忘れるくらい前の話の最終話です。
最終話というほど大そうなものではありませんが、やはり完結という言葉を打っておかねば……
実は私もあまり覚えておりませんでした。すみません^^;
これまでの話をリンクしておきますネ。
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「へぇ……なんか想像していたのと違う」
「初めてだよな?」
「当たり前だろう。涼太と一緒にするなよ」
星哉は初めて足を踏み入れたラブホが想像以上に清潔感があり、明るい事に感心していた。一方こういう場所に来慣れている涼太にイラついてしまう。
「風呂溜めて来る」
「あ……うん。でも着替えが無い」
「パンツと靴下くらいだったら、手で洗って部屋ん中干していれば暖房付いているから朝までには乾くさ。他は我慢しろよ」
「う、うん……」
涼太が風呂場に消えてから星哉は改めて部屋の中を見回した。大きなベッドがひとつ。ラブホだから当たり前だと思いながら、少しだけ緊張してしまう自分を笑う。男同士ならこういうハプニングはあるだろう。遠出して帰れなくなりやむを得ずラブホに泊まったという話は聞いた事があった。色々あった今夜はハプニングでもあるけど、少しだけ状況が違うような気がする。
そんな事を考えているとつい先輩とのキスを思い出してしまい、星哉はまた落ち込んでしまった。
「おい、ぼうっとして……だから……」
「だから何だよ?」
「だから先輩たちに付け込まれるんだ」
今夜の事は全部星哉が悪かったのだと言われているようで、星哉は黙ってクリーム色の壁を見ていた。
「風呂入れよ」
強制のような言い方にカチンと来るものの、今の空気が居た堪れなくて星哉は立ち上がった。
星哉が風呂で簡単に洗った下着と靴下を手に上がって来た時に涼太は、ソファで寛ぎテレビを観ていた。もしかして涼太が風呂に入って来るのではないかと思っていた星哉は緊張が解れると共に何故か腹立たしくもあった。
「涼太、そういえばどうして飲み会に来たの?」
「ああ? 千草がメールくれた」
「へえ……」
やっぱりそうだったのかと思いながら、二人の邪魔をしてしまった事に胸が痛んだ。
「悪かったね。このあとデートする予定だったんだ?」
星哉の言葉を聞いて涼太が音を立てて缶ビールをテーブルに置いた。
「俺、風呂入ってくるよ」
「う、うん……」
何の返事ももらえず、これ以上追及するのもイヤなので、星哉は涼太と入れ替わるように小さなソファに腰を下ろした。備え付けの薄手のバスローブがひんやりと肌に冷たい。
「パンツちゃんと干しておけよ」
「あ……うん」
星哉は今にも滴が垂れそうな洗濯物を持ったままだった事に気づいて、ハンガーを探し干した。涼太が風呂に入っているというだけで緊張している。高校のプールや修学旅行で涼太の裸なんか何度も見ているのに、今視界に入らない場所で涼太が裸でいると考えるだけで動悸がしてくる。その理由が分からずに星哉は落ち着かない。きっと先輩に無理にキスされたせいだと思いこもうとしていた。
涼太が星哉と同じ備え付けのバスローブを着て来た。ピンクとブルーがあったから星哉は多分ピンクが女性用だろうと思って着ている。涼太の方がはるかに体格がいいのだから仕方ないのだが……。着衣の色が違うだけでこんなに見た目が変わるのかと驚くくらいに涼太は男っぽかった。乱暴に髪をタオルで拭く姿も男くさくて、星哉が見ても格好いいと思った。女が切れないはずだ。
「ちゃんと髪を乾かせよ」
それなのに、涼太はまるで親のように星哉に近づき背後から、星哉の湿った髪をタオルで包む。そして乱暴に手を動かした。
「涼太、痛いよ」
「痛いくらいが頭皮のマッサージになっていいんだよ」
「女の子にこんな事したら嫌われるよ」
揶揄するように星哉も言い返した。
「女にこんな事はしてやらない。星哉にだけだ」
「どうせ、俺は手がかかるよ」
女以下の扱いに星哉もむくれてしまうが、涼太はそれでも拭き続ける。最初は乱暴だった動きも徐々に丁寧になり、最後は指で髪を梳き整えてくれる。
「ありがとう……」
湿ったタオルをソファの背に掛け、涼太は星哉の背後から声を掛ける。
「男にキスされて気持ち良かったか?」
忘れたい事を蒸し返され星哉は不機嫌に答えた。
「気持ちいい訳ないじゃん」
「だいたい星哉は無防備過ぎる。ちょっと誘われたくらいでノコノコと飲み会なんかに出かけて」
