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雷鳴 2

 21, 2010 14:27
忍が朝目覚めると一緒に眠ったはずの北村の姿が無かった。
(いったい今何時なんだろう?)
寝ぼける頭で周りを伺うが、時間が分かるような物は近くには無かった。
自分の携帯電話もズボンのポケットに中で、手前の部屋のソファの上に投げてあった。

「おいそろそろ起きろよ」
シャワーを浴びたのだろうか、北村はズボンだけ履いた格好で首にはタオルが掛け戻って来た。
「先輩、今何時ですか?」
「8時だ、講義は間に合うか?それより体は大丈夫か?」
(8時……一度部屋に帰って着替えよう)
そんな事をぼーっとする頭で考えていると、北村が「トーストでいいか?」などと聞いてきた。

「えっ?先輩って思ったよりも優しいんですね」などと言いながら忍はベッドから覚悟を決めて起き上がった。
「うっ」体が軋み腰も重かった。
「大丈夫か?……その……悪かったな、ちょっと俺もやり過ぎた」
北村は昨夜使ったバイブの事を言ってるのだろうか?
忍はもうそんな事はどうでも良いような気がして「別に……僕に拒む権利は無いですから」と自嘲気味に呟いた。

そんな忍を労わるような目で北村が見ている事など忍は知らない。
「ほら、珈琲でいいだろ?それより先にシャワー浴びるか?」
忍はふと北村の優しさが嬉しくて涙ぐみそうになって、顔を背けた。
それから、今度はゆっくりと体を起こしてベッドの下に足を下ろす。何とか歩けない事はなさそうだ。

「あ……っ」
忍は、自分がまだ体に何も身につけていない事に気付きうろたえた。
そんな忍に北村がバスタオルを投げて寄越す。
「ほら、シャワー浴びて来いよ」
「はい、お借りします」
忍は借りたバスタオルを腰に巻いて、風呂場に向かった。

そして、シャワーで昨夜自分が吐き出した汚れを落とそうと体を見ても、殆ど汚れが無い事に気付き驚いた。
(まさか北村先輩が……綺麗にしてくれた?)
何度も北村には抱かれたが、泊まったのは初めてだったから、今までそんなに北村が労わってくれた事は無かった。
抱く時は結構激しくて口調も乱暴なのに……その中に北村の優しさを忍は感じていた。

忍がシャワーを浴びて出た時に、足元に真新しい袋に入った下着が置いてあった。
躊躇った後、忍はその袋を開けて下着を身に着けリビング代わりに使っている部屋に戻った。
「先輩、これ……」
「ああ、予備だから返さなくていいから」
ぶっきら棒に言う言葉も今日はとても優しく感じてしまった。大学に行く前に着替えるつもりだったからいいだろうと考えて、下着以外は、昨日着てきた服を着た。

その後、北村が淹れてくれた珈琲と、焼いてマーガリンを塗っただけのトーストという簡単な朝食をご馳走になり、忍は部屋を後にした。
帰り際に「彬のことちゃんと考えた方がいいぞ」とまた言われ、忍はただ「はい」とだけ頷いて礼を述べ北村の部屋のドアを閉めた。

通学に便利の良い所にみんな部屋を借りているから、北村と忍の部屋もそう離れてはいなかった。とはいえ歩くと30分は掛かってしまう。
今日だけはちょっと贅沢をしようと思って、忍は通りかかったタクシーを止め、自分の部屋までタクシーで帰宅した。

ワンルームのマンションだが、忍には充分に贅沢な部屋だった。
マンションの賃貸料プラス生活費の一部は親が援助してくれてたから、忍は必死になってバイトをする必要もなかった。
親に感謝しながら、忍は質素な学生生活を送っていたのだった。

マンションの前でタクシーを降り、部屋の前まで行き鍵穴にキーを差し込んだ途端背後から来た男にドアを押され、部屋に雪崩れ込んでしまった。
「つぅ……」あまりの突然の出来事に忍はその相手が誰なのか、直ぐには理解出来なかった。

「おい忍、朝帰りとは良いご身分だなぁ。もしかして北村さんが朝まで離してくれなかったとか?」
そこには凄い不機嫌な顔の彬がいたのだ。
「どいて、僕学校に行く仕度があるから」
忍は、昨日の今日で彬に優しい顔など出来ない。

すると突然、彬が忍のシャツのボタンを飛ばしながら、前を肌蹴てきた。
「やだっ何するの?」露わになった胸を隠すように忍が叫ぶ。
「どれだけ先輩に可愛がってもらったのか、調べるんだよ」
不機嫌なままの彬がそう言い放った。
「いやだっ、帰って、触るなっ!」
今まで見たことのない忍の態度に彬の目が一段と険しく光った。

「来いよ、お前は俺のもんなんだよ、お前に拒否権は無いんだよっ」
そう言うと、彬は忍を部屋の隅にあるベッドの所まで引き摺るように連れて行った。
「ほら、脱げよ!脱いで俺の前で脚広げて見せろよ」
彬の強い口調に一瞬忍も怯んだが、きっと見据えてずっと考えていた言葉を吐いた。

「彬、僕と別れて……」
だが言った瞬間にその頬を彬の左手が掠めた。
「お前は俺のもんなんだって何度言わせるつもりだ?」
そう言うと彬は忍の肌蹴たシャツを引き上げ、そのシャツで忍の両腕を拘束して、ベッドの上に仰向けに転がした。

「その体に教え込んでやるよ」
彬の変貌ぶりに忍は怯えて首を振りながら、身を捩るが彬の手は忍が履いていたズボンをいとも簡単に脱がせ部屋の隅に投げた。
「いやっ!」忍は自分の情けない姿に眩暈を起こしそうだった。



「いやだ、止めてっ」顔を引き攣らせる忍の脚を彬は大きく広げた。
「やだっ!見ないでっ、見るなっ!」
忍の抵抗も虚しく、体はシーツに貼り付けられる。両手を拘束されている体は、思うように力が入ってはくれなかった。
広げられた脚の間に身を置かれれば、その秘めやかな場所を彬の目に晒してしまうのは必然。いくら恋人とはいえ、別れを口にした今それは、忍にとって屈辱でしかなかった。

「随分と熟れてるじゃないか」
彬の追い討ちを掛けるような言葉に、忍は唇を噛んで顔を真っ赤に染めた。
「彬が先輩の所に行かせたんだろう?」
「朝までヤって来いなんて言ってない」
「あ、朝までなんて……してない」

腰を高く上げさせられた蕾に直接ローションを垂らされた。
「やだっ!」
粘度の高いローションがたらりと窪みを伝って背中に流れ堕ちる。そして解しもしない蕾に、いきり立った彬のペニスが宛がわれた。
「やだっ!無理っ、彬やめっ、うっ……」
蕾をこじ開け、その肉を巻き込むように彬のカリ首がローションの力を借りずぶっと沈められた。

「やあーっ!無理っ、痛いってばっ、彬ぁ――」
元より忍の言う事など聞くはずもない彬のペニスは、忍の必死の訴えを無視しながら、その全部を一気に沈めきった。
体の痛みと心の痛みからは絶望しか生まれなかった。


(いいや……これで別れられる)


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