――――――――っ、だめぇ――」
「くるなぁこれ、出すぞ」北村はそう呻くように言うと忍の喉深くに飛沫を飛ばした。
咳き込みながら、北村の吐き出した精液を飲もうとするが、飲みきれなかった白濁が忍の白い喉を伝って流れている。
後孔のバイブはまだ中に嵌ったままだ。
ビクンビクンと震える体はバイブをも締め付け、その締め付けに又忍は喘ぐ。
(もう・・・いやだ・・・・)
「すっげぇ、こんなもんでも咥えて離さないよ、お前のここ」
揶揄するような北村の声を聞きたくなくて耳を塞いだ。
ずるっとバイブを抜かれる感覚に忍の体がまたビクンと跳ねた。
「なぁマジ彬と別れろよ、良い事ないぞこのまま付き合ってても、ボロボロにされるだけだぞ」
「先輩・・・今夜ここに泊まってもいいですか?」
もう疲れて体を起す事も出来そうになかった忍は、自分の部屋に帰る元気も無かった。
「ああ、泊まってけ」
優しいのかそうでないのか良く判らない北村だったが、今は一人よりも誰かと一緒にいたいと願った忍だった。
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この「雷鳴」は今年の3月1日から4月4日、ひと月余の間にのんびりと書いた作品です。
アップ時が、32234文字です。
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「ちょっと彬!又麻雀に負けたって…」
「ああ、悪いな夕方北村先輩ん所行ってくれよな…そうじゃないと俺困るし」
彬の勝手な言い分に浅井忍は泣きたい気分だった。
「一体何度目だと思ってるの?」
「減るもんじゃないだろ?俺を助けると思って頼むよ」
浅井忍は、この大蔵彬の頼みを何度聞いてきたのだろうと思った、一度や二度じゃない。
彬が麻雀で北村先輩に負ける度に、忍はこの体を北村に差し出され好きなように蹂躙されていたのだった。
「なぁ、忍って彬とは高校からの付き合いなんだって?」
「あぁっ!あっ!そ、そうです…」
北村に下から突き上げられながら、忍はやっと返事を返せた。
「酷い奴だな、何であんなのと付き合ってる?」
「やぁ、あぁぁ…」北村は平気で話しかけてくるが、忍にはそれに答える余裕など残っていなかった。
返事をしない忍に向かって北村が激しく腰を打ち付けた。
「やあぁぁぁ…せんぱ…」
「彬と別れて俺のもんになれよ、うんと可愛がってやるからさ」
忍は激しく揺さぶられ、溜まった生理的な涙がその振動で零れ落ちた。
「ひょっとして俺、彬よりも多く忍の事抱いてるんじゃね?」
北村は何度抱いても清純さを失わない忍を、本当は自分だけのものにしたいと思っていた。
それを彬に何度か交渉してはみたが、良い返事は返っては来なかった。
北村の言葉は忍を傷つけた。
そう、最近彬は忍をあまり抱こうとはしなかったからだ。
きっと他の男に抱かれ善がっている自分の事を本当はもう見捨てているのかもしれない。
「あいつに利用されてるだけだろう?」
そう言いながら北村は忍の体をぐるっと回転させ、背後から思いっきり貫いた。
「やああぁぁぁ―――っ」忍は内臓がせり上がる感覚に嬌声を上げた。
「ほら、気持ちいいだろ、ここ?」
もう忍の感じる所など北村は知り尽くしているという感じに、前立腺を攻めてくる。
「あぁぁぁ!せんぱい…」
忍はこの姿勢が惨めで、辛くて、それでも気持ち良くてまた新しい涙をシーツにポタリと零した。
(あきら・・・・)
ここひと月彬には一度も抱かれてはいなかった。
だが、この北村とはもう3度目だ。
(もう・・・終わりにした方がいいのかもしれない・・・)
「うっ!」背後から貫いていた北村が小さく呻いて忍の中で果てた。
先に達していた忍は北村が抜け出ると同時にベッドに突っ伏した。
だが息も整わない忍の腰は引かれ元の四つん這いにさせられる。
「えっ・・もう・・」拒絶する暇もなく宛がわれた無機質の物に体が強張った。
「やだっ、やめ・・」だが北村の力には忍は敵わずそのシリコン製のバイブを押し込まれてしまった。
「ああっ・・抜いて・・先輩・・・いやだっ!」
激しく腰を振るが、再奥まで達したそれは簡単には抜け落ちる事は無かった。
「何だ、初めて?」意外そうな顔で北村が聞いて来た。
言葉も出せずに涙を溜めた目でただ頷けば「へぇ・・彬の奴に結構大事にされてるんじゃん」などと思いもしなかった言葉が返ってきた。
「ううっ!」北村の手によって、スイッチが入れられ今までに感じた事のない衝撃が体を貫いた。
「やああっ、いやっ、抜いて・・ううううっ」
言葉が終わらないうちに、忍の口は北村のペニスで塞がれてしまった。
「うううううっううっ」
「忍、ちゃんと舌使って・・上手に出来たらご褒美あげるから」
「うううっ・・」褒美なんて欲しくない、そんな言葉すら忍は発する事が出来なかった。
それでも苦しいから逃げようと自然と頭を引くと、今度は髪を掴まれ押し込まれる。
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北村は何度抱いても生で忍を貫く事は今まで一度も無かった。
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何度も口の中に出し入れされるペニスを、えずきながら忍は咥え続けた。
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そう言うと、孔を蹂躙しているバイブに手を伸ばしてそのスイッチをMAXに切り替えた。
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体の中で円を描くように動いているバイブは確実に忍の良い所を擦っている。
「忍、お前って本当に可愛いな、彬なんかにはマジ勿体無いよ」
「あああぁぁぁっ、もうだめっ、イクッ!」
ガクンガクンと体が痙攣するように震えて、その震えが止まらない。
「ああああ―――――――――っ、だめぇ――」
「くるなぁこれ、出すぞ」北村はそう呻くように言うと忍の喉深くに飛沫を飛ばした。
咳き込みながら、北村の吐き出した精液を飲もうとするが、飲みきれなかった白濁が忍の白い喉を伝って流れている。
後孔のバイブはまだ中に嵌ったままだ。
ビクンビクンと震える体はバイブをも締め付け、その締め付けに又忍は喘ぐ。
(もう・・・いやだ・・・・)
「すっげぇ、こんなもんでも咥えて離さないよ、お前のここ」
揶揄するような北村の声を聞きたくなくて耳を塞いだ。
ずるっとバイブを抜かれる感覚に忍の体がまたビクンと跳ねた。
「なぁマジ彬と別れろよ、良い事ないぞこのまま付き合ってても、ボロボロにされるだけだぞ」
「先輩・・・今夜ここに泊まってもいいですか?」
もう疲れて体を起す事も出来そうになかった忍は、自分の部屋に帰る元気も無かった。
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忍が朝目覚めると一緒に眠ったはずの北村の姿が無かった。
(いったい今何時なんだろう?)
寝ぼける頭で周りを伺うが、時間が分かるような物は近くには無かった。
自分の携帯電話もズボンのポケットに中で、手前の部屋のソファの上に投げてあった。
「おいそろそろ起きろよ」
シャワーを浴びたのだろうか、北村はズボンだけ履いた格好で首にはタオルが掛け戻って来た。
「先輩、今何時ですか?」
「8時だ、講義は間に合うか?それより体は大丈夫か?」
(8時……一度部屋に帰って着替えよう)
そんな事をぼーっとする頭で考えていると、北村が「トーストでいいか?」などと聞いてきた。
「えっ?先輩って思ったよりも優しいんですね」などと言いながら忍はベッドから覚悟を決めて起き上がった。
「うっ」体が軋み腰も重かった。
「大丈夫か?……その……悪かったな、ちょっと俺もやり過ぎた」
北村は昨夜使ったバイブの事を言ってるのだろうか?
忍はもうそんな事はどうでも良いような気がして「別に……僕に拒む権利は無いですから」と自嘲気味に呟いた。
そんな忍を労わるような目で北村が見ている事など忍は知らない。
「ほら、珈琲でいいだろ?それより先にシャワー浴びるか?」
忍はふと北村の優しさが嬉しくて涙ぐみそうになって、顔を背けた。
それから、今度はゆっくりと体を起こしてベッドの下に足を下ろす。何とか歩けない事はなさそうだ。
「あ……っ」
忍は、自分がまだ体に何も身につけていない事に気付きうろたえた。
そんな忍に北村がバスタオルを投げて寄越す。
「ほら、シャワー浴びて来いよ」
「はい、お借りします」
忍は借りたバスタオルを腰に巻いて、風呂場に向かった。
そして、シャワーで昨夜自分が吐き出した汚れを落とそうと体を見ても、殆ど汚れが無い事に気付き驚いた。
(まさか北村先輩が……綺麗にしてくれた?)
何度も北村には抱かれたが、泊まったのは初めてだったから、今までそんなに北村が労わってくれた事は無かった。
抱く時は結構激しくて口調も乱暴なのに……その中に北村の優しさを忍は感じていた。
忍がシャワーを浴びて出た時に、足元に真新しい袋に入った下着が置いてあった。
躊躇った後、忍はその袋を開けて下着を身に着けリビング代わりに使っている部屋に戻った。
「先輩、これ……」
「ああ、予備だから返さなくていいから」
ぶっきら棒に言う言葉も今日はとても優しく感じてしまった。大学に行く前に着替えるつもりだったからいいだろうと考えて、下着以外は、昨日着てきた服を着た。
その後、北村が淹れてくれた珈琲と、焼いてマーガリンを塗っただけのトーストという簡単な朝食をご馳走になり、忍は部屋を後にした。
帰り際に「彬のことちゃんと考えた方がいいぞ」とまた言われ、忍はただ「はい」とだけ頷いて礼を述べ北村の部屋のドアを閉めた。
通学に便利の良い所にみんな部屋を借りているから、北村と忍の部屋もそう離れてはいなかった。とはいえ歩くと30分は掛かってしまう。
今日だけはちょっと贅沢をしようと思って、忍は通りかかったタクシーを止め、自分の部屋までタクシーで帰宅した。
ワンルームのマンションだが、忍には充分に贅沢な部屋だった。
マンションの賃貸料プラス生活費の一部は親が援助してくれてたから、忍は必死になってバイトをする必要もなかった。
親に感謝しながら、忍は質素な学生生活を送っていたのだった。
マンションの前でタクシーを降り、部屋の前まで行き鍵穴にキーを差し込んだ途端背後から来た男にドアを押され、部屋に雪崩れ込んでしまった。
「つぅ……」あまりの突然の出来事に忍はその相手が誰なのか、直ぐには理解出来なかった。
「おい忍、朝帰りとは良いご身分だなぁ。もしかして北村さんが朝まで離してくれなかったとか?」
そこには凄い不機嫌な顔の彬がいたのだ。
「どいて、僕学校に行く仕度があるから」
忍は、昨日の今日で彬に優しい顔など出来ない。
すると突然、彬が忍のシャツのボタンを飛ばしながら、前を肌蹴てきた。
「やだっ何するの?」露わになった胸を隠すように忍が叫ぶ。
「どれだけ先輩に可愛がってもらったのか、調べるんだよ」
不機嫌なままの彬がそう言い放った。
「いやだっ、帰って、触るなっ!」
今まで見たことのない忍の態度に彬の目が一段と険しく光った。
「来いよ、お前は俺のもんなんだよ、お前に拒否権は無いんだよっ」
そう言うと、彬は忍を部屋の隅にあるベッドの所まで引き摺るように連れて行った。
「ほら、脱げよ!脱いで俺の前で脚広げて見せろよ」
彬の強い口調に一瞬忍も怯んだが、きっと見据えてずっと考えていた言葉を吐いた。
「彬、僕と別れて……」
だが言った瞬間にその頬を彬の左手が掠めた。
「お前は俺のもんなんだって何度言わせるつもりだ?」
そう言うと彬は忍の肌蹴たシャツを引き上げ、そのシャツで忍の両腕を拘束して、ベッドの上に仰向けに転がした。
「その体に教え込んでやるよ」
彬の変貌ぶりに忍は怯えて首を振りながら、身を捩るが彬の手は忍が履いていたズボンをいとも簡単に脱がせ部屋の隅に投げた。
「いやっ!」忍は自分の情けない姿に眩暈を起こしそうだった。
「いやだ、止めてっ」顔を引き攣らせる忍の脚を彬は大きく広げた。
「やだっ!見ないでっ、見るなっ!」
忍の抵抗も虚しく、体はシーツに貼り付けられる。両手を拘束されている体は、思うように力が入ってはくれなかった。
広げられた脚の間に身を置かれれば、その秘めやかな場所を彬の目に晒してしまうのは必然。いくら恋人とはいえ、別れを口にした今それは、忍にとって屈辱でしかなかった。
「随分と熟れてるじゃないか」
彬の追い討ちを掛けるような言葉に、忍は唇を噛んで顔を真っ赤に染めた。
「彬が先輩の所に行かせたんだろう?」
「朝までヤって来いなんて言ってない」
「あ、朝までなんて……してない」
腰を高く上げさせられた蕾に直接ローションを垂らされた。
「やだっ!」
粘度の高いローションがたらりと窪みを伝って背中に流れ堕ちる。そして解しもしない蕾に、いきり立った彬のペニスが宛がわれた。
「やだっ!無理っ、彬やめっ、うっ……」
蕾をこじ開け、その肉を巻き込むように彬のカリ首がローションの力を借りずぶっと沈められた。
「やあーっ!無理っ、痛いってばっ、彬ぁ――」
元より忍の言う事など聞くはずもない彬のペニスは、忍の必死の訴えを無視しながら、その全部を一気に沈めきった。
体の痛みと心の痛みからは絶望しか生まれなかった。
(いいや……これで別れられる)
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寝ぼける頭で周りを伺うが、時間が分かるような物は近くには無かった。
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「おいそろそろ起きろよ」
シャワーを浴びたのだろうか、北村はズボンだけ履いた格好で首にはタオルが掛け戻って来た。
「先輩、今何時ですか?」
「8時だ、講義は間に合うか?それより体は大丈夫か?」
(8時……一度部屋に帰って着替えよう)
そんな事をぼーっとする頭で考えていると、北村が「トーストでいいか?」などと聞いてきた。
「えっ?先輩って思ったよりも優しいんですね」などと言いながら忍はベッドから覚悟を決めて起き上がった。
「うっ」体が軋み腰も重かった。
「大丈夫か?……その……悪かったな、ちょっと俺もやり過ぎた」
北村は昨夜使ったバイブの事を言ってるのだろうか?
忍はもうそんな事はどうでも良いような気がして「別に……僕に拒む権利は無いですから」と自嘲気味に呟いた。
そんな忍を労わるような目で北村が見ている事など忍は知らない。
「ほら、珈琲でいいだろ?それより先にシャワー浴びるか?」
忍はふと北村の優しさが嬉しくて涙ぐみそうになって、顔を背けた。
それから、今度はゆっくりと体を起こしてベッドの下に足を下ろす。何とか歩けない事はなさそうだ。
「あ……っ」
忍は、自分がまだ体に何も身につけていない事に気付きうろたえた。
そんな忍に北村がバスタオルを投げて寄越す。
「ほら、シャワー浴びて来いよ」
「はい、お借りします」
忍は借りたバスタオルを腰に巻いて、風呂場に向かった。
そして、シャワーで昨夜自分が吐き出した汚れを落とそうと体を見ても、殆ど汚れが無い事に気付き驚いた。
(まさか北村先輩が……綺麗にしてくれた?)
何度も北村には抱かれたが、泊まったのは初めてだったから、今までそんなに北村が労わってくれた事は無かった。
抱く時は結構激しくて口調も乱暴なのに……その中に北村の優しさを忍は感じていた。
忍がシャワーを浴びて出た時に、足元に真新しい袋に入った下着が置いてあった。
躊躇った後、忍はその袋を開けて下着を身に着けリビング代わりに使っている部屋に戻った。
「先輩、これ……」
「ああ、予備だから返さなくていいから」
ぶっきら棒に言う言葉も今日はとても優しく感じてしまった。大学に行く前に着替えるつもりだったからいいだろうと考えて、下着以外は、昨日着てきた服を着た。
その後、北村が淹れてくれた珈琲と、焼いてマーガリンを塗っただけのトーストという簡単な朝食をご馳走になり、忍は部屋を後にした。
帰り際に「彬のことちゃんと考えた方がいいぞ」とまた言われ、忍はただ「はい」とだけ頷いて礼を述べ北村の部屋のドアを閉めた。
通学に便利の良い所にみんな部屋を借りているから、北村と忍の部屋もそう離れてはいなかった。とはいえ歩くと30分は掛かってしまう。
今日だけはちょっと贅沢をしようと思って、忍は通りかかったタクシーを止め、自分の部屋までタクシーで帰宅した。
ワンルームのマンションだが、忍には充分に贅沢な部屋だった。
マンションの賃貸料プラス生活費の一部は親が援助してくれてたから、忍は必死になってバイトをする必要もなかった。
親に感謝しながら、忍は質素な学生生活を送っていたのだった。
マンションの前でタクシーを降り、部屋の前まで行き鍵穴にキーを差し込んだ途端背後から来た男にドアを押され、部屋に雪崩れ込んでしまった。
「つぅ……」あまりの突然の出来事に忍はその相手が誰なのか、直ぐには理解出来なかった。
「おい忍、朝帰りとは良いご身分だなぁ。もしかして北村さんが朝まで離してくれなかったとか?」
そこには凄い不機嫌な顔の彬がいたのだ。
「どいて、僕学校に行く仕度があるから」
忍は、昨日の今日で彬に優しい顔など出来ない。
すると突然、彬が忍のシャツのボタンを飛ばしながら、前を肌蹴てきた。
「やだっ何するの?」露わになった胸を隠すように忍が叫ぶ。
「どれだけ先輩に可愛がってもらったのか、調べるんだよ」
不機嫌なままの彬がそう言い放った。
「いやだっ、帰って、触るなっ!」
今まで見たことのない忍の態度に彬の目が一段と険しく光った。
「来いよ、お前は俺のもんなんだよ、お前に拒否権は無いんだよっ」
そう言うと、彬は忍を部屋の隅にあるベッドの所まで引き摺るように連れて行った。
「ほら、脱げよ!脱いで俺の前で脚広げて見せろよ」
彬の強い口調に一瞬忍も怯んだが、きっと見据えてずっと考えていた言葉を吐いた。
「彬、僕と別れて……」
だが言った瞬間にその頬を彬の左手が掠めた。
「お前は俺のもんなんだって何度言わせるつもりだ?」
そう言うと彬は忍の肌蹴たシャツを引き上げ、そのシャツで忍の両腕を拘束して、ベッドの上に仰向けに転がした。
「その体に教え込んでやるよ」
彬の変貌ぶりに忍は怯えて首を振りながら、身を捩るが彬の手は忍が履いていたズボンをいとも簡単に脱がせ部屋の隅に投げた。
「いやっ!」忍は自分の情けない姿に眩暈を起こしそうだった。
「いやだ、止めてっ」顔を引き攣らせる忍の脚を彬は大きく広げた。
「やだっ!見ないでっ、見るなっ!」
忍の抵抗も虚しく、体はシーツに貼り付けられる。両手を拘束されている体は、思うように力が入ってはくれなかった。
広げられた脚の間に身を置かれれば、その秘めやかな場所を彬の目に晒してしまうのは必然。いくら恋人とはいえ、別れを口にした今それは、忍にとって屈辱でしかなかった。
「随分と熟れてるじゃないか」
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「彬が先輩の所に行かせたんだろう?」
「朝までヤって来いなんて言ってない」
「あ、朝までなんて……してない」
腰を高く上げさせられた蕾に直接ローションを垂らされた。
「やだっ!」
粘度の高いローションがたらりと窪みを伝って背中に流れ堕ちる。そして解しもしない蕾に、いきり立った彬のペニスが宛がわれた。
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蕾をこじ開け、その肉を巻き込むように彬のカリ首がローションの力を借りずぶっと沈められた。
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それでも何度も中の感じる部分を擦られれば体は自然と反応してしまう。
半ば勃ち上がった忍のペニスに彬はポケットから出した細い紐を巻きつけた。
「うっ……」
彬の意図は判ったが、もう口を利くのも面倒な気がして忍は噤んだ。
そんな忍の態度も気に入らないのだろう、彬は激しく奥に欲望を何度も叩きつける。
「うっ、あぁっ、あっ、あぁぁっ……」
忍は揺さぶりに合わせて自然と声が漏れてしまうのも止めるつもりはなかった。
本当にもう全てがどうでもいい……忍の目尻から涙が筋を作って零れる。
殆どレイプのような繋がり……
彬と付き合う切欠になったのも、レイプだった。
あれはまだ、ふたりが高校2年になったばかりの5月。
雷鳴が轟く激しい雨の中、同じクラスになったばかりの男子生徒3人に忍は、体育館倉庫に連れ込まれてしまった。
まさか自分がそういう目で見られていた事など、忍はその日まで気付かなかった。
制服のブレザーとズボンは簡単に剥ぎ取られてしまった。白シャツのボタンは、千切れないように丁寧に外され、制服と一緒にひとつ所にまとめて置かれていた。
あっという間に全裸にされた忍は湿ったマットの上に押し倒される。
まだ現実を受け入れられなかった忍の上半身は抑えられ、もうひとりには右足を押さえつけられていた。
「止めろ」と叫びながら身を捩っても華奢な忍が3人の力を撥ね退ける事など、到底出来なかったのだ。
2年になって初めてクラスメイトになった3人だったが、こんな酷い事をするような奴等には到底見えなかった。
どちらかといえば、目立たなく大人しいタイプの生徒なのに、2年になった開放感がそうさせていたのだろうか?
