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この世の果てで 47

 16, 2010 00:00
翌日拓海が目を覚ました時には瀬田の姿はなかった。
術後の診察に来た医師と一緒に来た看護士の女性が
「素敵なお兄さまですね」とちょっと頬を染めて言っている。
「兄ではありません、雇い主です・・」
拓海の言葉に更に驚いた看護士が
「あら、優しい雇い主さんね、輸血までして下さって・・」

「えっ?輸血?」
「そうですよ、出血が多かったから400ml。でももっと採ってくれって」
笑顔で言う看護士を驚いた顔で拓海が見ていると
「それに今朝まで付き添っておられましたよ、また午後におみえになるそうですよ」

「もう大丈夫ですね、上手く行けば2週間くらいで退院できますよ」
医師に言われ改めて礼を述べた。
「警察から連絡ありまして、事情聴取をしたいそうです。
瀬田さんが午後に来るからその時にしてくれ、って言われていますが
尾崎さんはそれで宜しいですか?」

『そうだ・・・佐久間はどうなったんだろう・・・』
そう思いながら、医師に「はい」と返事をした。
点滴の調整をしながら、
「まだ痛みがあると思いますが、痛み止めの点滴も落としていますから
直に和らぐと思いますので」

腹に巻かれた包帯を見て、改めて自分の身に起きた事を考えてみた。
自分が佐久間に刺されたという事実を拓海は本当は消してしまいたかった。
『自分たち家族があそこまで佐久間俊一を追い込んでしまった・・』
そんな事を考えていた拓海は点滴のせいなのだろうか?
瞼を開けている事が出来ずに、知らず知らずのうちに眠りに落ちてしまっていた。

痛み止めの点滴が切れたのだろうか、拓海が痛みで目を覚ますと
そんな拓海の顔を覗きこむようにしている瀬田と目が合った。
「あ・・・社長」
何故だかこの顔を見ると安心してしまう。
「大丈夫か、痛むのか?」
「はい、少し痛いです」
眉間に皺を寄せる拓海の額にかかる髪を撫で上げながら
片方の手でナースコールをしている。

「はい、如何されましたか?」看護士の声に
「痛むそうだ」とだけ瀬田が伝えてくれた。
だが拓海には痛い以上に困った事が起きていた。
点滴のせいなのか、さっきから尿意を感じてしまっている。

「失礼します」そう言って入って来た看護士は新たに2種類の点滴の袋を持っている。
事務的だが、優しい顔でてきぱきと手を動かしている看護士に
拓海は恥ずかしいが、漏らすわけにもいかない。
「あの・・看護士さん・・」
「ん?どうしました?」
20代後半くらいの可愛い感じの看護士は、拓海に向かって微笑んだ。

「あの・・」なかなか言葉に出来ない拓海に
「あ、そろそろ溜まりましたよね?」揶揄する訳でもなく、
事務的よりも少し好意的な笑顔を向けられ、拓海は黙って頷いた。

「どうした、何がそろそろなんだ?」
傍で瀬田が看護士と拓海の顔を見比べながら話しに加わって来た。
仕事柄こういう事には慣れている看護士は、何も言わない拓海の代わりに
「オシッコですよ」と答えてくれた。

「お・・オシッコか・・」瀬田もちょっと口篭っている。
「やっぱりカテーテル付けましょうか?」
本来なら術後に付けておくのだろうが、緊急オペという事で
その辺は後回しにされたみたいだった。

「カテーテル?」拓海が聞き返すと
「尿道に管を通して、そこからお小水を流すんですよ」
「に・・尿道に管?」
想像しただけで痛そうで震えがきそうだった。
瀬田も同じように痛そうな顔をしている。

「じゃ尿瓶、それとも紙おむつ?」容赦ない看護士の言葉に
「どれも嫌だ・・・」初めてわがままな言葉を吐いた。
「でも今は仕方ないから尿瓶を使いましょうね」
看護士はそう言うとベッドの下に置いてあったのだろう
尿瓶を手にし、拓海に掛けてある布団の横から手を差し入れて来た。

「えっ?自分で・・・」耳まで赤くなった拓海が抵抗するが
「それは無理ですよ、大丈夫です慣れてますから」
『看護士さんは慣れてても、俺は慣れてない・・・』
その看護士は手馴れた風に拓海の性器を摘んで尿瓶の先に当てた。

「やだ・・・」
瀬田も傍にいるのに、そんな中で出る物も出ない。
泣きそうな拓海の顔を見て
「緊張して出ないのかな?もう少し時間をおきます?」
その言葉に拓海は赤い顔のまま黙って頷いた。

「看護士さん、あとは俺がやりますんで任せて下さい」
「そうですか?じゃお願いします」
そう言うと看護士は尿瓶をまたベッドの下に戻し、
体温など測ってから病室を出て行った。

「拓海したくなったら言うんだぞ」
瀬田は何でも無い事のように声を掛けるが、そんな簡単に言えるはずが無い。
「出なかったら、カテーテル入れてもらうぞ」
そう瀬田が脅すが、やはりどっちも嫌だ。
「慣れないと痛いらしいぞ、カテーテル・・・
なんたって、ペニスの中に管を入れるんだもんなぁ・・・」

