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再)僕の背に口付けを 5

 24, 2011 00:00
そう聞いてきた千尋の目は、大概の事に動じない光輝に鳥肌を立たせた。
 (ぞくぞくする……)
 その手の男と睨み合って負けた事も無かったし、負ける気もした事は無かった。だがこの千尋の目は違う意味で逸らせない。光輝は掠れた声で「ああ……お前とSEXしたい、千尋を抱きたい」と答えた。

「いいよ、抱いてみれば?」
 その言葉に光輝が固唾を呑み込んだ。千尋のその目は喧嘩を売っている訳でも、誘惑している訳でも無かった。ただ何かに挑んでいるような……だけど何故か諦めているような不思議な目の色だった。

(この目を情欲に染めてみたい)

「どういう意味か判って言っているのか?」
「判っているよ……」
「お前は……誰かに抱かれた事があるのか?」
「無いけど……」光輝は千尋の目が一瞬泳いだのを見逃さなかった。
「けど何だ?」
「抱いた事なら一度ある……十七才の時」
千尋が男を抱いた事がある、と言うのが光輝にはしっくり来なかった。
「はん?そんな餓鬼のおママゴトみたいなのと一緒にするな、俺が本当のSEXを教えてやるよ」

 千尋はこれまで、特に女性の身体にも興味が持てずに、そして十七才の夏のたった一度だけの経験にも、それを繰り返す程の興味も持てないでいた。それ以来誰の誘いも乗らずに誰も受け入れず今まで生きてきた。 千尋に残された道は受け入れる事?薄々自覚はしていた。ただそれを認める事が怖かった。千尋は自分が変わってしまうのが怖かった。

 ふっと千尋の身体が浮いた。突然光輝の肩に担がれ部屋を移動しているのだ。
「馬鹿……降ろせ……」背中を叩くと竜の目が千尋を捕らえた。

(伯父さん……)

『千尋……正直に生きろ、自分の心に正直に生きたらもし失敗しても後悔しない。だがな、自分を偽って失敗したら後悔するだけだ、そんな無駄な生き方をするな』伯父は千尋の性癖が判っていたのだろうか?

 千尋は担がれたまま、竜に指先で触れた……そして身体をどさっとベッドに落とされる。
「覚悟はいいか?もう戻れないぞ」同じ台詞を前にも聞いた。千尋が刺青を入れると決めた時、最後まで躊躇っていた伯父が千尋の説得に負けた時だ。

『覚悟はいいか?もう戻れないぞ……』
 その時千尋は伯父の目を正面から見て「はい」と頷いた。光輝の顔が近づきベッドに横たわる千尋の唇を奪った。光輝の舌が口腔に滑り込み、そして歯列をなぞり千尋の舌に絡まる。光輝は唇を付けたまま千尋のシャツのボタンに手を掛けた。

 その指はゆっくり味わうようにボタンを外して行く。光輝の大きな手が千尋の平たい胸を弄るように撫でまわし始めた。光輝の唇が首筋をなぞり鎖骨を舐め、指が千尋の小さな尖りを摘んだ。

「!」千尋は声を漏らすまいと唇を噛んだ。そんな千尋を片目でちらっと見て、光輝が口角を上げ、じわじわと甚振るように、尖りを責める。
「……っく」妙な感覚に千尋は手の甲で自分の口元を塞いだ。

 光輝は片方の尖りに舌を這わせ「はぁっ」と小さく息を吐く千尋に向かい「強情だな」と漏らす。光輝の頭には『啼かぬなら啼かせてみよう不如帰』そう言った戦国時代の武将の顔が浮かんでいた。指できゅっと摘み唇で吸い、舌で舐め上げる。
「あっ」千尋の口元から少し声は漏れたが、それはまだ喘ぎには程遠かった。

 光輝は執拗に胸の尖りを舌で転がし吸い上げ、そして指で捏ねる事も忘れない。
(千尋啼け……)心の中で命令し、そして軽く歯を立てた。

「あ……ぁぁ」
「感じるんなら、ちゃんと声を出せ」
「やぁ……っ」
(いやだ……この感情の行き着く先が怖い……)