「女みたいな顔してたけど、付いてるもんは付いてたんだなぁ」
「へえ……乳首ピンクだよ」
ごくっと誰かが飲み込んだ唾の音に忍の身が慄く。
そして忍の脚を大きく広げ奥の窄まった箇所を覗き込んだ生徒が、本当にこんな所に入るのか?などとも聞いていた。
その言葉を聞いて忍はまた激しく暴れだしたが、叫ぶ声も外の大雨がかき消してしまい、体に疲労を与えるだけだった。
「諦めた方がいいよ」そう言う誰かの声が聞こえる。
「やだっ!やめろー、やめてっ!」
忍が固く閉じた蕾に誰かの指を感じて叫んだ時、倉庫の扉がガタガタッと音を立て開かれた。
「おい、お前等そこで何やってる?」
3人の力が一斉に抜けた瞬間、忍は恐怖が安堵に変わりそして意識を手放した。
その後3人がどうなったかは判らない。
意識を取り戻した時、優しい顔で「大丈夫か?」と声を掛けて来た彬しかそこには居なかったからだった。
そしてその時助けてくれた彬が今は乱暴に忍の体を貫いていた。
「忍、目開けろよ」
自分を貫いている彬から執拗にそう言われ、観念したように忍が目を開いた時に、カシャという携帯カメラの音がした。
「な、何?!」
暫くその携帯を弄っていた彬がにやっと笑って「よく撮れてるよ」とその画像を忍の目の前に持って来た。
そこには、男同士繋がっている部分から、勃ち上がったペニス、そして忍の顔までがはっきりと写っていた。
「すっげぇ卑猥」満足そうに言う彬を見て忍が顔色を失くした。
「何で……こんな?」
「保険さ、もう別れるなんて言わせない為のな。お前が俺から逃げたら翌日にはこれを大学の掲示板に貼るし、ネットにも流出させるからな」
何でも無い事のように、彬が怖い事を言う。
「そんな……」
愛されもしてないのに、ただ都合のよいように利用されるだけの体なのに……どうしてそんなに執着する?と忍は聞きたかった。
「お前は俺のもんだって言っただろ?」
そう言いながら彬が再び律動を始めた。
「うっ、うっ、あぁぁ、もう止めっ」忍の懇願も空しく、彬は腰を動かしている。
「もっ、やだよぉ彬ぁ……」忍は零れる涙を拭う事も出来ずにそう訴えた。
「なぁ忍、夕べ何回イかされた?」
「そ、そんなの……知らない」
実際忍は、自分が何度達したかなど覚えていなかった。北村の体でもバイブでも何度もイかされた。
「そろそろ北村さんとは終わりだな……」
彬は北村の麻雀の打ち方はあまり好きじゃない、などと勝手な事を言っていた。
「忍だって、もう北村さん飽きただろ?そろそろ面子変えるぞ」
その言葉にまた自分が負けの代償に体を差し出されると判って、忍は身を固くした。
だらだらと蜜を零すペニスには触れてもらえず、後ろの感じやすい箇所だけを狙って彬は中を擦る。
「やっ彬……そこばっかヤダ」
昨日散々バイブで擦られ敏感になっているその場所を擦られると、もうイきたくて仕方ない。
自然と腰が揺れてポタポタと零す蜜が自分の腹や胸に落ちて来る。
下から睨みつけるように彬の顔を見ると、ふっと視線が絡み、そして外された。
ぐるっと体を回転させられ、四つん這いにされた。
しっかりと腰を掴まれ、何度も打たれた。
心では抗っていても体は正直に解放を求めて膨れ上がる。
「やぁぁぁ……お願い、彬ぁイかせて……」
「後ろでイけるだろ?遠慮せずにイけよ」
無情な声にまた涙を零し、蜜を滴らせる。
彬は大きくスライドさせながら、忍の奥を何度も突き上げてくる。
「あぁぁぁ、あきらぁイクッ!」
5年も体の付き合いを続ければ心は通じ合えなくても、相手が達する気配は判った。
「くっ!」そして彬が小さく呻いて、忍の中に飛沫を飛ばした。
ドライで達した忍の孔はその飛沫を零さぬよう、締め付けてしまう。
他の男には必ずゴムを着けさせるが彬は一度もゴムを使ったことなどなかった。
そんな彬の吐き出した精を奥に感じながら忍は何度もドライで達し続ける。
「すっげぇ」吐精しても絡み付いて来る忍の中から彬は出て行く様子は無い。
「忍の中厭らしいなぁ、まだビクビクしてるぞ」
揶揄しているのか喜んでいるのか、苦しくて身悶えてる忍には、その真意は測れなかった。
「イきたいか?忍」彬の問いかけに忍はコクコクと頷いた。
「明後日、板野さん達と麻雀やる、お前も必ず来い。ちゃんと約束できたらイかせてやるよ」
彬が忍の背中に向け恐ろしい事を囁いた。
『板野……』
忍はその名前を聞いただけで、体中の血管が凍り付いてしまいそうな気分になった。
彬の知り合いで何度か構内ですれ違った事はあったが、その度に舐めるような視線を投げ掛けて来ている男が板野だ。
「イヤだ……」まだ負けて自分が差し出されるとは決まっていないのに、忍は抗った。
「ああ、アイツはちょっとヤバイからな、俺も精々負けないように頑張るよ」と無責任な言葉を彬は吐いた。
そしてその麻雀の当日、彬は板野に完敗した。
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それでも何度も中の感じる部分を擦られれば体は自然と反応してしまう。
半ば勃ち上がった忍のペニスに彬はポケットから出した細い紐を巻きつけた。
「うっ……」
彬の意図は判ったが、もう口を利くのも面倒な気がして忍は噤んだ。
そんな忍の態度も気に入らないのだろう、彬は激しく奥に欲望を何度も叩きつける。
「うっ、あぁっ、あっ、あぁぁっ……」
忍は揺さぶりに合わせて自然と声が漏れてしまうのも止めるつもりはなかった。
本当にもう全てがどうでもいい……忍の目尻から涙が筋を作って零れる。
殆どレイプのような繋がり……
彬と付き合う切欠になったのも、レイプだった。
あれはまだ、ふたりが高校2年になったばかりの5月。
雷鳴が轟く激しい雨の中、同じクラスになったばかりの男子生徒3人に忍は、体育館倉庫に連れ込まれてしまった。
まさか自分がそういう目で見られていた事など、忍はその日まで気付かなかった。
制服のブレザーとズボンは簡単に剥ぎ取られてしまった。白シャツのボタンは、千切れないように丁寧に外され、制服と一緒にひとつ所にまとめて置かれていた。
あっという間に全裸にされた忍は湿ったマットの上に押し倒される。
まだ現実を受け入れられなかった忍の上半身は抑えられ、もうひとりには右足を押さえつけられていた。
「止めろ」と叫びながら身を捩っても華奢な忍が3人の力を撥ね退ける事など、到底出来なかったのだ。
2年になって初めてクラスメイトになった3人だったが、こんな酷い事をするような奴等には到底見えなかった。
どちらかといえば、目立たなく大人しいタイプの生徒なのに、2年になった開放感がそうさせていたのだろうか?
「女みたいな顔してたけど、付いてるもんは付いてたんだなぁ」
「へえ……乳首ピンクだよ」
ごくっと誰かが飲み込んだ唾の音に忍の身が慄く。
そして忍の脚を大きく広げ奥の窄まった箇所を覗き込んだ生徒が、本当にこんな所に入るのか?などとも聞いていた。
その言葉を聞いて忍はまた激しく暴れだしたが、叫ぶ声も外の大雨がかき消してしまい、体に疲労を与えるだけだった。
「諦めた方がいいよ」そう言う誰かの声が聞こえる。
「やだっ!やめろー、やめてっ!」
忍が固く閉じた蕾に誰かの指を感じて叫んだ時、倉庫の扉がガタガタッと音を立て開かれた。
「おい、お前等そこで何やってる?」
3人の力が一斉に抜けた瞬間、忍は恐怖が安堵に変わりそして意識を手放した。
その後3人がどうなったかは判らない。
意識を取り戻した時、優しい顔で「大丈夫か?」と声を掛けて来た彬しかそこには居なかったからだった。
そしてその時助けてくれた彬が今は乱暴に忍の体を貫いていた。
「忍、目開けろよ」
自分を貫いている彬から執拗にそう言われ、観念したように忍が目を開いた時に、カシャという携帯カメラの音がした。
「な、何?!」
暫くその携帯を弄っていた彬がにやっと笑って「よく撮れてるよ」とその画像を忍の目の前に持って来た。
そこには、男同士繋がっている部分から、勃ち上がったペニス、そして忍の顔までがはっきりと写っていた。
「すっげぇ卑猥」満足そうに言う彬を見て忍が顔色を失くした。
「何で……こんな?」
「保険さ、もう別れるなんて言わせない為のな。お前が俺から逃げたら翌日にはこれを大学の掲示板に貼るし、ネットにも流出させるからな」
何でも無い事のように、彬が怖い事を言う。
「そんな……」
愛されもしてないのに、ただ都合のよいように利用されるだけの体なのに……どうしてそんなに執着する?と忍は聞きたかった。
「お前は俺のもんだって言っただろ?」
そう言いながら彬が再び律動を始めた。
「うっ、うっ、あぁぁ、もう止めっ」忍の懇願も空しく、彬は腰を動かしている。
「もっ、やだよぉ彬ぁ……」忍は零れる涙を拭う事も出来ずにそう訴えた。
「なぁ忍、夕べ何回イかされた?」
「そ、そんなの……知らない」
実際忍は、自分が何度達したかなど覚えていなかった。北村の体でもバイブでも何度もイかされた。
「そろそろ北村さんとは終わりだな……」
彬は北村の麻雀の打ち方はあまり好きじゃない、などと勝手な事を言っていた。
「忍だって、もう北村さん飽きただろ?そろそろ面子変えるぞ」
その言葉にまた自分が負けの代償に体を差し出されると判って、忍は身を固くした。
だらだらと蜜を零すペニスには触れてもらえず、後ろの感じやすい箇所だけを狙って彬は中を擦る。
「やっ彬……そこばっかヤダ」
昨日散々バイブで擦られ敏感になっているその場所を擦られると、もうイきたくて仕方ない。
自然と腰が揺れてポタポタと零す蜜が自分の腹や胸に落ちて来る。
下から睨みつけるように彬の顔を見ると、ふっと視線が絡み、そして外された。
ぐるっと体を回転させられ、四つん這いにされた。
しっかりと腰を掴まれ、何度も打たれた。
心では抗っていても体は正直に解放を求めて膨れ上がる。
「やぁぁぁ……お願い、彬ぁイかせて……」
「後ろでイけるだろ?遠慮せずにイけよ」
無情な声にまた涙を零し、蜜を滴らせる。
彬は大きくスライドさせながら、忍の奥を何度も突き上げてくる。
「あぁぁぁ、あきらぁイクッ!」
5年も体の付き合いを続ければ心は通じ合えなくても、相手が達する気配は判った。
「くっ!」そして彬が小さく呻いて、忍の中に飛沫を飛ばした。
ドライで達した忍の孔はその飛沫を零さぬよう、締め付けてしまう。
他の男には必ずゴムを着けさせるが彬は一度もゴムを使ったことなどなかった。
そんな彬の吐き出した精を奥に感じながら忍は何度もドライで達し続ける。
「すっげぇ」吐精しても絡み付いて来る忍の中から彬は出て行く様子は無い。
「忍の中厭らしいなぁ、まだビクビクしてるぞ」
揶揄しているのか喜んでいるのか、苦しくて身悶えてる忍には、その真意は測れなかった。
「イきたいか?忍」彬の問いかけに忍はコクコクと頷いた。
「明後日、板野さん達と麻雀やる、お前も必ず来い。ちゃんと約束できたらイかせてやるよ」
彬が忍の背中に向け恐ろしい事を囁いた。
『板野……』
忍はその名前を聞いただけで、体中の血管が凍り付いてしまいそうな気分になった。
彬の知り合いで何度か構内ですれ違った事はあったが、その度に舐めるような視線を投げ掛けて来ている男が板野だ。
「イヤだ……」まだ負けて自分が差し出されるとは決まっていないのに、忍は抗った。
「ああ、アイツはちょっとヤバイからな、俺も精々負けないように頑張るよ」と無責任な言葉を彬は吐いた。
そしてその麻雀の当日、彬は板野に完敗した。
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『大丈夫、板野は随分弱いらしいから』と始める前に忍に囁いていた彬の顔も心なしか引き攣っていた。
その夜の板野は信じられないような手で何度も上がっていた。
そして嗜虐的な笑みを浮かべた板野が、忍に不気味な笑顔を向けて「さぁ今夜は楽しませてもらおうかな?」と手を伸ばして来たのを、固まったままの忍は払い除ける事も出来ないでいた。
いつものバーで彬はひとりウィスキーを飲んでいた。もう許容量はとっくにオーバーしているが全く酔えない。カランと扉の開く音がしても、振り向くことなくグラスを傾けていた。
「おい、ひとりか?」
その声にゆっくり振り向くとそこには北村が立っていた。
「見れば判るでしょう?一人ですよ」
不貞腐れたような言い方に北村は眉を顰めながら、忍は一緒じゃないのかと聞いてきた。
「忍?あいつなら今頃……」
その先の言葉を彬は噤んだ。
「お前まさか……また?」
「今日は勝てる筈だったんだ」
さすがの彬も今日の惨敗は予定になかったらしい。いつも忍に変な視線を送ってくる板野が麻雀に誘ってきたので、カモネギくらいのつもりで受けた。板野の麻雀の弱さは仲間内では皆が知っていたからだ。
「誰と打ったんだ?」
そんな彬の様子に北村は厳しい声で相手を尋ねてきた。
「板野さんですよ」
板野と北村は同級だったが、彬と忍は二人より1つ年下だったから一応さん付けで呼ぶ。
「まさかお前、板野に……」板野の名前を聞いて北村の顔が強張る。
「だって、板野さん下手って評判でしょ?なんで今日に限ってあんなについてるんだ……」
麻雀に負けた事が悔しいのか、それとも忍を連れ去られた事が悔しいのか彬にも、もう判らなかった。
「おい、彬行くぞっ!」
突然北村が彬の腕を捕って立ち上がらせようとした。
「行くって何処に?」
「板野の所だ、お前今日の面子は誰だか知ってるのか?」
「初めて見る奴だったけど、板野さんが連れて来た奴らですよ」
「まさか、三浦と坂下って言ってなかったか?」
「覚えちゃいないですけど、何かそんな名前だった……て、北村さん?」
「三浦と坂下は板野に頭が上がらない奴らだ……お前嵌められたんだよ」
呆れた声で言われ、イカサマに気付かなかった自分の愚かさと悔しさに彬は唇を噛んだ。
「お前ごときでアイツ等のイカサマは見抜けないよ、あの二人は雀荘でバイトしているくらいの奴等だからな」
「そんな……じゃあ忍は……?」
「ああ、今頃板野の餌食になっているよ、壊れるぞ忍……」
その途端彬が立ち上がった。
「待て、お前一人じゃ無理だ、俺も行く」
バーを出て、タクシーを拾って二人乗り込んだ。
走るタクシーの中、逸る気持ちの彬に向かって、そんなに心配なら何故行かせた、お前は忍の事好きなんじゃないのかと、北村は激しく詰め寄った。
「あいつが……忍が俺を好きじゃないんだ……」
意外な言葉を彬はポロリと零した。
高校一年の時に忍と出会った、最初の1年は遠巻きに見ている事しか出来なかった。
だが2年になり、環境も落ち着いた頃どうしても我慢出来なくて、卑怯な手を使って忍に近づいた。
そして自分を信頼させ、危険から守ってやると言っていつも自分の傍に置いた。そんな彬の思いが通じて、夏前には付き合うようになり、高校2年の夏休み初めて忍を抱いた。
白い肌を震わせ涙を零しながら悶える忍に心底嵌った。絶対離さないと心に誓った、寝ても覚めても忍の事を考えていた。
忍は、母親にも愛されずに育った彬がやっと見つけた愛しい存在だったのだ。
幸せな日々が続いていた2月……
卒業を間近に控えた3年の男どもが何人も忍に告ったらしい。彬は、いちいち誰に告られた?などと聞く事は沽券に関わりそうで聞けなかった。
そんなある日、ふと通りかかった廊下の踊場で、忍が誰かと話しをしていた。
(また告られてるのかよ?)などと複雑な気分で、聞くつもりでは無かったがつい立ち聞きをしてしまった。自分の名前が出てきたからだ。
「大蔵彬と付き合っているって噂あるけど?」
「まさか!付き合ってないです」
「好きなんじゃないの?」
「好きじゃありません、大蔵なんて……」
3年生と忍の会話に彬は立ち竦んだ。
(好きじゃなかったんだ……)
『子供なんて好きじゃないのよ!』
そういつも言っていた母親は彬が小学3年の時に男を作って家を出て行った。
エリート銀行員の父と自由奔放な母……上手くいく筈なんか最初からなかったんだ、と今なら思えた。
だが当時まだ子供だった彬は、母の口癖に傷つき愛を知らないで育ってしまった。
その母がいなくなったせいで、厳格な父の人生も狂った。箍が外れたように酒に溺れ女に溺れ、いつしか外に愛人を作り家に寄り付かなくなった。
父も帰らなくなった当初、何も知らなかった彬は1週間大人の居ない家で一人暮らした。
3日目には家の中に食べる物が何も無くなった。無断欠席が続き連絡も取れないと、当時の担任が家を訪問し、警察の手を借りて家に入った時、彬は自力では、もう立ち上がることすら出来ないほど衰弱していた。
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その夜の板野は信じられないような手で何度も上がっていた。
そして嗜虐的な笑みを浮かべた板野が、忍に不気味な笑顔を向けて「さぁ今夜は楽しませてもらおうかな?」と手を伸ばして来たのを、固まったままの忍は払い除ける事も出来ないでいた。
いつものバーで彬はひとりウィスキーを飲んでいた。もう許容量はとっくにオーバーしているが全く酔えない。カランと扉の開く音がしても、振り向くことなくグラスを傾けていた。
「おい、ひとりか?」
その声にゆっくり振り向くとそこには北村が立っていた。
「見れば判るでしょう?一人ですよ」
不貞腐れたような言い方に北村は眉を顰めながら、忍は一緒じゃないのかと聞いてきた。
「忍?あいつなら今頃……」
その先の言葉を彬は噤んだ。
「お前まさか……また?」
「今日は勝てる筈だったんだ」
さすがの彬も今日の惨敗は予定になかったらしい。いつも忍に変な視線を送ってくる板野が麻雀に誘ってきたので、カモネギくらいのつもりで受けた。板野の麻雀の弱さは仲間内では皆が知っていたからだ。
