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飛行機雲

 11, 2010 15:00
BL観潮楼秋企画に参加させて頂きました。
お借りしたイラストはundercooled pio様の「飛行機雲」です。
お話のタイトルも同じものを付けさせてもらいました。

イラストの版権及び著作権はpio様に属しますので、
無断転写等はお控えくださいませ。

素敵なイラストありがとうございました。





2010-9-11-1.jpg


「忍、帰るぞ」
「あーんちょっと待ってよ」
「ったくトロいんだから」
クラスは違うけど幼馴染の左近竜馬は毎日僕を迎えに来て一緒に帰宅する。

ふたり並んで廊下を歩いていると、あっちこっちから声が掛かる。
「左近先輩、さよなら~」
「先輩今度部活に顔出してくださいね」
「竜馬今度カラオケ行こうぜ」

そんな掛け声にも「おう」とだけ返事をして具体的に話を進めようとはしない。
「いいよ、いつも僕とばかり一緒にいなくても・・・」
「俺がお前と一緒にいたいんだから、何か問題でもあるか?」
「ううん、ないけど・・・」

無いけど・・いつも僕とばかりいてもつまらないのでは?と危惧してしまう。

そんな時に廊下の向こうから2年の図書委員の山崎が走って来た。
「おいこら!廊下は走るなって習わなかったか?」
竜馬が睨みを効かして山崎に言った。

この山崎が忍の事を探して来た事は聞かなくても竜馬には判っている。
はぁ・・はぁ・・呼吸を整えながら山崎は
「忍先輩、ちょっと教えて欲しい事があるんですが・・」
「おいこらっ!忍先輩じゃないだろ?ええっ?」
「す・すみませんっ!藤原先輩」

「いいよ、忍先輩でも」そう山崎に笑顔を向けてから竜馬を振り返り
「竜馬うるさい!」と釘を刺した。
このやり取りは毎度の事で、忍も心得たもんだ。

「あの・・この書類の書き方なんですが・・」
山崎の差し出した用紙を覗き込みながら、忍が丁寧に教えている。

山崎なんぞは忍の手元など見てはいない、
一生懸命に話す忍の顔だけを眺めている。
そしてそんな山崎を竜馬は忍の後ろから睨みつけていた。

暫くして「ああ判りました、本当にありがとうございました」
そう言って山崎が忍に礼を述べる頃には竜馬の機嫌は噴火寸前のように悪い。

「絶対あいつは忍に惚れてやがる」
帰る山崎の後ろ姿を見ながら竜馬が呟いた。
「えーっ?何それ、男同士なのに」
笑って取り合わない忍の手を引いて
「おい、帰るぞ」

そう言って竜馬が歩き出したのは何時もの帰宅コースではない道だった。
「りょ・竜馬・・何か怒ってる?」
「別に・・・」
ずんずんと歩く竜馬に引きずられるように忍も歩いた。

しばらく歩くとそこは広い空き地で、ススキが風になびいていた。
「わぁ~もう秋なんだね」
忍が嬉しそうに空き地の中に駆けるように入って行った。
「おい、転ぶなよ」
「へっ?子供じゃないんだからぁ」そう言ってくすくすと笑う忍の後に続いて歩いた。

ススキを触ったりしてはしゃぐ忍と違って竜馬の口数が少ない。
「竜馬、まだ何か怒ってるの?」
「別に・・怒ってる訳じゃないさ」
「でも不機嫌・・・」

竜馬は内心、今日こそはキスしようと思っていた。
そのタイミングを計っているから口数が少ないだけで、怒ってる訳じゃない・・

「竜馬?」突然下から忍が顔を覗き込んできた。
「し・・忍・・・キスしたい・・」
「え?誰と?」目をまん丸に驚いた顔で忍が聞いてきた。

「忍と・・」
「ぼ・僕と・・・キス?」
「ああ、ほら目を瞑れよ」
突然キスしたいから目を瞑れと言われても、どうしていいか判らない。

2010-9-11-aki.jpg


それなのに返事をする間もなく竜馬の顔が近づいて来た。
「あ・・・・」
拒否するつもりだったのに自然と目が閉じてしまう。

優しく触れるだけのキスが次第に激しいキスに変わって来た。
「竜馬ぁ・・・」
やっと離れてくれた竜馬の腕の中で小さく呟いた。
「忍・・何だか凄くエロイんだけど・・」

