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天使が啼いた夜 堂本紫苑~序章~

 05, 2010 00:00
もう少し置いてからアップしようと思っていたのですが
9月4日に開設したeternityも3ヶ月目に突入致しました。
ご覧下さり本当にありがとうございました。

「永遠の誓い」が不定期更新になってしまいますので、
「天使が啼いた夜 堂本紫苑」のアップに踏み切りました。

小冊子が届く予定の方は内容が被ってしまいますので一応お知らせしておきますネ。
冊子を先にと思っておられる方は、今回は目を閉じて下さい^^


では、堂本紫苑を楽しんで下さいませ♪♪


  ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「どうしても駄目なの?」
「ああ駄目だ・・今更新入社員扱いする事は無いだろう?」

ここの所ずっと同じ話で紫苑と紫龍は揉めていた。
「きちんと4月の新入社員として改めて採用してくれ」と言う紫苑と
「去年から社員扱いなのだから、その必要は無い」という紫龍

そんな二人のやり取りを浅田は溜息を吐きながら聞いていた。
だがその話し合いも紫苑の一言で形勢逆転になった。
「そんな事したら、僕には同期と呼べる仲間が居ない・・」
寂しそうに肩を落とす紫苑を見る紫龍の目の色が変わった。

浅田は心の中で『紫苑君の勝ち』と呟いた。

「同期・・・そうか・・・判ったよ」
「紫龍ありがとう」嬉しそうな紫苑の顔に一抹の不安を覚えない訳では無いが
実際同期が会社に居ないのは拙い、そう紫龍も思った。
「その代わり何かトラブルが起きたら即刻此処に戻すからな」
「はいっ!」
その紫苑の笑顔にもう腑抜けになってしまってる紫龍だ。

「ありがとうって礼を述べるって事は、お返しを期待していいのかな?」
紫龍の言う『お返し』の意味はひとつしか無いのに、相変わらずの紫苑は
「はい、何がいいですか?僕の出来る事なら何でも!」
「ちょっと耳を貸して」
そう言われ、紫龍に近寄り身を寄せる紫苑の耳元で囁いた。

その途端に紫苑の頬が染まり目がうるうるして来た。
「駄目っ・・出来ない」
「大丈夫だよ、やれば出来る」
「駄目・・そんな上になって自分で挿れるなんて無理っ」

浅田の耳を意識してわざわざ耳元で囁いたのに
動揺のあまり紫苑は、すっかり内容を口にしてしまっている。
「そういう事は家に帰ってからにして下さい、そろそろお客様がお見えになりますから」
浅田に釘を刺され「あれ何か約束あったか?」と確認していると
部屋の外が急にざわついているようだった。

コンコンとノックの音に浅田がドアノブに手を掛け
「いらしゃいませ、会長、奥様」と恭しく頭を下げていた。
「おやじ、じゃない・・会長如何されました?」
今は会長職に就き会社に顔を出す事などめったにない父だった。
それが母親まで同伴とは何事だろうと紫龍が考えていると

「紫苑ちゃん、久しぶり~」
「紫龍まま、久しぶりです、お元気でしたか?」
相変わらず女の友達同士のように、ひしっと抱き合っていた。
そして呆然としている息子に向かい
「今日は紫苑ちゃんの就職祝いのスーツを買いに行くのよ」
「はぁ・・だから二人でいらしたのですか?」
「あぁこの人は何の役にも立ちそうにないけど、来たいって言うから」
全く夫婦して紫苑には激甘な二人だった。

「さあ紫苑ちゃん行きましょうか?」
「あ、俺は?」
「あなたはしっかり仕事なさい」
母の冷たい言葉にがっくり肩を落とすが、午後のスケジュールも詰まっていた。

「あ、紫苑ちゃん今夜はうちに泊まりなさい」
「え?いいんですか?はい!嬉しいです」
その会話に口を挟もうとして、会長である父に目で『何も言うな』と合図を送られた。

会長夫妻と紫苑が出て行くと、紫龍は・・・
「あ~あ、上にさせて挿れさせて・・・あ~あ」と一人項垂れていた。
「そんな事言ってないで、さっさと仕事して下さい」
浅田に叱責されながらも、紫苑の居ない夜を考えると気が滅入る。