「誰と打ったんだ?」
そんな彬の様子に北村は厳しい声で相手を尋ねてきた。
「板野さんですよ」
板野と北村は同級だったが、彬と忍は二人より1つ年下だったから一応さん付けで呼ぶ。
「まさかお前、板野に……」板野の名前を聞いて北村の顔が強張る。
「だって、板野さん下手って評判でしょ?なんで今日に限ってあんなについてるんだ……」
麻雀に負けた事が悔しいのか、それとも忍を連れ去られた事が悔しいのか彬にも、もう判らなかった。
「おい、彬行くぞっ!」
突然北村が彬の腕を捕って立ち上がらせようとした。
「行くって何処に?」
「板野の所だ、お前今日の面子は誰だか知ってるのか?」
「初めて見る奴だったけど、板野さんが連れて来た奴らですよ」
「まさか、三浦と坂下って言ってなかったか?」
「覚えちゃいないですけど、何かそんな名前だった……て、北村さん?」
「三浦と坂下は板野に頭が上がらない奴らだ……お前嵌められたんだよ」
呆れた声で言われ、イカサマに気付かなかった自分の愚かさと悔しさに彬は唇を噛んだ。
「お前ごときでアイツ等のイカサマは見抜けないよ、あの二人は雀荘でバイトしているくらいの奴等だからな」
「そんな……じゃあ忍は……?」
「ああ、今頃板野の餌食になっているよ、壊れるぞ忍……」
その途端彬が立ち上がった。
「待て、お前一人じゃ無理だ、俺も行く」
バーを出て、タクシーを拾って二人乗り込んだ。
走るタクシーの中、逸る気持ちの彬に向かって、そんなに心配なら何故行かせた、お前は忍の事好きなんじゃないのかと、北村は激しく詰め寄った。
「あいつが……忍が俺を好きじゃないんだ……」
意外な言葉を彬はポロリと零した。
高校一年の時に忍と出会った、最初の1年は遠巻きに見ている事しか出来なかった。
だが2年になり、環境も落ち着いた頃どうしても我慢出来なくて、卑怯な手を使って忍に近づいた。
そして自分を信頼させ、危険から守ってやると言っていつも自分の傍に置いた。そんな彬の思いが通じて、夏前には付き合うようになり、高校2年の夏休み初めて忍を抱いた。
白い肌を震わせ涙を零しながら悶える忍に心底嵌った。絶対離さないと心に誓った、寝ても覚めても忍の事を考えていた。
忍は、母親にも愛されずに育った彬がやっと見つけた愛しい存在だったのだ。
幸せな日々が続いていた2月……
卒業を間近に控えた3年の男どもが何人も忍に告ったらしい。彬は、いちいち誰に告られた?などと聞く事は沽券に関わりそうで聞けなかった。
そんなある日、ふと通りかかった廊下の踊場で、忍が誰かと話しをしていた。
(また告られてるのかよ?)などと複雑な気分で、聞くつもりでは無かったがつい立ち聞きをしてしまった。自分の名前が出てきたからだ。
「大蔵彬と付き合っているって噂あるけど?」
「まさか!付き合ってないです」
「好きなんじゃないの?」
「好きじゃありません、大蔵なんて……」
3年生と忍の会話に彬は立ち竦んだ。
(好きじゃなかったんだ……)
『子供なんて好きじゃないのよ!』
そういつも言っていた母親は彬が小学3年の時に男を作って家を出て行った。
エリート銀行員の父と自由奔放な母……上手くいく筈なんか最初からなかったんだ、と今なら思えた。
だが当時まだ子供だった彬は、母の口癖に傷つき愛を知らないで育ってしまった。
その母がいなくなったせいで、厳格な父の人生も狂った。箍が外れたように酒に溺れ女に溺れ、いつしか外に愛人を作り家に寄り付かなくなった。
父も帰らなくなった当初、何も知らなかった彬は1週間大人の居ない家で一人暮らした。
3日目には家の中に食べる物が何も無くなった。無断欠席が続き連絡も取れないと、当時の担任が家を訪問し、警察の手を借りて家に入った時、彬は自力では、もう立ち上がることすら出来ないほど衰弱していた。
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<18禁>凌辱シーンがあります。苦手な方はスルーして下さいね^^;
その事件以来、父方の祖母が同居してくれて、彬は祖母に育てられたが、いくら祖母が大事にしてくれても、両親に愛されなかった傷は簡単には癒えはしなかった。
愛を信じなかった彬が、高校1年の時に初めて愛したのが忍だった。
つい過去に意識を飛ばしていた彬は、着いたぞ、このマンションだという北村の声にはっと我に返った。
立派な外装のマンションのエントランスで二人固まった。タクシーの中で、北村は知る限りの人間に電話をして部屋番号までは調べる事が出来たが、オートロックのマンションでは簡単に建物の中に入る事は出来なかった。
「くそっ」と呻く彬の横で「念のために……」と北村が部屋の番号を入力して呼び出しボタンを押した。
いても居留守を使うだろうと思っていた板野が簡単に応答した。
「北村だけど……」勿論モニターで彬の顔も確認しているのだろう。だが板野は「おや見学ですか?どうぞ」と簡単にロック解除してくれた。
彬と北村はそれが反って不気味で、顔を見合わせながらエレベーターに乗り込み、部屋のある階の数字を押した。
「何だか余裕だな板野……」
北村はそう言うが彬は青い顔をして何も答えられない。ただ手をぎゅっと握り締めていただけだった。
そんな彬を北村は「本当にお前って判らない奴だな」と言い捨てた。
エレベーターが止まり、二人で板野の部屋の前に立ち玄関のチャイムを鳴らした。
機嫌の良さそうな板野がスマートにドアを開ける。引き攣った顔のまま入室しようとした彬に板野が言い捨てた。
「まだ忍は帰せないよ、1晩分の金額を君は負けてるんだからね」
「彬……お前幾ら負けたんだ」
肝心の負け金を聞いてない事を思い出し、北村が尋ねる。
「5万円……」
「全く、学生が1回の麻雀で負ける金額じゃないだろ?」
北村も呆れた顔を彬に向けた。
「板野、金は俺が何とかするから忍を返してくれないか?」
北村の言葉に彬が驚いて顔を上げる。
「ダメだよ、もう金額云々じゃないから……」
だが北村の申し出は、素気無く板野に拒絶された。
「てめぇっ!」
殴りかかろうとする彬の体を抑えて、とりあえず忍に会わせてくれないか?とまた北村が交渉する。
「いいよ、本人がいいって言えばね」
そう板野はにっこり微笑んだ。そして部屋の奥のドアの前で中の忍に声を掛けた。
「忍ー、彬と北村が君に会いたいって言って来てるけど、どうする?」
忍は部屋の中で、誰か来た気配に耳を澄ませていたが、それが彬と北村だとは思いもしなかった。
二人が来た事は凄く嬉しかったが……今はこんな格好をしている自分を二人には見られたくはなかった。
(彬……)
自分をこんな酷い目に合わせている張本人なのに、その名前を聞くと胸が痛くて苦しかった。
その時、体内に埋められた玩具の動きが激しくなった。きっと板野のポケットに入っているリモコンで遠隔操作されたのだろう?朦朧とする頭で忍はそんな事を思っていた。
「忍!!」
その時ドアをドンドンと叩きながら叫ぶ彬の声が聞こえてきた。
(彬……)
「忍、返事をしろっ!」
何だか焦っているような彬の声を聞いて、忍は嬉しくなってきた。
「あき……あああっ!」
MAXだと思っていたが、まだその上があったらしい……更に激しく蠢く玩具に、忍は彬の名を呼ぶ声を遮られてしまう。
忍は板野にこの部屋に連れて来られた時、あまりの驚きに体を動かす事が出来なかった。いつか彬が買って来た雑誌に載っていたSMホテルのような内装に驚き、急激に喉が渇いた。
「やだっ、帰る!」
逃げようと思うが体の動かない忍は、あっさりと板野に拘束され、そして首枷をつけられ、手足も手錠のような物でベッドに拘束されてしまった。
「1晩たっぷり楽しませてあげるからね」板野の言葉に鳥肌が立ち、眩暈がした。
「お金なら僕が彬の代わりに払うから、帰して」
忍は懇願した、だが板野の目的は最初から金ではなく忍の体だったのだから、そんな願いを板野が受け入れる筈も無かったのだ。
そして嫌悪しながらも、忍はここに来て短時間で2度も吐精させられていた。
それほどに板野の攻めは的確でそして慣れていた。だが、まだ板野自身は忍を貫いてはいない。
(まだ道具の方がマシだ……)忍はそう思いながらも吐精する度に涙を零した。
(もう本当に彬と別れよう……これ以上一緒にいても、彬も自分も駄目になってしまう、彬……愛していたよ)
忍の思いとは裏腹に、中を抉る玩具に忍のペニスは勃ちっぱなしだったが、さっき嵌められたリングのせいで吐精することもままならなかった。中に埋められた玩具は今ので3本目だった、少しづつ太い物に変えられ、最後は腕ほどの太さのある玩具がベッドの脇で出番を待っていた。
成人男性の性器と変わらぬサイズの玩具は忍の体の中で抉るような動きをしている上に、感じやすい胸の両尖りにも小さなローターがテープで止められていた。
快感なのか苦痛なのか判らない程に忍の体は陵辱されたいた。
「ああああっ……あきらぁっ……あきらっ!」
悶えながらも彬の名を呼ぶが、扉の向こうまで聞こえるような大きな声はもう忍には出せなかった。
忍は北村先輩も嫌いじゃなかった。不器用な彬とは違う優しさを持った人だった、だからまだ堪えられた。だが、この板野という男は以前から嫌いだった。蛇のような目と、粘着質な視線は鳥肌が立つほど嫌いだった。
だけど、彬の頼みを断る事は出来なかった。
(きっと僕がこの部屋を出る時は正気を保っていないだろう……)
一触即発の雰囲気の中、のんびりとした声で板野が言った。
「あ、ちょっと待っていてくれないか?そろそろ時間だから」
「何の時間なんだよ?」彬が不貞腐れたような顔をして聞く。
「そろそろ中の玩具をもう少し大きな物に変えてやろうと思って、忍も同じサイズのばっかりじゃ物足りないだろうからね」
「くそっ!ふざけるな!忍に何してるっ」
今にも板野に飛び掛りそうな勢いで彬が吼えた。
「最近は、玩具も色々な種類とサイズがあるから楽しみだよ、何処まで忍が咥え込んでくれるのか……」
さも楽しそうに言う板野を見て、北村も彬も背中を冷たい汗が流れた。
「忍!忍!」
今にもドアが壊れるんじゃないかと思う程に彬は叩き、この扉が普通のマンションの扉とは構造が違う事に気付いた。そして、ドアノブの辺りに機械が取り付けられたいる。
「何だよ、これ……」彬が誰にともなくそう言うと、
「暗証番号だよ、だから僕しかこの扉は開けられない。それにかなり頑丈に作ってあるから、簡単には蹴破れないよ、あぁ怪我するから止めた方がいいかもよ?」
板野が余裕で二人を部屋に招きいれた理由がやった判った。
「くそっ!」悔しさ紛れに扉を蹴ったが、本当にビクとも動かなかった。
「僕をどうにかしようとしても無駄だからね、もし気を失うような事にでもなったら、その間忍はここから出られなくて……壊れちゃうよ?」
「てめぇ……」だが彬はこの男を殴り倒す事も今は出来なかった。
「君たち、そこのソファに座っていてくれないか?僕はちょっと忍の様子を見てくるよ。もしそれが出来ないっていうなら、即刻この部屋から出て行ってもらうけど?」
そんな交換条件を出されたら、とりあえずソファに座るしか二人にはとる道がなかった。
この部屋から一度追い出されたら二度とは入れてもらえないのは判りきっていたからだ。
身を盾に隠すようにして、板野が部屋の扉を開け、すっと中に入ってしまった。シーンとなったリビングで、北村と彬は焦る頭で、どうすべきか?どうやって忍を救い出すか?と考えていた。
「お前、力には自信があるよな?」
体躯も良く、高校時代から多少のやんちゃはしてきたから、喧嘩にも慣れていた。
そんな彬に北村が「実力行使で行くぞ」と声を掛けた。
「あれくらいの、装置なら俺の友達に解除できるかもしれない」
そう言って連絡をとるべく携帯でメールを打ち出した。
連絡が取れた時点で、板野を倒し解除し部屋を開ける。これしか方法は残されていないような気がした。
北村の考えに彬も頷いた。
「その代わり……忍を助け出せたら……もうお前には渡さない、もう忍と別れてやれ」
北村の言葉に保険画像のある携帯をぎゅっと握り締め、そして彬は黙って頷いた。
「いやぁ――っ!やめてっ!やあああっ」
突然部屋に響き渡る忍の声に二人とも同時にソファから立ち上がった。隣への扉は閉ざされているはずなのに……
だがよく見ると、部屋の隅に1台のスピーカーが置かれていた。きっと奥の部屋の音声が流れるように繋いであるのだろう。
「どうして、このくらいは慣れたら簡単に入るよ、成人男性よりは少し大きいけどね。もう大分ここ拡がってるから痛くはないから」
板野の声も同時に拾ってスピーカーは流す。
「いやっ、やめて、もうだめ無理……そんな大きいの無理、やああっ!」
「忍!!」
そんな声など聞いていられなくて、彬は無理と判っていてもその扉を叩き続けた。
「あー、僕その部屋に戻ると危険だから、もう戻らないから飽きたら勝手に帰ってね」
楽しそうな板野の声がスピーカーから聞こえてきた。
「やああっ、あきらっ、助けてあきらっ!」
「忍!くそっ……忍ごめん……俺本当に馬鹿だよな……」
今までどんな時にも泣いた事がなかった彬が、ボロボロと涙を零し始めた。
彬は背後から肩を掴まれ、またソファに座らせられた。
「今は泣いている暇なんかないないだろう!」
北村の顔も怒りに満ちていた。そして、その友達と何度かメールでやり取りした後に「あと30分だ、もう少し我慢しろ」と諭すように彬に言った。
(あと30分……)
その間に忍は地獄のような攻めを受けるのかと思うと、居た堪れなくて仕方なかった。
「北村さん、俺、忍と別れますから、だからあいつを助けてやって下さいっ」
ソファに座る北村の前に跪き彬は頭を下げた。
「本当に判らない奴だなお前は……好きなんだろう?忍のこと?」
「ああっ好きだっ、誰にも取られたくない程好きだよっ!」
「全く逆ギレかよ」呆れたように北村が言うと
「俺は、忍が俺から離れて行かないように、俺を捨てられないように……雁字搦めにしたかった……」
「ったく、普通に愛すれば良かったんだろ?」
「俺……普通ってのが判らないから……」
彬の目が遠くを見るように宙を彷徨った。こんな話をしている間もスピーカーを通して、忍の泣き叫びや、喘ぎや嬌声と……人間の全ての感情を口にして忍は声を張り上げていた。
いや、実際そんな大きな声では無かったのかもしれない。スピーカーを通し聞こえる声は、いつもの声よりもだいぶ掠れていたから……
「モウ……イカセテクダサイ」
全てを諦めたような忍の声が聞こえた。
「彬、北村聞こえたか?忍の可愛いお強請りが……」
板野の声を聞いた彬が唇をぎゅっと噛み、その口端からは赤い血が滴り落ちた。
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その事件以来、父方の祖母が同居してくれて、彬は祖母に育てられたが、いくら祖母が大事にしてくれても、両親に愛されなかった傷は簡単には癒えはしなかった。
愛を信じなかった彬が、高校1年の時に初めて愛したのが忍だった。
つい過去に意識を飛ばしていた彬は、着いたぞ、このマンションだという北村の声にはっと我に返った。
立派な外装のマンションのエントランスで二人固まった。タクシーの中で、北村は知る限りの人間に電話をして部屋番号までは調べる事が出来たが、オートロックのマンションでは簡単に建物の中に入る事は出来なかった。
「くそっ」と呻く彬の横で「念のために……」と北村が部屋の番号を入力して呼び出しボタンを押した。
いても居留守を使うだろうと思っていた板野が簡単に応答した。
「北村だけど……」勿論モニターで彬の顔も確認しているのだろう。だが板野は「おや見学ですか?どうぞ」と簡単にロック解除してくれた。
彬と北村はそれが反って不気味で、顔を見合わせながらエレベーターに乗り込み、部屋のある階の数字を押した。
「何だか余裕だな板野……」
北村はそう言うが彬は青い顔をして何も答えられない。ただ手をぎゅっと握り締めていただけだった。
そんな彬を北村は「本当にお前って判らない奴だな」と言い捨てた。
エレベーターが止まり、二人で板野の部屋の前に立ち玄関のチャイムを鳴らした。
機嫌の良さそうな板野がスマートにドアを開ける。引き攣った顔のまま入室しようとした彬に板野が言い捨てた。
「まだ忍は帰せないよ、1晩分の金額を君は負けてるんだからね」
「彬……お前幾ら負けたんだ」
肝心の負け金を聞いてない事を思い出し、北村が尋ねる。
「5万円……」
「全く、学生が1回の麻雀で負ける金額じゃないだろ?」
北村も呆れた顔を彬に向けた。
「板野、金は俺が何とかするから忍を返してくれないか?」
北村の言葉に彬が驚いて顔を上げる。
「ダメだよ、もう金額云々じゃないから……」
だが北村の申し出は、素気無く板野に拒絶された。
「てめぇっ!」
殴りかかろうとする彬の体を抑えて、とりあえず忍に会わせてくれないか?とまた北村が交渉する。
「いいよ、本人がいいって言えばね」
そう板野はにっこり微笑んだ。そして部屋の奥のドアの前で中の忍に声を掛けた。
「忍ー、彬と北村が君に会いたいって言って来てるけど、どうする?」
忍は部屋の中で、誰か来た気配に耳を澄ませていたが、それが彬と北村だとは思いもしなかった。
二人が来た事は凄く嬉しかったが……今はこんな格好をしている自分を二人には見られたくはなかった。
(彬……)
自分をこんな酷い目に合わせている張本人なのに、その名前を聞くと胸が痛くて苦しかった。