「あぁ……っ……あぁぁ」
 心が拒絶しても身体が悦んでいる、千尋は今快楽の波に呑まれようとしていた。光輝の執拗な愛撫に悶えながらシーツの波で泳ぐ。

 すると次は光輝の手がベルトに掛かった。
「やぁ……自分で」せめて今の身体を見られないように自分で脱ぎたいと千尋は抗う。
「女の服だって脱がせた事が無い俺が脱がせてやるんだ、光栄に思え」
(そんな名誉は要らない……)
 光輝の手がジッパーをゆっくりと下ろした。
「いやだぁ!」千尋の抵抗も虚しく、光輝の手が千尋のズボンとボクブリを同時に引き抜いた。

「ああ……」千尋は観念せざるを得なかった。光輝の前に一糸纏わぬ姿を晒してしまっている。手が千尋の白い腿を撫でた時千尋は一筋の涙を零した。
「何故泣く?」その言葉が妙に優しくて、千尋は震える唇をそっと噛んだ。

(……人の手って暖かい)
 光輝の手は千尋を焦らすように腿を撫でる。
「……ぅ」千尋は声に出さないように吐息を漏らすが、その吐息が震えていた。
「千尋、素直になれ、素直になって現実を受け入れろ。俺とお前はこういう縁で結ばれていたんだ」
(縁など要らない……僕はただ自分の嗜好を見極めたいだけなんだ……)

 光輝は強情な千尋を辱めるように、体を転がしうつ伏せにした。くいっと腰を引き上げられ、千尋は四つ這いの獣のような体勢にされた。その体勢で太股の内側を愛撫される。
「あぁ……」擦るように膝まで下がり、そして又ギリギリの所までさわさわっと撫でられた。
「あぁ……」全てが丸見えの状況でそんな事をされると、体を支えている両手両脚がガクガク震えてしまう。

「やめ……あぁ」光輝の指が性器を避けて腹を撫でている。
「まだだな……」湯にも浸かってないし、酒も飲んでいない体は簡単には色を出さない。

「やあ――っ」光輝の両手が千尋を押し開いた。尾てい骨の辺りに熱い唇を感じて体がぞくっとし、そして舌先で舐められた途端「ああぁぁ……」と、千尋の口から抑えていた声が甘く零れた。

 腰と尻の狭間がえも言われぬ快感を千尋に与えてしまう。
「ここが良いのか?」
聞かれても素直に返事など出来ない、背骨を辿り這い上がる唇に背中が仰け反る。
「はぁ……っ」まだ本当に欲しい場所への愛撫は施されなかった。
(もどかしい……)
 光輝は背中に口付けを落としながら、手を前に回し千尋の胸の尖りを指の平で転がした。固くなって来たそれを爪で引掻いた時、千尋の腰が揺れた。
「千尋、こういう時に何て言えばいいのか、知っているか?」
そんな千尋に光輝が問いかけて来た。
 唇を噛んだままの千尋の耳元で「気持ちいいって言えばいいんだ」そう甘く囁き舌で耳をペロッと舐め、両手で胸の尖りを摘んだ。

「ああぁぁ……いい……」もう千尋の意地も限界だった。
「そうか、良いか」満足したような光輝の声に「あぁ……いい……」と繰り返し千尋は訴えた。
「もっと良くしてやる」
 そう言うと今まで存在が無い物のように無視されていた千尋の昂りに手が伸びた。
「やっ」あまりの刺激の強さに気持ちと裏腹な言葉が、千尋の口から飛び出る。

(身体が熱い……)

「千尋、気持ち良いんだな……」
感激したような光輝の声に千尋のもうひとつの身体が反応を示した事がわかった。
「あ……っあ……っ」光輝の手の動きに合わせたように千尋の声が上がり、腰が蠢く。

「ここが唇だ……ここが掌だ……」
光輝が千尋にその姿を教えるように口付けして行く。
「ここが……ここが雅さんの魂だ……」
その言葉を聞いた時に千尋の目からは、新たな涙が零れ落ちた。

「ああ……僕は……もう戻れなくなってしまった」
「何処に戻る必要がある?ここが始まりだ」
「始まり?」
「ああそうだ、此処から全てが始まるんだ」
力強い光輝の声に千尋の心を覆っていた暗雲が動き出した。

「僕は男の人を好きになっても許されるの?」
「男じゃない……俺だから好きになれ、俺を好きになればいい」
そう言うと千尋の身体を仰向けに返した。そして千尋の髪と頬を撫でた後、その唇をそっと唇に重ねた。

