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永遠の誓い 10

 14, 2010 20:04
「宇佐美先生、俺は治療の必要はありませんから」
そう言いながら瞬は手の甲をぺろっと舐めた。
「いいから此処に座れ」宇佐美は消毒液を手に瞬を無理やり座らせた。
「ツッ!」消毒液が沁みて眉を顰めた瞬をほら見ろと言わんばかりに宇佐美が睨んだ。
その横では仁科が冷やしたタオルを顔に当てていた。

「本当の原因は何だ?」どうしても一方的に瞬が暴力を振るったとは思いがたい。
「・・・・」仁科は沈黙して瞬は「大した事じゃないです・・・」と答える。
「このままだと停学は免れないぞ」宇佐美は脅すように言うが瞬は動じなかった。
手を挙げた時点で自分の方が不利である事は充分に承知していた。
だが本当の事を言うわけにはいかなかった。
それが仁科を庇うような結果になろうとも、自分が停学になろうとも言ってはならない。

「仁科、君はどうして何も言わない?」
一方的に殴られたのなら、もっと仁科から反撃の言葉があってもおかしくない。
「・・・・・」仁科は相変わらずどう言っていいのか判らなかった。

「先生、もういいですか?俺、浅見の具合も心配だし・・・」
瞬の申し出に溜息を吐きながら、どうしたもんか?と宇佐美も考えていた。
そこに瞬の携帯が賑やかな着信音と共に震えた。
瞬はポケットから携帯を取り出して表示を見ると、永遠に付き添ってる岡野からの電話だった。

「もしもし!」瞬は逸る気持ちで携帯に出た。
「あ、瞬、大変だ浅見が目を覚まして興奮してる、早く来てくれ!」
岡野の声も切羽詰っていた。
「先生、俺浅見の所に行きます!」そう言うと宇佐美の承諾も待たずに瞬は保健室を飛び出した。

走って永遠の部屋に入ると、ベッドの上で永遠が興奮状態で「いやだっ!」と叫んでいた。
必死にその体を抑えようとしている岡野に「俺が」と言って抗う永遠の手を押さえた。
「永遠!俺だよ瞬だよ、判るか?」
「イヤッ!止めて、来ないで!」
「永遠!!」
「・・・・瞬?」瞬の大きな声にやっと瞬を認識したかのように見えた。
「永遠大丈夫だ、もう大丈夫だから落ち着いて・・・」今度は宥めるように優しく言った。

「しゅん・・・タスケテ」
瞬は壊れそうな永遠の肩に手を置き自分の胸に抱き締めた。
「大丈夫?苦しいのか?」
「瞬、痛い・・助けて・・・」永遠の細い体はガクガクと震えている。
「大丈夫だから安心して」
「いや・・入れないで、助けて痛い・・・」

この時瞬は気付かなかったが、永遠はさっきの出来事と2年前の記憶が混同していたのだ。
そんな永遠を強く抱き締めながら『くそっ!許さない仁科』
瞬の怒りは沸点をとうに越えていたが、今は永遠を落ち着かせる事が先だ。

瞬は永遠の顔を覗きこむように見て「永遠俺が誰だか判るか?」と聞いた。
「瞬?」「そうだ瞬だ、だから安心してもう怖い事は無いから」
やっと現実の瞬を確認したようだ、永遠の目からはボロボロと涙が零れ始めた。
「瞬・・・瞬」永遠は瞬の背中に腕を回しこれでもかという力で抱きついてきた。

そんな二人を黙って見ていた岡野に陸上部の先輩である曽根が
「こいつら付き合ってたのか?」と小さな声で聞いてきた。
「いや、そこまでは行ってなかったはず」
瞬が永遠を好きだと言葉にしたわけじゃなかったが、同室である岡野は瞬の思いを知っていた。
いや同級生全員が知ってるのでは?
と思うくらい瞬は永遠に近づく奴を威嚇して追っ払っていた。