その時、体内に埋められた玩具の動きが激しくなった。きっと板野のポケットに入っているリモコンで遠隔操作されたのだろう?朦朧とする頭で忍はそんな事を思っていた。
「忍!!」
その時ドアをドンドンと叩きながら叫ぶ彬の声が聞こえてきた。
(彬……)
「忍、返事をしろっ!」
何だか焦っているような彬の声を聞いて、忍は嬉しくなってきた。
「あき……あああっ!」
MAXだと思っていたが、まだその上があったらしい……更に激しく蠢く玩具に、忍は彬の名を呼ぶ声を遮られてしまう。
忍は板野にこの部屋に連れて来られた時、あまりの驚きに体を動かす事が出来なかった。いつか彬が買って来た雑誌に載っていたSMホテルのような内装に驚き、急激に喉が渇いた。
「やだっ、帰る!」
逃げようと思うが体の動かない忍は、あっさりと板野に拘束され、そして首枷をつけられ、手足も手錠のような物でベッドに拘束されてしまった。
「1晩たっぷり楽しませてあげるからね」板野の言葉に鳥肌が立ち、眩暈がした。
「お金なら僕が彬の代わりに払うから、帰して」
忍は懇願した、だが板野の目的は最初から金ではなく忍の体だったのだから、そんな願いを板野が受け入れる筈も無かったのだ。
そして嫌悪しながらも、忍はここに来て短時間で2度も吐精させられていた。
それほどに板野の攻めは的確でそして慣れていた。だが、まだ板野自身は忍を貫いてはいない。
(まだ道具の方がマシだ……)忍はそう思いながらも吐精する度に涙を零した。
(もう本当に彬と別れよう……これ以上一緒にいても、彬も自分も駄目になってしまう、彬……愛していたよ)
忍の思いとは裏腹に、中を抉る玩具に忍のペニスは勃ちっぱなしだったが、さっき嵌められたリングのせいで吐精することもままならなかった。中に埋められた玩具は今ので3本目だった、少しづつ太い物に変えられ、最後は腕ほどの太さのある玩具がベッドの脇で出番を待っていた。
成人男性の性器と変わらぬサイズの玩具は忍の体の中で抉るような動きをしている上に、感じやすい胸の両尖りにも小さなローターがテープで止められていた。
快感なのか苦痛なのか判らない程に忍の体は陵辱されたいた。
「ああああっ……あきらぁっ……あきらっ!」
悶えながらも彬の名を呼ぶが、扉の向こうまで聞こえるような大きな声はもう忍には出せなかった。
忍は北村先輩も嫌いじゃなかった。不器用な彬とは違う優しさを持った人だった、だからまだ堪えられた。だが、この板野という男は以前から嫌いだった。蛇のような目と、粘着質な視線は鳥肌が立つほど嫌いだった。
だけど、彬の頼みを断る事は出来なかった。
(きっと僕がこの部屋を出る時は正気を保っていないだろう……)
一触即発の雰囲気の中、のんびりとした声で板野が言った。
「あ、ちょっと待っていてくれないか?そろそろ時間だから」
「何の時間なんだよ?」彬が不貞腐れたような顔をして聞く。
「そろそろ中の玩具をもう少し大きな物に変えてやろうと思って、忍も同じサイズのばっかりじゃ物足りないだろうからね」
「くそっ!ふざけるな!忍に何してるっ」
今にも板野に飛び掛りそうな勢いで彬が吼えた。
「最近は、玩具も色々な種類とサイズがあるから楽しみだよ、何処まで忍が咥え込んでくれるのか……」
さも楽しそうに言う板野を見て、北村も彬も背中を冷たい汗が流れた。
「忍!忍!」
今にもドアが壊れるんじゃないかと思う程に彬は叩き、この扉が普通のマンションの扉とは構造が違う事に気付いた。そして、ドアノブの辺りに機械が取り付けられたいる。
「何だよ、これ……」彬が誰にともなくそう言うと、
「暗証番号だよ、だから僕しかこの扉は開けられない。それにかなり頑丈に作ってあるから、簡単には蹴破れないよ、あぁ怪我するから止めた方がいいかもよ?」
板野が余裕で二人を部屋に招きいれた理由がやった判った。
「くそっ!」悔しさ紛れに扉を蹴ったが、本当にビクとも動かなかった。
「僕をどうにかしようとしても無駄だからね、もし気を失うような事にでもなったら、その間忍はここから出られなくて……壊れちゃうよ?」
「てめぇ……」だが彬はこの男を殴り倒す事も今は出来なかった。
「君たち、そこのソファに座っていてくれないか?僕はちょっと忍の様子を見てくるよ。もしそれが出来ないっていうなら、即刻この部屋から出て行ってもらうけど?」
そんな交換条件を出されたら、とりあえずソファに座るしか二人にはとる道がなかった。
この部屋から一度追い出されたら二度とは入れてもらえないのは判りきっていたからだ。
身を盾に隠すようにして、板野が部屋の扉を開け、すっと中に入ってしまった。シーンとなったリビングで、北村と彬は焦る頭で、どうすべきか?どうやって忍を救い出すか?と考えていた。
「お前、力には自信があるよな?」
体躯も良く、高校時代から多少のやんちゃはしてきたから、喧嘩にも慣れていた。
そんな彬に北村が「実力行使で行くぞ」と声を掛けた。
「あれくらいの、装置なら俺の友達に解除できるかもしれない」
そう言って連絡をとるべく携帯でメールを打ち出した。
連絡が取れた時点で、板野を倒し解除し部屋を開ける。これしか方法は残されていないような気がした。
北村の考えに彬も頷いた。
「その代わり……忍を助け出せたら……もうお前には渡さない、もう忍と別れてやれ」
北村の言葉に保険画像のある携帯をぎゅっと握り締め、そして彬は黙って頷いた。
「いやぁ――っ!やめてっ!やあああっ」
突然部屋に響き渡る忍の声に二人とも同時にソファから立ち上がった。隣への扉は閉ざされているはずなのに……
だがよく見ると、部屋の隅に1台のスピーカーが置かれていた。きっと奥の部屋の音声が流れるように繋いであるのだろう。
「どうして、このくらいは慣れたら簡単に入るよ、成人男性よりは少し大きいけどね。もう大分ここ拡がってるから痛くはないから」
板野の声も同時に拾ってスピーカーは流す。
「いやっ、やめて、もうだめ無理……そんな大きいの無理、やああっ!」
「忍!!」
そんな声など聞いていられなくて、彬は無理と判っていてもその扉を叩き続けた。
「あー、僕その部屋に戻ると危険だから、もう戻らないから飽きたら勝手に帰ってね」
楽しそうな板野の声がスピーカーから聞こえてきた。
「やああっ、あきらっ、助けてあきらっ!」
「忍!くそっ……忍ごめん……俺本当に馬鹿だよな……」
今までどんな時にも泣いた事がなかった彬が、ボロボロと涙を零し始めた。
彬は背後から肩を掴まれ、またソファに座らせられた。
「今は泣いている暇なんかないないだろう!」
北村の顔も怒りに満ちていた。そして、その友達と何度かメールでやり取りした後に「あと30分だ、もう少し我慢しろ」と諭すように彬に言った。
(あと30分……)
その間に忍は地獄のような攻めを受けるのかと思うと、居た堪れなくて仕方なかった。
「北村さん、俺、忍と別れますから、だからあいつを助けてやって下さいっ」
ソファに座る北村の前に跪き彬は頭を下げた。
「本当に判らない奴だなお前は……好きなんだろう?忍のこと?」
「ああっ好きだっ、誰にも取られたくない程好きだよっ!」
「全く逆ギレかよ」呆れたように北村が言うと
「俺は、忍が俺から離れて行かないように、俺を捨てられないように……雁字搦めにしたかった……」
「ったく、普通に愛すれば良かったんだろ?」
「俺……普通ってのが判らないから……」
彬の目が遠くを見るように宙を彷徨った。こんな話をしている間もスピーカーを通して、忍の泣き叫びや、喘ぎや嬌声と……人間の全ての感情を口にして忍は声を張り上げていた。
いや、実際そんな大きな声では無かったのかもしれない。スピーカーを通し聞こえる声は、いつもの声よりもだいぶ掠れていたから……
「モウ……イカセテクダサイ」
全てを諦めたような忍の声が聞こえた。
「彬、北村聞こえたか?忍の可愛いお強請りが……」
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「先輩……ここは?」
「俺の部屋だ、辛かったな、でももう大丈夫だ。それに……」
「はい……ありがとうございます。先輩がここに運んでくれたんですか?」
忍は夕べの事は途中まで鮮明に覚えていたが、後半意識が朦朧として、現実か夢か判らなかった。強制的に玩具で体を拡げられ、辱められ何度も吐精した気がする。
北村の顔を見て、一瞬夢だったのかとも思ったが、布団の中で少し腰を動かすだけで、体が軋み後ろに違和感と痛みを覚えた。
「俺と彬でここまで連れて来た……」
何故か奥歯に物が挟まったような言い方をする北村をベッドの中から見上げた。
「……それで彬は?」
「彬からの伝言がある」
「はい……」
「『悪かったな、もう解放してやるよ』って。」
忍はその伝言を目を閉じて黙って聞いていた。閉じた睫毛が震え、きらきらと光る真珠の粒が忍の眦(まなじり)から零れる。
「忍……?それは嬉し涙なのか、それとも?」
あんな酷い人身御供のような事をしていた彬から解放されて、忍は喜んでいるのだろうか?
いや違う、忍の瞳は哀しみに覆われているように北村には映った。
だが忍は北村の問いには答えようとせずに、ただ静かに涙するだけだった。
そんな忍の頭を撫でながら声を掛けた。
「もう少し寝てろ、もう何も考えずに」
北村はそれ以外に掛ける言葉が見つからなかった。こんな付き合いでも彬と忍には5年の歴史がある、一言では言い尽くせない思いもあるだろう、と思った。
「先輩……僕……彬から離れちゃダメなんです……」
「な……なに言って?自分がどれだけ酷い目にあったかまだ判らないのか?」
「……うっ……」
「あのまま板野の部屋から正気で出られると思ってたのか?あいつはまともじゃないって、彬だって判ってたんだろ?そんな所に忍を行かせるなんて、俺には許せない」
「……うっ……先輩、ごめんなさい……」
自分も彬から忍を身請けした事がある立場だ、彬の事も板野の事も責める資格は無いのかもしれないとは思いながらも、彬と忍が別れる事を望み、出来る事ならば自分が忍を愛する事を許して欲しかった。
「先輩……彬は悪くない……全部……僕と僕の叔母さんが……」
「はあ?どうしてそこにお前の叔母さんが出て来るんだよ?」
北村は忍の言いたい事が理解できずに苛立った。そしてまだ彬の事を庇う忍にも腹が立った。
「僕は小さい頃、若くて綺麗な叔母さんが大好きだった……その叔母さんに彼氏が出来て、僕の事も凄く可愛がってくれたんだ。僕の両親は忙しい人だったから、学校から帰ると毎日叔母さんの部屋に行って遊んでもらった。
食事に行ったり、休日には遊園地にも連れて行ってもらった」
「叔母さんよりも少し年上だったオジサンは凄く優しくて、僕も大好きだったんだ。結婚するのかな?って思っていたんだけど、いつの間にか叔母さんは、その人と別れて僕が中学生になった頃に、違う人と結婚した……」
「だから、忍の叔母さんと何が関係あるんだ?忍……まだ疲れてるんだよ、もう少し寝ろよ」と北村は優しく髪を撫でるが、忍はまた言葉を続けた。
「僕がね……そのオジサンに可愛がられて楽しく過ごしていた時に……オジサンの本当の息子は死にかけていた。
食べる物も無い家でずっとひとり放置されてたんだって……。あと1日そのままだったら、死んでたって」
「僕がオジサンと楽しく遊園地で遊んでた時に、その子供は……どんなに寂しかっただろうね?先輩どう思う?」
北村は、言葉を繋ぎながらも話す忍が不思議だった。
「忍……?」
「その子供が彬なんだよ」
「!」
淡々と喋る忍の言葉に北村は絶句した。何という皮肉な運命がこの二人にはあったのだろうと。
「その事を彬は?」
「知らないと思う、僕も色々なパズルが合わさったのは大学に入学した頃だったから……」
「だ、だからと言って忍が気に病む事じゃないだろう?大人の問題だし」
「違うよ、大人の問題でも死にかけたのは子供の彬だったんだよ?」
「でも……彬の事は彬の両親がきちんとすべきだったんだろう?」
「そうだね、でも彬は母親にも捨てられ、父親にも捨てられた……そして彬は愛される事を知らないで育った……だから僕が愛してあげるんだ」
「そんな愛、同情か錯覚だと思わないか?」
「うん……そうかもしれない……でも先輩、それでも僕は彬の事が好きなんだ」
「あんなことをされてもか?」
「うん……彬だから、彬だったから」
「でももう終わりだね?彬は彬の意思で僕から離れて行ったんでしょう?」
「……」
「それに、僕が傍にいたら彬を駄目にしちゃうね……」
疲れた体と心で長く喋ったせいか、忍はそこまで話すと静かに横になった。
「あぁっ……」
明日は北村の卒業式だ、この二か月忍を支えてくれたのは北村だった。彬とはあの日以来一度も会っていない、連絡もとれない状態だし、大学に顔を出しているかさえ忍には分からなかった。
学部が違い相手が意識して避ければ簡単に会う事などは出来なかったのだ。その間、忍の世話をやき精神的に支えてくれた北村に今忍は抱かれている。
「やぁぁ……」
北村は忍の弱い所を知っているから、そこを集中して攻めていた。
「せんぱい……だめだ、変になる……」
「忍、忍……何もかも忘れて狂っていいよ」
このまま身も心も北村に預けられたらどんなに楽になれるのだろう……
3本の指を呑み込んだ忍の孔は最初こそ緊張で固かったけど、北村の丁寧な愛撫でもう違和感なく受け入れていた。
「あ―ぁん」
北村の指が中の感じやすい箇所を強く擦っている。
「凄い締まる……」
腕ほどある太さの玩具は入れられずに済んだが、それでもかなりのサイズの玩具を挿入された孔が元に戻るのだろうか?という不安も今はもう消えていた。中でバラバラと動く3本の指はもう苦痛よりも愉悦しか与えなかった。
「せんぱい……挿れていいよ」
北村もこれが最後だと薄々感じていた。この二か月何度も忍に付き合おうと言ったが、忍は首を横に振るばかりだった。そんな忍が自分から身を差し出してきたのだ。
多分忍自身の意思で彬以外の男と繋がるのは初めてだろうと北村は思った。
「挿れるよ、いいな?」
忍の後孔に宛がわれた北村のペニスはもうこれ以上ないくらいに太く硬く熱く脈打っていた、そんな北村を忍は体いっぱいで感じている。
ぐりっと挿入してくる異物に一瞬体は強張るが、北村にやんわりとペニスを握られ気を逸らされる。
「忍……凄くいい。熱くて直ぐにイきそうだ」
北村は忍を煽るような言葉を吐きながら全てを埋めきった。
「あぁぁ……」
動きを止めた北村に対しての安堵の吐息か、愉悦の吐息か北村は判らなかった。だが忍の中が良過ぎて北村もこれ以上じっとしているのは、苦痛に近かった。
「忍、これが最後なのか?それとも始まりなのか?」
「せ……んぱ……んん……」
忍も久しぶりの繋がりに感じているのか、言葉にならない喘ぎを漏らす。
「せんぱい……今まであ、り、がとう、でも……ごめんなさい」
「忍……」
予想通りの忍の言葉に打ちひしがれるが、北村は微笑んだ。
「俺は、これから先誰かと付き合う事があっても、忍の事は忘れないよ」
「先輩……僕も先輩のこと、忘れない……」
「動いていいか?」
北村の言葉にこくんと頷き、忍は足を北村の腰に絡めた。
「忍……」
忍がこんな積極的な姿勢を見せるのは初めてで、それがなお最後だと北村に知らしめた。逸る気持ちを抑えて、北村はゆっくりと味わうように忍の中で抽挿を繰り返した。
「先輩……はぁ……っ」
肉壁が絡み付いてきて、忍が感じているのがよく分かる。忍は絡めた足に力を込め、北村のペニスを奥深く咥えようとしていた。
「奥がいいの?」
北村が聞くと黙ってこくっと頷く忍の最奥を目指して腰を振った。
「あぁぁぁ……せんぱ……気持ちいい」
「そうか、もっと感じてくれよ……」
最後だからという言葉を北村は呑み込んだ。
忍の体はここにあっても、心はここに無い事は知っている。
「はっはっ」と北村の動きに合わせるように忍が喘ぎともつかない息を吐く。ここまで来ると二人の間に会話など無かった、肉のぶつかる音とそこから聞こえる卑猥な水音だけで充分だった。
北村の激しい動きに耐えかねて忍がイってもいいかと聞いてきた。
「いいよ、全て吐き出して……」
北村の言葉の意味を忍は分かってくれるのだろうか?そう思いながらも、もう北村も留まる事は出来ない状況に追い込まれていた。
「一緒にイこうか?」
せめて最後くらい一緒に昇りつめたい。
「先輩、今までありがとう」
最後の言葉を吐いて忍が部屋を出て行ったのは、それから1時間過ぎた頃だった。もう二度と関係を持つ事はないだろうと北村も忍も思っていた。
最初から最後まで二人の間には彬がいたのだ。
(彬の……ばか……)
北村のマンションの帰り道、忍は心の中で何度も呟いた。
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忍は夕べの事は途中まで鮮明に覚えていたが、後半意識が朦朧として、現実か夢か判らなかった。強制的に玩具で体を拡げられ、辱められ何度も吐精した気がする。
北村の顔を見て、一瞬夢だったのかとも思ったが、布団の中で少し腰を動かすだけで、体が軋み後ろに違和感と痛みを覚えた。
「俺と彬でここまで連れて来た……」
何故か奥歯に物が挟まったような言い方をする北村をベッドの中から見上げた。
「……それで彬は?」
「彬からの伝言がある」
「はい……」
「『悪かったな、もう解放してやるよ』って。」
忍はその伝言を目を閉じて黙って聞いていた。閉じた睫毛が震え、きらきらと光る真珠の粒が忍の眦(まなじり)から零れる。
「忍……?それは嬉し涙なのか、それとも?」
あんな酷い人身御供のような事をしていた彬から解放されて、忍は喜んでいるのだろうか?
