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雨の日に出逢って 16

 25, 2010 16:55
「本当に仕事行けるの?」
平日に瀬名のマンションに泊まる事は殆ど無かったのだが
今回は遥のヤキモチとオモチャのお陰で、遥は瀬名のマンションからの出勤予定だ。
一応夜のうちに洗濯して乾燥してあったが、昨日と同じ服なのは気が重い。

「あぁ、やっぱり有給にしとけば良かったなぁ・・・」
愚痴を言う遥に「今からじゃ駄目なの?」
「う・・・体調悪いって言えば、休めない事もないけど・・・」
遥が迷っていると、その時携帯に着信があった。

「朝から誰だろう?」そう言いながら液晶の表示を見ると
そこには『毛利』と表示されていた。
「もしもし・・・どうしたんですか?こんなに早くから」面倒臭そうに遥が電話に出た。
仮にも先輩に向かっての態度じゃないような気がしたが瀬名は黙って聞いていた。


「ええーーっ!本当に?」
「えーーっと、紫のとぉ、あと何だかクチバシの付いたピンクのとぉ・・
えっと・・・それと丸いのが付いたのとぉ・・・・ああーーっ!手錠だ!」

「だ・大丈夫ですよ・・・・ちゃんと歩けますよ!」

「う・・う・・はい・・・・ちゃんと答えたんだからお願いしますよっ!」
「はーーい、はーい、じゃあ・・・・・」


瀬名は遥の電話の会話を驚きながら聞いていた。
「何それ?何報告してんの?」
憮然として問い詰める瀬名に遥は
「だって、何を使ったか教えてくれたら休んでもいいって、毛利さんが」

「はい?それで正直に答えたの?」瀬名は呆れた顔で聞いた。
「えっ?何か間違ってたぁ?」
使われた本人がそんなに簡単に白状しても良いのだろうか?
まして相手は職場の先輩だ・・・・

「もしかしてその人、遥が女性に使ったと思ってるの?」
「ううん、最初はそうだと思ってたみたいだけど、彼氏だって言ったもん」
彼氏が居ると告白した事を偉そうに話す遥に頭を抱える。

「大丈夫なの?その・・カムアウトなんかして・・・」
「えっ?どうして駄目なの?」
そういえば毛利にも他に言ったらダメだと言われてたのを思い出した。

「大丈夫、毛利さんだけだから知ってるの」
「もしかして、その毛利って奴・・遥に気があるんじゃない?」
「あはは・・・まっさかぁ・・・」
瀬名の心配を遥は笑って取り合わなかった。

「ふ・・・ん・・・で、今日は休み?」
「えへへ・・・休んじゃった」
「俺も今日はバイト入ってないし、一緒にゆっくり出来る?」
「うん!」遥が嬉しそうに瀬名に抱きついた。

途端「ああーーっ!忘れた!」
そう叫びながら携帯を手にして何処かへ掛けている。
「あーっ毛利さん、もう一つ忘れてた、丸いわっか!」
何を慌てて電話するかと思えば・・・・

「そう・・・そうなんです・・・・僕・・・うんうん・・・・」

神妙な顔つきで話す遥の携帯を取り上げ
「すみません、そういう事なので、お願いします」
そう言って瀬名は携帯をブチッと切断した。

「あ~瀬名ぁ話してる途中なのにぃ・・」
遥に文句言われるが、瀬名は
「遥お願いだから、そう言う話を他人にしないで」

瀬名はその毛利という男が、瀬名をそういう対象で見るのでは無いかと
不安というか、不愉快だった。
『絶対そいつ、遥が悶える所を想像してる・・・・』
「遥、無防備も大概にしないと、いつか痛い目見るよ」

瀬名がどうして怒っているのか、全く理解できない遥はそんな瀬名に剥れている。

突然瀬名が「遥・・遥が昨日持って来たオモチャ全部捨てていい?」と聞いてきた。
「えっ?どうして・・・・」突然の事に遥が驚いた。
「その毛利って男が選んだのなんか使いたくない・・」
「だ・だってお金出したのは僕だよ?」
お金が勿体無くて言っているのでは無い、
買って来てもらったと言いたいのだが

「じゃ持って帰れば?俺、もう使う気ないから・・」
そう言って瀬名は遥に背中を向けてベッドに横になった。
『折角・・・瀬名が喜ぶと思って買ったのに・・・・』

瀬名は背中を向けながら『俺って小さい?』そう思ったが
他の男が手に取り吟味した物を・・・そしてそれを遥に使うのだと・・
そんな物は使いたくなかった。
何故か二人の逢瀬を覗き見されているような気がして嫌だった。

どうして瀬名がそんなに不機嫌なのか・・・遥は戸惑った。
そしてダルイ腰を上げ、その段ボールを抱え
「瀬名ぁ・・・・これって燃えるゴミ?燃えないゴミ?」
「・・・・・・」瀬名にもそれは答えられなかった。


そのままどの位時間が流れたのだろうか・・・
多分10分は経過している。

「遥・・・ごめん・・・」瀬名が言葉を発した。
だけど返事が返って来ない。
瀬名が体の向きを変えた・・・
だが其処には遥の姿も段ボールも無かった。

音も立てずに、遥は段ボールを抱えて部屋から消えていたのだった。

「遥・・・・・」





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「天使の箱庭」からの転載で申し訳ございません^^;

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