2ntブログ

スポンサーサイト

 --, -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

永遠の誓い 9

 13, 2010 13:37
自分の名前を叫ばれ、硝子が割れ散る中、空から降って来たかと思った。
瞬の声を聞いた永遠は緊張の強張りを解くと同時に意識を手放す。
瞬は自分の着ていたジップアップパーカーを手早く脱ぎ、全裸の永遠の体に掛けてやった。
永遠の痛ましい姿が心に痛い。
無事なのか・・・それとも何かされたのか今の様子では量り知る事は出来なかった。

「何をっ!」仁科の口から出た言葉は其処までだった。
言いかけた瞬間に瞬の右手が空を切った。
扉を封鎖する為に並べられた家具に強かに体を打ち付けて仁科が床に転がった。
「立てよっ!」
再び瞬の拳が仁科の左頬に振り下ろされ、そして続けて腹にもパンチが入る。
「永遠に何をした?」射抜くような眼差しで問われるが、
頬を押さえたまま仁科は状況を把握出来ないで、ただ驚きと激しい痛みに顔を歪めている。

ドンドンドン!!「瞬!」扉の外から岡野の厳しい声が聞こえた。
中の物音に何が起きているのか想像付いたのだろうか?
瞬は家具を押し倒しながら、封鎖された扉に近づき中から鍵を開けた。
廊下には心配そうな岡野や先輩、そして騒ぎを聞きつけた数人の寮生が何事かと言う顔で見守っていた。

部屋の中に岡野と先輩だけを引き摺りこむとまた扉を閉めカギを掛けた。
二人は頬を抑え蹲る仁科とベッドの上に両手を縛られた永遠を交互に見比べていた。

瞬はそんな永遠の傍に行き、縛り上げた包帯を丁寧に解き、
脱ぎ捨てられた着衣を手に取り唇を噛んだ。
「悪い、あっち向いててくんない?」
瞬にそう言われ、岡野と先輩は頷き永遠に背を向けた。
衣擦れの音とベッドの軋む音がが静かな部屋に僅かな音をたてる。

そして再び扉の外が賑やかになった。
「おい、開けろ!」「開けなさい」
寮の管理人が学校に連絡を入れ、夜勤の教師が呼び出されたようだった。
それもそのはずだ、窓ガラスを蹴破る音は寮中に響き渡ったはずだ。

「何をやってる!開けなさい!」怒鳴る教師の声を聞きながら
瞬はひとつ小さく溜息を吐いてから、岡野に向かって「開けろ」と目で合図した。
岡野も黙って頷き、カギを開けた。
と同時に教師と管理人が部屋の中に飛び込んで来た。

家具がなぎ倒され、窓硝子が割られた部屋を唖然とした表情で見回していた。
そして顔を腫らし蹲っている仁科に気付き慌ててその体を引き起こした。
「大丈夫か、仁科?」
「・・・・・」
「一体何があった?」
そこにいる教師も管理人も、ここにいる5人が普段問題を起こす事なく真面目に学生生活を送っている事は知っていた。
だからこそ、この惨状が理解し難いという顔で立ち竦む3人の顔を見回した。

「どういう事だ?」厳しい教師の目に瞬が一歩前に出た。
「俺が仁科さんを殴りました」少しふて腐れた様子で瞬が自分がやったと告白してきた。
「本郷・・・お前がやったのか?本当に?」
「俺が全部一人でやりました」

「どうして浅見が此処で寝ているんだ?」
この大騒ぎの中意識を手放している永遠をただ寝ていると勘違いしてくれた教師に
「浅見は関係ありません、ただ寝ているだけですから・・・」
本当の事を言う事が永遠にとって良い事か悪い事かの判断は出来なかった。
だが永遠を好奇の目に晒すことだけは嫌だ。

「仁科・・・」教師の目は今度は蹲る仁科に向けられた。
「・・・・」仁科の頭の中は凄い勢いで回転している。
今自分がとる態度と言葉で今後の全てが決まってしまう。
この事が公になれば勿論自分も困るが、永遠はもっと困るかもしれない・・・
だが本郷の存在は仁科にとって邪魔だ。
「仁科!」今度は強い口調で問い詰められ
「無抵抗の僕を本郷君は殴ってきました」と答えてしまった。

「理由は?本郷も元気な奴だが理由も無く手を出す奴じゃないだろう?」
「それは・・・きっと僕が浅見君と仲いいのが面白くなかったのかも?」
岡野と先輩の体が動いた気配を感じ瞬は二人を目で止めた。
「とにかく詳しい事は手当てしてからだ」
殴られた顔は腫れて、口端が切れて血が滲んでいた。
「保健室に行くぞ、本郷お前も来い」
教師に言われ、瞬は自分の手の甲も傷ついているのに気付いた。
ガラスが割れた時に当たったのだろう、手の甲が少し切れ血が滲んでいた。

先に部屋を出る教師が岡野たちに向かって「浅見を部屋まで連れて帰ってくれ」と言った。
岡野たちは頷き、心配そうに永遠を見て、そして瞬を見る。
黙って頷く瞬に岡野も頷き返した。

教師の後に続き部屋を出ようとした時に仁科が瞬の耳元で囁いた。
「永遠の体、凄く良かったよ」と。
抑えていただけで、治まっていなかった瞬にもう一度火が点いた。
乱暴に仁科の胸倉を掴んで壁にドンと押し付けた。

「本郷!」鉄拳が振り落とされる前にその体を教師が羽交い絞めした。
教師の腕を振り解こうと瞬も必死だったが、岡野の先輩も一緒になって瞬を止める。
『凄く良かったよ・・・』仁科の言葉が怒りに満ちた脳内でリフレインする。
ずっと守ってきたはずなのに、肝心な所で手遅れになってしまった・・・
自分の甘さに悔やんでも悔やみきれないで瞬はギリギリを唇を噛んだ。




すみません、まだリアル忙しくて・・・

55555のキリ番の申告があるかと思って、コメ欄あけていたのですが・・・
残念ながらいらしゃらなかったようで^^;
次の機会を楽しみにします。
ありがとうございました。


ブログ村とFC2の2つのランキングに参加しています。
2つ押して下さると凄ーく嬉しいですが、
1つでも凄く嬉しいです(*^_^*)

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村



関連記事

WHAT'S NEW?