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僕の背に口付けを 序章「-雅-」3

 09, 2011 00:23
「はうっ……」
十分に解された後孔だったけど、雅のそれを受け入れるにはかなり苦しかった。
ゆっくりと労わるように、そして傷付けぬように雅が体を沈めてきた。

「ああっ……っ」
優希の呻き声にも止まる事の無い挿入に、雅の覚悟を感じた。
一度決めたら手は抜かない……雅らしい繋がり方だった。
慎重に優希の体を味わうように埋め込まれる。

無意識に体は抗うが、心はこれ以上に無いほどの喜びを感じていた。
雅の動きが止まって、全てを受け入れた事が判った。
「はぁ……っ」優希がやっと息を吐き出せた。
本当は吐きながらの方が体は楽だと知識では知っていたが、そんな事は緊張している体が言う事を聞いてくれはしない。

「優希、お前の肌は綺麗だな、きめ細かくて吸い付くようだ」
世辞など言わない男だ、きっと本当に綺麗なのだろうと優希は、他人事のように思った。
「雅……気持ちいい」甘い言葉を吐いたが「嘘を吐くな……まだ苦しいのだろ?」見透かされる。
「ち…違うよ……体はまだ辛いけど……心が気持ちいいんだよ」
「そうか、俺はどっちも気持ちいい」そんな雅の言葉に腰がズクンと疼いた。
「雅……動かないの?動いていいよ」
そう優希が言うと、「いやまだだ、もう少しお前を味わっていたい……どんだけ俺が待ったと思うんだ?」
「雅……待っていてくれたんだ……」
待っていたと言われて嬉しいが、申し訳ないという気持ちの方が大きかった。
「そんな顔をするな、これは俺なりのケジメだ」そう言うと雅はゆっくりと腰を引いた。

「あぁぁ……っ……あぁ雅ぁ……」
中の熱い内壁を擦られて、繋がっているという実感が一層深まった。
「雅ぁ……あぁぁぁ、嬉しい、やっと雅と……あぁっ」
好きな男と繋がる事がこんなに気持ち良く、そして嬉しい事だと初めて知った。

何度も抽送され優希も限界に来ていた。
「あぁっ……雅もうイキたい……」
自分の性器に手を伸ばしたが、それは雅に阻止された。
「俺の手でイかせてやるよ」
そう囁くように言うと、雅は優希の性器を扱き始めた。
そんな事をされたら、優希はもう堪らない。
後ろを貫かれ、前も扱かれる……この喜びを与えるのは全部好きな男の体だ。
「あああああぁぁぁ……雅っ!イクッ!」優希の嬌声に雅の動きも速くなった。
「もっ……もっ」喘ぐ優希に雅が「優希、一度しか言わないから良く聞け」

その言葉に優希は自分で根元を掴んでイクのを我慢した。
そんな優希に一瞬口元を緩めた雅が「優希、お前を愛している」と囁いた。
その瞬間緩んだ手が、自分の吐き出した熱い白濁を感じた。

「雅……」多分この男の口からその言葉を聞く事は、一生ないだろうと思った。
嬉しくて、嬉しくて優希は零れる涙を止める事が出来なかった。
その間も優希の体はドクンドクンと精液を吐き出しながら痙攣していた。
「器用な奴だな、射精しながら泣いて……」雅に揶揄されてしまう。
「だ…だって雅があんな事言うとは思わないから……」
「ああ一生に一度だけだ……俺もイクぞ」
そう言うと、優希の腰を掴んで抽挿を激しいものに変えて行った。

「あああぁぁぁ……雅っまだっ……あ―――っ」
雅の動きにイったばかりの優希の体が反応し始める。
「ああっ……あっ……あっ……あぁぁ……雅ぁ……又イクッ!」
「優希一緒にイクぞ」
雅が大きく抜けるギリギリまで中の物を抜き、そして勢い良く腰を打ちつけた。
「あ――――――ぁぁイク――ッ」
吐き出される熱い物を中に感じながら優希も又精を吐き出した。

その後体位を変えながらも何度も繋がった。
何かにとり憑かれたように二人は抱き合った。
次の朝ホテルを出た時に本当に太陽が黄色く見えた。雅もそう感じたんだろう。
「太陽が黄色く見えるなぁ……」感心したように呟いている。
「ほら、帰るぞ」と一言だけ優希に声を掛け歩き出した。


