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永遠の誓い 7

 11, 2010 00:00
そしてその2年後、入寮して来た永遠を見て仁科は内心狂喜乱舞していた。

自分の顔を見ても何の警戒心も不快感も示さない永遠を
最初は不審な目で見ていたが、何度寮ですれ違ってもその態度は変わらなかった。

仁科は中学の教諭をしていたが定年退職し、
今はこの寮の管理人をしている佐藤の元に探りに行った。
「佐藤さん、今年は1年がこの南に入って来たんだね」
優等生でこの南棟の寮長の仁科の言葉に
「ああ、何か事情がありそうなんだけど、私には詳しい事は判らないよ」
「そう、でも僕も少しは彼の事を知っておかないと、
何かあった時に対応できないんだけどなぁ・・・」と惚けて探り続けた。

「浅見君の父親ってのが海外転勤になったらしくて、急遽この寮に入る事になったらしいよ、
あ、そう言えば入寮者の名簿を見せてくれって言ってたなぁ」
「見せたんですかっ!」
突然言葉が強くなった仁科に少し驚いた顔を佐藤が向けた。
「あ、いやほら・・最近は個人情報とかうるさいから、
後で佐藤さんが困った事にならなきゃいいなぁって思って」
言い繕う仁科に「見せたよ、これ」と見せられた名簿を仁科は震える手で受け取った。

部屋番号と名前だけが書いてある方の名簿だ。
保護者の住所や連絡先は書いてはなかった。
『それにしてもおかしい・・・』
仁科はそう思いながら、あるべき自分の名前を探した。

「佐藤さん、僕の名前が無いですよ」わざと揶揄するように言うと
「あぁ仁科君のは表紙だから抜けてたんだよ」
「えっ?」
「ほらこれ」と出された東棟と南棟の名簿。
「南棟」と書かれた下に『寮長(305号室) 3年E組 仁科真一』と印刷されていた。
安心した仁科は「ま、詳しい情報が記載されてる訳じゃないから・・」
とその名簿を佐藤に返した。
私が働いていた時代は今みたいに個人情報云々が煩い時代じゃなかったのに・・・
そんな独り言みたいな事を言う佐藤に、「じゃお疲れ様です」
と仁科は大声で笑いたいのを堪えて自室に戻った。
何もかもが自分の都合の良いように流れている。
それが嬉しくて仕方なかった。


あの病院での出来事の後、両親の態度が変わった。
特に母親は、仁科の下着すら洗ってくれなくなった。
潔癖症の母は自分の息子が仕出かした行為に嫌悪し、そして許さなかった。
その当時は少し無理して自宅から通学していた仁科はそれを機に入寮を申し出、
運良く空きがあったから入寮でき現在に至っていた。
『寮で問題を起こしたら、今度こそ親子の縁を切る』
そこまで言われたが、自分は男に興味があるのでは無く永遠だから興味があるのだ
『もうそんな事はしないよ、あの時は魔がさしたんだ』
仁科自身本当にそう思っていた。

そして真面目に高校生活を送っている仁科に両親も安心していた。
だが新1年生が南棟に入寮して来た時に封印していた魔が再び姿を現したのだ。
それでも仁科はそ知らぬ振りして耐えた。
とにかく良い大学に入る事を目標に、持て余す熱は永遠の事を思いながら自慰でやり過ごした。

『これが最後のチャンスだ』2年前と同じ失敗は許されない。
自分も永遠もあの頃よりは大人になった、もしかしたらこれを機に何かが始まるかもしれない。
仁科にはそういう甘い期待さえもあった。
国立大学への切符を手に入れた事で親の信頼も取り戻し、
今夜さえ上手くいけばこれからの人生薔薇色だ。

仁科は眠れないと嘘を吐いて処方してもらった睡眠薬を珈琲に混ぜて
永遠に飲ませたのだった。
一流の大学を狙っている受験生が少しノイローゼを装い
「眠れない」と言えば医者も簡単に軽い物ならと誘眠剤を処方してくれる。
無味無臭の眠剤は珈琲に混ぜようが水に混ぜようが、
何の警戒もしていない永遠に飲ます事はいとも簡単だった。

「あの頃とちょっとも変わらない・・・」
白く透き通るような肌を眺め、そして眺めるだけでは飽き足らず、その腿を撫でてみた。
「まるで吸い付くような肌だ・・・」
ただ腿に触れるだけで気分が高揚してしまう・・この感覚はあの頃の比では無かった。
中学の頃よりだいぶ身長が伸び、その脚はカモシカのようにすらっとしていた。
体毛も殆ど無い綺麗な体は何時間見ていても飽きないだろうと思ったが
自分のカチカチに固くなった体が先へと急がせる。

