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立夏とふたりの野獣 3

 12, 2011 00:00
 慶吾の重みでベッドが軋んだ。
「立夏」
 立夏の背後に回った慶吾が甘い声で囁きその耳たぶを舐めた。
「ああん」
 立夏は自分でも驚くような声を出してしまい、顔から火が出そうな程恥ずかしくなった。

「ちょっと先生……くすぐったいから止めて下さいよ」
「ふふ、立夏は敏感だな。手伝い甲斐があるよ」
 慶吾が何をどう手伝おうというのか、立夏には全く分からなかった。

「立夏、慶吾の事は気にしないで任せておけ。立夏は目線をカメラから外さないように、こっちを見ていて」
 徹に指示され、立夏は目線をカメラに戻した。
「あ……っ」背後から慶吾の手が伸びて来て乳首を抓った。
「おっ、いい表情だ」
 立夏の敏感な反応に徹が、満足そうにシャッターを切る。いつの間にか、慶吾の指にはオイルのような物が塗られていて、ぬるぬるした指で立夏は乳首を弄られていた。

「あぁ」その感触に、自然と声が漏れてしまい、立夏は悔しくて唇を噛んだ。
「いいね、そういう表情もそそられるぞ」どうやら、その顔は徹のお気に召したようだった。
 立夏以上に褒められ気分を良くしたのは、後ろに座る慶吾らしかった。慶吾の指に両方の乳首をじんじんする程に弄られ、立夏は少しずつ妙な気分になってきた。

「立夏勃って来たな」
 楽しそうな声と共に、慶吾の動きはテンポ良くなってきて、立夏を追い詰めて来る。
「勃ってないから……」
 いや、本当は少し固くなって来ているのは自分でも分かっていたが、立夏はそれを認めたくなかった。姉の、晴れの門出を祝うドレスを作る男に、乳首を弄られて勃起などしたら、姉に申し訳ない。立夏は、純白のドレスを穢してしまいたくはなかった。

 それから一時間余りで撮影は終了した。立夏はシャッター音に解放されるより、慶吾の手から解放された方に安堵の息を吐いた。立夏の気持ちを知らないで、穢そうとする慶吾から姉を守ったような気分だった。


「いい子だ。だけど可愛くない子だ」
 慶吾はそう耳元で囁くと、さっさと自分の部屋に帰ってしまった。慶吾に見捨てられたような気分になり、立夏は少し寂しさを覚えた。
「さあ立夏、もう帰っていいぞ。俺はこれから暗室に篭るし、慶吾はきっと飲みにでも行くだろうよ」
「は、はい……お疲れ様でした。失礼します」
 徹からも突き放されたような気分で、立夏の寂しさは一つ増えてしまう。


 姉とずっと二人きりで、男兄弟の楽しさは知らない。慶吾と徹みたいな兄がいたら楽しかったかもしれない、などと考えながら衣服を身に着けていた。

「評判良かったら、また頼むかもしれないぞ、いいか?」
 ダメと拒否しても、きっと自分は言い包められるだろうと思うから、立夏は黙って頷いた。
「じゃあ、気を付けて帰れよ」
「はい、徹さんも明日からの撮影旅行気を付けて下さいね」
 立夏がそんな事を言ったせいか、徹が少し驚いた顔を見せてから、ああとだけ答えてくれた。


 立夏は、火金土と週に3日、慶吾のマンションに通っていた。簡単な雑用で、時給千円は大学生の立夏にとっては、条件の良いバイトだ。今日みたいな余禄もあるのも嬉しい。
 だが、慶吾があと少し強く攻めていたら、自分は耐えられなかったかもしれないと思う。無事に撮影を終えた事に安堵しながら、立夏は駅へ向かう道を急いだ。夜九時を過ぎると姉の冬香が心配する。立夏が成人しても冬香にとっては、いつまでも中学生の子供と同じらしい。

 冬香はいい妻になり、いい母になるだろう。何を犠牲にしても姉には幸せになって欲しかった。
「あともう少し……」
 慶吾は通常の半値で作ってくれると約束してくれた。その金額まであと五万円。来月には資金が作れる。立夏にとって今日の臨時収入二万五千円は随分と助かったのだ。


「ただいま」
「お帰り、遅かったのね」
「うん、バイト」
「そう……あまり無理をしないでね」
 まるで親子のような、夫婦のような会話を交わしながら、立夏は遅い夕飯を摂った。

 食後、姉が剥いてくれた梨を食べていると、言いにくそうに姉が口を開いた。
「りっちゃん、明日……その……」
「明日どうかした?」
「ううん、何でもないわ。梨美味しい?」
「うん、美味しいよ。明日は原口さんとデート?」
 土曜日の夜だ、結婚が決まっている恋人同士がデートしない方がおかしい。
「う……ん、もしかしたら」
「ん?泊まってくるの?」
 立夏の言葉に姉は、顔を真っ赤にして小さく頷いた。二十八にもなって全然すれていない姉を可愛く思った。原口さんもきっとこんな所を好きになったのだろうと、立夏は嬉しかった。

「うん、たまには泊まってきなよ、僕なら一人で平気だから。つか、姉ちゃんが結婚したら必然的に一人になるんだから、慣れておかなくっちゃね」
「りっちゃん、本当に一緒に暮らさないの?」
「当たり前でしょ。どこに新婚家庭についていく二十歳の男がいると思う?」
「でも……」
「もうこの話は終わり。姉ちゃんも僕の事は気にしないで、楽しんで来てよ」
 立夏の言葉に、また姉の顔が染まる。
(あぁ……きっと最近原口さんと結ばれたのだ)姉の反応の初々しさに立夏の口元も緩む。
「僕も、明日バイトだし、土曜日だから遅くまで仕事するつもりだから、心配しないで」
「うん、りっちゃんも気を付けてね」
 きっと傍から見たら、甘ったれた姉弟関係かもしれないけど、だからこそここまで来られたのだ。

 姉は容姿からお嬢様風に見られがちだった。性格もおっとりしていて苦労しているようには見えなかった。
 でも立夏は知っていた。姉が布団の中で幾度嗚咽を漏らし、眠れない夜を過ごしていたのかを……


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昨夜気づいたのですが……
以前に「俺様な姫と二人の侍」という話を書いた事があります。
私って……3Pを書こうと思ったら、こういうタイトルしか思い浮かばないみたいです……
はぁ……、自分のセンスのなさに深く溜め息を吐いた夜でした。

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COMMENT - 1

しお  2011, 10. 12 [Wed] 08:26

kikyouさま


更新嬉しいでーす・

俺姫も大好きですよ~

また読み返しちゃいました♪

立夏ちゃんが二人に振り
回されてる感じでまた違
った3P楽しみにしてます
ねぇ~

きっと可愛い素直な立夏
ちゃんに最終メロメロになる
のかな、なって欲しいな
しお

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