だが紫龍は主の居なくなった部屋のプレートをちらっと見て口角を上げた。
先月までは其処には「SAKURAI」のプレートが掛けてあったが
今は「D・SION」のプレートに掛け変えられていた。


結局その夜紫龍は夜遊びもしないで、仕事が終わって真っ直ぐに帰宅した。
紫苑のいない部屋に帰るのは1日たりとも我慢出来ない気がしていたが
最近は外で飲んでも面白くも無い、部屋で紫苑の手料理で酒を飲んだ方がずっと旨い。

紫龍が部屋を開けて一歩足を踏み入れると、暗い筈の部屋が明るかった。
「お帰りなさーい」エプロン姿の紫苑に出迎えられ、
思わずその場で押し倒したくなったのを抑えながら
「あれ?泊まって来るんじゃなかったのか?」と聞いてみると
「だ・だって・・・お返しが・・・」
『やっぱり押し倒していいですか?』

「紫苑ベッドに行こう」
いきなり紫苑の手を引き歩き出すと
「駄目ですっ!食事をきちんと済ませて、お風呂に入ってから」
と思った通りの言葉が返ってきた。

「今日の飯は?」
「まだ寒いから湯豆腐です」
「おお良いな・・日本酒?」
「鱈は入ってる?春菊は?」
子供のように問い掛ける紫龍に向かって
「勿論」にっこり笑う紫苑をやっぱり押し倒したい・・・

食事をしながら、スーツを紫龍ママとパパに買って貰った報告を受けた。
「スーツに20万円も・・・こんなスーツ見た事も無い」
そう言う紫苑に『お前が普段着ているのも3万円で買える吊るしじゃないから』
と言いたいぐらいだった。
だが自分の親と張り合っても仕方ないから、言うのを止めた。
『俺はあなた達の知らない紫苑の顔を知ってるんだ・・』
結局何処かで親に張り合って優越感を感じている紫龍だった。

湯豆腐を突付きながら紫龍が感慨深げに言った。
「いよいよ来月から本格的に社会人か・・・楽しみだな」
「はい、宜しくお願いします」

去年の夏にアルバイトに来た紫苑をひと目で気に入って、傍に置くようになり
そして紫苑の辛い過去も全部受け止めたいと思った。
それ以降も辛い経験もしたが、思った以上に紫苑という人間は強かった。
他人の苦しみを自分の立場で受け止め、自分に出来る精一杯の事をやるような奴だった。
自分が傷ついても他人を守ろうとするような紫苑だから、俺が紫苑を守って行く。
そんな愛しい紫苑とずっと一緒に居られる。

「堂本紫苑・・・」紫龍はそう呟いた。
「はい」3月に入って念願の養子縁組を終えたばかりだった。
本当は紫苑の祖母の喪が明けてからが良かったのだが、
社会に出る時の方が色々な意味で都合が良かったから、
少し早いが回りの勧めもあり、入籍を済ませたのだった。

「紫苑・・・ベッドに行こうか?」
「ん・・・此処片付けたら」何度からだを重ねても紫苑の恥じらいは、
初めての頃と変わらなかった。片付けをする紫苑の後ろに回りぎゅっと抱き締めた。

「紫苑・・・早く欲しい」
「だ・駄目・・片付けが終わって、お風呂に入ってからじゃないと無理だから」
「じゃ風呂一緒に入る?風呂の中で解そう?」
その言葉に紫苑が顔を染めながら
「こ・こんな明るいキッチンでそんな事言わないで」と抗う。

もう耳まで赤くなってる紫苑の項に唇を這わせる。
「あっ」小さく喘ぐくせに洗い物の手を止めようとしない紫苑の体を改めて
後ろからそっと抱き締めた。



        2010-11-1-sion.jpg
         
 イラスト undercooled pioさま
イラストの無断転写・複製はご遠慮下さいませ。





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COMMENT - 18

紫猫  2010, 11. 05 [Fri] 00:16

序章、ありがとございます!待ってましたよ!!