忍のうっすらと涙の浮かんだ瞳は若い性を刺激してしまう。
竜馬はそのままぎゅっと忍を腕に抱きしめてたかと思うと
「忍、ヤバイ俺・・勃ってきちゃった」
揶揄するように耳元で囁かれ、忍が首まで赤くなりながら
「ばか・・あ・当たってるから・・」

「ああ、俺のデカイからなぁ・・忍ん中挿るかなぁ?」
真面目な声で言うから、忍が驚いて飛びのいた。
「そんな恐い顔すんなよ、今すぐって訳じゃないんだから」
竜馬が余裕たっぷりの顔で言うから
「そ・そんな勝手に決め付けないでよ」と抗議すると

「12ん時から決めてたから、絶対お前と一つになるって
それに、ずっと俺のオカズはお前だからなっ」
「お・オカズって・・・」
オカズの意味を聞くほど忍だって子供じゃない。
自分がずっとそういう対象で見られていた事が逆に恥ずかしくなってしまう。

「ところで忍のオカズって」「あっ!飛行機」
忍の視線の先に飛行機雲が見える。
話の腰を折られた竜馬も振り返って高い秋の空にたなびく雲を見ていた。

「帰ろっ」忍が足元の鞄を拾って竜馬に声を掛けた。
「ああ、そうだな帰ろうか・・」

「また・・時々来ようね」
俯くように歩く忍がそっと呟いた。

先を急ぐ必要は無い、今はまだこの爽やかな秋の風のようなままでいい・・
そう思いながら忍の手をとり繋いだ。
ぎゅっと忍が力を込めて握り返して来た。


『うっ!』
急がないと心に誓ったばかりなのに、
忍の態度に決心が早くも揺らいでしまう竜馬だった。




2010-9-11-bl-1.gif


kikaku-aki.jpg





すみません・・駄文長文になってしまい申し訳ないです。
最後までお読み頂きありがとうございました。


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COMMENT - 6

るか  2010, 09. 11 [Sat] 17:03

はじめましてー

ぱせりさん、こんにちは~~!
企画参加、ありがとうございます!
ずっと片思いの竜馬くんに、ちょっと天然?な忍くん。
自分の気持ちにうっすら気づいた感じの忍くんがたまりません。
続編がぜひ読みたいです~~~。
ブログは最近始められたのでしょうか??
よろしかったら、また参加してくださいね~~~。
今夜チャットもありますので、お時間あったらぜひ!
一覧に追加させていただきました~。

Edit | Reply | 

ぱせり  2010, 09. 11 [Sat] 17:10

るか様、わざわざ有難う御座います。

9月4日にブログ立ち上げました。
今後も宜しくお願いします。

綺麗なイラストが多くて迷ってしまいます。
でも難しいですね。

お手数お掛けしました。ありがとうございます。

Edit | Reply | 

pio  2010, 09. 11 [Sat] 20:52

ありがとうございます。。。

やや強引な竜馬くんだけど、すでに二人は両想いみたいですね。ほのぼのした二人のやりとりが秋の穏やかな風景に溶け込んで、胸に爽やかな風を吹き込んでくれました。一つになっちゃうのはもう時間の問題?ひゃあ~(///▽///)見たい……←爽やかって言ってたくせに。ステキなお話をありがとうございました!

Edit | Reply | 

ぱせり  2010, 09. 11 [Sat] 21:59

pioさま、わざわざ読んで頂いてありがとうございます。

えへへ・・・

今回(ここでは)忍のひとり絵は使わなかったんです。
どうしてあの子を見ると、ちょっと苛めてくなりますから^^

爽やかな秋風が吹かなくなる(笑)

こちらこそ、素敵な絵を貸してくださり、有難う御座いました。
又宜しくお願い致します。

Edit | Reply | 

Rink  2010, 09. 12 [Sun] 01:53

おかず

あはは、12の時からおかずにされてた!?
でも両想いのお二人・・・
まだまだ続きそうですね
またもちろん秋の次は冬。冬といえばクリスマス企画も考えますよ。
またぜひ参加してくださいね!
観潮楼企画部Rinkでした!(勝手に企画部になりました、るかさんが広報部(淫)これかえらもよろしくです

Edit | Reply | 

ぱせり  2010, 09. 12 [Sun] 02:05

Rinkさん こんな所まで有難う御座います。

高校生物は結構難しくて、苦労しました。

そうですね・・冬・・ロマンチックな企画楽しみにしています。
参加させて下さって有難う御座いました。

こちらこそ今後も宜しくお願い致します。
コメントありがとうございました。

Edit | Reply | 

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