「ぼ・僕帰るよ・・・僕の服は?」
「帰んのか?もう少し寝て行けよ・・」
「僕の服・・・・・」
「帰る前にシャワー浴びてけば?軽く拭いたけどまだベトベトだろ?」
鮫島のその言葉に深雪は又心が痛くなる。
「・・・江崎?お前泣いてるのか?」
深雪は自分のとった行動が情けなくて、そして畠山に悪いと思ったらいつの間にか、涙が零れていた。
泣いてしまった自分が余計に惨めで「シャワー借りる」
そう言って立ち上がろうとしたが、やはり裸のままでベッドを降りるのも躊躇われた。
そんな深雪に鮫島が「何、恥ずかしいの?今更?全部見たのに・・」
深雪は又泣きそうだったから「平気だよっ!」
そう言ってベッドから逃げるように浴室に飛び込んだ。
深雪は熱いシャワーを頭から浴びながら、そして今更ながら足がガクガクと震えて来た。
「先輩・・・・」
酔ってたとは言え、先輩を裏切ってしまった・・・
動揺していた深雪は自分の体の事など全く気にかけてはいなかった。
ベッドの下から携帯電話の呼び出し音がしている
鮫島はその携帯を拾い上げる見ると『畠山先輩』と液晶画面に表示されていた。
少し躊躇った後その電話に出た。
「もしもし」
「あ?江崎の携帯では?」
「あー畠山さんですか?俺営業の鮫島です・・江崎は今シャワー浴びてますが」
そう言うと「そこは何処だ?」明らかに怒りを抑えたような声が返ってきた。
「今、俺んちで・・江崎夕べ凄かったから今シャワー浴びてるんですよ」
「どういう意味だ?それは・・」
「えっとですね」ここまで話した時にプーーッと電話が切れてしまった。
「あれ?バッテリー切れだ・・」
鮫島は「ああ・・参ったな機種違うし」と諦めてその携帯を閉じた。
そしてバスルームに行くと乾燥機から深雪の衣服を取り出し
「おーい、江崎・・いつまで入ってるんだ?此処にお前の着替え置いとくぞ」
そう声を掛け浴室の扉に手を掛けた時、中から深雪が扉を開けた。
「うわっ!何でそんな所に・・・」扉の影に体を隠すようにして深雪が文句を言う。
「ほら、着替え此処」
「あ・ありがとう・・・ちゃんと洗ってくれたんだ・・」
鮫島の優しさに深雪は自分のとった態度を反省した。
深雪のそんな態度に鮫島は、さっきまで感じなかった深雪の白い裸体を見てドキッとしてしまった。
知らず知らずのうちに鮫島の指が薄いピンクの尖りに伸ばされた。
「あ・・っ」深雪の口から小さな悲鳴が漏れて、一瞬ふたりで固まってしまった。
深雪はたったそれだけの事に反応してしまう身体が恨めしく、昨夜どれだけ自分が乱れてしまったのか考えるのも怖かった。
「あ、ごめん・・・ちょっと色気あり過ぎ」照れたような鮫島の言葉に深雪も我に返った。
「鮫島・・ごめん夕べの事は忘れて・・」
「あ・ああ・・ま、あの程度の事は気にするな・・」
「うん、ありがとう・・僕着替えたら帰るね」
「そうか・・ほら着替え」
鮫島は深雪に着替えを渡すとそれ以上は何も言わずに脱衣場から出て行った。
肌着を身に着けながら深雪は自分の手が小さく震えているのに気付いた。
鮫島が忘れてくれても深雪の中の罪悪感は消える事は無い。
「朝飯食ってけば?」と言う鮫島に詫びを入れて深雪はタクシーを拾ってもらって、寮への道を急いだ、一刻も早くこの場から立ち去りたかった。
深雪を見送った鮫島も今まで考えた事が無かった男同士を考えてしまい「ヤバイ」と口に出していた。
「あっ、畠山先輩から電話があった事伝えるの忘れた!」
深雪の携帯はバッテリーが切れたままだ、今更連絡の付けようが無かった。
「夜にでも電話してみるか・・・」鮫島はそう呟いてもう一眠りしようとベッドに潜り込んだ。
身も心も疲れ果てた深雪を乗せたタクシーが寮の前で停まった。
たった一晩帰らなかっただけなのに、その建物は何故か深雪をほっと安心させてくれる。
社会人の男子寮なんて、一晩帰らないくらいでは誰も騒ぎはしない。
特に本人が休みの前の日には帰って来る人間の方が少ないくらいだった。
深雪はスーツのポケットから部屋の鍵を取り出しながら、自分の部屋に向かって歩いた。
ふと部屋の前に誰かが立っているのに遠目で気付いた。
一歩また一歩と近づくと、その姿がはっきり判り深雪は引き返したい衝動に駆られ、その場から動けなくなってしまった。
歩みを止めた深雪にその影が近づいて来る。
「・・・先輩・・・」落ち着こうと思っても深雪の口から出る声はかなり震えていた。
「今まで、何処で誰と何をしていたの?」
優しい口調だったが、畠山の目は微笑んではいなかった。
「先輩・・」深雪は、そんな事を答えられる筈もなかった。
「ちょっと来て」そう言って畠山は深雪の手首を掴んで、今来た道を戻った。
「先輩・・どうして?」
「いいから黙って着いて来て、それとも都合悪い?」
深雪の朝帰りを咎めているのは判る、そしてそれを軽くかわせる程深雪は駆け引きにも、恋にも慣れていなかった。
降りたばかりのタクシーに再び深雪は乗せられ、着いた先は・・・
多分畠山の引っ越したばかりのマンションなのだろう、部屋の隅にいくつかの段ボールの空き箱が重ねてあった。
タクシーに乗せられてからは、どちらも口を開いてはいなかった。
その沈黙が深雪を怯えさせていた。
深雪は新しい広いベッドに背を押され倒れこんだ。
あっという間もなく、畠山は深雪の衣服を剥ぎ取っていく。
「やっ!先輩・・・何を・・・」
今まで見たことのない畠山の乱暴な態度に深雪は慄いた。
1時間ばかり前に身に着けた下着までも取り去られ、深雪は一糸纏わぬ姿を畠山の前に晒した。
恥ずかしくて怖くて深雪は脚を摺り合わせ下半身を隠そうとしている。
だがその抵抗も虚しく、畠山によって大きく開かされた。
その脚の間に畠山は座り、深雪の腰を持ち上げ下に枕を差し込んだ。
「いやぁ――っ先輩っ!」
大きく拡げた脚の間に畠山の視線が突き刺さっていた
<つづ>
今日はアクセスカウンターが表示されませんねぇ^^;
また数字が消えてしまうのかなぁ・・・?
ランキングに参加しています。
ぽちっとして下されば嬉しいです。
にほんブログ村
- 関連記事
-