相変わらず紫苑、可愛いですね!
もうキュンキュンですよ~紫苑の繊細な性格が大好きです!!
初めてのときのような…アハ☆

最後のイラスト、テンプレの…ちゃんと紫苑と紫龍がつながってる…!!
あああぁぁ!!と、感動しました!つながってる絵を見ると、
二人の温もりがいっそうこちらに伝わってきます!

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-  2010, 11. 05 [Fri] 00:28

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chobon  2010, 11. 05 [Fri] 00:41

待ってましたっ!
よっ‼大統領っ!(((o(*゚▽゚*)o)))

久しぶりにお会いする紫苑ちゃん!
益々可愛くお料理上手になってますねっ!
頑張ってくださいませ( ̄^ ̄)ゞ

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けいったん  2010, 11. 05 [Fri] 00:49

オォーー始まりましたね!
相変わらず紫苑は 可愛い~(*><*)
新入社員の紫苑、きっと 同期を メロメロにして
ひと波乱がありそうな予感。

紫苑~♪ ピカピカの~♪ 一年生~♪...って言っていいのかな?
(^o^)ゞ ...kikyou様、お久し振り~...byebye☆

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-  2010, 11. 05 [Fri] 01:04

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jun  2010, 11. 05 [Fri] 05:37

お早うございます。
天使が啼いた夜第2部、いよいよ開始ですね。
紫苑、相変わらずかわいい。(当り前じゃ)
支流はいつも通りメロメロ。
しってるから会長夫婦、息子を手玉に取ってるー。
でも、喜びを倍にするためだったなんて、憎いですね。
これからが楽しみです。

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-  2010, 11. 05 [Fri] 06:39

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tukiyo  2010, 11. 05 [Fri] 09:03

紫苑ちゃんの勝ちィ~~ぶぶぶ~。
紫苑ちゃん最強~~!
今の私の顔、ニヤケ過ぎて横長になってると思います~。

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お嬢  2010, 11. 05 [Fri] 10:31

紫苑く~ん

おはようございます。
序章の早い掲載ありがとうございます。
ご本の購入しなかった身では読める~(>ュ<。)ビェェンと啼きました。
紫苑君の相変わらずぶり。お礼を律儀に思い出して帰るあたり・・・
恥じらいもそのまま変わらない。湯豆腐アタシもご馳走して~
最後のイラスト!!テンプレよりも色も濃くて。
くっついてる二人。ああ。綺麗です~~(>ュ<。)
続き。頑張って下さい。

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kikyou  2010, 11. 05 [Fri] 23:44

紫猫 さま

> 序章、ありがとございます!待ってましたよ!!

良かった!待ってて下さってありがとうございます。

>
> 相変わらず紫苑、可愛いですね!
> もうキュンキュンですよ~紫苑の繊細な性格が大好きです!!
> 初めてのときのような…アハ☆

紫苑は相変わらず天然で可愛いです♪♪
私自信がやっぱ大好きだから書きやすいし、
色々・・・あんなことや、こんな事・・・ふふふです



>
> 最後のイラスト、テンプレの…ちゃんと紫苑と紫龍がつながってる…!!
> あああぁぁ!!と、感動しました!つながってる絵を見ると、
> 二人の温もりがいっそうこちらに伝わってきます!

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kikyou  2010, 11. 05 [Fri] 23:45

鍵コメ NKさま

ただいまー^^

今まで番外としては結構な数書いてきましたが
2部という形にしてしまって・・・何だかどうしましょう?って感じですが
社会人になった紫苑の色々を楽しんで欲しいです。

コメントありがとうございました。

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kikyou  2010, 11. 05 [Fri] 23:52

chobonさま

> 待ってましたっ!
> よっ‼大統領っ!(((o(*゚▽゚*)o)))

あの・・・大統領って私ですか?紫苑ですか?(笑)

>
> 久しぶりにお会いする紫苑ちゃん!
> 益々可愛くお料理上手になってますねっ!
> 頑張ってくださいませ( ̄^ ̄)ゞ

ありがとうございます。
やっぱ紫苑はいいです!
書いてる方も優しい気持ちになれるっていうか・・・
幸せな気分になります。

chobonさんも幸せな気分になってねぇ

コメントありがとうございました。

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kikyou  2010, 11. 06 [Sat] 00:02

Re: タイトルなし

> オォーー始まりましたね!