さっきの痛そうな顔はもう瀬田はしてなかった。
怯え恥ずかしがる拓海を揶揄するように顔を覗きこんだ。
「俺、自分で出来ますから・・・」
「駄目だ傷口が開く」

日常では簡単な事が、今の拓海には傷の痛みよりも大変な事だった。




すみません、少し調べてみましたが、カテーテルを入れる必要、そしてその順番・・
よく判りませんでした。専門的な部分はスルーして下さいませ。

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COMMENT - 18

-  2010, 10. 16 [Sat] 00:10

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kikyou  2010, 10. 16 [Sat] 01:04

鍵コメ Y さま

あはは・・・実は私もそう思いました。

でもあんなに面白ろ可笑しくは書けないので
その辺は拓海の羞恥心を中心に(笑)

コメントありがとうございました。

          ado kikyou でした!

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-  2010, 10. 16 [Sat] 02:19

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kikyou  2010, 10. 16 [Sat] 02:42

鍵コメ n さま

こんばんは、始めまして^^

追いついてしまわれましたか・・・ありがとうございます。
頑張って毎日更新して行きますので読んで下さいね。
コメントありがとうございました、嬉しいです♪

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jun  2010, 10. 16 [Sat] 05:57

お早うございます。
忘れていました。拓海の出血の多さ。
備蓄だけでは無理、誰かが献血しなけりゃ。
それを瀬田社長してたんですね。
拓海、そのこと知ったら、もう感激してメロメロになるでしょうね。
その後の尿意はパロデイ。

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アド  2010, 10. 16 [Sat] 06:22

ヾ(^ω^〃)きゃー

輸血の感激のあとに尿瓶!!
わーお、これは~~ワクテカな展開~~。
拓海くん!!い、嫌がってるぅ~~~↑↑↑
o(~o~;):ハァハァ・・瀬田さん看護師さんから引き継いだ~。
ナーイス!
って喜んでたら、即行でYさんadoさんの名前出しましたね(笑)
ええ、ええ、ヨロコビましたとも~~。
専門的なことはスル―で、もちokですよー♪
美味しいトコを拝見~~ヾ(´∀`〃)ノ~♪
我慢しているから一杯出るよ~~~(*ノェノ)キャー

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かや  2010, 10. 16 [Sat] 11:18

これはアドさんが喜ぶ展開だなあ、と思ったら、やっぱり喜んでる(笑)
カテーテルはスルーで。了解です♪
拓海くん、恥ずかしがってますね~。すかさず引き継ぐ瀬田さん、さすがです(≧∇≦)楽しそう(*^_^*)

輸血いいですね!
義兄弟の契りで傷を付けて血を混ぜ合うってあるけど、契り方がダイナミックだわ~♪

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紫猫  2010, 10. 16 [Sat] 12:06

輸血!
やばいです!
二人の血が拓海君の体の中で混ざり合っていく…
と言う事ですね!?(*ノノ)キャ-

そして何より尿瓶です!
社長ニヨニヨですねw
恥ずかしがってる拓海君可愛いーーー!
これからが楽しみですね(゚∇^d) グッ!!

Edit | Reply | 

-  2010, 10. 16 [Sat] 12:08

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kai  2010, 10. 16 [Sat] 13:40

血のつながりの絆ができたんですねー
というのは考えすぎかもしれませんが
命を救う手伝いが出来て瀬田さんとしては嬉しかったのでは?

まじめな医療行為なのに、カテーテル・・・
どんなぷれいなんでしょう
でも痛いのはイヤ
じゃあ尿瓶で?
拓海くんにとってはどれも羞恥ぷれいに違いない

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此花咲耶  2010, 10. 16 [Sat] 16:53

kikyouさま

昨日、泣いたのに・・・お父さんとお母さんが、真実大切に思ってる気持にパソ前でえぐえぐになったのに・・・
この展開・・・。あぅ~、kikyouさまのテクニシャン、目が離せない~。。。。。。。。。(目から鱗)

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kikyou  2010, 10. 16 [Sat] 23:48

jun さま

> お早うございます。

こんばんは(って読む頃は朝ですね^^:)

> 忘れていました。拓海の出血の多さ。
> 備蓄だけでは無理、誰かが献血しなけりゃ。
> それを瀬田社長してたんですね。

瀬田にしてみたら、自分の血で全部賄いたかったかと・・
拓海の体に自分の血が流れる。

> 拓海、そのこと知ったら、もう感激してメロメロになるでしょうね。
> その後の尿意はパロデイ。

尿意に触れるか迷ったんですが、自然の流れで・・^^
さらりと書き上げられたと思います。

コメントいつもありがとうございます♪

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kikyou  2010, 10. 17 [Sun] 00:00

アドさま

おはようございます(もうお休みでしょうか)