それは笑えるくらいに誰の目から見ても『永遠を好きだ』という気持ちの現われだった。
だが、それに対して永遠はそういう目で瞬を見ているようには思えなかった。
一番仲の良い友達ぐらいにしか写っていなかった。

だがさっきの興奮状態の永遠を止められるのは瞬しかいないだろう・・・
無意識に瞬を違う気持ちで見ていたのだろうか?
それならばそれでいい、瞬の気持ちも報われたのかもしれない。そう岡野は思った。

「瞬、僕から離れないで・・またお兄ちゃんが僕を・・・」
落ち着いたかと思っていた永遠がまた少し怯えだした。
「大丈夫だよ、ずっとこうしてるから心配するなよ」
『お兄ちゃん?仁科の事なのか?』
瞬の中ではまだ駒が揃いきっていなかった。
だが今の永遠に色々尋ねる事は出来ない。
今はただ永遠の怯えを取り除いてやる事だけを考えた。

「今日は俺ここで寝るから?いいよな?」と言った。
「うん、でも僕寝ないから、ずっと起きてる・・・寝たら痛いことされるからイヤだ」
「大丈夫だよ、痛い事もイヤがる事もしないから、ゆっくり寝て」
そう言いながら瞬は永遠の話し方が何となく幼くなっている事に気付いた。
『もしかして、もっと幼い頃に何かあった?』
判らない事だらけだった、そして一番気になるのは
今夜瞬たちが仁科の部屋に到着するまでの間に・・・やはり・・・

痛いと言い続ける事はそういう事なのだろうか?
こんな永遠の体を調べる事は出来ない。
もしかしたら、治療した方がいいんじゃないのか?

『永遠の体凄く良かったよ』仁科の声が何度も瞬の心に杭を打つ。
ギリギリと唇を噛みながらも永遠の髪を優しく撫で続けた。



慎重に考えた挙句、もし切れてたりしたら大変だと思って、
永遠が怯えないように優しく腫れ物に触るように聞いてみた。
「永遠、痛い所に薬塗らなくていいの?」
「・・・・瞬が薬塗って」




すみません、更新だいぶ遅くなりました!!
お詫びに書き上げてから、最後の4行付け足しました(*^。^*)

次は頑張って早く書けるように・・・・努力しますっ!!


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COMMENT - 15

アド  2010, 12. 14 [Tue] 20:32

(◎ω◎)

待ってました~~♪

きゃー、きゃー、きゃー!!
最後の4行!!しかと受け止めました!!
遅くなっても更新! kikyouさん凄い!!

仁科キモイ! そして瞬がカッコいい!
後ほどメルしますねーヾ(´∀`〃)ノ~♪

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kikyou  2010, 12. 14 [Tue] 20:35

アドさま

こんばんは、今日はお疲れ様でした。
楽しかったです(*^。^*)

いや~やっとこさ書き上げました。

まだまだ過去と今が区別ついていないような永遠です。
薬本当に塗るのか?!
でも体も傷ついてると思っている瞬・・
慎重に行動しなくてはダメだよ~
瞬にとっては結構残酷で忍耐を要する事ですねぇ^^

コメントありがとうございました!

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-  2010, 12. 14 [Tue] 20:53

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-  2010, 12. 14 [Tue] 21:24

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tukiyo  2010, 12. 14 [Tue] 21:24

お薬~~~

キャァァァァ~~~。
瞬くんがお薬塗り塗りするとこ見るぅ~~~。
誰ぞ、馬引けぇ~~。ハイヤ~~ピシッ!

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-  2010, 12. 14 [Tue] 21:29

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kikyou  2010, 12. 14 [Tue] 22:04

鍵コメ 8さま

こんばんは。

い・息を吐いて下さい(笑)

永遠のトラウマの当事者である仁科、再びでした!