「俺が悪いって言うの?」
被害者は星哉なのに、どうして涼太はそんな事を今更言うのか訳が分からなかった。さっきは助けてくれたのにその優しさは今は感じられない。
「千草からメールもらって俺、焦ったよ」
「え……?」
唐突に話を切り替えた涼太も内容も、星哉には訳が分からなかった。
「『涼太の可愛い子猫ちゃんがオオカミに狙われているよ』って言われたら焦らない訳ないだろう?」
「えっと……その子猫ちゃんってもしかして俺の事?」
「当たり前だ」
「えっと??」
星哉もかなり動揺しているが、涼太も動揺しているのか言う事が支離滅裂だ。星哉はそんな涼太の気持ちについて行けない状況だった。
「せっかく俺が一世一代の決心をして星哉から離れようとしたのに、ちょっと目を離すと直ぐに誰かに食われそうになるし……」
「ちょ、ちょっと涼太落ち着いて分かるように話してよ」
「ばか、落ち着いていられるか」
そう言うと涼太は星哉の後ろから無理やりに唇を塞ぎにかかった。
「りょっ!」
最後の声は涼太の唇に塞がれたために出る事はない。星哉は頭の中が真っ白になり目を見開いた。無理な態勢のために裾が乱れ脚の付け根までが露わになってしまっている。
涼太が唇を離さないままソファを回り込んで来て星哉の隣に腰を下ろした。飲み会で無理にされたキスとは違う。涼太とのキスは気持ち悪いどころじゃない、眩暈がしそうだった。その時涼太の大きい掌が星哉の腿に這わされた。星哉は身じろぎ首を振って涼太の唇から逃げようとした。
「涼太……」
やっと自由になった唇から洩れた声は驚くくらいに艶のある声で、星哉はそんな自分に戸惑った。
「星哉。俺は星哉が好きだ。だからキスもしたかったし、それ以上の事もしたい」
「涼太……」
「俺が相手だとイヤか? 先輩と同じか?」
涼太の言葉に星哉は緩く首を横に振った。涼太だから気持ち悪くない事はキスの最中に気づいてしまった。だからといってそれが即色恋に繋がるかと聞かれたら、はっきり言って分からない。でも涼太を嫌いではない。
「星哉……ベッドに行こう?」
今頷いたらどうなるのだろう? 星哉は緊張した頭で考えた。涼太は女を抱くみたいに自分を抱くのだろうか。違う選択は無いのだろうか?
「涼太……俺は……」
「星哉が良いと言うまでは何もしないよ」
キスしたくせに……と言いたいところを星哉はぐっと堪えた。
「本当に?」
「ああ、だからベッドに……」
涼太は星哉の手を取り立ち上がらせ、その手を引いてベッドに向かった。そっと腰かけさせ涼太も一緒に座る。ラブホという場所だからだろうか、ただそれだけでも星哉の胸はドキドキと騒いでいる。
「ほら、横になれよ」
涼太と枕を並べて寝る事など初めてだった。高校の修学旅行の三・四日目に二人部屋の同室になった事があったけど、別々のベッドだった。
「修学旅行の時さ……」
どうやら涼太も当時の事を思い出していたみたいで、星哉は少しだけ気持ちが解れてきた。
「うん、楽しかったね。朝まで話していたよね」
「ああ……本当はあの時も同じベッドに寝たいって思っていた」
「……涼太」
「俺はあの時に星哉への気持ちに気づいた」
「え……?」
涼太はそんなに前から自分をそういう目で見ていたのかと、初めて星哉は知った。
「気持ち悪いか?」
「…………」
「そうだよな……、気持ち悪いよな。親友だと思っていた男に厭らしい目で見られていたと思えば」
「……気持ち悪くないよ」
星哉は喉の奥がからからになったような小さな声で答えた。気持ち悪くなどない。ずっと涼太は星哉の傍にいてくれた。楽しい時も苦しい時も涼太がいたから乗り越えられたようなものだ。
「それなのにさ……大学に入って星哉はどんどん綺麗になって他の男を惹きつけているし。それが無自覚だから危なっかしくて仕方なかった。でも一番危険な男は俺自身だと気づいて、星哉から離れようとしたんだ」
「涼太……」
自分がのほほんと暮らしていた時に、涼太がこんなに苦しい思いをしていたのかと思うと、星哉は胸がキリキリと痛んだ。涼太だからそう思うのだと……。
「さあ、もう寝よう」
そう言って涼太は星哉に背中を向けるように横向きになった。星哉はそれがとても寂しく感じられ涼太の背中にしがみついた。
「ばか、襲うぞ」
涼太は背中を向けたままそう呟く。
「……いいよ、涼太なら」
