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立夏とふたりの野獣 11

 25, 2011 16:09
「それより立夏が、又あのエロイ写真の仕事をしたいんだとさ」
「ああ……っ、徹さん」
慶吾に知られたくは無かったのに、簡単に徹はバラしてしまう。

「どういう事?」
優しかった慶吾の目つきが厳しいものに変わった。
「もしかして、まだドレスの弁償とか思っているんじゃないだろうな?」

立夏には金が必要だと慶吾は知っていたけど、急ぐものでは無かった。姉の冬香の結婚にはまだ余裕があるはずだ。
「だからこれか……」
事情を察した慶吾は、ゲイ雑誌を拾い上げた。
「立夏は、こんな雑誌に載って多くの男の慰み者になりたいの?」
「そ、それは……」

立夏には、ゲイというものが良く分かっていないが、何か自分の態度や考えが慶吾の癇に障ったのだという事だけは分かった。
しゅんとなった立夏の耳元で、慶吾が囁いた。

「立夏は俺らだけのオカズになっていればいいんだよ」
「へっ?」
「ふふふ……いいんだよ分からなくて。立夏にはゆっくり教えてあげるから」
「俺らって……先生と徹さんは……その……恋人同士なんでしょう?」

「ブ―――ッ!」
立夏の言葉に徹が飲みかけのペットボトルの水を勢いよく噴き出した。
「なんで、俺と慶吾が恋人同士?!」
「いいんです……隠さなくても。僕黙っていますから」

「そう……黙っててくれるの?」
急にしおらしい顔をして慶吾が呟いた。
「はい、大丈夫です。誰にも言いません」
「じゃあ、立夏は俺と徹のどっちが下だと思っている訳?」

「どっちが下?」
慶吾の質問の意味が判らずに、立夏が可愛く小首を傾げる。
「だって、同級生でしょう?」
「ブ―――ッ!」
再び、徹は水を噴く。

「と、とにかく。僕を当て馬にして喧嘩なんかしないで下さいね。仲良くして下さい」
「分かったよ、立夏は優しいなぁ……」
慶吾は内心は可笑しくて仕方ないのだけど、立夏に合わせて神妙な顔を見せた。


「慶吾、腹減った」
立夏の言葉に合わせるように、徹が慶吾に甘えてみせた。慶吾は立夏に見られないように冷たい視線を徹に送ってから、牛丼を買って来たのを思い出しその事を告げた。

「あ、俺達もラーメンの出前頼んだんだ……」
「あ……」

思い出した途端に、部屋のチャイムが鳴った。
「まあいいか。立夏だって育ちざかりの男子だ、両方食えるだろう?」
「僕は牛じゃありませんから」


三人で慶吾の部屋に戻り、徹の注文した2つのラーメンと、慶吾の買って来た牛丼を苦しい思いをしながら食べた。
「全く、突然戻って来るから。せっかく立夏と二人で仲良くラーメン食おうと思ってたのにな?」
そういう同意を求められても、立夏も何と返せばいいか分からない。
結局慶吾は、立夏の事を心配して帰って来た訳だ。


「先生、僕は午後から何をすればいいですか?」
ドレスを作り直す事を知った立夏には、もう隠す必要はなかった。
「色々やってもらう事はあるよ」
「はい」
やっと仕事を言いつけてもらえそうで、立夏は嬉しそうに返事をした。


午後、徹は撮りためておいた写真を焼くと言い暗室に篭った。慶吾は忙しそうにドレスの生地の手配をしている。色々あると言っても立夏に与えられた仕事は、子供でも出来るような簡単な仕事だった。
「先生……もっと仕事を下さい」
日曜日の今日時給が発生するかは分からなかったが、それはどっちでもいいと立夏は思っていた。今は慶吾の為になる事を何かしたい。

「立夏、じゃあ肩揉んでくれるか?昨夜から椅子に座りっぱなしで疲れた」
「先生……」
ふと漏らした慶吾の言葉で、昨夜自分が寝た後に仕事をしていた事を立夏は確信した。

肩もみなどとは縁の無い生活をしていたが、立夏は喜んで慶吾の背後に回り込んだ。
「ああ、気持ちいい……もっと強くしてもいいよ」
慶吾の気持ち良さそうな声に、立夏も気分を良くして、そして言われるように肩から背中へと揉み解していった。
父親が生きていたら、こういう事は頻繁にあるのだろうか?などと少し感傷的になった立夏だ。

「ベッドに横になるから、腰もいい?」
「はいっ」
立夏は、うつ伏せになった慶吾の背中から腰、最後には脹脛まで揉まされた。
「ありがとう、気持ち良かったよ。じゃあ立夏のも解してやるよ」
「ぼ、僕は凝っていませんから」

立夏は折角解してやったのに、自分など揉んだらまた疲れさせてしまうと思って慌てて手を振った。
「いいから、ここに横になって」
だけど、慶吾の強い力に引かれて立夏はベッドに寝かされた。

「ほら、うつ伏せになって」
「は、はい……でも僕本当に凝っていませんから」
立夏がどんなに遠慮しても、慶吾の手が背中を押した時に、その気持ち良さに小さな吐息が漏れた。
「ほら、意外と凝ってる」
「……そうかも。気持ちいいです」
立夏は、慶吾の圧を本当に気持ち良いと感じていた。喧嘩をしたり他人の家に泊まったりして少々体が緊張していたのだろうか、と思った。
(ああ……気持ちいい。何だか幸せ)

立夏が素直にそう感じていた時、背後で慶吾が普段になく楽しそうな顔をしていた事など、立夏は全く気付いていなかった。


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COMMENT - 1

-  2011, 10. 25 [Tue] 22:48

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