いや違う、忍の瞳は哀しみに覆われているように北村には映った。
だが忍は北村の問いには答えようとせずに、ただ静かに涙するだけだった。
そんな忍の頭を撫でながら声を掛けた。
「もう少し寝てろ、もう何も考えずに」
北村はそれ以外に掛ける言葉が見つからなかった。こんな付き合いでも彬と忍には5年の歴史がある、一言では言い尽くせない思いもあるだろう、と思った。
「先輩……僕……彬から離れちゃダメなんです……」
「な……なに言って?自分がどれだけ酷い目にあったかまだ判らないのか?」
「……うっ……」
「あのまま板野の部屋から正気で出られると思ってたのか?あいつはまともじゃないって、彬だって判ってたんだろ?そんな所に忍を行かせるなんて、俺には許せない」
「……うっ……先輩、ごめんなさい……」
自分も彬から忍を身請けした事がある立場だ、彬の事も板野の事も責める資格は無いのかもしれないとは思いながらも、彬と忍が別れる事を望み、出来る事ならば自分が忍を愛する事を許して欲しかった。
「先輩……彬は悪くない……全部……僕と僕の叔母さんが……」
「はあ?どうしてそこにお前の叔母さんが出て来るんだよ?」
北村は忍の言いたい事が理解できずに苛立った。そしてまだ彬の事を庇う忍にも腹が立った。
「僕は小さい頃、若くて綺麗な叔母さんが大好きだった……その叔母さんに彼氏が出来て、僕の事も凄く可愛がってくれたんだ。僕の両親は忙しい人だったから、学校から帰ると毎日叔母さんの部屋に行って遊んでもらった。
食事に行ったり、休日には遊園地にも連れて行ってもらった」
「叔母さんよりも少し年上だったオジサンは凄く優しくて、僕も大好きだったんだ。結婚するのかな?って思っていたんだけど、いつの間にか叔母さんは、その人と別れて僕が中学生になった頃に、違う人と結婚した……」
「だから、忍の叔母さんと何が関係あるんだ?忍……まだ疲れてるんだよ、もう少し寝ろよ」と北村は優しく髪を撫でるが、忍はまた言葉を続けた。
「僕がね……そのオジサンに可愛がられて楽しく過ごしていた時に……オジサンの本当の息子は死にかけていた。
食べる物も無い家でずっとひとり放置されてたんだって……。あと1日そのままだったら、死んでたって」
「僕がオジサンと楽しく遊園地で遊んでた時に、その子供は……どんなに寂しかっただろうね?先輩どう思う?」
北村は、言葉を繋ぎながらも話す忍が不思議だった。
「忍……?」
「その子供が彬なんだよ」
「!」
淡々と喋る忍の言葉に北村は絶句した。何という皮肉な運命がこの二人にはあったのだろうと。
「その事を彬は?」
「知らないと思う、僕も色々なパズルが合わさったのは大学に入学した頃だったから……」
「だ、だからと言って忍が気に病む事じゃないだろう?大人の問題だし」
「違うよ、大人の問題でも死にかけたのは子供の彬だったんだよ?」
「でも……彬の事は彬の両親がきちんとすべきだったんだろう?」
「そうだね、でも彬は母親にも捨てられ、父親にも捨てられた……そして彬は愛される事を知らないで育った……だから僕が愛してあげるんだ」
「そんな愛、同情か錯覚だと思わないか?」
「うん……そうかもしれない……でも先輩、それでも僕は彬の事が好きなんだ」
「あんなことをされてもか?」
「うん……彬だから、彬だったから」
「でももう終わりだね?彬は彬の意思で僕から離れて行ったんでしょう?」
「……」
「それに、僕が傍にいたら彬を駄目にしちゃうね……」
疲れた体と心で長く喋ったせいか、忍はそこまで話すと静かに横になった。
「あぁっ……」
明日は北村の卒業式だ、この二か月忍を支えてくれたのは北村だった。彬とはあの日以来一度も会っていない、連絡もとれない状態だし、大学に顔を出しているかさえ忍には分からなかった。
学部が違い相手が意識して避ければ簡単に会う事などは出来なかったのだ。その間、忍の世話をやき精神的に支えてくれた北村に今忍は抱かれている。
「やぁぁ……」
北村は忍の弱い所を知っているから、そこを集中して攻めていた。
「せんぱい……だめだ、変になる……」
「忍、忍……何もかも忘れて狂っていいよ」
このまま身も心も北村に預けられたらどんなに楽になれるのだろう……
3本の指を呑み込んだ忍の孔は最初こそ緊張で固かったけど、北村の丁寧な愛撫でもう違和感なく受け入れていた。
「あ―ぁん」
北村の指が中の感じやすい箇所を強く擦っている。
「凄い締まる……」
腕ほどある太さの玩具は入れられずに済んだが、それでもかなりのサイズの玩具を挿入された孔が元に戻るのだろうか?という不安も今はもう消えていた。中でバラバラと動く3本の指はもう苦痛よりも愉悦しか与えなかった。
「せんぱい……挿れていいよ」
北村もこれが最後だと薄々感じていた。この二か月何度も忍に付き合おうと言ったが、忍は首を横に振るばかりだった。そんな忍が自分から身を差し出してきたのだ。
多分忍自身の意思で彬以外の男と繋がるのは初めてだろうと北村は思った。
「挿れるよ、いいな?」
忍の後孔に宛がわれた北村のペニスはもうこれ以上ないくらいに太く硬く熱く脈打っていた、そんな北村を忍は体いっぱいで感じている。
ぐりっと挿入してくる異物に一瞬体は強張るが、北村にやんわりとペニスを握られ気を逸らされる。
「忍……凄くいい。熱くて直ぐにイきそうだ」
北村は忍を煽るような言葉を吐きながら全てを埋めきった。
「あぁぁ……」
動きを止めた北村に対しての安堵の吐息か、愉悦の吐息か北村は判らなかった。だが忍の中が良過ぎて北村もこれ以上じっとしているのは、苦痛に近かった。
「忍、これが最後なのか?それとも始まりなのか?」
「せ……んぱ……んん……」
忍も久しぶりの繋がりに感じているのか、言葉にならない喘ぎを漏らす。
「せんぱい……今まであ、り、がとう、でも……ごめんなさい」
「忍……」
予想通りの忍の言葉に打ちひしがれるが、北村は微笑んだ。
「俺は、これから先誰かと付き合う事があっても、忍の事は忘れないよ」
「先輩……僕も先輩のこと、忘れない……」
「動いていいか?」
北村の言葉にこくんと頷き、忍は足を北村の腰に絡めた。
「忍……」
忍がこんな積極的な姿勢を見せるのは初めてで、それがなお最後だと北村に知らしめた。逸る気持ちを抑えて、北村はゆっくりと味わうように忍の中で抽挿を繰り返した。
「先輩……はぁ……っ」
肉壁が絡み付いてきて、忍が感じているのがよく分かる。忍は絡めた足に力を込め、北村のペニスを奥深く咥えようとしていた。
「奥がいいの?」
北村が聞くと黙ってこくっと頷く忍の最奥を目指して腰を振った。
「あぁぁぁ……せんぱ……気持ちいい」
「そうか、もっと感じてくれよ……」
最後だからという言葉を北村は呑み込んだ。
忍の体はここにあっても、心はここに無い事は知っている。
「はっはっ」と北村の動きに合わせるように忍が喘ぎともつかない息を吐く。ここまで来ると二人の間に会話など無かった、肉のぶつかる音とそこから聞こえる卑猥な水音だけで充分だった。
北村の激しい動きに耐えかねて忍がイってもいいかと聞いてきた。
「いいよ、全て吐き出して……」
北村の言葉の意味を忍は分かってくれるのだろうか?そう思いながらも、もう北村も留まる事は出来ない状況に追い込まれていた。
「一緒にイこうか?」
せめて最後くらい一緒に昇りつめたい。
「先輩、今までありがとう」
最後の言葉を吐いて忍が部屋を出て行ったのは、それから1時間過ぎた頃だった。もう二度と関係を持つ事はないだろうと北村も忍も思っていた。
最初から最後まで二人の間には彬がいたのだ。
(彬の……ばか……)
北村のマンションの帰り道、忍は心の中で何度も呟いた。
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「可愛い人だ……」
北大路から見ても忍は、初めて会った男と簡単に関係を持つようなタイプには到底見えなかった。
「疲れてゆっくり眠ればいいよ」
どこまでも優しい北大路に忍は身を預けた。
ベッドに横たえられた忍の……着たばかりの衣服を北大路は慣れた手つきで脱がしていく。
体を這う舌や指に忍はあっという間に追い詰められてしまう。
「感じやすいんだね」
そう言われ忍は、恥ずかしさに身を捩るが、その唇が乳首に吸い付いた時に忍の口から小さな喘ぎが零れてしまった。
「ここいいの?」
そんな事を聞き、また吸い上げながらも舌先で転がすのも北大路は忘れてはいなかった。
「あぁぁ……っ」
北大路の唇は乳首から離れる事はないのに、その手は忍の中心に伸びた。そこはもう先走りの蜜を零し、しとどに濡れていた。
「浅井さん……忍……可愛い」
「恥ずかしい……」
忍は直ぐにでも爆ぜてしまいそうな自分が本当に恥ずかしかった。男なら判るその感覚を悟った北大路が囁いた。
「いいよ、イきたければ……一度出しておいた方が後が楽だから出しなよ」
そう言いながらその手の動きを早めた。
「だめっ!そんなに早く……動かしたら……本当にイっちゃう……」
だが抵抗も空しく、半年ぶりの人肌に忍は簡単にイかされてしまった。
「あぁぁぁ……」
何故だか悲しくて涙が零れてしまう。
いや本当はその理由はとっくに判っていたのだ……もう引き返せないと。
最後の一滴まで絞り出され忍は喘ぎながらも、夕べ自分で得られなかった解放感に漂っていた。
「キスしていい?」
北大路は忍の顔を覗き込んで聞いてきた。一瞬躊躇った後……忍は頷いた。
その忍の躊躇いを見て「好きな人いるんだ?」と北大路は聞いた。つつーっと忍の頬を涙が零れるとそれを優しく吸い取る唇がある。
「……もう忘れた方がいいんだ」
「俺が忘れさせてあげる」
そう言い北大路の唇が重なろうとした瞬間に玄関のドアが乱暴に叩かれた。
忍の体が強張り小さく震える。
「誰か訪ねて来る予定だった?」
「新聞の勧誘かもしれない……無視していいよ」
だがドアを叩く音は止みそうになく、ドアノブまでガチャガチャと回され、北大路が立ち上がった。
「俺が出てきていい?」
不安な顔のまま忍が頷くと北大路はズボンだけ身に着けた格好のまま、玄関に向かおうとした。
ドンドンという激しい音と共に「忍っ、いるんだろう!!」という声が聞こえ、北大路は足を止め忍を振り返った。一番聞きたくて、一番聞きたくなかった彬の怒ったような声に忍の震えが大きくなった。
玄関近くまで行った北大路が振り向き「どうする?」と聞いた。忍は覚悟を決めて頷いた。
ガチャッとロックを外し扉を開けた北大路の前に彬が立ち塞がった。少し身構えた北大路を悲しい目で一瞥し、彬はベッドの忍の所まで詰め寄った。
肌掛けを掛けてはいるが、その下は全裸の忍は体を隠すように座っていた。だが彬は乱暴にその布団を剥がし、怒りとも軽蔑とも判らぬ視線を忍に投げた。
「何やってんだよ?何で男なんか引っ張り込んでんだよっ!?」
「あ……彬にはもう関係ないから……」
忍は剥がされた布団を手繰り寄せ体を隠しながらそう言った。
「何で元の世界に戻ってくれないんだよ……」
「元の世界?彬は僕に女性と付き合って女性を抱けって言うの?」
「ああそうだ!」
彬の勝手な言い分に忍は怒りを露わにして叫んだ。
「誰が……誰がこっちに引っ張り込んだんだよ!?それに、今更戻れる訳ないじゃん……」
忍は自分が女性を抱くなんて想像もした事も無かったし、自信を持って無理だと言えた。元々自分の嗜好がこうだったのか、それとも彬の影響なのか今となっては判らないが、元に戻れない事だけは確かだと思った。
すっかり北大路の存在を忘れたような二人に向かって北大路が口を開いた。
「ねぇどっちが帰ればいいの?」
「帰ってくれないか?」その問いに答えたのは彬だった。
「俺は忍に聞いているんだけど?ねぇ、まだ1回くらいじゃ足りないでしょう?」
明らかに彬を挑発しているような言葉に彬が北大路を振り返った。
「寝たのか?」
だが北大路は肩を竦めただけで何も答えようとはしなかった。
「帰って!」
突然の忍の声に二人振り向くと「帰って、彬!」と忍は繰り返した。
「忍……」
「僕たちは、もう終わったんでしょう?もうとっくに終わってるじゃない、なのにどうして?」
「そうだな……俺たちは始まってもいなかったんだったよ……」
「え……?」
「あの……あのレイプ事件を仕組んだのは俺だからな」
「彬……何言って……?」
「あの高校二年の時の、あれは俺が仕組んだって言っているんだ。お前を俺のものにする為に、弱みを握ったあいつ等を使ってお前を襲わせたんだ……」
「彬……どうして?」
「だから、俺のものにする為だと言っているだろう?」
「そんなの……普通に出会えば良かったじゃない?わざわざそんな事仕組まなくても……」
「判らなかったんだよ、どうやればいいのか判らなかったんだよっ!」
「酷い……」
忍はあの日を境に今でも雷が鳴ると思い出し震える思いをしていた。
「僕たちは、罪悪感だけで付き合っていたの?」
「僕たち?」
忍の言葉に彬は眉を顰めた。
「そうだよ……彬が……子供の頃親に見捨てられ死にそうになっていた時……彬のお父さんと一緒に遊んでいたのは僕だ……彬のお父さんの相手は僕の叔母だった」
「何だよそれ?」彬には寝耳に水だった。
「彬が食べる物も無い家でひとりで怯えていた時に、僕と叔母は美味しい物を食べて、遊園地にも行って……楽しかった……」
「いつ?いつから俺の事知っていた?」
「高校を卒業したあと……」
「だから……だから俺の無茶もお前は文句言わずに受け入れていたのかよっ?」
「そうだよ、僕は事実を知ってからいつも彬に対して罪悪感でいっぱいだった……でも、もうそれも終わりだ、もう僕は彬から解放されてもいいよね?」
「……そこに愛はあったのか?」
人の愛し方が判らない彬が初めて『愛』を口にした。
「さあどうだろう?もう今となってはどうでもいいんじゃない?」
愛があったと言えば彬は救われるのだろうか?だけど自分が傍にいると彬は駄目になる……
「彬、帰ってもう二度とここには来ないで」
忍は最後の言葉で彬を突き放した。
―――彬は項垂れたまま、静かに部屋を出て行った。
レイプが未遂に終わった忍と彬の傷を秤に掛けたら、彬の傷の方が大きいのは忍にもよく判っていた。
彬の足音が遠ざかると、忍は堪えていた涙をボロボロと零し、頭から布団を被った。
忍の傍に来た北大路がその背中を布団ごしにポンポンと叩いてくれている。
「馬鹿だなぁ……まだ好きって顔してるじゃん」
「うっうっ……ううっ」
どのくらいそうしていただろうか?忍が布団から顔を出した時、北大路は優しい顔で忍を見ていた。
「ごめんね、変なことに巻き込んでしまって……」
「いいよ、これも何かの縁だし、それにフリーになったんなら俺立候補したいし」
「北大路君……」
「直ぐにとは言わないよ、気持ちが落ち着いてからでいいし」
「どうしてそんなに優しいの?」
「まあ、俺だって結構修羅場潜って来たし」と北大路は静かに微笑んだ。
「北大路君もてそうだもんね」少し落ち着いた忍もそう言って微笑んだ。
「その北大路君てのは止めてもらいたいけど……実は俺もアキラって言うんだよね」とバツの悪そうな顔で北大路が言った。
「改めて、俺は北大路旭って言うんだ、旭は旭川のアキラね」
「アキラ……」皮肉な名前に忍も苦笑してしまった。
「で、続きどうする?」
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北大路から見ても忍は、初めて会った男と簡単に関係を持つようなタイプには到底見えなかった。
「疲れてゆっくり眠ればいいよ」
どこまでも優しい北大路に忍は身を預けた。
ベッドに横たえられた忍の……着たばかりの衣服を北大路は慣れた手つきで脱がしていく。
体を這う舌や指に忍はあっという間に追い詰められてしまう。
「感じやすいんだね」
そう言われ忍は、恥ずかしさに身を捩るが、その唇が乳首に吸い付いた時に忍の口から小さな喘ぎが零れてしまった。
「ここいいの?」
そんな事を聞き、また吸い上げながらも舌先で転がすのも北大路は忘れてはいなかった。
「あぁぁ……っ」
北大路の唇は乳首から離れる事はないのに、その手は忍の中心に伸びた。そこはもう先走りの蜜を零し、しとどに濡れていた。
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忍は直ぐにでも爆ぜてしまいそうな自分が本当に恥ずかしかった。男なら判るその感覚を悟った北大路が囁いた。
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だが抵抗も空しく、半年ぶりの人肌に忍は簡単にイかされてしまった。
「あぁぁぁ……」
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いや本当はその理由はとっくに判っていたのだ……もう引き返せないと。
最後の一滴まで絞り出され忍は喘ぎながらも、夕べ自分で得られなかった解放感に漂っていた。
「キスしていい?」
北大路は忍の顔を覗き込んで聞いてきた。一瞬躊躇った後……忍は頷いた。
その忍の躊躇いを見て「好きな人いるんだ?」と北大路は聞いた。つつーっと忍の頬を涙が零れるとそれを優しく吸い取る唇がある。
「……もう忘れた方がいいんだ」
「俺が忘れさせてあげる」
そう言い北大路の唇が重なろうとした瞬間に玄関のドアが乱暴に叩かれた。
忍の体が強張り小さく震える。
「誰か訪ねて来る予定だった?」
「新聞の勧誘かもしれない……無視していいよ」
だがドアを叩く音は止みそうになく、ドアノブまでガチャガチャと回され、北大路が立ち上がった。
「俺が出てきていい?」
不安な顔のまま忍が頷くと北大路はズボンだけ身に着けた格好のまま、玄関に向かおうとした。
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「何やってんだよ?何で男なんか引っ張り込んでんだよっ!?」
「あ……彬にはもう関係ないから……」
忍は剥がされた布団を手繰り寄せ体を隠しながらそう言った。
「何で元の世界に戻ってくれないんだよ……」
「元の世界?彬は僕に女性と付き合って女性を抱けって言うの?」
「ああそうだ!」
彬の勝手な言い分に忍は怒りを露わにして叫んだ。
「誰が……誰がこっちに引っ張り込んだんだよ!?それに、今更戻れる訳ないじゃん……」
忍は自分が女性を抱くなんて想像もした事も無かったし、自信を持って無理だと言えた。元々自分の嗜好がこうだったのか、それとも彬の影響なのか今となっては判らないが、元に戻れない事だけは確かだと思った。
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「ねぇどっちが帰ればいいの?」
「帰ってくれないか?」その問いに答えたのは彬だった。
「俺は忍に聞いているんだけど?ねぇ、まだ1回くらいじゃ足りないでしょう?」
明らかに彬を挑発しているような言葉に彬が北大路を振り返った。
「寝たのか?」
だが北大路は肩を竦めただけで何も答えようとはしなかった。
「帰って!」
突然の忍の声に二人振り向くと「帰って、彬!」と忍は繰り返した。
「忍……」
「僕たちは、もう終わったんでしょう?もうとっくに終わってるじゃない、なのにどうして?」
「そうだな……俺たちは始まってもいなかったんだったよ……」
「え……?」
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「彬……何言って……?」
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「彬……どうして?」
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「酷い……」
忍はあの日を境に今でも雷が鳴ると思い出し震える思いをしていた。
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「何だよそれ?」彬には寝耳に水だった。
「彬が食べる物も無い家でひとりで怯えていた時に、僕と叔母は美味しい物を食べて、遊園地にも行って……楽しかった……」
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「さあどうだろう?もう今となってはどうでもいいんじゃない?」
愛があったと言えば彬は救われるのだろうか?だけど自分が傍にいると彬は駄目になる……
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忍は最後の言葉で彬を突き放した。
―――彬は項垂れたまま、静かに部屋を出て行った。
レイプが未遂に終わった忍と彬の傷を秤に掛けたら、彬の傷の方が大きいのは忍にもよく判っていた。
彬の足音が遠ざかると、忍は堪えていた涙をボロボロと零し、頭から布団を被った。
忍の傍に来た北大路がその背中を布団ごしにポンポンと叩いてくれている。
「馬鹿だなぁ……まだ好きって顔してるじゃん」
「うっうっ……ううっ」
どのくらいそうしていただろうか?忍が布団から顔を出した時、北大路は優しい顔で忍を見ていた。
「ごめんね、変なことに巻き込んでしまって……」
「いいよ、これも何かの縁だし、それにフリーになったんなら俺立候補したいし」
「北大路君……」
「直ぐにとは言わないよ、気持ちが落ち着いてからでいいし」
「どうしてそんなに優しいの?」
「まあ、俺だって結構修羅場潜って来たし」と北大路は静かに微笑んだ。
「北大路君もてそうだもんね」少し落ち着いた忍もそう言って微笑んだ。
「その北大路君てのは止めてもらいたいけど……実は俺もアキラって言うんだよね」とバツの悪そうな顔で北大路が言った。
「改めて、俺は北大路旭って言うんだ、旭は旭川のアキラね」
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あれから彬と会う事もなく大学生活最後の夏を迎えた。
忍は1通のメールを何度も見てどう返信するか迷っていた。それは高校の時の同窓会の案内だった。社会人になったらゆっくり同窓会もできなくなるから、今のうちにという言葉はその通りだろうが、お互いの動向を探るというのもあるだろうと忍は思った。
そんな時電話が鳴った。見るとその同窓会の幹事である木下からだ。タイミングがいいのか悪いのか……忍は電話に出た。
「おい同窓会どうするんだ?」
久しぶりの会話でも同級生というのは遠慮も挨拶もない。
苦笑しながら「うん、一応実家に帰る予定はあるんだけど……」と気のない返事をする。
「今回は結構人集まるから、忍も参加しようぜ」
「う……ん……あ、彬とかは?」
「えっ?彬……お前ら仲良かったよな?いっつも一緒にいたじゃん?」
同級生から見たら自分と彬はそういうふうに映っていたんだ、と改めてその当時を思った。
「彬は参加しないって返信あったよ」
「そう……」
「何だ同じ大学だったよな?忍の護衛はもう止めたのか彬は?」
からかうような木下に「護衛?」と聞き返すと「忍に近づくな!っていつも周りを威嚇してただろう彬って?気づかなかったの?」
「そんなの知らない……」
あの日以来彬とはいつも一緒に行動したからそう取られているのかもしれないと忍は思い直した。
「いつも一緒にいたから?……」
「はあ?どこまでも鈍いなぁ忍は……とにかく同窓会来て、詳しく教えてあげるから」
他にも電話掛けるからと言って木下は、慌ただしく忍との電話を切った。
