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俺様な姫と二人の侍 4

 22, 2011 00:17
 それまで「はいはい」と気の無い返事をしていた空が大地の後ろに回りぎゅっと抱きしめながら「お前こそ、俺らを捨てたら承知しないからな」と囁いた。
そして大地を振り向かせ、啄ばむようにキスをする。
「あふっ……」可愛い喘ぎ声空は大地の体の向きを変えて、今度は深く口腔を弄った。
「あん……」色っぽい声だ……

 その時ばーん!と浴室の扉が音を立てて開かれた。
「あーっ!!お前ら二人でずるい!」
「海のバカ、イイ所なのに、飲み会は?」
「何か嫌な予感がして早めに帰って来たんだよ」
 風呂の入り口に仁王立ちしている海を押しのけ「どけよ!俺疲れたから寝る!」と大地は冷たく言い放った。
「えーっ?姫それないよぉ……」本当に将来プロ野球選手になれるのか?海はとても情けない声を出していた。

 邪険な態度を取りながらも、海が早く帰って来た事に機嫌を良くした大地はもう一度お願いされたら考えてあげようかな?と濡れた髪を拭きながら思ってしまう夜だった。

「大地、一緒に寝よう」と海に誘われ「あーっ?手を出さないならいいけど」と大地は答えた。
「うん、ただ一緒に眠るだけだから」海は体がデカイからダブルベッドを使っている。
大地のベッドはシングルだから結局海のベッドで一緒に寝ることにした。
「本当に手出すなよ!」
「わかっているよ、今夜は酒が入っているから、一度抱いたら歯止めが利きそうに無いから、最初からやんないよ」大地はそう言う海の逞しい腕の中にすっぽりと納まってしまう。

「それに、今夜は空とやっちゃったんだろ?良かったか?」
 それがSEXを指しているとは思えないような、優しい聞き方だった。
「う・うん……良かった……何回もイった」
「そっか、良かったな」

 そう言いながら、大地の頭をポンポンと軽く叩きそして撫で上げる。
それはまるでキャッチボールが上手に出来るようになった息子を褒めるような仕草だった。
安心したように顔を埋めた大地の規則正しい寝息が聞こえてくる。
海は暫く大地の寝顔を眺めていたが大地が熟睡しているのを確認すると、そっとベッドを降りて部屋を出た。

―――コンコン

「どうぞ」海は缶ビールを2本持って空のベッドに腰掛け「飲むか?」と聞くと黙って手を差し出す空に1本投げた。
「へえ?今頃お楽しみかと思っていた・・・」揶揄するように海に言うと「何回やった?」と海が突然聞いてきた。
「はあ?」
「だから何回やったって聞いているんだよ!」
「俺が2回で大地は倍かな?」
「うううう―――」
「ばっかじゃないの?大地の前では平静を装って……」
「今俺姫を抱いたら壊すから……」
「全く、野生児の割りには気が小さいんだから」空が呆れたように言うと
「守ろうとしている俺が壊すわけには行かないだろ?」と海が呟いた。
「たまには壊れるくらいに抱いてやるのもいいんじゃない?」
「そうかな?……」
 空は時々不安になる。海が大地を大事にし過ぎて逆に壊してしまうんじゃないか?と……


 翌朝大地が目を覚ますと……海のベッドの上だ。
「あれ?海は?俺夕べ一緒に寝たよなぁ?」
回転の効かない頭でぼーっと考えながら自分の部屋に行くと、大地のベッドの上で寝てるのは空だった。
そして空の部屋に行くと空のベッドで海が寝ていた。
「はあー?お前ら何やってんの?」大地の大声で海が目を覚ました。
「テテテ―――ッ頭痛い、二日酔いだ」ベッドの周りに缶ビールの空き缶が転がっていた。
「海、あれから又飲んだのか?」

「あれ?大地……おはよう。お前の寝顔見ていたら眠れなくなって飲んでた……あれ空は?」
「俺のベッドで寝ているよ!」
「あはは……そうか、俺いつの間にか空のベッドで寝ちゃたんだな?」
『海は二日酔いでも爽やかな顔してんだ?』大地はそんな事を思った。
『こんだけ見た目が良くて将来有望なスポーツマンで、優しければ周りが放って置かないよな…』

「大地手貸して」
海の声に意味も判らずに大地が手を差し出すと、海は大きな両手で大地の指や掌のマッサージを始めた。
「あぁ気持ちいい……」
「な?気持ちいいだろ?反対の手も……」海の大きくて温かい手でツボを押されて血行を促され体が目覚めるようだった。

「大地の手、白くて綺麗だな……」実際大地の手は箸よりも重い物は持った事が無いような華奢な手をしていた。
「別に女じゃないし、褒められても嬉しくない」

「うっ!」急に下半身を押さえるように呻く海に「どうしたんだ?」と聞くと
「いやーこの白い指で俺のモノを握って扱かれたら……って考えたら腰にきた」
「バッ・バッカじゃないの?朝っぱらから……」大地は自分の顔が赤くなるのが判った。
「はいはい!そこまでね」いつの間にか入り口に空が立っていた。

「この部屋すごい酒臭いんだけど……海、湯張ったから風呂入ってアルコール飛ばして来たら?
」散らばった空き缶をひとつにまとめながら空が促した。
「チェッ……これからって時に」渋々とベッドから降りて風呂へ向かう海の背中を見送っていると「なに大地、夕べあんなに善がったのに俺だけじゃ不満?」
「だ・誰がそんな事……」大地は何か空に見透かされたようで、言葉がちゃんと出て来なかった。

「ふーん……そう?玉子はどうする?」
「スクランブル!」大地は少し怒鳴り気味に返事した。
「ヨーグルトのソースは?」
「プリンがいい」
「駄目、朝はヨーグルト」
「じゃ、ブルーベリーソース」

 昨夜大地を「気持ちいい?ここは?」
「お願いしますは?」などと散々焦らし喘がせた男が今朝はまるで母親のような事を聞いてくる。
 男3人の土曜日の朝は始まったばかりだ。


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COMMENT - 1

kikyou  2011, 04. 22 [Fri] 16:53

拍手コメ Nさま

こんにちは。良かった……対応遅くてすみません^^;
念のために目次貼っておきますね。
違うブログに飛びますが http://kikyou-love.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300986346-1

ブログ開設して最初の小説ですのでかなり拙い文章ですが、読んで下されば嬉しいです。
ありがとうございます。

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