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雨の日に出逢って 1

 20, 2010 22:03
<注>過去作品の再アップです。
読まれている方がおられるかと思いますが・・・
タイトルも「雨の日に出逢って」に統一しました。

とりあえず、現時間で投稿します。





「ねぇ君迷子?」
「へっ?」
自分の事なのか判らなくて、キョロキョロ周りを見回した。
「君だよ、君」
少しむっとした顔で「何で僕が迷子なんだよ?」
涙で濡れているのか雨で濡れているのか判断しかねる顔を向けられた。

「あんたこそ、こんな雨の中傘も差さないで・・・変なヤツ」
「はあ?俺には充分君の方が変なヤツだけどぉ?」
「変なヤツに変って言われたくないっ!」

瀬名はガードレールに腰掛けたまま
「裸足で雨の中泣きながら歩いてるヤツに言われたくないね」
「えっ?裸足?」
その少年は自分の足元を見て、やっと自分が裸足だという事に気づいたみたいだ。

「呆れたヤツ・・・俺んち直ぐそこだから、着替え貸してやるから来いよ」
「へ・変なことしない?」
「変なヤツに変な事なんかしねぇよ」瀬名は乱暴に答えた。
瀬名が歩き出すと、その少年は黙って後を着いて来た。

『変なヤツ・・・』瀬名はポケットに手を突っ込みながら傘を小脇に抱え歩いて行く。
「な・なんで傘差さないの?」後ろから声が掛かった。
「もう濡れちまってるんだから、今更だろう?」
「ふーん・・・変なヤツ」

前を歩きながら瀬名がクックッと笑いを堪えていた。
5分程歩くと瀬名の住むマンションに着いた。
1LDKの部屋は瀬名が一人で住むには充分な広さだった。
濡れネズミの少年をバスルームに引っ張って行き
「ほらシャワー浴びて」と促した。

濡れた服は脱ぎにくいのか、肌に張り付いてなかなか脱げない。
「ほら、こっち手伸ばして」
瀬名は少年が着ていたTシャツを剥がした。
それを洗濯機に放り込み、下も全部脱ぐように促した。

少年は瀬名に背中を向けておずおずと全てを脱ぎ捨てた。
少年がバスルームに消えると、瀬名も濡れた衣服をさっさと脱いで続いて入った。
「ちょ・ちょっと・・・」少年が慌てて前を隠した。
「仕方ないだろう、俺だって濡れてるんだから、気持ち悪いじゃんか」

少年の動きが手早くなって、さっさと体と髪を洗いバスルームから出て行った。
「おい、そこにバスタオルが出してあるから・・着替えは俺が出てから貸すから待ってろ」
瀬名も手早く洗い、腰にバスタオルを巻きつけてリビングに行った。

「アハハハハ・・・お前何やってんの」瀬名が突然大声で笑い出した。
「・・・だって・・」その少年は女のようにバスタオルを胸から巻いていた。
「男だったら腰だけだろう?」瀬名は少年の前に立った。
そんな瀬名から視線を逸らした少年が言われたようにバスタオルを巻き直す。

「そうそう、それでこそ男だよ」瀬名が満足して頷きながら少年を見た。
風呂上りでピンクに染まった肌と薄く色づく胸の尖りに思わず目がいった。
そんな瀬名に「ほらっ、みんなそう言う目で見るからイヤなんだよっ」
「あー悪い悪い・・・」瀬名が我に返り奥の部屋に着替えを取りに行った。

『何なんだよアイツ・・・何かフェロモン出てるんだけど?』
それに変な事とか、みんなそう言う目で見るとか・・・言ってたなぁ・・
そう思いながらも新品の着替えを持ってリビングに行った。

「こんなもんしか無いけどいい?」
そう言いながらも瀬名が用意したのは、ブランド物のTシャツとスポーツメーカーのスエットだった。
その少年は超ビキニの下着を見て固まっている。
「こ・これ?」
「新品はそのタイプしか無いんだよ、イヤなら履かなくてもいいんじゃない?」

素肌にスエットを履く事を考えると、一時の辛抱だと思いその袋を開封した。
バスタオルを胸に巻いたまま、下着を履いている少年を瀬名がまた笑った。
「俺は瀬名、お前は?」
「セナ?女みたいな名前だなぁ・・・」
「ばーか、瀬名は苗字だよ、瀬名慎太郎って男らしい名前があるんだよ」