同窓会に彬が来ないのが残念なのか、安心したのかは自分でも判らなかったが、忍は「出席する」とだけの短いメールを木下に送って携帯を閉じた。
忍は先輩の卒業式前日以来、誰とも体を繋げてはいなかった。
彬の名を出したこんな夜は快感を知っている体が疼いてしまう。
「彬……」
その名を呼びながら忍の手が自分の雄の部分に伸びて行く。
何度か扱いただけで数か月解放されていない熱が体を支配してしまった。だけど忍の体はそこだけでは満足いかない体にすっかり作り変えられていて、雄から離れた指が後孔の辺りで彷徨った。
今まで自分で弄った事などなかった蕾は、固く閉ざされ指の侵入を拒んでいる。
忍は以前彬が使っていたローションを取り出し、自分の指に馴染ませもう一度孔に指を押し当てた。ぷつっとローションの力を借りて指が自分の直腸を犯す。
「あぁ……あきら」
1本の指でどんなに弄っても熱は放出などされずに、逆に篭るばかりだった。どれだけ自分が淫乱になったか呆れながらも更に1本の指を追加して自分の熱を感じた。
こんな窮屈な所に彬のあの太いペニスが挿入されていたのかと思うと、信じられない気分だった。
自分の淫らな行為に興奮したペニスが固くなり先走りの蜜が溢れてきた。
「あぁぁあきら……もっと」
この指を彬の指だと錯覚させながら、何度も出し入れしてみるが達するまでには至らない。
それでも懸命に窮屈な体勢で前と後ろを同時に弄り、頭では彬の事を考えながら溜まった精を吐き出した。
「はぁっはぁっ」
肩で息を吐きながら己の惨めさに涙が零れてしまう。こんな体にした彬が憎らしくさえ思えてきた。
充分に眠れないまま忍は翌日大学に行き、彬の学部の方に行ってみた。学部が離れているために大学では顔を合わす事がなくなったが、その気になり探せば会えるだろうと忍は彬の姿を探した。
だがそこで目にしたのは、年下であろう学生と仲良く肩を並べ歩いていた彬の姿だった。
(結局僕は飽きられただけだったんだ……)
午前中だというのに信じられないくらいの暑さと寝不足のせいなのか、彬の姿を見た途端目の前が真っ暗になった。すっと血の気が引くのが自分でも判り忍はその場にしゃがみ込んだ。
「君、大丈夫?」
地面に倒れこむ瞬間に誰かの声を聞いた気がしたが、それが彬ではない事だけは薄れ行く意識の中でも判った。
忍が気が付いたのは医務室のベッドの中だった。
窓際に広い背中が見えた……
忍が起き上がる衣擦れの音に気づき振り向いた顔を見て、忍は内心項垂れた。何処かで願っていた彬が自分に気づき付き添ってくれていたのでは?という甘い期待は無残にも打ち砕かれた。
「あ、気が付いた?驚いたよ。えっと俺は法学部3年の北大路だけど?」
「君がここに連れて来てくれたの?ありがとう、僕は経済学部4年の浅井」
「あ……新入生かと思った……すみません」
大体が実年齢よりも若く見られるが、まさか1年だと思われるとは……
「いや……ありがとう、助かったよ」
「もう大丈夫ですか?まだ顔色あまり良くないけど……俺送って行きましょうか?」
「そんな……これ以上迷惑は掛けられないから」
遠慮する忍の顔を覗き込み北大路は笑顔を向ける。
「いや、迷惑じゃないし俺マジ送って行きますから、住まいは何処ですか?」
誠実そうな目に忍は安心して簡単な住所を教えると、そこなら自分の住まいからも近いからと結局押し切られてしまった。
「歩けますか?それともおぶさります?」
「いや……子供じゃないし」とつい忍も笑みが零れてしまった。
「浅井先輩、綺麗だけど笑うと可愛いんですね」と言われドキッとしてしまった。
その爽やかな笑顔にこの北大路がこっち側の人間だと感じた。
「じゃ悪いけど送ってくれたら嬉しい……」
忍はただ……誰かの温もりが欲しかった。
忍はひとりで歩けるほどに回復していた。そんな忍に寄り過ぎる事なく丁度良い距離を保って北大路は一緒に歩いてくれた。
「タクシー拾います?」
「大丈夫……あ、でも暑いよね?」
「いや俺は鍛えてあるからこのくらいの暑さは大丈夫だから」
そう言うと北大路はこの暑さのなか涼しげな笑顔を忍に向けた。
だが二人が忍のマンションに着く頃は陽も高く流石の北大路も疲れた顔をしている。
「ありがとう……もし時間大丈夫なら冷たい物でも飲んで行って?」
「いいの?実は喉がカラカラ」
忍はそんな北大路を部屋に招き入れた。この部屋に彬以外の人間が来るのも初めてだ……それも半年以上間が開いていた。
忍は部屋に入ると直ぐに冷房のスィッチを入れ、冷蔵庫から冷たい飲み物を取り出した。
「へえ……綺麗にしてるんですね?」
忍の方が1つ年上だと判ってからの北大路の言葉はとても丁寧だった。
「そんな……普通に話してくれた方が気が楽なんだけど……」と忍が言うと「実は俺も……」と北大路がほっとした顔を見せた。
暫くすると、程よくクーラーが効いてきてやっと心地良くなったが、引いた汗が少々気持ち悪くもあった。
「少し眠った方がいいですよ」と北大路に言われて、つい忍は「シャワー浴びたら寝るよ」と答えてしまった。
心配だからシャワー浴びるまで部屋にいるから、浴びてくれば?と言う北大路の申し出を断るのも悪くて、忍はさっとシャワーを浴びる事にした。
これが普通の嗜好の男なら、何の抵抗もないのだが忍の対象は男性である。
少し緊張した面持ちで「じゃあ」と言ってバスルームに入った。ざっと汗を流し5分くらいで出て来た時に北大路は忍のベッドに腰掛けていた。その手には、夕べ忍が使いそのままベッドの上に投げておいたローションのボトルが握られていた。
「あ……っ」
拙い物を見られたと思い、夕べの自分の痴態を見られたような気がして、忍の顔が真っ赤に染まってしまった。
「浅井さん……きちんと彼氏に寝かしてもらいなよ」
忍の寝不足をSexのせいだと決めつけたような北大路の言葉に忍は苦笑した。
「違うよ、彼氏じゃないよ……」
「え?彼女とかですか?」
普通なら先に彼女の方が出てくるだろう、どこまで北大路が忍の事を察したのかは判らなかった。
北大路の問いに忍は答えずにただ微笑んだ。
もう一度冷たい物を取り出そうと冷蔵庫を開けた時に、背後から北大路が抱きしめてきた。
「な……?」
「もしかして、一人でしたの?」
勘の鋭い男だ……と忍は思ったが否定も肯定もせず、冷蔵庫の扉を閉めた。そしてその言葉は北大路がこっち側の人間だと言う事を忍に知らしめた。いや、もしかして両方イケるタイプかもしれない、こういうタイプは女性にももてる筈だ。
「俺もシャワー借りていい?」
忍は頷けば、この後どういう結果になるか想像出来た。断れば北大路の事だ、あっさりと引くだろう事も判る。忍は肩で一度息を吐いてから、黙って頷いた。
とっくに終わっていたはずなのに、彬が他の男と一緒にいたことのショックはやはり大きかった。忍は完全に放出しきれなかった体の熱よりも傷ついた心の膿を出して欲しかった。
そして手早くシャワーを済ませてきた北大路が部屋の戻った時も、忍はまだ冷蔵庫の前に立っていた。
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忍は1通のメールを何度も見てどう返信するか迷っていた。それは高校の時の同窓会の案内だった。社会人になったらゆっくり同窓会もできなくなるから、今のうちにという言葉はその通りだろうが、お互いの動向を探るというのもあるだろうと忍は思った。
そんな時電話が鳴った。見るとその同窓会の幹事である木下からだ。タイミングがいいのか悪いのか……忍は電話に出た。
「おい同窓会どうするんだ?」
久しぶりの会話でも同級生というのは遠慮も挨拶もない。
苦笑しながら「うん、一応実家に帰る予定はあるんだけど……」と気のない返事をする。
「今回は結構人集まるから、忍も参加しようぜ」
「う……ん……あ、彬とかは?」
「えっ?彬……お前ら仲良かったよな?いっつも一緒にいたじゃん?」
同級生から見たら自分と彬はそういうふうに映っていたんだ、と改めてその当時を思った。
「彬は参加しないって返信あったよ」
「そう……」
「何だ同じ大学だったよな?忍の護衛はもう止めたのか彬は?」
からかうような木下に「護衛?」と聞き返すと「忍に近づくな!っていつも周りを威嚇してただろう彬って?気づかなかったの?」
「そんなの知らない……」
あの日以来彬とはいつも一緒に行動したからそう取られているのかもしれないと忍は思い直した。
「いつも一緒にいたから?……」
「はあ?どこまでも鈍いなぁ忍は……とにかく同窓会来て、詳しく教えてあげるから」
他にも電話掛けるからと言って木下は、慌ただしく忍との電話を切った。
同窓会に彬が来ないのが残念なのか、安心したのかは自分でも判らなかったが、忍は「出席する」とだけの短いメールを木下に送って携帯を閉じた。
忍は先輩の卒業式前日以来、誰とも体を繋げてはいなかった。
彬の名を出したこんな夜は快感を知っている体が疼いてしまう。
「彬……」
その名を呼びながら忍の手が自分の雄の部分に伸びて行く。
何度か扱いただけで数か月解放されていない熱が体を支配してしまった。だけど忍の体はそこだけでは満足いかない体にすっかり作り変えられていて、雄から離れた指が後孔の辺りで彷徨った。
今まで自分で弄った事などなかった蕾は、固く閉ざされ指の侵入を拒んでいる。
忍は以前彬が使っていたローションを取り出し、自分の指に馴染ませもう一度孔に指を押し当てた。ぷつっとローションの力を借りて指が自分の直腸を犯す。
「あぁ……あきら」
1本の指でどんなに弄っても熱は放出などされずに、逆に篭るばかりだった。どれだけ自分が淫乱になったか呆れながらも更に1本の指を追加して自分の熱を感じた。
こんな窮屈な所に彬のあの太いペニスが挿入されていたのかと思うと、信じられない気分だった。
自分の淫らな行為に興奮したペニスが固くなり先走りの蜜が溢れてきた。
「あぁぁあきら……もっと」
この指を彬の指だと錯覚させながら、何度も出し入れしてみるが達するまでには至らない。
それでも懸命に窮屈な体勢で前と後ろを同時に弄り、頭では彬の事を考えながら溜まった精を吐き出した。
「はぁっはぁっ」
肩で息を吐きながら己の惨めさに涙が零れてしまう。こんな体にした彬が憎らしくさえ思えてきた。
充分に眠れないまま忍は翌日大学に行き、彬の学部の方に行ってみた。学部が離れているために大学では顔を合わす事がなくなったが、その気になり探せば会えるだろうと忍は彬の姿を探した。
だがそこで目にしたのは、年下であろう学生と仲良く肩を並べ歩いていた彬の姿だった。
(結局僕は飽きられただけだったんだ……)
午前中だというのに信じられないくらいの暑さと寝不足のせいなのか、彬の姿を見た途端目の前が真っ暗になった。すっと血の気が引くのが自分でも判り忍はその場にしゃがみ込んだ。
「君、大丈夫?」
地面に倒れこむ瞬間に誰かの声を聞いた気がしたが、それが彬ではない事だけは薄れ行く意識の中でも判った。
忍が気が付いたのは医務室のベッドの中だった。
窓際に広い背中が見えた……
忍が起き上がる衣擦れの音に気づき振り向いた顔を見て、忍は内心項垂れた。何処かで願っていた彬が自分に気づき付き添ってくれていたのでは?という甘い期待は無残にも打ち砕かれた。
「あ、気が付いた?驚いたよ。えっと俺は法学部3年の北大路だけど?」
「君がここに連れて来てくれたの?ありがとう、僕は経済学部4年の浅井」
「あ……新入生かと思った……すみません」
大体が実年齢よりも若く見られるが、まさか1年だと思われるとは……
「いや……ありがとう、助かったよ」
「もう大丈夫ですか?まだ顔色あまり良くないけど……俺送って行きましょうか?」
「そんな……これ以上迷惑は掛けられないから」
遠慮する忍の顔を覗き込み北大路は笑顔を向ける。
「いや、迷惑じゃないし俺マジ送って行きますから、住まいは何処ですか?」
誠実そうな目に忍は安心して簡単な住所を教えると、そこなら自分の住まいからも近いからと結局押し切られてしまった。
「歩けますか?それともおぶさります?」
「いや……子供じゃないし」とつい忍も笑みが零れてしまった。
「浅井先輩、綺麗だけど笑うと可愛いんですね」と言われドキッとしてしまった。
その爽やかな笑顔にこの北大路がこっち側の人間だと感じた。
「じゃ悪いけど送ってくれたら嬉しい……」
忍はただ……誰かの温もりが欲しかった。
忍はひとりで歩けるほどに回復していた。そんな忍に寄り過ぎる事なく丁度良い距離を保って北大路は一緒に歩いてくれた。
「タクシー拾います?」
「大丈夫……あ、でも暑いよね?」
「いや俺は鍛えてあるからこのくらいの暑さは大丈夫だから」
そう言うと北大路はこの暑さのなか涼しげな笑顔を忍に向けた。
だが二人が忍のマンションに着く頃は陽も高く流石の北大路も疲れた顔をしている。
「ありがとう……もし時間大丈夫なら冷たい物でも飲んで行って?」
「いいの?実は喉がカラカラ」
忍はそんな北大路を部屋に招き入れた。この部屋に彬以外の人間が来るのも初めてだ……それも半年以上間が開いていた。
忍は部屋に入ると直ぐに冷房のスィッチを入れ、冷蔵庫から冷たい飲み物を取り出した。
「へえ……綺麗にしてるんですね?」
忍の方が1つ年上だと判ってからの北大路の言葉はとても丁寧だった。
「そんな……普通に話してくれた方が気が楽なんだけど……」と忍が言うと「実は俺も……」と北大路がほっとした顔を見せた。
暫くすると、程よくクーラーが効いてきてやっと心地良くなったが、引いた汗が少々気持ち悪くもあった。
「少し眠った方がいいですよ」と北大路に言われて、つい忍は「シャワー浴びたら寝るよ」と答えてしまった。
心配だからシャワー浴びるまで部屋にいるから、浴びてくれば?と言う北大路の申し出を断るのも悪くて、忍はさっとシャワーを浴びる事にした。
これが普通の嗜好の男なら、何の抵抗もないのだが忍の対象は男性である。
少し緊張した面持ちで「じゃあ」と言ってバスルームに入った。ざっと汗を流し5分くらいで出て来た時に北大路は忍のベッドに腰掛けていた。その手には、夕べ忍が使いそのままベッドの上に投げておいたローションのボトルが握られていた。
「あ……っ」
拙い物を見られたと思い、夕べの自分の痴態を見られたような気がして、忍の顔が真っ赤に染まってしまった。
「浅井さん……きちんと彼氏に寝かしてもらいなよ」
忍の寝不足をSexのせいだと決めつけたような北大路の言葉に忍は苦笑した。
「違うよ、彼氏じゃないよ……」
「え?彼女とかですか?」
普通なら先に彼女の方が出てくるだろう、どこまで北大路が忍の事を察したのかは判らなかった。
北大路の問いに忍は答えずにただ微笑んだ。
もう一度冷たい物を取り出そうと冷蔵庫を開けた時に、背後から北大路が抱きしめてきた。
「な……?」
「もしかして、一人でしたの?」
勘の鋭い男だ……と忍は思ったが否定も肯定もせず、冷蔵庫の扉を閉めた。そしてその言葉は北大路がこっち側の人間だと言う事を忍に知らしめた。いや、もしかして両方イケるタイプかもしれない、こういうタイプは女性にももてる筈だ。
「俺もシャワー借りていい?」
忍は頷けば、この後どういう結果になるか想像出来た。断れば北大路の事だ、あっさりと引くだろう事も判る。忍は肩で一度息を吐いてから、黙って頷いた。
とっくに終わっていたはずなのに、彬が他の男と一緒にいたことのショックはやはり大きかった。忍は完全に放出しきれなかった体の熱よりも傷ついた心の膿を出して欲しかった。
そして手早くシャワーを済ませてきた北大路が部屋の戻った時も、忍はまだ冷蔵庫の前に立っていた。
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「僕がしてあげるから来て……」
忍は静かにそう言って北大路を見た。
「僕ばかりで、悪いから……あまり上手くないけど、僕にさせて」
「そんなに無理しなくても……」
忍は今日北大路に面倒かけた上に、自分だけ吐精してしまった事を申し訳なく思っていた。
「だから、来て……」
北大路はこの誘う顔を見て断れる男がいるのなら見てみたいと思いながら、自分のベルトに手を掛けた。
「止まらなくなったらどうする?」
「……その時は、いいよ」
「全く……そんな考えでよく今まで無事で来たな」
呆れたように北大路がそう言うと忍は寂しそうに微笑んだ。
「もしかして?無事じゃなかったの?」
「僕は……僕は彬が麻雀に負けると、その代償に……」
レイプを仕組んだ上にそんな事までさせていた彬に北大路は驚いた。
「もういい、もういいよ、それ以上は言わないで。そしてあんな奴はもう忘れて」
そう言って北大路は忍をぎゅっと抱きしめた。
(忘れられるものなら、こんなに苦しまない……)
「俺を利用して……俺が忘れさせてやるから」
そう言うと北大路は忍の体をそっと押し倒していった。
北大路の指先や唇は、緊張した体よりも心を解してくれる。
(自分の意思だ……)
誰にも強制されたわけでもない事を、今忍はやろうとしていた。
北大路の唇が離れ、胸の尖りを舐めあげた。忍はこんな丁寧な愛撫は初めてのような気がした。北村先輩も優しくしてはくれたが、忍の快感を優先させる愛撫では無かった。
ちろちろと舐められ、きゅっと吸い上げられると忍の口からは小さな喘ぎ声が漏れてしまう。
「気持ちいいの?」北大路の言葉に素直に頷いた。
更にカリッと甘噛みされ忍の腰が跳ねた。
「あぁ……っ」
北大路の空いた手は片方の尖りを摘むように転がしている。乳首だけをこんなに集中して攻められた事は今までなかった、そこから全身に快感が走る。
北大路の体がゆっくりと下りて行く。乳首から離れた唇が脇腹を舐めながら腰骨を滑り、忍の薄い下映えを通り茎の根元を食んだ。
「いやぁ……」
「何もかも忘れて快感だけを追って」
どこまでも優しい北大路の言葉に忍は頷きながらも、まだどこかで抗っていた。
北大路は茎を舐めながら、手で袋をやわやわと揉んでいる。せり上がってくる快感をやり過ごしながら忍は堪えていた。
「いいんだよ、達きたければ……」
「あぁ……だめっ僕だけ……」
裏筋を舐めあげた舌が茎をなぶりながら上がって来る、カリ首に沿って舌を這わされ全体に口腔の熱を感じた。
「あぁぁ……っ」
久しぶりの人肌と性器への刺激が忍の肌を染め、震わせた。
「忍、凄い感じてるね?」
そう言うと北大路は忍の先走りを舌で舐め取った。
「どんどん溢れてくるよ」
「……恥ずかしい……」
「俺は嬉しいよ、俺に感じてくれて」
5年もかけて開発された体だ、少しの刺激にも忍は感じやすくなっている上に、半年ぶりのSexなのだ、長持ちするはずもなかった。だがあと少しという所で、忍の唇が離れてしまった。
あっと思う間もなく忍は膝裏を押しあげられ、全てを北大路の前に晒した。
「あっ、いやぁ……見ないで……」
「綺麗だよ、全部見せて」北大路はそう言うと忍の蕾に舌先で触れた。
「随分固いね、ずっとしてなかった?」
忍は恥ずかしくて、ただ頷くばかりだった。尖った舌先が蕾の周りを撫で、その感触に忍の体が粟立った。
「あん……あぁぁ」
北大路の両の親指が蕾の周りの肉を押し広げ、その隙間に舌を差し込む。
「いやぁ……っ」
―――いやじゃない、とてもいい……だが忍はそれを口にする事は出来なかった。
ピチャピチャと唾液を注ぎ込まれながら、北大路の舌は忍の内壁をなぞる。
「もう、おかしくなりそう……」
「気持ちいい?」
「……凄くいい」北大路の丁寧な愛撫に忍の理性が崩壊しだした。
舌で解された蕾に今度はローションと一緒に指が挿ってきた。
「凄い、1本なのに……忍のここ狭いね」
北大路はそれが何故か嬉しかった。今まで幾度も男を咥えこんでいるはずの、忍の中はまるで処女地のように窮屈で、それなのに受け入れる事を望んでいるように熱く蠢いていた。
北大路は挿れた中指で中を掻き回し、入り口も拡げる。ローションの滑りがなければ、指1本でも無理だろう孔をゆっくりと開いていった。北大路の指の刺激で、忍のペニスは涙を零しながら震えている。達きたくて仕方ないが、流石にはしたなく思え自分の手を伸ばす事は出来なかった。
ローションが足され、北大路の指も増やされたのが判った。
「うっ……あぁ……っ」
「待ててよ、天国に連れて行ってあげるから」
そう言うと北大路の2本の指は忍の中をゆっくりと探検し始めた。
「いや――っ!」
「ここだ、いい所見つけたよ」
切羽詰っている忍に対して北大路はかなりの余裕を見せていた。忍はグリグリと中の感じやすい所を2本の指で擦られ、腰を動かした。自分がその快感から逃げようとしているのか、もっとと強請っているのかさえ今の忍には分からない。ただ、じっとしているのが苦痛だった。
「凄い……もうパンパンだね」
「うっ……あぁぁっ、達きたい」
「いいよ達っても、でも自分で触ったら駄目だよ」
北大路は一度の吐精で忍を闇に落そうとしていた。中途半端なSexで眠れないよりは、とことん落して熟睡させようと思った。
ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てる後孔は、いつの間にか3本に増やされた指を受け入れていた。
「まだ少しキツイかもしれないけど挿れていい?」
「あぁぁ……」忍は吐息を吐きながら北大路の問いかけに頷いた。
半年ぶりに受け入れる男の躰は苦痛と快感を同時に忍にもたらした。
(これで本当に終わりだ……)
忍の頬を濡らす涙を北大路はそっと指の腹で拭った。
「初めて会った時に恋に堕ちたって言ったら信じる?」
「……僕も北大路君のこと嫌いじゃないよ」
苦しいながらも忍は正直な胸のうちを伝えた。
寂しい自分に優しくしてくれたからって、誰とでもこんな事をする訳じゃない。それを北大路に判って欲しかった。
「今だけは、俺を見てくれない?」
忍の心など承知だと言うような北大路の言葉に、忍は申し訳なさそうに頷いた。
「可愛いよ、忍……忍って呼ぶよ?」
もうとっくにそう呼んでいるのに、改めて断られると頷いていいのか迷ってしまう。
(アキラ……旭……彬……)
「忍だけのアキラになったら、俺の事も旭って呼んでくれる?」
その提案に忍も微笑みを返した。
嬉しそうな顔の北大路が「そろそろ動いていい?」と聞いて来たから忍は甘えたように「動いて……」と強請った。北大路の前ではとても素直になれる自分に驚いているが、これはきっとこういう自分を北大路が引き出してくれているのだと思った。
(最初っからこういう恋をすれば良かった)
北大路がゆっくりと腰を抽挿し始める。そんな動きにすら、労りを感じ忍は泣きそうになった。
だが忍は、そのゆっくりな動きが徐々にもどかしくなって来る。
「ねぇ……」それ以上は、はしたなくて言えない。
「うん?もっと動いていいの?」
北大路の言葉に忍は頷いて、その背中に手を回した。
「忍……」自分の名前がこんなに甘いとは今まで知らなかった。
北大路の唇が忍の唇に初めて触れた。啄ばむようなキスが落され、あっと思った瞬間深く重ねられた。
最初はただ唇全体を吸うようなキスだったのに、それはだんだんと深くなり北大路の舌が忍の口腔に躊躇うように差し込まれた。忍はその舌を受け入れ自分から絡めていった。
何度も角度を変えながら二人は唇を重ねた。忍の孔も、心もぐずぐずに溶けてしまっているようだ。
「俺たち、順番が逆だな……」
自分自身に呆れたように北大路が言う。
「うん……」(心が一番最後だ……)
「俺は、好きなもんは最後に食べるタイプだから」
(このまま旭と呼べれば、どんなに僕は楽になれるんだろう?)