涼太が女と付き合い始める度に寂しい思いをしていた。それが親友を取られたからだと思っていたけど、本当は違ったのだと今更ながら星哉も気づいた。
「簡単にいいって言うなよ。男同士がどうやるのか知らないのか?」
「知っているよ……」
それくらい星哉でも知っている。星哉が今まで誰とも付き合わなかったのは、奥手という事だけでは無かった。女性を欲した事が無かったのだ。そして今は涼太が欲しいと心と身体が疼く。
「もう後戻り出来ないぞ」
往生際が悪いのは涼太の方だ。未だに背中を向けたまま呟き続ける。星哉はそんな涼太が可愛らしくて抱きついている手に力を籠めた。人よりも体格がいいくせにまるで仔犬みたいだと思い、つい小さく笑ってしまった。
「ちくしょう、随分と余裕だな」
やっと振り返った涼太の唇を今度は星哉が塞いだ。
だが星哉が優位に立っていられたのはそこまでだった。
「ああ――っ! 涼太ぁ……」
知っているとは言ったものの、こんな痛みは想像していなかった。まるで焼けた棒で刺しぬかれたみたいだった。涼太は時間を掛けて丁寧に拡げてくれたのに、それでも苦痛が大きい。さっき不良たちに連れて行かれていたらどういう事になっていたのかと、想像すら出来ない恐怖が星哉を襲った。
「大丈夫か星哉? 苦しい?」
急に強張った星哉の首筋に唇を付けながら涼太が労わるように聞いて来た。
「涼太……さ、さっきは助けてくれてありがとう」
星哉は今夜二度も助けてもらったのに、ちゃんと言葉にしていなかった事を思い出した。昔から涼太は当たり前のように星哉を助けてくれる。ずっと涼太に甘えていた事が恥ずかしくもあり、嬉しくもあった。
「夢を見ているみたいだ。星哉とこうして繋がっているなんて」
そう言いながら涼太は星哉の髪を優しく撫でてくれる。それがとても気持ち良くて星哉は目を瞑った。
「まるで犬っころみたいだな」
星哉はさっき自分が涼太に対して感じた事を言われくすぐったい気分だった。だってその気持ちは知っている。可愛くて愛おしいという気持ちだから。
「ひやっ。あぁ……っ」
さっき指で散々擦られた箇所を今度は、熱い楔が擦っている。涼太がゆっくりと腰を使い始めたのだ。
「星哉……星哉の中凄く気持ちいい」
「ばか……恥ずかしい事言わないで」
そんな褒め言葉は、SEXそのものに慣れない星哉には耳を覆いたくなる程恥ずかしい台詞だ。
そうして涼太の腰の動きが徐々に大きくなり、激しくなる。星哉は翻弄されるままに濡れた声を出す。
「あぁぁっ涼太……」
挿入された時の痛みはだいぶ薄れ、今は快感の方が勝っている。
「涼太……だめ。そんなに激しくしたら……変になる」
「俺はとっくに変になってる」
涼太は、そう言いながら深い所を貫く。
「あぁっ!」
星哉は頭の中で火花が散っているような気がしていた。先走りの蜜が会陰を伝わり繋がっている箇所まで濡らし卑猥な水音をたてていた。
「涼太……もうダメ。イきたい」
俺もだと言いながら涼太は星哉の腰を抱え直した。そして星哉の性器を握りこむ。星哉はもう恥ずかしいなどと言っている余裕は無かった。涼太の掌が上下するのに合わせて星哉の腰も上下してしまう。
「星哉、エロイ」
「ばか……」
「ほらイけよ」
涼太のカリの部分が狙いを定めたように中の感じる場所を攻め立てた。同時に前を扱く動きも早い。自分以外の熱を知ったばかりの星哉は涼太の動きに呆気なく白濁を散らした。
はぁはぁと肩で息を整える星哉は脚を肩に担がれ息を呑む。イったばかりの体の奥深くに涼太の楔を打たれる。
「やぁ……っ。まだ……」
「ごめん星哉」
涼太は、浅く深く激しく楔を打ちながら、一番深い所で全てを解放した。そして肩で息を吐きながら星哉の胸をぎゅっと抱きしめた。
「星哉……星哉……星哉」
「涼太?」
「俺、星哉が大好きだ」
「俺も涼太が好き……」
どちらかともなく熱を帯びた唇が重なっていった。繋がったままの体が僅かな時間で熱を取り戻したのは言うまでもなかった。
◆◆相変わらずご無沙汰しております。新年度になりましたヽ(゚∀゚)ノ
そろそろ稼働しないと、ずるずると沈んでしまいそうです。
今日はJガーデンですね。朝起きて行く気になればひょこっと行こうかな?と思っていましがた色々用事している間に昼を過ぎてしまい、未だに家にいます。
秋には参加したいです。今から少しずつ用意します。
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