「あぁ」その時千尋は初めて光輝の背中に腕を回して抱き付いた。そして見えない竜を撫でる。
「この身体はお前にくれてやる」そう竜が吼えた気がした。

 光輝の指が千尋の尻を撫で、そして心を決めたようにその指を窪みに這わせて、そっと滑り落とした。
「あっ!」千尋の小さな叫びは光輝の唇で又塞がれる。光輝の指の動きに叫び出したい気持ちも強かった。 だけど、その先の自分を見てみたい気持ちの方が大きい。傲慢そうに見える光輝だったが、その指先は優しく千尋の身体を労わるような動きだった。

「ああ……」千尋が慄くと、又口付けが落とされる。
 それを何度か繰り返した後に、ローションに濡らした指が千尋の身体に忍び込んだ。
「うっ……ぁぁ……」

 引き攣るような痛みと異物感に身体が強張ってしまう。そんな千尋の瞼に光輝は何度も口付けた。そして「雅さんが与えた痛みに比べたら大した事はないだろう?」と諭すように呟いた。きちんと色を付けている千尋にだからこそ言える言葉だった。

 想像以上の痛みで、筋彫りだけで止めてしまう輩も大勢いる。だが中途半端な彫り物はこの世界では笑われるだけだった。金が無くても、根性が無くても手彫りの彫り物を完成させる事は出来ないからだ。

 光輝の言葉を受けて千尋の目が挑むような目に変わった。
「……もっと」
「そうこなくっちゃな」その声色は揶揄するようにも、感心するようにも聞こえる。光輝の指が千尋の中で蠢く。
「あ……っ」光輝の指が増やされる感覚に千尋が小さく喘いだ。

 二本の指にだけ意識が集中してしまう。
「はぁ……」息を吐きながら千尋は光輝の指を奥まで受け入れた。身体の中を光輝の指が浅く深く弄りそれを繰り返す。
「あぁぁ」
光輝は千尋の声の艶が変わった事を見逃さず千尋の良い所を探し当て擦り上げた。千尋の身体を今まで知らなかった感覚が走り抜けた。いつの間にか背中から落ちた千尋の手はシーツをぎゅっと握っていた。
「ここか……」確認するように、もう一度擦られた。
「やあーっ……だめぇっ!そこ……やっ……」
強い感覚に知らず知らずのうちに千尋の目からは涙が零れていた。 千尋は自分の身体がトロトロに熔けているのを感じた。
「やぁ。じゃ無いだろう?何て言うか教えてやっただろう?」
「悔しい……」千尋の言葉に光輝の口元が緩んだ。

 光輝の指が抜かれ、自身にローションを垂らしている。視線の中の光輝に目を見張るが、千尋はゆっくり口を開いた。
「後ろから……して」
この男に見ていて欲しい……自分を。自分が変わる瞬間を……。
「ああ、うつ伏せになれ」
強気な光輝の言葉も緊張の為か掠れていた。そう言われて千尋が体位を変えると光輝は千尋の腰をがっしりと両手で掴み、挑発するようにヒクついている蕾に己の猛りを押し当て、ぐいっと力を込めて突き進んだ。
「あぁっ!」悲鳴と共に千尋の背中が仰け反る。

(何だよこれ?)その瞬間千尋の蠢く胎内に光輝は我を忘れそうになった。
「千尋キツイか?」苦しくない筈は無い、だが千尋は首を横に振った。
「全部挿れるぞ」光輝の最終宣告に千尋はシーツを握り締めたまま頷いた。
「あぁぁ……っ」その瞬間、今まで全部出ていると思っていた千尋の背中の色が、更に鮮やかに浮かび上がった。

 千尋を貫きながら、光輝は固唾を呑み込み心で唸った。
(なんてことだ……戻れなくなったのは俺の方だ)
熱く蠢く千尋の身体の中、仰け反る事でその微笑が深くなる背中。
(くそっ……煽ってくれるじゃないか?)
 だが、光輝は繋がったまま、千尋の右の腰の辺りを愛しそうに指の腹でなぞっている。

 それを感じた時、千尋の目からボタボタと涙が零れ、シーツを濡らした。光輝が優しく触れた場所を知っていたからだ。そこは『彫雅魂』の落款が彫ってある場所だ。

「千尋……泣くな、俺が愛するから泣くな……」
 光輝の言葉に又涙が零れそうになったが、唇を噛んで耐えた。身体が馴染むのを待っているのか、光輝は千尋の腰を掴んだまま動かない。
(背に視線を感じて熱い……)