そして無条件に瞬には心を許している永遠。
その意味する所は?
(まだそれを見つけられずにいる書き手です^^;)

そして瞬の試練(-_-;)
ちゃんと、冷静にお薬ヌリヌリ出来るのでしょうか?
指とかプツンと入れちゃダメだよ^^;

そして、永遠が瞬を男としては認識しています。
安心な仲間として・・・のような気もしますが"^_^"

次の話は瞬を苛めながら書きたいと思っている酷い作者です\(゜ロ\)(/ロ゜)/

コメントありがとうございました。

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kikyou  2010, 12. 14 [Tue] 22:07

鍵コメ Yさま

こんばんはー。

仕事・・・?\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?

ふっ・・・・


いいないいな!と言う事は?おめでとう!いいないいな・・・・
ちょっと禁断症状が出ています。

ヤられてはいませんよぉ(笑)
わざと紛らわしい書き方をしていますが・・・
瞬もそう勘違いしています。

クリスマス企画・・・・私の2500文字は何処へ?(泣)
あとで拝見させて下さいネ。

コメントありがとうございました。

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kikyou  2010, 12. 14 [Tue] 22:09

tukiyoさま

こんばんはー。

お!今度は馬ですかっ!(笑)

薬・・・試練ですねぇ。
ちゃんと上手く塗ってやれるでしょうか?

堪えろ、瞬!って感じですね( ^)o(^ )

コメントありがとうございました!

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kikyou  2010, 12. 14 [Tue] 22:13

鍵コメ Cさま

こんばんは。

何故か瞬に懐いている永遠・・・
だからお薬塗って?(笑)
でも瞬には酷な事です。

冷静に薬を塗ってあげれるのでしょうか?
あぁちょっと悪戯したい作者ですが・・・ここはシリアスに?(笑)

おお、誤字ありがとうございます!(誤字か?誤打・・?(笑))
早速直しました。

コメントありがとうございました(#^.^#)

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kikyou  2010, 12. 14 [Tue] 22:16

鍵コメ NHさま

こんばんは(こっちで返信(*^。^*))

ありがとうございました、早速直しました。

更新遅くなったのに、優しいお言葉ありがとうございます!
次話は出来るだけ早く更新しますねぇ♪♪

これからヌリヌリのお話書きます\(^o^)/

コメントありがとうございました。

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此花咲耶  2010, 12. 14 [Tue] 22:19

kikyouさま

(´・ω・`) あう~・・・kikyouさまの、いじめっこ~。
後退性健忘症と言うのがあるのです。もしかすると永遠くんは、こうなるのかなと胸が痛くなる思いで見つめていました。
ずっと一途な思いで、永遠くんを守ってあげて欲しいです。
でもこの気持ちが湧き上がって、永遠くんを欲しいと思うたびに瞬くんは自分を醜いとか思ってしまうのでしょう。切ないです。
お薬を塗ると、心の痛みも体の痛みも、みんな直ると考えている幼い永遠君の言葉が悲しい。・・・けど、ここのところの表現がすごく好きです。←ろくなやつじゃない・・・。

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kikyou  2010, 12. 15 [Wed] 01:39

此花さま

こんばんはー。

あはは・・・いじめっこ^^;
試練です(キッパリ←此花風)

永遠の自衛本能なのでしょうね。
なんたって、あの絵は18歳!
それまで瞬もお預けなんですよ~

イラストでは18歳に設定してしまった(してしまった?(笑))
のに、話は16歳から始まった為にとんでもない設定にされてしまった永遠。

そして2年以上もお預けの瞬。

そうです!イケナイ事は18歳になってからです(キリッ)

コメントいつもありがとうございます(*^。^*)

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jun  2010, 12. 15 [Wed] 05:08

お早うございます。
永遠、2年前と今が一つになってる。
でも、瞬にはすべてを任そうとしてる。
でも瞬、本当にちゃんと薬塗れるのかな?

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kikyou  2010, 12. 16 [Thu] 23:31

junさま

こんばんは。

まだまだ永遠は混乱しています。

何故だか瞬には気持ちを許しているんですよねぇ。
全くどうしてなのか?
何かがあるんだと思うのですが・・・

リコメ大変遅くなりましたが、コメントありがとうございました。

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