天使の箱庭＜eternity＞

秀人が蓮三郎の名を呼びながら意識を飛ばすと同時に蓮も秀人の中に思いの全てを吐き出した。
「・・・秀人？」
一度堕ちてしまった意識は優しく名前を呼んだくらいでは戻りそうに無かった。
確かに蓮三郎の名を呼んだ・・・
これが先ほどと同様に無意識なのか、そうでないのかは秀人が意識を失っている今は判りかねた。

蓮はバスルームから濡れたタオルを持って来て秀人の体を綺麗にしていた。
自分の吐き出した精も出来るだけ掻き出す。
意識を失っていても痛みがあるのか、秀人はツッと呻き眉間に小さな皺を寄せた。

ここまですべきでは無かったのかもしれないが、上様の名を無意識に呼んだ秀人に自分も焦ってしまい、事に及んでしまった。
だが後悔はしていない、あとは秀人が目を覚ますのをじっと待つだけだった。
「秀人・・」名を呼びながら額に張り付いた髪をそっと撫で上げた。
起きそうもない秀人に服を着せ、蓮はシャワーを浴び戻ったが、未だ秀人が目覚める様子はなかった。

そんな秀人を背中から抱えるようにして蓮もベッドに潜り込んだ。
こういうふうに抱いていれば秀人が身じろぎすれば判るはずだから、そう思って蓮も目を瞑った。
蓮がうつらうつらしていると、深夜秀人が目を覚ました。
だがその瞳は何も映してはおらず、ただぼろぼろと涙を零すだけだった。

「秀人・・・？」
「うっ・・うっ・・・」返事の代わりに聞こえてくるのは嗚咽ばかりだ。
「秀人・・・どしたの？」
「・・寂しい・・」
「大丈夫、俺がいるから、もう寂しくないから」
蓮はそう言うと回した腕にそっと力を込めた。

それでも嗚咽を漏らし続けた秀人だったが、また静かに闇の中に堕ちて行ったようで寝息が聞こえてきた。
蓮は自分がいなくなった後、秀麗がどんなに寂しい思いで日々過ごしたのかと思うと居た堪れなくて胸が痛くなった。

そして同じ事が明け方前にも繰り返され、その度に蓮は秀人をぎゅっと抱き締めた。
『秀人、頑張れ・・』
蓮は今はただ祈るしかなかった。

そして秀人が目を覚ましたのは、もう朝の８時を過ぎてからの事だった。
言葉も発せずにただ黙って大きな瞳で天井を見ていただけだった。
「秀人、目が覚めた？体は辛くない？」
「れん・・さん？」
「うん？大丈夫？」
「何だか夢を見ていた気がする・・・」
「どんな？」逸る気持ちを抑えて蓮はゆっくりと聞いた。

「色々な事・・」それだけ言うと秀人は目を瞑った。それ以上は何も話したくはないという態度に蓮も無理に聞く事は出来なかった。
「僕、大学行かなくっちゃ」そう言って身を起こした秀人が苦痛に顔を歪めた。
「秀人辛い？」
「あぁ・・・大丈夫・・あの、僕・・蓮さんを受け入れたの？」
蓮は以前と変わらぬ秀人の物言いに不安そうにその顔をじっと見つめた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇　

随分とご無沙汰しております。皆様お元気でしょうか？
私は色々と学校の事や庭の準備等でペースが狂い、なかなか通常に戻せませんでした。
彼方からもずっと放置状態の上、今日の更新も短いです。ごめんなさい！

少し無理な具合ですが頑張って記事上げました。
どうも自分を追い込まないと駄目なタイプみたいなので追い込みます（笑）

被災地の方もまだまだ落ち着かれないと思いますが……
月並みな言葉ですが「頑張って下さい」としか言いようがありません。

今日一部のニュースでも報道していましたが、
被災地にランドセルが１万個届いたそうです。
娘のランドセルも同級生のお母様方と集めて送らせて頂きました。
「出来る事を無理のない範囲で」というのが私の考えです。
無理のある支援は長続きしないので、自分のペースで出来る事を
長く続けていければいいなぁと思っております。

そして会社の方も反響の多さに、受付を現在ストップしているそうです。
もしまだ「ランドセルどうしよう？」と使わなくなった物を持て余していらっしゃる方が
おられましたら、どうぞこの記事を読んで下さいね。
新聞記事
新聞には送り先が書いてありませんので、念のために記載しておきます。

２７０－０２１３
千葉県野田市桐ヶ丘５１２
株式会社協和

「がんばれ被災地の子供たち」係

送り状の記事欄や箱の目立つ所に
「がんばれ被災地の子供たち」係行と大きく書いて下さいとの事です。
ランドセル以外はお手紙は受付するそうです。

もし、まだ使えるランドセルをお持ちの方は如何ですか？

（あ、送料は元払いでお願いします＾＾）


随分と更新していなかったのに、訪れて下さる方が多くいらっしゃり
本当に感謝しています。ありがとうございました！！



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