「……北大路君、もっといっぱい……メチャメチャに抱いていいから」
「忍……後で泣いても知らないよ」
北大路はちょっとだけ口角を上げると、臨戦態勢に移った。北大路の動きは今までと違い激しかった。忍は北大路に揺さぶられながら、抑えきれない声を漏らし続けた。
「あぁぁ……いい……」
「忍、もっといっぱい感じて」
北大路は浅い所まで引き抜き、一気に舞い戻って来る。それを我慢強く何度も繰り返す北大路に、忍は根を上げそうになった。
「あぁぁ、もう……もっ達きたい」
「後ろで達けるでしょう?達けなくても俺がそうするから」
「あぁいやぁ……」
北大路が忍の前立腺を攻める動きに変わった。
「あぁぁ……いい」
このままでは北大路の言う通りに、ドライで達ってしまいそうだと思った忍は焦った。ドライは底知れぬ愉悦の先に苦痛も伴う。そして何よりも恐れたのは、我を忘れた自分が呼ぶ名前だ……
北大路の攻めに、忍の頭の中からだんだんと理性という名の意識が飛んで行く。
「あぁぁぁっ、だめぇ、もうだめっ……」
「達って、全部忘れて達って、忍……」
「あっだめっ!触りたい……」
自分のペニスに伸ばそうとした手を北大路に取られシーツに縫い止められた。
「いや……達きたい」
「大丈夫ちゃんと天国に達かせてあげるから」
「いやぁぁぁ……」
北大路の腕を強く掴み忍は昇ろうとする躰を引き戻そうとした。だが、北大路のテクニックに忍は簡単に堕とされてしまう。四肢が強張り、頭の中が真っ白になり何も考えられなくなり、無意識の言葉が口から出てしまっていた。
「あぁぁ達く……イっちゃう……アキラ……イクッ!」
ドライで達した忍の蠢く孔に流石の北大路も耐えられるはずが無かった。
(アキラ……?)
その名前がどっちの名前なのかは、今は聞かないでおこう、と吐精する瞬間北大路は自分の気持ちに蓋をした。
そして忍のペニスを扱き最後の快楽を与えてやった。
「忍……可愛い」
そう言いながら忍の頬に口付けするが、肝心の忍はそのまま意識を飛ばした。
だが、玄関のドアにもたれ掛かるようにして、拷問のような時をやり過ごそうとしている男がいた。
(忍……)
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「そんなに無理しなくても……」
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「だから、来て……」
北大路はこの誘う顔を見て断れる男がいるのなら見てみたいと思いながら、自分のベルトに手を掛けた。
「止まらなくなったらどうする?」
「……その時は、いいよ」
「全く……そんな考えでよく今まで無事で来たな」
呆れたように北大路がそう言うと忍は寂しそうに微笑んだ。
「もしかして?無事じゃなかったの?」
「僕は……僕は彬が麻雀に負けると、その代償に……」
レイプを仕組んだ上にそんな事までさせていた彬に北大路は驚いた。
「もういい、もういいよ、それ以上は言わないで。そしてあんな奴はもう忘れて」
そう言って北大路は忍をぎゅっと抱きしめた。
(忘れられるものなら、こんなに苦しまない……)
「俺を利用して……俺が忘れさせてやるから」
そう言うと北大路は忍の体をそっと押し倒していった。
北大路の指先や唇は、緊張した体よりも心を解してくれる。
(自分の意思だ……)
誰にも強制されたわけでもない事を、今忍はやろうとしていた。
北大路の唇が離れ、胸の尖りを舐めあげた。忍はこんな丁寧な愛撫は初めてのような気がした。北村先輩も優しくしてはくれたが、忍の快感を優先させる愛撫では無かった。
ちろちろと舐められ、きゅっと吸い上げられると忍の口からは小さな喘ぎ声が漏れてしまう。
「気持ちいいの?」北大路の言葉に素直に頷いた。
更にカリッと甘噛みされ忍の腰が跳ねた。
「あぁ……っ」
北大路の空いた手は片方の尖りを摘むように転がしている。乳首だけをこんなに集中して攻められた事は今までなかった、そこから全身に快感が走る。
北大路の体がゆっくりと下りて行く。乳首から離れた唇が脇腹を舐めながら腰骨を滑り、忍の薄い下映えを通り茎の根元を食んだ。
「いやぁ……」
「何もかも忘れて快感だけを追って」
どこまでも優しい北大路の言葉に忍は頷きながらも、まだどこかで抗っていた。
北大路は茎を舐めながら、手で袋をやわやわと揉んでいる。せり上がってくる快感をやり過ごしながら忍は堪えていた。
「いいんだよ、達きたければ……」
「あぁ……だめっ僕だけ……」
裏筋を舐めあげた舌が茎をなぶりながら上がって来る、カリ首に沿って舌を這わされ全体に口腔の熱を感じた。
「あぁぁ……っ」
久しぶりの人肌と性器への刺激が忍の肌を染め、震わせた。
「忍、凄い感じてるね?」
そう言うと北大路は忍の先走りを舌で舐め取った。
「どんどん溢れてくるよ」
「……恥ずかしい……」
「俺は嬉しいよ、俺に感じてくれて」
5年もかけて開発された体だ、少しの刺激にも忍は感じやすくなっている上に、半年ぶりのSexなのだ、長持ちするはずもなかった。だがあと少しという所で、忍の唇が離れてしまった。
あっと思う間もなく忍は膝裏を押しあげられ、全てを北大路の前に晒した。
「あっ、いやぁ……見ないで……」
「綺麗だよ、全部見せて」北大路はそう言うと忍の蕾に舌先で触れた。
「随分固いね、ずっとしてなかった?」
忍は恥ずかしくて、ただ頷くばかりだった。尖った舌先が蕾の周りを撫で、その感触に忍の体が粟立った。
「あん……あぁぁ」
北大路の両の親指が蕾の周りの肉を押し広げ、その隙間に舌を差し込む。
「いやぁ……っ」
―――いやじゃない、とてもいい……だが忍はそれを口にする事は出来なかった。
ピチャピチャと唾液を注ぎ込まれながら、北大路の舌は忍の内壁をなぞる。
「もう、おかしくなりそう……」
「気持ちいい?」
「……凄くいい」北大路の丁寧な愛撫に忍の理性が崩壊しだした。
舌で解された蕾に今度はローションと一緒に指が挿ってきた。
「凄い、1本なのに……忍のここ狭いね」
北大路はそれが何故か嬉しかった。今まで幾度も男を咥えこんでいるはずの、忍の中はまるで処女地のように窮屈で、それなのに受け入れる事を望んでいるように熱く蠢いていた。
北大路は挿れた中指で中を掻き回し、入り口も拡げる。ローションの滑りがなければ、指1本でも無理だろう孔をゆっくりと開いていった。北大路の指の刺激で、忍のペニスは涙を零しながら震えている。達きたくて仕方ないが、流石にはしたなく思え自分の手を伸ばす事は出来なかった。
ローションが足され、北大路の指も増やされたのが判った。
「うっ……あぁ……っ」
「待ててよ、天国に連れて行ってあげるから」
そう言うと北大路の2本の指は忍の中をゆっくりと探検し始めた。
「いや――っ!」
「ここだ、いい所見つけたよ」
切羽詰っている忍に対して北大路はかなりの余裕を見せていた。忍はグリグリと中の感じやすい所を2本の指で擦られ、腰を動かした。自分がその快感から逃げようとしているのか、もっとと強請っているのかさえ今の忍には分からない。ただ、じっとしているのが苦痛だった。
「凄い……もうパンパンだね」
「うっ……あぁぁっ、達きたい」
「いいよ達っても、でも自分で触ったら駄目だよ」
北大路は一度の吐精で忍を闇に落そうとしていた。中途半端なSexで眠れないよりは、とことん落して熟睡させようと思った。
ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てる後孔は、いつの間にか3本に増やされた指を受け入れていた。
「まだ少しキツイかもしれないけど挿れていい?」
「あぁぁ……」忍は吐息を吐きながら北大路の問いかけに頷いた。
半年ぶりに受け入れる男の躰は苦痛と快感を同時に忍にもたらした。
(これで本当に終わりだ……)
忍の頬を濡らす涙を北大路はそっと指の腹で拭った。
「初めて会った時に恋に堕ちたって言ったら信じる?」
「……僕も北大路君のこと嫌いじゃないよ」
苦しいながらも忍は正直な胸のうちを伝えた。
寂しい自分に優しくしてくれたからって、誰とでもこんな事をする訳じゃない。それを北大路に判って欲しかった。
「今だけは、俺を見てくれない?」
忍の心など承知だと言うような北大路の言葉に、忍は申し訳なさそうに頷いた。
「可愛いよ、忍……忍って呼ぶよ?」
もうとっくにそう呼んでいるのに、改めて断られると頷いていいのか迷ってしまう。
(アキラ……旭……彬……)
「忍だけのアキラになったら、俺の事も旭って呼んでくれる?」
その提案に忍も微笑みを返した。
嬉しそうな顔の北大路が「そろそろ動いていい?」と聞いて来たから忍は甘えたように「動いて……」と強請った。北大路の前ではとても素直になれる自分に驚いているが、これはきっとこういう自分を北大路が引き出してくれているのだと思った。
(最初っからこういう恋をすれば良かった)
北大路がゆっくりと腰を抽挿し始める。そんな動きにすら、労りを感じ忍は泣きそうになった。
だが忍は、そのゆっくりな動きが徐々にもどかしくなって来る。
「ねぇ……」それ以上は、はしたなくて言えない。
「うん?もっと動いていいの?」
北大路の言葉に忍は頷いて、その背中に手を回した。
「忍……」自分の名前がこんなに甘いとは今まで知らなかった。
北大路の唇が忍の唇に初めて触れた。啄ばむようなキスが落され、あっと思った瞬間深く重ねられた。
最初はただ唇全体を吸うようなキスだったのに、それはだんだんと深くなり北大路の舌が忍の口腔に躊躇うように差し込まれた。忍はその舌を受け入れ自分から絡めていった。
何度も角度を変えながら二人は唇を重ねた。忍の孔も、心もぐずぐずに溶けてしまっているようだ。
「俺たち、順番が逆だな……」
自分自身に呆れたように北大路が言う。
「うん……」(心が一番最後だ……)
「俺は、好きなもんは最後に食べるタイプだから」
(このまま旭と呼べれば、どんなに僕は楽になれるんだろう?)
「……北大路君、もっといっぱい……メチャメチャに抱いていいから」
「忍……後で泣いても知らないよ」
北大路はちょっとだけ口角を上げると、臨戦態勢に移った。北大路の動きは今までと違い激しかった。忍は北大路に揺さぶられながら、抑えきれない声を漏らし続けた。
「あぁぁ……いい……」
「忍、もっといっぱい感じて」
北大路は浅い所まで引き抜き、一気に舞い戻って来る。それを我慢強く何度も繰り返す北大路に、忍は根を上げそうになった。
「あぁぁ、もう……もっ達きたい」
「後ろで達けるでしょう?達けなくても俺がそうするから」
「あぁいやぁ……」
北大路が忍の前立腺を攻める動きに変わった。
「あぁぁ……いい」
このままでは北大路の言う通りに、ドライで達ってしまいそうだと思った忍は焦った。ドライは底知れぬ愉悦の先に苦痛も伴う。そして何よりも恐れたのは、我を忘れた自分が呼ぶ名前だ……
北大路の攻めに、忍の頭の中からだんだんと理性という名の意識が飛んで行く。
「あぁぁぁっ、だめぇ、もうだめっ……」
「達って、全部忘れて達って、忍……」
「あっだめっ!触りたい……」
自分のペニスに伸ばそうとした手を北大路に取られシーツに縫い止められた。
「いや……達きたい」
「大丈夫ちゃんと天国に達かせてあげるから」
「いやぁぁぁ……」
北大路の腕を強く掴み忍は昇ろうとする躰を引き戻そうとした。だが、北大路のテクニックに忍は簡単に堕とされてしまう。四肢が強張り、頭の中が真っ白になり何も考えられなくなり、無意識の言葉が口から出てしまっていた。
「あぁぁ達く……イっちゃう……アキラ……イクッ!」
ドライで達した忍の蠢く孔に流石の北大路も耐えられるはずが無かった。
(アキラ……?)
