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俺、武藤駿平 19

 26, 2011 00:00
駿平は馴染むのもそこそこに、抽挿を開始した。
「駿平……待って」
那月の止める言葉も今の駿平には届かなかった。
だが無言のままの抽挿は那月だけではなく、駿平をも傷つけていた。
心の通わないSexに俊平は達く事など出来なかった。
ずるっと自身を那月の体から抜き出すと、四つん這いの那月の体を表に反した。

「那月さん、俺やっぱり駄目だ……」
駿平の言葉に那月はそっと目を閉じた。
その眦からは、つつっと涙が零れる。
もう男である自分と、これ以上は付き合えないと言うのだろう。
こんな終わり方をするとは思ってもいなかった、でも駿平が望むのならば自分は黙って受け入れる。

駿平が手を引っ張り、那月の体を起こした。
真正面にあるはずの駿平の顔は、閉じた目では見る事は出来ない。
「那月さん、目を開けて……」
「いやだ、見たくない。駿平君の顔なんか見たくないから……」
「じゃいいよ、そのままでも」
少しむっとしたような気配を感じたが、それでも那月は駿平の顔を見る事は出来なかった。


「え……っ?」
「バイト頑張ったんだよ俺」
ごそごそと脱ぎ捨てた部屋着のポケットから取り出した物を、那月の指にはめたのだ。
「俺がもう少し大人になるまで、これで我慢して」
その言葉に那月はそっと目を開けて自分の指を見詰めた。

左の薬指にはめられていたのは、銀色のリングだった。
「これ?」
「プラチナじゃないけど……虫よけ。那月さんは俺のだから」
「別に虫なんか寄って来ないから……」
「何言って……現に今夜だって……あっ」
「今夜って?もしかして……」
「会社まで迎えに行ったんだ、そうしたら那月さんが……何だか凄くお似合いで、俺惨めで……だから、ごめん乱暴な事して」
さっきまでの剣呑さは無く、素直な言葉と一緒に駿平は那月に頭を下げた。

この流れをどう受け止めていいのか、那月は直ぐには呑み込めなかった。
「え……っと、それってヤキモチだったの?」
「うん、すっごい真っ黒だった俺」
「はぁ……」もう怒っていいのか、笑っていいのかすら判らないで那月は、深い溜め息を吐いた。
そして視線を駿平から左手に移した。
自分の指を見てつい頬を緩める自分が可笑しかったが、それでも微笑み続けていた。

「それ填めていてくれる?」
「ありがとう、駿平君」
「うん……ところで、今夜一緒だった人って誰?」
「取引先の社長で、僕に自分の会社に来ないか?って声を掛けてくれた人」
「……その会社に移るつもりなの?」
「まだ……ゆっくり考えて決めるつもりだよ、でもはっきり言って条件はいい」

「あの社長、那月さんに気があるよ」
「う……ん、そうかもしれない」
那月もそれは以前から感じていた事だった、それを駿平にズバリ言われて確信出来た気がする。
この2年、駿平が那月を守ろうとする嗅覚は想像以上に鋭かったからだ。

「でも那月さんが決める事だから、俺は口出ししない」
「うん、判っている」
お互いを尊重し合ったからこそこの2年喧嘩もせずに暮らせて来られたのだ。
「もし、那月さんがその会社に移りたいと言うのなら、今度俺もあの人に会わせて、ちゃんと紹介してくれる?」
「そうだね、そうするよ」

「俺さぁ……自分が情けない程に小さい男だな、って思うんだよ。俺はもしかしたら那月さんに相応しくないのかもしれないとか、色々考えたら……」
「僕は駿平君が好きだよ、自信の無い駿平も全部ひっくるめて好き」
「くっそー!早く大人になりたい!」
「そんなに急いで大人にならなくていいよ、そんな事言ったら僕はあっという間に30過ぎの小父さんになってしまうから……」
「那月さんが30になっても40になっても、俺の気持ちは変わらないから」
「那月でいいよ……駿平」
悪戯っ子のような顔で言う那月を駿平は改めて押し倒した。

平日に那月を抱くのは止めようと思っていた駿平だったが、その日から二人の間は、時間も曜日もあまり関係なくなってしまった。
若い駿平に朝まで寝かせてもらえない時もあった。

今まで勤めていた会社を円満に退職し、剣持の会社に良い条件で再就職も出来た。
駿平とはこれ以上ないくらいに円満で、幸せな日々を送っていた。



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すみません、短めな上あまり萌えません。
1・2・3……18年も女性だと偽って結婚生活を続けたスパイ男性の話に見入ってしまいました。
本当に???
事実は小説より奇なり!ですね。




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COMMENT - 5

-  2011, 05. 26 [Thu] 00:29

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NK  2011, 05. 26 [Thu] 08:11

お説教隊 Mission Complete!
今回も『天使の箱庭』の平和を守るため頑張ったのであった。
(秩序をかき乱すの間違いかな?)
ちこさま、けいったんさま任務遂行ありがとうございました!

やっぱり駿平くんは良い子だったのね。
人を傷つけると、それ以上に自分も傷つく。
そのやさしさを持ってゆっくり大人になってね。
でも、この嵐の前の静けさのような平穏がなんだかドキドキする。次は何がくるのだろう?

** 急募 **
説教隊は隊員を広く募集しております。

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梨沙  2011, 05. 26 [Thu] 14:49

C=(^◇^ ; ホッ!

駿平が若さのままに突っ走るかも…と危惧していましたが
やはり 紳士でしたw お互いの気持ちが大事と言うことをよく分かっています(*^^*)
虫除けの指輪! やぱっり不安は付き物ですからね(^-^; 那月も若い駿平の体力に頑張って着いていってね~うふ♪(* ̄ー ̄)v

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ちこ  2011, 05. 26 [Thu] 16:38

はあはあ・・・
説教もエネルギー使いますな・・・(´∀`)ふうっ
駿平くん、そんなことなら、コトに及ぶまえに渡しちゃえばよかったのに~そしたら、うるさい説教隊も出て来ないのだぁ~~~いや、来るか(笑)
NKさま、けいったんさまお疲れさまでした~(≧▼≦)
では、また~(*^□^*)
kikyouさま、頑張ってくださいね~千尋ちゃんは行方不明だし!!
那月さんはオオカミが狙ってるし!!
たいへん(≧▼≦)


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けいったん  2011, 05. 27 [Fri] 08:40

駿平が 素直になれば、那月だって・・・ね((ヾ(*ゝω・*)ノ☆゚+.
しかも 素敵な絆の証をプレゼントするなんて~駿平 やるぅ~♪
まぁ 那月が 喜んでいるんだから 順序が 逆なのは 許してあげよう!

ちこちゃん隊員、NKたん隊員、
説教隊の登場も 無駄でしたが、二人が幸せなら それで いいもんね!
ラブ━━━━(*゚∀゚)っ*゚∀゚)っ*゚∀゚)っ━━━━❤...byebye☆

NKたん隊員が、説教隊員を 募集してる~( ´∀`)ゲラゲラ

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