 光輝も耐えていた、蠢く千尋の身体に持っていかれないように耐えた。
(竜よ静まれ……)光輝は我が身にそう言い聞かせた。

「あぁ」光輝が動かなくとも千尋の胎内は目一杯光輝を感じていた。
「動くぞ……」光輝は優しく声を掛け、ゆっくりと己の昂ぶりを引き抜いた。
「ああ……っ」狭い胎内に受け入れている千尋には、少しの動きでも壁までが剥がれるのではないか?と思う程の感覚だった。そしてその猛りが又舞い戻って来る。

「ああぁ」千尋の喘ぎが光輝の理性をも持って行きそうだ。光輝は艶かしいその背に口付けを落とす。
「あ……ぁぁ」
(喘ぎ声までが愛しいと感じた事が今まであっただろうか?)
 光輝は左手をそっと前に回して、千尋の性器を握り込んだ。
「やあーっ!だめ……」千尋のそこは、もう硬く熱く主張していた。
「気持ち良いか?」耳元で揶揄するように声を掛ける。
「うっ……はぁ……」
光輝は素直になれない千尋の性器をゆっくり扱いてやった。
「ああ……だめ……あっ……」
「身体は素直だぞ……」
「いやだ……言うな」後ろから見ても、千尋の耳朶が赤く染まっているのが判る。

「じゃここはどうだ?」光輝の指は千尋の小さい尖りを掴んだ。
「あ……っ」光輝は仰け反る千尋の背中に何度でも口付けを落とす。
 千尋の身体が光輝の猛りをこれでもか、と言う程締め付けてくる。
(くそっ!)光輝は心の中で舌打ちしながら、我慢出来なくなって動きを早くした。

「あっあっ……あああぁぁぁ……」
 光輝の動きに合わせるように、千尋は艶かしい声で喘ぎ声を漏らす。畜生……どんな顔で喘いでいるのか?千尋の顔が見たかった。光輝は繋がったまま、千尋の身体を仰向けにした。目が合った千尋の瞳が「どうして?」と聞いているようだ。
「お前の達く時の顔が見たい」
「やっ」千尋は小さな悲鳴を上げて腕で顔を隠したが、光輝はその腕を外しシーツに縫い付けた。
「ちゃんと見せろ」そう言うと同時に腰をぐいっと押し付ける。
「あああぁぁ」

 だんだんと光輝の動きが激しくなる。
「ああぁ……お、おくに……」
身体の奥深くに光輝を感じる千尋は思わず口にしてしまった。
「何?奥が良いのか?」
「ち、ちが……あぁ」千尋は違うと言いたいのだが言葉にならない。
「ん?もっと奥が良いのか?」
 千尋は被りを振りながら「やっ……こわれる」と呻いた。

「違うだろ?感じているって言えよ」
(感じてない……感じてない……あぁ……感じる…)
「達きたい……」囁くように千尋が強請った。その恥じらいを含んだ目の色がどんなに光輝を煽ったか千尋は知らない

「ああ達かせてやるよ……思いっきり達けよ」
そう答えると、光輝は千尋の性器を扱きながら、激しく腰を打ち付けた。
「ああ……あぁ……っ」千尋は頬を濡らしながら艶かしく善がる。
(くそっ!こいつを手放せない……俺のものだ……)

 光輝は千尋の中の良い所を亀頭で擦り上げた。
「あ――っ、あぁぁ……達く……光輝……達く……」
光輝と名前を呼ばれるとは思っても居なかった。その瞬間、光輝の猛りが一層嵩と硬度を増した。
「あぁ……達くっ……」千尋の中が熱く熱く蠢いた。
「くそっ」千尋に引き摺られるように、光輝も千尋の奥深く果てた。

 暫くして千尋の胎内からそっと光輝が自身を引き抜いた。だが光輝は千尋の上でまだ荒い息を吐いている。千尋も肩で息を整えながら「竜が……竜が綺麗」とうわ言のように言っていた。きっと達った後の光輝の身体も、艶が増して綺麗に竜が浮き出ているのだろう。

千尋は口元を緩め、もう一度「竜に……触れたい」そう呟いた。
「良く見ろ、これが俺だ、俺の竜だ」光輝はそう言って千尋に背中を向けた。

「ぁぁ……」
千尋は両手で口元を押え感嘆の声を小さく上げた。
(これが……光輝の昇り竜……)その後姿は千尋の心を掴んで離さなかった。
(伯父さん……僕はこの竜の背に乗ってもいいですか?)千尋はその竜の目にそっと唇を寄せた。


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愛おしそうに千尋の肩に口付けるこの光輝が大好きです^^

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