その名前がどっちの名前なのかは、今は聞かないでおこう、と吐精する瞬間北大路は自分の気持ちに蓋をした。
そして忍のペニスを扱き最後の快楽を与えてやった。
「忍……可愛い」
そう言いながら忍の頬に口付けするが、肝心の忍はそのまま意識を飛ばした。
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(忍……)
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今はこの部屋に踏み込む権利も、名を呼ぶ権利も無い男は膝を抱え一人唇を噛んで、時が過ぎるのを黙って待っていた。
「忍……起きて朝だよ」
忍は肩を揺さぶられ重い瞼を開けた。
「……あ、北大路君?」
北大路の顔を認め昨夜自分が北大路に抱かれ、そのまま意識を手放した事を思い出した。
「俺、落とせない講義があるから学校行くけど、忍はどうする?」
「う……ん、僕今日は休むよ」
躰を動かすのもだるかった忍は、あっさりと休む事を北大路に告げた。
「分かった、ゆっくり寝ていて。何かあったらメールして」
「うん。昨日は……その……ありがとう」
困ったような顔で礼を述べる忍の髪をくしゃっと撫でながら「こんなお願いなら大歓迎だよ」と北大路は優しい笑みを残して部屋を出て行った。
北大路がドアを開け一歩踏み出すと、ドアの横に膝を抱えるように座っていた男が立ち上がった。
「あんた……もしかして一晩中ここに居たの?」
とうの昔に帰ったと思っていた忍の元彼がまだ居た事に驚き、咄嗟にそんな言葉が飛び出した。
「まだ忍の事追いかけようとしてるの?」
北大路が身構えながらそう聞くと、彬は「いや、君に……言うのを忘れた」と言う。
「何ですか?」
未だ警戒を解かない北大路は怪訝な顔で彬を見据えた。
「……忍を大事にしてやってくれ、忍を頼む」
彬はそう言うと北大路に頭を下げた。
「……もうあなたが気にする事じゃないと思いますけど?でも言われなくても俺は忍の事気に入っているし、大事にもする。あんたとは違う」
彬は北大路の言葉に、自分が今まで忍に対してしてきた事を知られたと察した。
「そうだな、俺は酷い男だった……じゃあ」
そう言うと彬は北大路よりも先にその場を離れて行った。
(ったく、不器用な奴らだな……)
北大路は、昨夜忍が達く時に発した(アキラ)という名前は自分では無いと分かっていた。そう簡単に乗り換えられるタイプなら倒れる程悩まないはずだ。お互いに未練たっぷりというのに、別れを選ぼうとしている忍と彬……
北大路は自分の性の対象である男に今まで不自由した事はなかった。だから執着もしない。
忍みたいな真面目な子を抱いたのも初めてだった。北大路は同じ世界に居ながらも忍は縁の無い場所に居る子だと、抱いた今でも思っていた。
(ちっ……)北大路は何に対してなのか分からない舌打ちをしながら、着替える為に自分のマンションに向かって歩き出した。
一方ベッドの中に潜っている忍は昨日の出来事を思い返していた。
「はぁ……っ」
自分のした事の大きさに溜息を吐く。だが北大路との行為を後悔してはいない。あの場で彬を追い返した事も後悔してはいない。
だけど、何かすっきりしない物が心の奥深く潜んでいるのだ。レイプ事件の真相を聞いて驚き彬を罵ったが、今はもうどうでも良かった。
ただ『何で元の世界に戻ってくれないんだよ……』と言った彬の言葉だけがリフレインしている。戻れるものなら、とっくに戻っている。戻れないから辛いんであり、無意識のうちに彬を求めてしまうのだ。
でもそれも終わった……
だからといって今の忍は、北大路とも付き合うつもりは無かった。心の奥に彬の影を引きずったまま誰とも付き合えない、ましてや女性と付き合う事など問題外だった。
それから夏休みに入るまで、北大路とはメールこそ交わしたが会う事は無かった。勿論彬ともあの時以来顔を合わせてはいなかった。
そして夏休みになった最初の土曜日、忍は同窓会が開かれる居酒屋に向かった。同窓会と言っても大規模なものではない、15、6人集まればいい方だろう。チェーン店である居酒屋の一番奥の大広間を借り切っての集まりだ。
案内された部屋に入ると10人程がもう集まっていた。忍は幹事である木下に手を上げてから一番端っこの空いている席に座った。高校生の時の顔しかしらなかった奴もいる。会わなかった3年半に全く変化のない奴もいれば、急に大人びた顔つきになった奴もいた。忍はそんな事を思いながら昔の同級生と会話を交わし始めた。
「ひぇー忍って何だか大人っぽくなったなぁ」
自分では全く変わらない部類だと思っていた忍はその言葉に驚き顔を上げた。
「僕は……変わらないと思うけど?木下は……老けたね」
そう言って微笑む忍を木下は、眩しい物を見るように目を細めて見返し忍の横にどんと腰を下ろした。
「お前、その色気何とかしないとヤバイよ」
「はぁっ?何言ってるんだか?」忍は呆れたように木下を見つめた。
「分かってないなぁ自分を。こりゃ彬が心配する筈だ」
「あ、彬は来ないんでしょう?」
「多分無理だって言ってたけど、場所と時間は教えておいた」
「……そう」
忍は自分から聞いたくせに、興味なさげに軽く頷いただけで彬の話を終わらせた。
同窓会が始まってから1時間もすると、早々に酔っぱらった奴らが忍に絡んできた。
「忍~相変わらず綺麗だなぁ、彼氏出来たか?」
「僕は男だし、聞くなら彼女でしょ?」相手に乗せられないように忍は答える。
「いやぁ、忍だったら男でも問題ないだろ?てか俺一度お願いしたい」
本気とも冗談ともとれる言葉に、忍は眉間に皺を寄せるが酔っぱらった奴らには逆効果だった。
そんな言葉を掛けられながらも同窓会は楽しく進んで行った。人数もいつの間にか16人程に増えたが彬の姿はこの席には無かった。寂しいようなほっとしたような気持ちのまま忍は時を過ごした。
「彬とどうなってんの?」
他の奴に聞こえないような声で幹事の木下が忍に声を掛けてきた。
「どうって……?別に同じ大学ってだけで、何も関係ないよ」
「ふ~ん?それだけには見えないけど?」
疑いの眼差しを木下は向けるが、もう終わった事に忍はどう答えていいのか分からなかった。
「そろそろお開きだけど、やっぱり彬来なかったな」
そう言い捨てて木下は皆の元に行き、二次会に参加する人数を募っていた。忍は不参加を伝え立ち上った。
「僕もう帰るね」
「えー忍も二次会行こうよう奴も「じゃ又連絡するよ」と気楽に言ってくれる奴もいる。忍はそんな同級生に軽く手を挙げ「じゃあまたそのうち……」と声を掛けてから部屋を出た。
店の出口近くまで行って、初めて大雨が降っている事を知った。賑やかな店の奥の席にいたから気づかなかったのだと思いながらも傘も無い。
だがここでもたもたしていたら二次会に行く連中に捕まってしまい、強制的に連れて行かれるのは必須だ。諦めて忍は雨の中走る事に決めて表に出た。
一歩歩いた所で店の前に停まっていた車にクラクションを鳴らされた。自分の事では無いと思いながらも反射的に振り返った。
「……あきら?」
運転席でハンドルを抱えるように座る姿に目を疑った。
助手席側の窓がすーっと下り「濡れるぞ、乗れよ」と声が掛かった。その瞬間大雨の中激しい雷鳴が轟き忍はその音に背中を押されるように助手席に滑り込んだ。
「どうして……ここに?」
「……雨が酷いし、雷も凄いから……」
「もしかしてずっとここに停まってたの?」
「家でいいか?」
忍の質問には答えず彬はアクセルを踏み込んだ。
忙しなくワイパーが動いているが、それでも雨は前面のガラスを激しく叩いている。
「酷い雨だな……」
「う……ん、帰ってたんだ……」
「まぁな……」
お互いの言葉が短くて会話は続かなかったが、忍は自分の為に彬がここで待っていてくれた、と思うと嬉しさを隠せなかった。
「あの男とは上手くいってるのか?」
だが彬の言葉に現実に引き戻される。あの夜に彬を拒み北大路の手を取ったのは自分なのだ。彬の言葉に嬉しかった気持ちが萎んでしまい忍は口を噤んだ。
沈黙した耳に聞こえるのは遠くに聞こえる雷鳴と、雨を弾くワイパーの音だけだった。
「着いたぞ」
彬の声に忍は泣きたい気分で彬を見詰めた。
「うん、ありがとう……」
だが返す言葉はそれ以外何も無いのだ。
自分の意思で他の男と交わった自分と、自分の意思で他の男に差し出していた彬……どちらが罪深いのだろうか?どちらの罪が深くても自分たちは、もう二度と元には戻れないだろう。
彬は後部座席の下に置いてあった傘に手を伸ばし、それを忍に渡した。
「返さなくていいから、濡れないようにな」
あとはそう大きくない普通の家の門を潜るだけだ。傘などなくても大して濡れはしないだろう、濡れた所で自分の家に着けばどうにでもなる。
「いいよ傘は、走るから」
返さなくていいと言われた物など持っていたくはなかった。
「バカ、風邪引いたらどうするんだよ、ほらちゃんと傘持って」
そう言われ握らされた時に、彬の手が忍の手首を掴んだ。
触れられた動揺を知られたくなくて忍はドアを開け車の外に降りる。
「じゃあ、ありがとう。気を付けて……」
「……あ、ああ」
彬がゆっくりとアクセルを踏む様子が分かった。
名残惜しいと思うのは自分ばかりなのか?動き出した車を立ち尽くしたまま忍は見ていた。プッと小さくクラクションを鳴らし加速する車の背を見ていた忍が傘を放り出した。
「彬っ!!」
このまま二度と彬に会えないような気がして忍は焦った。
「彬――っ!」
だが忍の声は雨と雷鳴に消され車までは届きそうもなかった。直ぐ近くに落ちたのではないか?と思う程の激しい地響きを感じながら忍は走り出した。
まだ今なら角を曲がる前の車に追い着けるかもしれない。きっと忍の行動を誰もが笑い、信じられないと言うだろう。酷い目に合わされても目が覚めないのか?と蔑むだろう。だけどそれでも彬がいい。彬だから許せるのだ。
ずぶ濡れになりながら忍は彬の車を追った。雷が怖いなんて言ってはいられない。彬と別れる事以外に怖いことは今の忍にはなかった。
角を曲がった車が忍の視線の先から消えた。
「あきら……」
夏とはいえずぶ濡れになった躰は冷え切ってしまっている。
「あきらのばか……」
涙も、雨の雫もぼろぼろに頬を伝い立ち竦む忍の足元に落ちて行く。
「ばか、ずぶ濡れで……何やってんだよ」
雷鳴に混じりそんな声が忍の耳に飛び込んできた。
「あ、あきら……彬だってずぶ濡れじゃん」
忍が言い終わる前に冷えた躰は彬の胸の中に抱きしめられた。
「ううっ……あきらのばかぁ」
「ごめん……ごめん……忍、お前にどう罵られてもやっぱお前が好きだ、ごめん」
「ううっ……うっ……あきら、あきら……いやだ、彬じゃなきゃ嫌だ」
「忍……俺……愛してるって言ってもいいか?」
愛を知らない彬が初めて口に出した。
嗚咽にまみれて返事など出来ない忍は、言葉の代わりに彬の唇に貪りついた。激しく返される口付けに忍は幸せを感じ、その躰に縋り付く。
「もう離さないで……」
忍の甘える言葉もまた直ぐに彬の口腔に呑み込まれていった。
雷鳴が遠くなり、雨も小降りになった頃我に返った二人は見つめ合いながら口元を緩め、そして、また深く唇を重ね合わせた。
<完>
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「忍……起きて朝だよ」
忍は肩を揺さぶられ重い瞼を開けた。
「……あ、北大路君?」
北大路の顔を認め昨夜自分が北大路に抱かれ、そのまま意識を手放した事を思い出した。
「俺、落とせない講義があるから学校行くけど、忍はどうする?」
「う……ん、僕今日は休むよ」
躰を動かすのもだるかった忍は、あっさりと休む事を北大路に告げた。
「分かった、ゆっくり寝ていて。何かあったらメールして」
「うん。昨日は……その……ありがとう」
困ったような顔で礼を述べる忍の髪をくしゃっと撫でながら「こんなお願いなら大歓迎だよ」と北大路は優しい笑みを残して部屋を出て行った。
北大路がドアを開け一歩踏み出すと、ドアの横に膝を抱えるように座っていた男が立ち上がった。
「あんた……もしかして一晩中ここに居たの?」
とうの昔に帰ったと思っていた忍の元彼がまだ居た事に驚き、咄嗟にそんな言葉が飛び出した。
「まだ忍の事追いかけようとしてるの?」
北大路が身構えながらそう聞くと、彬は「いや、君に……言うのを忘れた」と言う。
「何ですか?」
未だ警戒を解かない北大路は怪訝な顔で彬を見据えた。
「……忍を大事にしてやってくれ、忍を頼む」
彬はそう言うと北大路に頭を下げた。
「……もうあなたが気にする事じゃないと思いますけど?でも言われなくても俺は忍の事気に入っているし、大事にもする。あんたとは違う」
彬は北大路の言葉に、自分が今まで忍に対してしてきた事を知られたと察した。
「そうだな、俺は酷い男だった……じゃあ」
そう言うと彬は北大路よりも先にその場を離れて行った。
(ったく、不器用な奴らだな……)
北大路は、昨夜忍が達く時に発した(アキラ)という名前は自分では無いと分かっていた。そう簡単に乗り換えられるタイプなら倒れる程悩まないはずだ。お互いに未練たっぷりというのに、別れを選ぼうとしている忍と彬……
北大路は自分の性の対象である男に今まで不自由した事はなかった。だから執着もしない。
忍みたいな真面目な子を抱いたのも初めてだった。北大路は同じ世界に居ながらも忍は縁の無い場所に居る子だと、抱いた今でも思っていた。
(ちっ……)北大路は何に対してなのか分からない舌打ちをしながら、着替える為に自分のマンションに向かって歩き出した。
一方ベッドの中に潜っている忍は昨日の出来事を思い返していた。
「はぁ……っ」
自分のした事の大きさに溜息を吐く。だが北大路との行為を後悔してはいない。あの場で彬を追い返した事も後悔してはいない。
だけど、何かすっきりしない物が心の奥深く潜んでいるのだ。レイプ事件の真相を聞いて驚き彬を罵ったが、今はもうどうでも良かった。
ただ『何で元の世界に戻ってくれないんだよ……』と言った彬の言葉だけがリフレインしている。戻れるものなら、とっくに戻っている。戻れないから辛いんであり、無意識のうちに彬を求めてしまうのだ。
でもそれも終わった……
だからといって今の忍は、北大路とも付き合うつもりは無かった。心の奥に彬の影を引きずったまま誰とも付き合えない、ましてや女性と付き合う事など問題外だった。
それから夏休みに入るまで、北大路とはメールこそ交わしたが会う事は無かった。勿論彬ともあの時以来顔を合わせてはいなかった。
そして夏休みになった最初の土曜日、忍は同窓会が開かれる居酒屋に向かった。同窓会と言っても大規模なものではない、15、6人集まればいい方だろう。チェーン店である居酒屋の一番奥の大広間を借り切っての集まりだ。
案内された部屋に入ると10人程がもう集まっていた。忍は幹事である木下に手を上げてから一番端っこの空いている席に座った。高校生の時の顔しかしらなかった奴もいる。会わなかった3年半に全く変化のない奴もいれば、急に大人びた顔つきになった奴もいた。忍はそんな事を思いながら昔の同級生と会話を交わし始めた。
「ひぇー忍って何だか大人っぽくなったなぁ」
自分では全く変わらない部類だと思っていた忍はその言葉に驚き顔を上げた。
「僕は……変わらないと思うけど?木下は……老けたね」
そう言って微笑む忍を木下は、眩しい物を見るように目を細めて見返し忍の横にどんと腰を下ろした。
「お前、その色気何とかしないとヤバイよ」
「はぁっ?何言ってるんだか?」忍は呆れたように木下を見つめた。
「分かってないなぁ自分を。こりゃ彬が心配する筈だ」
「あ、彬は来ないんでしょう?」
「多分無理だって言ってたけど、場所と時間は教えておいた」
「……そう」
忍は自分から聞いたくせに、興味なさげに軽く頷いただけで彬の話を終わらせた。
同窓会が始まってから1時間もすると、早々に酔っぱらった奴らが忍に絡んできた。
「忍~相変わらず綺麗だなぁ、彼氏出来たか?」
「僕は男だし、聞くなら彼女でしょ?」相手に乗せられないように忍は答える。
「いやぁ、忍だったら男でも問題ないだろ?てか俺一度お願いしたい」
本気とも冗談ともとれる言葉に、忍は眉間に皺を寄せるが酔っぱらった奴らには逆効果だった。
そんな言葉を掛けられながらも同窓会は楽しく進んで行った。人数もいつの間にか16人程に増えたが彬の姿はこの席には無かった。寂しいようなほっとしたような気持ちのまま忍は時を過ごした。
「彬とどうなってんの?」
他の奴に聞こえないような声で幹事の木下が忍に声を掛けてきた。
「どうって……?別に同じ大学ってだけで、何も関係ないよ」
「ふ~ん?それだけには見えないけど?」
疑いの眼差しを木下は向けるが、もう終わった事に忍はどう答えていいのか分からなかった。
「そろそろお開きだけど、やっぱり彬来なかったな」
そう言い捨てて木下は皆の元に行き、二次会に参加する人数を募っていた。忍は不参加を伝え立ち上った。
「僕もう帰るね」
「えー忍も二次会行こうよう奴も「じゃ又連絡するよ」と気楽に言ってくれる奴もいる。忍はそんな同級生に軽く手を挙げ「じゃあまたそのうち……」と声を掛けてから部屋を出た。
店の出口近くまで行って、初めて大雨が降っている事を知った。賑やかな店の奥の席にいたから気づかなかったのだと思いながらも傘も無い。
だがここでもたもたしていたら二次会に行く連中に捕まってしまい、強制的に連れて行かれるのは必須だ。諦めて忍は雨の中走る事に決めて表に出た。
一歩歩いた所で店の前に停まっていた車にクラクションを鳴らされた。自分の事では無いと思いながらも反射的に振り返った。
「……あきら?」
運転席でハンドルを抱えるように座る姿に目を疑った。
助手席側の窓がすーっと下り「濡れるぞ、乗れよ」と声が掛かった。その瞬間大雨の中激しい雷鳴が轟き忍はその音に背中を押されるように助手席に滑り込んだ。
「どうして……ここに?」
「……雨が酷いし、雷も凄いから……」
「もしかしてずっとここに停まってたの?」
「家でいいか?」
忍の質問には答えず彬はアクセルを踏み込んだ。
忙しなくワイパーが動いているが、それでも雨は前面のガラスを激しく叩いている。
「酷い雨だな……」
「う……ん、帰ってたんだ……」
「まぁな……」
お互いの言葉が短くて会話は続かなかったが、忍は自分の為に彬がここで待っていてくれた、と思うと嬉しさを隠せなかった。
「あの男とは上手くいってるのか?」
だが彬の言葉に現実に引き戻される。あの夜に彬を拒み北大路の手を取ったのは自分なのだ。彬の言葉に嬉しかった気持ちが萎んでしまい忍は口を噤んだ。
沈黙した耳に聞こえるのは遠くに聞こえる雷鳴と、雨を弾くワイパーの音だけだった。
「着いたぞ」
彬の声に忍は泣きたい気分で彬を見詰めた。
「うん、ありがとう……」
だが返す言葉はそれ以外何も無いのだ。
自分の意思で他の男と交わった自分と、自分の意思で他の男に差し出していた彬……どちらが罪深いのだろうか?どちらの罪が深くても自分たちは、もう二度と元には戻れないだろう。
彬は後部座席の下に置いてあった傘に手を伸ばし、それを忍に渡した。
「返さなくていいから、濡れないようにな」
あとはそう大きくない普通の家の門を潜るだけだ。傘などなくても大して濡れはしないだろう、濡れた所で自分の家に着けばどうにでもなる。
「いいよ傘は、走るから」
返さなくていいと言われた物など持っていたくはなかった。
「バカ、風邪引いたらどうするんだよ、ほらちゃんと傘持って」
そう言われ握らされた時に、彬の手が忍の手首を掴んだ。
触れられた動揺を知られたくなくて忍はドアを開け車の外に降りる。
「じゃあ、ありがとう。気を付けて……」
「……あ、ああ」
彬がゆっくりとアクセルを踏む様子が分かった。
名残惜しいと思うのは自分ばかりなのか?動き出した車を立ち尽くしたまま忍は見ていた。プッと小さくクラクションを鳴らし加速する車の背を見ていた忍が傘を放り出した。
「彬っ!!」
このまま二度と彬に会えないような気がして忍は焦った。
「彬――っ!」
だが忍の声は雨と雷鳴に消され車までは届きそうもなかった。直ぐ近くに落ちたのではないか?と思う程の激しい地響きを感じながら忍は走り出した。
まだ今なら角を曲がる前の車に追い着けるかもしれない。きっと忍の行動を誰もが笑い、信じられないと言うだろう。酷い目に合わされても目が覚めないのか?と蔑むだろう。だけどそれでも彬がいい。彬だから許せるのだ。
ずぶ濡れになりながら忍は彬の車を追った。雷が怖いなんて言ってはいられない。彬と別れる事以外に怖いことは今の忍にはなかった。
角を曲がった車が忍の視線の先から消えた。
「あきら……」
夏とはいえずぶ濡れになった躰は冷え切ってしまっている。
「あきらのばか……」
涙も、雨の雫もぼろぼろに頬を伝い立ち竦む忍の足元に落ちて行く。
「ばか、ずぶ濡れで……何やってんだよ」
雷鳴に混じりそんな声が忍の耳に飛び込んできた。
「あ、あきら……彬だってずぶ濡れじゃん」
忍が言い終わる前に冷えた躰は彬の胸の中に抱きしめられた。
「ううっ……あきらのばかぁ」
「ごめん……ごめん……忍、お前にどう罵られてもやっぱお前が好きだ、ごめん」
「ううっ……うっ……あきら、あきら……いやだ、彬じゃなきゃ嫌だ」
「忍……俺……愛してるって言ってもいいか?」
愛を知らない彬が初めて口に出した。
嗚咽にまみれて返事など出来ない忍は、言葉の代わりに彬の唇に貪りついた。激しく返される口付けに忍は幸せを感じ、その躰に縋り付く。
「もう離さないで……」
忍の甘える言葉もまた直ぐに彬の口腔に呑み込まれていった。
雷鳴が遠くなり、雨も小降りになった頃我に返った二人は見つめ合いながら口元を緩め、そして、また深く唇を重ね合わせた。
<完>
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