「・・僕は椿遥(ツバキハルカ)」
「アーハハハ・・・それこそ女みたいじゃん」笑い転げる瀬名を一瞥し
「ふん・・・慣れてるよ」と小さな声で呟いた。

「あーごめん・・・悪気があったんじゃないから、ハルカか・・可愛い名前だ」
「別に可愛くなくてもいいよ」
「そんなに剥れないでハルカチャン・・・」
「ハルカチャン言うな」遥が口を尖らしツンとソッポを向いた。

「遥可愛い・・・高校生?」
「!」
「えっ?まさか中学生って事は無いよな?」
「23歳・・社会人・・・」
「えっ!マジ?」
瀬名が信じられないという顔で金髪の遥の髪に触れた。

「本当だよ・・・僕クォーターだし・・・あんたは?」
「お・オレ?20歳大学生」瀬名も正直に答えた。
「大学生?老けてる・・・」
「別に俺は普通だよっ、お前が変なの」

「それに大学生ってこんな良いマンションに住んでるの?」
「あ、バイトでモデルやってるからな、ほらっ」そう言って瀬名は
自分が載っているファッション雑誌を投げて寄越した。

パラパラと捲り、瀬名が載っているページをじっと見たあと
「気取ってる・・・」また小さな声で呟いた。
「あははは・・一応モデルだからな、大口開けて笑ってられないだろ?」
「・・・笑ってる方がいいのに・・」小さく呟いてから、はっとして顔を上げた。

その時、遥の唇に瀬名の唇が重なった。
「ごめん・・・変な事して」瀬名が素直に謝ると
「・・・別にあんたは最初っから変なヤツだったから・・・」
「じゃぁもっと変な事しよっか?」

瀬名の唇がもう一度遥の唇に重なり、そして優しく吸った。
唇を離した瀬名が「やっぱイヤ?」と尋ねると
意外にも遥が首を横に振った。

何故イヤじゃないのか遥にも判らなかった。
ただ、自分を今日押し倒してきた先輩とは違う何かを感じた。
「男とのキス初めて?」
コクンと頷く遥の体を引き寄せ、絡めるようなキスを仕掛けた。

角度を変える合間に「あぁ」と喘ぎ声が漏れる。
Tシャツの中に腕を潜らせ、胸の尖りをそっと転がした。
「あぁぁ」塞がれた口元からも声が漏れる。
「遥・・・・・ここいいの?」そっと耳元で囁くとコクンと頷く。

『ヤバイ!可愛すぎる・・・』
「ここ舐めていい?」
遥は又コクンと頷く。
『マジ?判ってるの?』
躊躇う気持ちもあるが、止められない。

瀬名がTシャツを捲くり上げ、胸の尖りを曝した。
まだ反応していないピンクの粒が可愛いらしい。
そっと唇を付け舌先で転がす
「あぁ・・っ」ピクンと反応し、喘ぎ声が漏れた。

『マジヤバイ!』瀬名は理性を総動員して遥の体から離れた。
どうして?と言うような遥に向かって
「だめだよ、恋人じゃないヤツとこんな事しちゃ」それは自分にも言い聞かせる言葉だった。

淫らだと言われたような気がして遥の顔が強張った。
「ぼ・僕帰る・・・ごめん」恥ずかしくてこの場に居たく無かった。
『初めて会った男の部屋に上がりこみ、そしてキスしてしまった・・・』
何故自分がこの男に警戒心を持たないのか、それが判らなかった。
居心地が良いとしか言いようが無かった。

「ちょっと待てよ・・・帰るって言うなよ、俺の恋人になればいいんじゃん?いや?」
瀬名は会った時から遥に惹かれていた自分に気づいた。
ただ順番を間違えたくないだけだった。

「えっ?」遥が訝しげな顔で振り向いた。
「俺の恋人になってよ、なりたい?なる?」
否定の選択が無い言い方に遥の口元が緩んだ。
そしてコクンと頷いた。

瀬名も嬉しそうな顔で遥を抱き寄せた。


『雨の日に探し物が見つかりますよ・・・』
そう街角の占い師に呼び止められたのは3日前の事だった。




以前に「天使の箱庭」で観潮楼企画として参加した作品です。
ちょっとあほっ子ちゃんも書きたくなったので、こちらの方に移す事にしました。


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