> 輸血の感激のあとに尿瓶!!
> わーお、これは~~ワクテカな展開~~。

アドさん的な展開には書けません私(笑)
考えてみたら沢山書いてきたけど、こういう展開は初めてです^^


> 拓海くん!!い、嫌がってるぅ~~~↑↑↑
> o(~o~;):ハァハァ・・瀬田さん看護師さんから引き継いだ~。
> ナーイス!
> って喜んでたら、即行でYさんadoさんの名前出しましたね(笑)

やはりこういうネタはアドさんの専売特許みたいなもんですよ。
丸投げしようかと思っちゃいましたよ~
でのほんの少しの羞恥プレイで終わりました。
アドさん少しがっかり?(笑)


> ええ、ええ、ヨロコビましたとも~~。
> 専門的なことはスル―で、もちokですよー♪
> 美味しいトコを拝見~~ヾ(´∀`〃)ノ~♪
> 我慢しているから一杯出るよ~~~(*ノェノ)キャー

細切れでレスしても、全部がこのネタだー!

次話を読んで朝からがっかりさせてしまったかな?

楽しいコメント有難う御座いました。

あ、junさんのコメ色変えるのを忘れた~ごめんなさい

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kikyou  2010, 10. 17 [Sun] 00:04

かやさま

> これはアドさんが喜ぶ展開だなあ、と思ったら、やっぱり喜んでる(笑)

喜んでましたねぇ(笑)
私も書きながら、そう思ったもん^^;


> カテーテルはスルーで。了解です♪
> 拓海くん、恥ずかしがってますね~。すかさず引き継ぐ瀬田さん、さすがです(≧∇≦)楽しそう(*^_^*)

上手い事かわしましたよ。
こういうネタはアドさんにお任せします。
20禁が付いてない事にきっと朝がっかりさせてると思います。


>
> 輸血いいですね!
> 義兄弟の契りで傷を付けて血を混ぜ合うってあるけど、契り方がダイナミックだわ~♪

あれ格好いいですよね。

愛しい人には血でも内臓でも分けてやりたいですよね。
これからの展開を楽しみにして下さいネ。

コメントありがとうございました。


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kikyou  2010, 10. 17 [Sun] 00:08

紫猫さま

> 輸血!
> やばいです!
> 二人の血が拓海君の体の中で混ざり合っていく…
> と言う事ですね!?(*ノノ)キャ-

体が交わる前に血が混じ合ってしまいましたぁ^^
そしていつになったら、交わるんでしょうかね?(笑)


>
> そして何より尿瓶です!
> 社長ニヨニヨですねw
> 恥ずかしがってる拓海君可愛いーーー!
> これからが楽しみですね(゚∇^d) グッ!!

色々考えた挙句、結構スルー状態でした。
勿論次話は20禁ではありませんし(笑)
パロディになりそうなのを踏み留めました♪

コメントありがとうございましたぁ!


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kikyou  2010, 10. 17 [Sun] 00:52

鍵コメ Sさま

初コメありがとうございます。
そして箱庭もこちらも読んで下さって本当に嬉しいです。

私の中でも「雅」は初めての試みの作品だったし、思い入れも強いです。
(終わった話の時間を戻して、そして最後に繋げた的な部分で)
好きと言ってもらえて本当に私の方が感激です。

詳しい話もありがとうございました。
参考にさせてもらって軽い描写でまとめる事に致しました。

こちらこそ、今後もよろしくお願い致します。

嬉しい、そしてためになるコメント有難う御座いました!!


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kikyou  2010, 10. 17 [Sun] 00:57

kaiさま

> 血のつながりの絆ができたんですねー

拓海は後で知った事ですが、
瀬田は絶対に他の人の血は混ぜたくなかったのでしょうね


> というのは考えすぎかもしれませんが
> 命を救う手伝いが出来て瀬田さんとしては嬉しかったのでは?

大事な拓海の助けになるのならば、何でもしたと思います。
この時点ではまだ片思いですが(内面は別として^^;)


>
> まじめな医療行為なのに、カテーテル・・・
> どんなぷれいなんでしょう
> でも痛いのはイヤ
> じゃあ尿瓶で?
> 拓海くんにとってはどれも羞恥ぷれいに違いない

やはりこの場で羞恥プレイは避けてしまいました(笑)
でもかなり恥ずかしかった模様です拓海君♪
話の流れの上で必要だったのですが、私らしくまとめられたと
自分では思っていますが・・・

いつもコメントありがとうございます♪


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kikyou  2010, 10. 17 [Sun] 01:02

此花さま


こんばんは。
>
> 昨日、泣いたのに・・・お父さんとお母さんが、真実大切に思ってる気持にパソ前でえぐえぐになったのに・・・
> この展開・・・。あぅ~、kikyouさまのテクニシャン、目が離せない~。。。。。。。。。(目から鱗)

話の展開が早いでしたねぇ。
ちょっとだけAさんが憑依した模様・・・
振り切りましたがね(笑)

又元の路線に戻す事が出来ほっとしています。
20禁が付く話は私には無理そうです(笑)

コメントありがとうございました。

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