2ntブログ

スポンサーサイト

 --, -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

僕の背に口付けを 序章「-雅-」2

 08, 2011 22:59
「目が覚めた?」そう声を掛けてきたのは、さっきまでオドオドと、真面目な青年を装っていた男だった。
「ちょっと、先輩これ何ですか?放して下さい!」
優希が身を捩って逃れようとするが、両手両足に填まった手錠のような物はガチャガチャと音をたてるだけで、ビクともしなかった。
「良かったよ、君が簡単に罠に嵌ってくれて」
「……信じられない」こういう事をするこの男も、簡単に罠に嵌る自分も。
「こんな事して、何をしたいんですか?」

優希の質問に呆れたような顔で「やる事は決まっているだろ?君だって本当は望んでいる筈だ」
確信を持ったような物言いに「冗談じゃない!僕が望んでいるのはお前じゃない!」
そう叫んだが、その男はそんな事は全く気にならない様子で「僕はずっと君みたいな綺麗な男の体が欲しかったんだよ」と微笑んだ。

「あんたはオカシイ!」と優希はもう一度叫んだが「君の体もおかしくしてあげるから」とその男は口角を上げた。
「止めろ、今すぐこの鎖を外してくれたら不問にするからっ!」
男は優希の悲痛な叫びには答えず、ベッドの空いているスペースに腰を降ろして来た。

手には何かの瓶を持っている。それを優希の胸の上で傾けた。
「ひっ!」冷たい液が優希の胸の突起に掛かる。
その液を胸に塗り付けるように、その突起の周りを指で撫でられた。

「やめろっ!気持ち悪い!」
「こういう優しいのは嫌い?もっと痛い方がいいのかな?」
そう言われて、優希は身が竦んだ。


男は優希の体を、玩具を使って弄り続けた。だが玩具を抜き取り男の熱い性器が宛がわれた時に優希は激しく抵抗を見せた。
「やだっ……やめろっ……お前のなんか入れるな!!」
まだ玩具の方がマシだ、好きでもない男の熱など受け入れたくは無い。

唇を噛み締め、目を瞑ると好きな男の顔が浮かぶ。
(雅……雅……)
心の中で好きな男の名を呼んだ時に、体に違う男の熱い楔が押し入って来た。
「ああ――――っ!」
メリメリと音をたてながら挿入されるそれは、体の痛みよりも優希の心に大きな傷を作った。
抵抗出来ない体は、時間をかけその男の全部を銜え込んだ。


その次に優希が目を覚ました時には、四肢の拘束は解かれてはいたが、今度は後ろ手に腕が拘束されていて、男は優希の腰を掴み、激しい抽挿を繰り返していた。
「ああぁぁぁ……もうだめ……」
「駄目じゃないよ、中凄い……熱くて蕩けそうだ……」

何度気を失っても優希が目覚める時は、男と繋がっているか玩具が挿入されているかの、どちらかだった。
「もっ……やめて、お願い……」抵抗する声も弱弱しい。もう心も体も限界だった。

「うっ!」小さく呻いて男が優希の中で果てる。
いったい何回分の精液が自分の体の中には溜まっているのだろうか?朦朧とする頭はそんな事を考えていた。
ずるっと男の物が引き抜かれた。そしてその感覚に優希も何度目か判らない精を放った。

(もう目が覚めなくてもいいです……雅ごめん……愛しているよ)
今一番望む事はこのまま死んでしまう事だった。
そう思いながら、優希は又意識を手放した。



次に目が覚めた時、優希は後孔に異物感がない事に安堵して目を開けた。
「えっ……?まさ……」
「おう気が付いたか……」
「ははっ、ここは地獄?あぁでも雅が居るから天国かな?」
力なく言う優希に向かって雅が「俺と一緒なら天国でも地獄でも構わないだろう?」と言う。

そう言われて「そうだね……」と答えたような気がした。そしてまた優希は深い眠りに堕ちて行った。

(今日は何日?あの悪魔のような男はどうしたんだろう?イヤあれは夢だったのかもしれない。)
だけど、体に感じる鈍痛と、左手に刺された点滴の針が、事実だった事を優希に教えてくれた。

「優希……大丈夫か?」珍しく雅が優しい言葉を掛けてくれる。
「ここは?」
「俺のアパートだ」
「僕はどうして此処に?あの男は?」
「全く質問の多い奴だな……」雅が眉間に皺を寄せながら答えた。

「あの男の事はもう忘れろ、もうお前の前には現れる事は無いから」
優希は雅がそう言うなら、もう何も聞かないでおこうと思った。
雅の手が優希の額に触れた。
「熱も下がったようだ」その声に深い安堵の色を見た。
「僕はどの位眠っていたの?」と優希が聞いた。

「此処に連れて来てからは三日だ、お前が行方不明になっていたのは二日間だ」
「そう……」優希は二日もあの男に拘束され暴行されていた事を知った。
どういう風に助けられ、あの男がどうなったのか……もうどうでも良かった。
ただ今目の前に居る雅だけが全てで、現実だったからだ。

「おかゆ食えるか?」
「ん……」
「点滴で痛み止めと栄養剤は投与してもらった」
知り合いの医師を引っ張ってきたから大丈夫だと、付け加えられた。
「雅……ごめん迷惑かけて」

「ああ」もういつもの無愛想な雅に戻っていた、逆に優希はそれが嬉しかった。
下手に同情されるのも辛かった。でも、もう少しだけ甘えてみたかった。「雅……おかゆ食べたい」と。

あの日から一年が過ぎて、優希と雅はそれでも友達を続けていた。
嫌われては居ないと思ってはいたが、それが男同士の友情なのか、もっと違う意味の情愛なのかは判らない。
―――聞くのが怖かった。



「大丈夫か?」
今、優希は渋谷のラブホテルで雅と向き合っている。
「俺と一緒だと地獄見る日が来るかもしれないぞ」
これが最後と言うような雅の言葉だった。

「あの日……あの日『天国でも地獄でも俺と一緒なら構わないだろう』そう言ったのは雅だ」
優希の言葉に「お前覚えていたのか?」と驚いた目を向けた。
「あ…当たり前だ……あんな事言われて忘れられる訳が無いだろう」

雅がふっと口元を緩めた。
優希は、そんな雅の顔が大好きだった。
「雅こそ大丈夫?僕を本当に抱ける?」優希のその言葉には色々な意味が含まれていた。

「ああ」
「男だし……それに……」
「男だろうが女だろうが、優希だから抱けるんだ」
「雅……ありがとう……僕初めてじゃなくてゴメン……」
「愛の無いSEXはSEXのうちに入らないんだよ」
「……まさ」

もう黙れと言わんばかりに雅の唇が優希に重なる。
その熱を感じながら、優希は黙って目を閉じた。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村


FC2のランキングにも参加中です



■すみません、昨日はPCを開く間もなく寝落ちしてしまいました。
昨日分の更新です。
3話は急いで準備して0時に間に合わそうと思っております。

2話の内容が少し変わっています。
優希が男に凌辱される部分を1000文字程削除しました。
ずっとこの部分に違和感がありました。だから思い切って削除です。

かと言っても凌辱された事実は変わらないんですが……

関連記事

COMMENT - 0

WHAT'S NEW?