天使の箱庭＜eternity＞

拓海は病院からの帰り道無口だった。
瀬田が突然あのような事を聞いたのが恥ずかしくて
そしてがっかりさせて申し訳なくも思っていた。
一方瀬田は何故かご機嫌だった。

｢遠藤医師と何を話したんですか？｣
｢今後の生活の注意点だ｣
｢どうしてそんなに機嫌がいいのか判りません｣
｢そうか？気にするな｣
瀬田に気にするなと言われてしまえば、それ以上拓海には言う事はできなかった。
瀬田の機嫌の良さに反して拓海はどんどん不機嫌になってしまう。

｢何処かで昼飯食って行こう｣
｢俺だったら大丈夫ですけど社長が空いているならお任せします｣
｢鰻でも食って精を付けるか｣

そう一人納得したように行きつけだと言う鰻屋に連れて行かれた。
天然物の肉厚な鰻はさすがに旨かった。
食欲ないと言いながらも全部食べきった拓海を満足そうに瀬田は見ていた。｢ご馳走様でした｣
素直に礼を述べる拓海に目を細める瀬田も大盛りの鰻重を綺麗に平らげた。

｢さあ帰って風呂に入ろう。｣
｢まだ風呂に入るの早いんじゃないですか？｣
｢いや遅いくらいだ｣
｢何処かお出かけですか？｣
最近は拓海に付きっきりだ、本当は仕事に行った方がいいのだろうに・・・
｢社長、俺もう一人でも大丈夫ですから仕事あるなら行って下さい。｣
｢何俺が居ると邪魔か？｣
｢いえ・・そういう訳じゃ・・・｣
｢俺の事は気にするな、帰るぞ｣

瀬田の運転する車でマンションに戻ると瀬田は機嫌良く風呂の掃除を始めた。
拓海が大丈夫だから自分がすると言っても、俺に任せろと言うばかりなので拓海は仕方なく黙って見ていた。

｢風呂一緒に入るぞ｣
退院してから親子のような雰囲気でずっと一緒に入っていた。
促され一緒に風呂に入りシャンプーした後背中を流してくれる。
拓海が良くなったら前みたいに背中を流して貰うから今はいいと言われていた。

｢いつもすみません｣
拓海が礼を述べスポンジを受け取ろうてしたが瀬田は渡さず拓海の前に回り込んだ。

｢えっ？前は自分で・・・｣慌てる拓海を気にすることなく瀬田は拓海の前を洗い始めた。
｢社長や・止めて下さい｣
｢どうして？俺はお前に惚れている、お前は俺を好きだと言ってくれた、何か問題でもあるのか？｣

｢問題無いとかあるとかの問題じゃなくて・・・｣
｢お前の日本語はわかりにくい。｣
そう言うと拓海に構わず胸から腹にかけてスポンジを滑らせて行く。
そしてその腹の痛々しい傷痕は優しく手の平で洗った。
｢痛くは無いか？｣
｢大丈夫です｣
｢そうか、良かった。ここも洗うぞ。｣

瀬田の手が拓海の中心に伸びるとさすがに拓海は瀬田の手を遮った。
そして瀬田の目を見つめてふるふると首を振った。

一度手を離し拓海を抱き寄せ唇を塞いだ。
裸で抱き合いキスをするなんて初めての事だった。こういう状況でのキスが体にどれだけ強い刺激をもたらすのか拓海は初めて知った。
瀬田の激しいが甘いキスはダイレクトに拓海の腰に来た。

｢社長･･･離して下さい、俺苦しいです｣
｢大丈夫だ今楽にしてやるから｣
この状態を楽にする方法は以前一度だけ経験ある一つしか知らない。

そして次に瀬田の取った方法は拓海の唯一知っている方法では無かった。
｢あっ！ヤダ社長･･･駄目だよ、駄目っ！あぁっ駄目･･･｣


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