雅の広い背中を見ながら歩いた、優希二十歳の朝だった。

あの日から七年優希は相変わらず雅と付き合っていた。


優希は大学を卒業し銀行に勤務している。雅はまだ修行の身だ。
忙しい雅と会えるのは週に一度くらいだったが、雅の修行を邪魔する事はしたくなかった。
雅の部屋で会う事は殆ど無かった。体が空いた時に雅が訪ねて来る。それでも優希は充分満足した生活を送っていた。

そんな週末珍しく高揚した顔で雅がやって来た。
「優希、俺は独立する」と、きっぱりと言い切った。
「雅……」その言葉は雅の修行が終わった事を意味している。

「雅おめでとう……終わったんだね」
「ああ」
七年という修行期間は短いのか長いのかは優希には判らないが、雅のことだ納得した技術を身に付けたのだろう。

その夜雅は激しく優希を貫いた。
馴染んだ体は、優希の良い所も全部知っている。
「はぁ……っ雅……」
後ろから貫いていた雅が背骨に沿って何度も口付けを落として来た。
敏感になった体はその感触だけでも震えてしまう。

「まさ……もっと……」
その言葉に雅が優希の体を仰向けにひっくり返す。
「あぁぁ」
体の中で雅の性器がぐるっと回る。
「優希……気持ち良さそうだな」揶揄する口元には余裕の笑みが浮かんでいる。

腹に付きそうな優希の性器を握られ、優希は直ぐにもイキそうになってしまう。
「まさぁ……凄くいい……」
ゆっくりと抜き差ししながら、その動きに合わせるように手で扱かれる。
「あああぁぁぁ……気持ちイイ……」
「ああ、俺もだ」
「もうイク……」
だが雅の手はその言葉に逆らうように、優希の性器の根元をぐっと締め付けた。
「やぁあ……ダメ……雅イキたい……」
「もう少し我慢しろ」
雅は優希の放出を堰き止め、そして激しく腰を動かし始めた。

「あああぁぁぁ……雅ぁ!」
イケない性器の感覚が後孔に流れてしまう。後ろだけが快感を捜し求める。
「あああ――――っ、まさぁ―――」優希は頭が真っ白になり呼吸が荒くなった。
「雅!イクッ!あああ………」

後孔が激しくうねっているのが自分でも判る。
「優希……」雅の声も熱っぽく、それが又自分の快感に新しい火を点ける。
優希の腰は自分の意思に反して、上下に動いてしまう。
「ああぁぁぁ……雅……気持ちイイ……」

蠢く中を味わった後に雅が動き出した。
まだ開放されない優希は、もう苦しくて……そしてその苦しさが又絶頂へと繋がる。
「あぁ雅……又イク――」
何度かそれを繰り返した後、やっと開放された優希の性器からはいつまでも精液が零れ続けた。
「雅……愛している」優希は意識を手放す前にそう言ったような気がするが、雅はあの初めての日以来優希にそんな甘い言葉を吐く事は無かった。
だが優希を見る目を見れば、言わなくても判る。

翌朝、優希はだるい体を労わりながら、朝飯の仕度をした。
「いい匂いだ……」味噌汁の匂いに釣られて、雅が台所に顔を出した。
嬉しそうに眼鏡の奥の目が笑っている。
そんな顔を見ただけで優希は幸せだった。

その夜雅が帰った後、優希は会社に辞職願を書いた。
雅にはまだ話すつもりは無い。雅が怒る事は承知の上だ、だけど優希の決意は変わらない。

―――ただ優希は雅の初めてになりたいだけだった。

雅は中古の一軒家を借りて引越しを済ませた。
それに合わせて優希もその近所にアパートを借りて引っ越した。本当は雅と一緒に住みたい……だけど絶対駄目だと言われるのを判っていたから口に出す事はしなかった。
これから雅の所に出入りする人種を考えれば、雅の考えも充分理解できる。

引越し後の掃除も兼ねて珍しく雅の家に行った。沢山の絵画や風景、刺青の本や写真集までもある。優希は雅の描いたデザイン画を色々眺めていた。

「僕はやっぱりこれが好きだな……」
それは牙をむき鋭い目で天に昇る竜の姿だった。
そんな優希を一瞥し「好きだなぁ」と呆れたように雅は苦笑いをしていた。

優希はその竜は雅に似ていると思っていた。
目的に向かって脇目も振らずに突き進む姿が、雅と同じだと優希は思っていた。
夕飯の後、和室で酒を飲んでいる雅の前に優希は座る。
そして用意していた茶封筒を雅の前に差し出した。
「何だ、これは?」
その封筒の形で中を想像できたのだろう……雅の目が途端に厳しくなった。

「雅……俺に刺青を彫って……」
「!」
「俺に竜の絵を……」


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