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雨の日に出逢って 17

 25, 2010 16:56
本当に捨てに行ったのだろうか?
瀬名は部屋で少し待つ事にした、下のゴミ捨て場まで5分もあれば往復できる。
遥が居ない事に気づいてから5分が過ぎた頃瀬名は焦って立ち上がった。

携帯と財布だけをジーンズのポケットに捩じ込んで部屋を出た。
階下のゴミ捨て場を一応覗いたが、遥の姿は見えない。
携帯を鳴らすが、暫くすると留守番電話の機械音がするだけだ。

「遥・・・」
自分のヤキモチで遥を傷つけたのは充分に判っている。
そんな自分を殴りたい気分だが、今は一刻も早く遥を見つけて謝る事だった。
無防備で人を疑う事を知らない・・・そんな遥だったから好きになったんじゃないか!

「くそっ!何処行った?」


その頃段ボールを抱えた遥は自分の部屋にやっと辿り着いていた。
勿論タクシーを使ったのだが、今度はナニが入ってるかは話題にならなかったから黙っていた。

遥は部屋に入ると、「はぁーっ」と一つ溜息を吐いて段ボールの中を覗いてみた。
結構な数の色々なサイズのバイブがプラスチックのケースに入っていた。

「これはプラゴミでしょ・・・これは燃えるゴミ・・・」
そしてやはりオモチャで手が止まる。
遥がポケットから携帯を取り出して開くと
瀬名からの着信が3件ほどあった。

捨てたかの確認だろうと思い、捨てるまでは電話など出来ない・・・
「瀬名ぁ・・・・」遥は瀬名の名前を見ただけで恋しくて涙が出そうだった。
その瀬名の着信を無視して、毛利に電話を掛けた。

「はい・・どうした?何かあったのか?」
そんな毛利の耳に突然飛び込んだ来たのは
「これは何ゴミ~?」今にも泣きそうな遥の声だった。
「へっ?ゴミ?」
さっぱり意味が判らない毛利が聞き返すと
「だからぁ・・・・大人のオモチャ何ゴミで捨てればいいのっ?」

「えっ?あれ捨てるのか?」昨日の今日でもう使い壊したのか?毛利はちょっと想像した。
「だ・だって・・・・瀬名が捨てて来いって・・・」
そう答える頃には遥の瞳からは涙が零れ落ちていた。
「え・・彼氏が捨てろって?」
「うっ・・うっ・・・うっ・・・」
泣いて返事の出来ない遥にあのオモチャが原因で喧嘩になったらしい事は想像できた。

「ま、お前が金出して買ったんだし・・捨てるのは自由だけど・・・
それって燃やさないゴミだ、その辺は昨日終わってる、出すなら再来週だな・・・」
「・・・再来週」
丸々2週間・・・遥は2週間もこれを此処に置いておくのか・・そう思うと尚更涙が出てくる。

「全く・・・泣くんじゃないよ」
「も・毛利さん・・・どうして判ったの?」
「そんだけ鼻水をすすってれば、誰だって判るよ・・・」呆れながらも
「ハル、彼氏んちは近く?」
「ち・近くだけど・・・区が違う」

毛利は遥に大体の住所を教えてもらい「ちょっと待ってて」
そう言うと、パソコンのキーボードを叩く音が聞こえた。
「ハル・・彼氏んち辺りは明日が「燃やさないゴミ」の日だ・・
そっち持って行って捨てろよ」

「あ・明日・・・・」それならば、悲しい日が短くて済む
そう思った遥は「う・・うん判った・・明日捨てる、じゃありがとう」
毛利が何か言おうとしたが、それだけ言うと遥は勝手に電話を切った。

何となく安心した遥は1個づつプラケースから取り出し、
プラゴミと燃えるゴミに分けて行った。
その中に黒くて大きいバイブを発見して思わず手が止まった。
「・・・・毛利さんのばか・・・・」
こんな大きいのなんか入れたら壊れる・・・
ってかこんな僕の手首よりも太いのなんて入らないって!

『僕は瀬名のよりも大きいのはイヤなの・・・・』
でも、もしかしてもう瀬名は僕とSEXしてくれないかもしれない・・・
そう思った遥は、数本のバイブを1個づつ握ってみた。
『あ・・・これが瀬名と同じくらいだ・・・』
これだけは捨てないで取っておこうか・・・・

もし瀬名がしてくれなくなったら・・・寂しくなったらこれで・・・
「瀬名のバカぁ・・・・」又涙が溢れて来た。
迷った挙句、その白いバイブを箪笥の下着を入れている引き出しに仕舞った。
その他のは全部布製のエコバッグに入れて、
それをショルダーバッグに仕舞い出かける準備をした。

普段から遥は階段を利用している。
そして遥が階段を使って下に下りている時に
エレベーターを使って瀬名が上がって来ていた。


遥が瀬名のマンションに向かい
瀬名が遥の部屋のチャイムを鳴らしている。

こんなドラマみたいなすれ違いが、瀬名と遥の身に今起こっていた。





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「天使の箱庭」からの転載で申し訳ございません^^;


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