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立夏とふたりの野獣 7

 20, 2011 00:11
 さすがに2泊目となると姉も不安な声をしていた。
「何か、ご迷惑をお掛けしているのではないのね?」
「うん、先生の仕事が凄い忙しくて……」
「立夏でもお役にたてるの?」
「姉ちゃん、僕だってもう大人だよ。そんなに僕のことばかり心配しないでよ。姉ちゃんはご主人の事だけを考えてくれればいいから」
「ご、ご主人だなんて……まだ早いわよ」
 電話口で姉が顔を真っ赤にしているのが想像出来た。
「だから心配しないでね、もしかしたらあと何日か泊めてもらうかもしれないから」

 その後、幾つかのやり取りを終えて立夏が電話を切った。
ふと見ると、慶吾と徹がにやけた顔で立夏を眺めていた。
「まるで、新婚さんの会話だな」
 さっきまで剣呑な雰囲気だったのに、長年の付き合いのせいなのか、今は普段と全く変わらない二人の顔を交互に見ながら、慶吾に向かって頭を下げた。
「今夜も宜しくお願いします」

「じゃあ明日は俺の所に泊まれ」
「徹さんの部屋の何処に僕が寝られる場所があると言うのですか?」
「だからほら……重なって寝ればいいだろう?」
「はあ?それこそ寝にくくて仕方ないですよ」


「そんな事より、俺はちょっと出かけて来るよ」
 慶吾がそう言って立ち上がった。
「先生、仕事ですか?それなら僕も手伝います」
「いや……仕事じゃないよ。ちょっと野暮用さ」

「ああ、行って来い。立夏の事は心配するな、俺がきちんと面倒見てやるからゆっくり楽しんで来い」
 徹は嬉しそうに慶吾の背中を押した。
「悪いが頼むよ。夕飯の材料は俺が買って来るから、昼飯は適当に食べておいて」
「先生……」
 立夏は置いて行かれる子供のような顔をして慶吾を見た。
「大丈夫、心配しないで。立夏はゆっくり休んでいなさい」

 慶吾は、店の二階の作業場でドレスの作り直しをするつもりだった。デザイン画のラフは夕べ立夏が寝入ってから描き上げていた。だがそれ以上の作業は立夏の前では出来ない。徹が帰って来たのは想定外だったが、逆に立夏に寂しい思いをさせるよりはマシかもしれないと、自分に言い聞かした。

「僕は子供じゃありませんから」
 二人があまりにも子供扱いするので、立夏は不満そうに口を開いた。
「そうだな、悪かった」
 徹が珍しく立夏に同意し、謝った。

「子供じゃこんな色気のある顔はしないよな」
 謝った言葉の後に、徹はにやにやと厭らしい笑みを漏らしながら、胸ポケットから数枚の写真を抜き取った。

「え……?」
 だが、徹から写真を受け取り眺めていた慶吾の顔が厳しいものに変わる。
「先生、何?」
 立夏がその写真を覗き込もうとしても、慶吾は見せてくれなかった。
「狡い、ふたりだけで楽しんで」
 立夏は先の徹の言葉を全く理解しておらずに、何の写真か気づいていなかった。


「立夏、また写真のバイトするか?」
 慶吾の顔色などお構いなしに、徹がそう声を掛けてきた。
「写真って……どっちの?」
 立夏はこの徹にまともな写真など撮ってもらった事はない。女装しているか、何も着ていないか……

「徹!俺のいない所で勝手な真似はするなよ。立夏もモデルなんかなるな。分かった?」
「先生……はい、分かりました」
 立夏は慶吾の言葉に素直に従ったが、徹は肩を竦め煙草に火を点けた。

「この部屋は禁煙だ。吸うなら自分の部屋に戻ってから吸えよ」
「はいはい、部屋に帰るよ」
 慶吾の不機嫌な声に、徹も素直に従う。そんな二人は仲がいいのか悪いのか、立夏はまた首を傾げる。


「じゃあ行って来るよ。なるべく早く帰るから」
「ふん、まるで新婚だな」
 揶揄するような言葉を吐きながら徹が荷物を抱え自分の部屋に戻ろうとしていた。

「俺がいない間にちょっかい出すなよ」
 慶吾は一緒に玄関の扉を開けながら、徹にしか聞こえないような声で呟いた。
「いってらっしゃい」
 何も気づかない立夏は、二人の背中に向かって明るい声を掛けていた。



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何か……「萌え」ない回ですね……。
書き間違い教えて頂きましたヽ(゚∀゚)ノ有り難うございます。

それと、私のエロPCは「行った、言った」と打とうとしても先崎に「達った」が出て来ます。
だから、時々気づかないでそのままの時が、あります。
何回か前の話で見つけました。えっと……まだ訂正していません^^;


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COMMENT - 1

-  2011, 10. 20 [Thu] 08:11

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