そう強い薬じゃない、体への刺激で目が覚めるかもしれない危惧から
仁科は用意しておいた包帯で永遠の手首を一つに絡めベッドに縛り付けた。
口は・・・・いいこのままで。
もうこの階には自分しか残っていないのだから、多少の喘ぎ声なら平気だ。
自分も早く大学に通う準備をするようにと、親に急かされていたが、
せめてこの階に誰も居なくなるまでと指折り数えて待った。

そして今夜がその夜なのだ。
一度永遠に快楽を教え込めば後はなし崩しになると仁科は考えていた。




「どうしたんだ?さっきから携帯握り締めて」
瞬は同室の岡野に揶揄された。
毎晩永遠とメールのやりとりをしているのを知っているからだ。
「あ、メールの返信が30分も無いんだ」
「風呂でも入ってるんじゃないのか?」
「いや、永遠の風呂の時間はいつも9時頃だ、もうとっくに上がってる筈だ」
「電話したのか?」という岡野の言葉に勿論と瞬は頷いた。

「何だかイヤな予感がする・・・」もう直ぐ10時になる。
「たかが30分で・・大袈裟だな」溜息混じりに言う岡野に
「また具合でも悪くなってるんじゃ?」
そう言われたら岡野も知らん顔は出来なかった。
「南棟に行ってみよう」
岡野の提案に瞬が勢いよく部屋を飛び出した。





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COMMENT - 10

けいったん  2010, 12. 11 [Sat] 01:31

とっとっと走れーー

永遠の 危機に 間に合うのーー(ii0ii)
もう 手許に ムチが あったら 競馬の馬のように お尻ペンペンするわよ、瞬!

これ以上 永遠に 何か あったら 心が 壊れちゃうよ~~(T▽T)

いざとなったら 私がぁ 助けるからね!C=c=c=「(;´o)」...byebye☆

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tukiyo  2010, 12. 11 [Sat] 09:07

おお~~~。
私も駆けつけまする~~~。
ハイヤ~~~!ビシッ!

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-  2010, 12. 11 [Sat] 11:35

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jun  2010, 12. 11 [Sat] 12:55

永久と東条にそんな接点があったんですね。
でもそのことを永遠は全く記憶していない。
だから東条に何の警戒感も持たないで、良い先輩として接してきたんですね。
でも、その東条の毒牙に襲われようとしている。
永遠の危機、瞬は果たして救えるのかな?
次回が楽しみです。

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-  2010, 12. 11 [Sat] 18:28

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kikyou  2010, 12. 12 [Sun] 02:24

Re: とっとっと走れーー

けいったんさま

こんばんは。
今回はみなさんタイトルが面白いので残しておきます^^

もう永遠を助けてあげれるのは瞬だけなんですが、さて間に合うか?

けいったんのムチが瞬まで届く事を祈りつつ

コメントありがとうございました(^^♪


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kikyou  2010, 12. 12 [Sun] 02:26

tukiyoさま

こんばんは。

駆けつけて下さいますか!

現在の所トップを走ってるのはけいったんさんです^^

何だか皆さん頼もしいです(#^.^#)

コメントありがとうございました。

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kikyou  2010, 12. 12 [Sun] 02:30

鍵コメ 此花さま^^

こんばんは。

って鍵コメでしたが、いいんですよぉ。
どんどんオープンで教えて下さいネ。
ありがとうございました。
随分日にちが経ってるのに気付かなかった^^;


おっ!3番手走って下さいますか?
ありがとうございます。(財布を放り投げて(笑))

でも仁科みたいな思い込みの激しい奴って居るんですよね、リアルでも。

瞬が一刻も早く・・・でも最初は私もっと酷い方向に考えていたんですが^^;
やはり出来ませんねぇ・・

そろそろ此花さんもエロを(笑)

コメントありがとうございました。

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kikyou  2010, 12. 12 [Sun] 02:31

junさま

こんばんは。

永遠は過去の記憶を失くしてましたからねぇ・・・

永遠の危機に瞬が間に合わなくてどうする!って感じですね(笑)

そして心も救ってあげて欲しいです。

コメントありがとうございました。

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kikyou  2010, 12. 12 [Sun] 02:34

Re: やっぱりレーダーが・・・

鍵コメ Cさま

今3人の方が走ってくれてます(笑)

実際永遠の所にも3人で走りました(爆)

部屋の鍵を壊して下さるとな!頼もしいです。

でも今回は瞬にヒーローになってもらいます~

コメントありがとうございました(#^.^#)

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