こんばんは。お返事が遅くなりましてすみません。
そしてお久しぶりです。
元気でしたか?(ってお名前は拝見してるから元気ですよね^^)


> 相変わらず紫苑は 可愛い~(*><*)
> 新入社員の紫苑、きっと 同期を メロメロにして
> ひと波乱がありそうな予感。

紫龍にライバル?が現れる事だけは確かですネ。

紫苑色の世界がやっと始まります。
書いてても楽しいから、どんどん行きますよ^^


>
> 紫苑~♪ ピカピカの~♪ 一年生~♪...って言っていいのかな?
> (^o^)ゞ ...kikyou様、お久し振り~...byebye☆

けいったんの名前が見られずに寂しかったよ~
久しぶりの台詞にニコニコしています。

コメントありがとうございました

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kikyou  2010, 11. 06 [Sat] 00:04

鍵コメ Yさま

こんばんは。

おっとリコメしているうちに日付が変わってしまった^^;
遅くなってすみません。

久しぶりの鼻血!

でもここでは暫く18禁入りそうにないです(笑)

コメントいつもありがとうございます。

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kikyou  2010, 11. 06 [Sat] 00:07

junさま

> お早うございます。

おはようございます(多分朝でしょうから^^)


> 天使が啼いた夜第2部、いよいよ開始ですね。
> 紫苑、相変わらずかわいい。(当り前じゃ)
> 紫龍はいつも通りメロメロ。

相変わらずラブラブな二人ですが、2部では少し環境が変わります。
じきに判りますので楽しみにしてて下さいネ。

> しってるから会長夫婦、息子を手玉に取ってるー。
> でも、喜びを倍にするためだったなんて、憎いですね。
> これからが楽しみです。

楽しみにして下さってありがとうございます。
紫苑は筆が進むキャラですので、頑張ります!
コメントいつもありがとうございます。

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kikyou  2010, 11. 06 [Sat] 00:09

鍵コメ Cさま

朝から・・(笑)
でも暫くはエロくないですから、朝でも昼でもOKですよ^^

何だか紫苑にエチな事をさせるのが恥ずかしくなってきました・・・
以前の話を読み返すのが怖いです(爆)

コメントありがとうございました。

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kikyou  2010, 11. 06 [Sat] 00:12

tukiyoさま

> 紫苑ちゃんの勝ちィ~~ぶぶぶ~。
> 紫苑ちゃん最強~~!
> 今の私の顔、ニヤケ過ぎて横長になってると思います~。

横長ですか!(笑)

紫苑・・やっぱ私一番好きかも?
いえいえ皆わが子は可愛いけど、やっぱ最初のキャラ・・
愛しさは一番です。

社会人になった紫苑を楽しんで下さいネ。

コメントいつもありがとうございます。

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kikyou  2010, 11. 06 [Sat] 00:19

お嬢さま

> おはようございます。

おはようございます(夜だけど^^;)

> 序章の早い掲載ありがとうございます。
> ご本の購入しなかった身では読める~(>ュ<。)ビェェンと啼きました。

いえいえ、小冊子はオマケですから^^必ずここでアプする予定でしたし
Aさんたちにはお世話になってますので♪♪



> 紫苑君の相変わらずぶり。お礼を律儀に思い出して帰るあたり・・・
> 恥じらいもそのまま変わらない。湯豆腐アタシもご馳走して~

夜の営みはすっとばした2話・・・あ、残念と思ってるかな?(笑)

> 最後のイラスト!!テンプレよりも色も濃くて。
> くっついてる二人。ああ。綺麗です~~(>ュ<。)
> 続き。頑張って下さい。

イラスト、本当に幸せそうですよね。
ちょっと以前よりも大人っぽくなったみたいです。
私は眺めているだけで幸せ一杯です♪♪

コメントいつもありがとうございます。

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