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立夏とふたりの野獣 2

 11, 2011 00:12
 今日来られなくなったモデルの代わりに、立夏がウェディングドレスを着たのも、その為だった。華奢な立夏でも流石に女性のドレスは厳しい。
 だが化粧してカツラも付けたおかげで、知っている人間に見られても立夏だとは分からないだろう。化粧は化けるという字が使われている事を納得した日でもあった。


「で、どうするんだ?」
 ソファの上でうつらうつらしていた立夏は、徹の声で現実に引き戻された。
「本当に二万円くれるの?現金で?」
「ああ、何なら前金でもいいぞ」
「前金!やるっ!」
 立夏は結局目先の現金に釣られて徹の話を受けてしまった。

 佐伯が、自分の財布から二万円抜き出して立夏に渡した。この二人は同級生だと聞いているが、それだけの関係なのか立夏は良く分かっていなかった。
「徹への払いから差し引いておくよ」
(そうか、撮影代として先生が、徹さんに払う分があるから、それでいいのか)
立夏にとっては、どうでもいい事だが、二人の間にきちんとビジネスが成り立っている事に何故か安心していた。

「場所を俺の部屋に移動しよう」
「機材はここにも揃っているのに?」
 さっき嫌がる立夏を無理矢理女装させて、ウェディングドレスの撮影を終えたばかりだ。
「ここじゃ雰囲気が出ない」徹はそう言うと、愛用のカメラを持って立ち上がった。
「慶吾、お前のガウンを立夏に貸してやって」
「あいよ」

「えー?僕このまま移動するの?」
「直ぐだろ?」何を言っているんだ?というような冷たい視線が徹から飛んでくる。
 実際、慶吾と徹はマンションのお隣さん同士だ。昨年事務所も作業場も兼用出来るような物件を二人で探し、今のマンションに落ち着いたらしかった。
 慶吾の部屋は、一番狭い部屋を寝室にして、後は打ち合わせや簡単な撮影に使っている部屋と、仕事部屋だった。慶吾は渋谷の繁華街から少し離れた場所に小さな店も持っていた。

 一方徹の部屋は、一番小さな部屋を暗室にして、後はいったい何処で寝ているのだろうか?と思うほどに全てがごちゃ混ぜになった部屋だった。
「先生、徹さんの部屋の何処に撮影に使える場所があるっていうんだろうね」
 立夏は部屋を移動しながら、慶吾の耳に小声で囁いた。
「大丈夫なんじゃないの、ベッド一つあれば……」
 慶吾の言葉の意味を聞き返す前に、徹の部屋には着いてしまう。部屋の中は相変わらず物が散乱していたが、一足先に部屋に戻った徹はベッドの上の物を放り投げていた所だった。

「ほら、立夏ここに座って」
「ベ、ベッドなんかあったんだ……」
 立夏は、ベッドに座れと言われた事よりも、ベッドそのものの存在に驚いていた。
「ほら早く。ガウンも脱いでパンツも脱げよ」
「ええっ、パンツも。じゃあ何着ればいいの?」
「着る必要は無い」
 あっさりと立夏の疑問は切り捨てられてしまった。
「も、もしかして裸の写真撮るんですか?」
「もしかしなくても分かれよ立夏」
「そんな……僕の裸なんか撮っても意味ないでしょう?胸も無いし……」

「そういう趣味の人も世の中にはいるんだから。まして立夏みたいに若くて可愛い子なら見ているだけでもいいんじゃないか?」
「慶吾さんまで……僕無理だから裸なんて誰か知っている奴にでも見られたら大変だし」
「心配するな、ちゃんとモザイクは掛けるから、体だけ見たら誰だか分からないさ」
「ふふ……立夏のなんてモザイク掛ける程立派じゃないだろう?」
 まだ見た事もないくせに、慶吾がそう言って笑っていた。
「慶吾さんまで酷い、僕……無理だからお金返します」

「立夏、違約金って知っているか?倍返し出来るのかよ立夏に」
「え……っ倍返し」
 一度財布に入った二万円が消えるだけでも気分は痛いのに、倍返しともなれば、今日無理に着たドレスのバイト代を足しても足りない。
「そんなぁ……」
「だから、脱いで黙って微笑んでいれば金になるんだ。ほらさっさと準備しろ」

 立夏に金が必要だと知っているくせに徹は容赦なかった。
(はぁ……僕だって分からなければいいか……)
 立夏は深く溜め息を吐いてから、ガウンを脱ぎ捨て下着のゴムに手を入れ、一気に足元まで下した。にやにやして眺めている慶吾と目が合って、恥ずかしくて目を逸らした。

 立夏が脱ぎ出した段階からシャッターの音が聞こえ、立夏は思わず両手で前を隠してしまった。
「先ずは、ベッドに軽く腰掛けて」
 諦めて徹の指示通りに立夏は動き始めた。ここまで来たら言う事を聞いてさっさと終わらせてしまいたかった。女性の目が無いとはいえ、やはり人前で全裸を晒すには抵抗のあるお年頃だ。

「少しだけ脚を開いて」
「両手を後ろに突いて、胸を突き出して」
「片膝を立てて、前を隠すようにして」
 次々と徹の口からは、指示が出る。立夏が動作を変えている間もシャッター音はし続ける。
「あの……徹さんって風景でしょう?どうしてこんな写真撮るんですか?」
 立夏は素朴な疑問をぶつけてみた。立夏の視線の先で慶吾が渋い顔をしていた事に気づき、立夏は内心(もしかして地雷踏んだ?)と思ってしまった。だが、もう後の祭り。

 徹の指示が徐々に立夏に大胆なポーズをとらせ始めた。
「四つん這いになって、肩で体を支えてカメラ見て」
「もう少し色気のある顔しろ」
「指で自分の乳首を抓んでみて」

「え……っ、乳首って僕男だし……」
「男でも乳首付いているだろうが、言われた通りにしろ」
 カメラを持った徹に何を言っても無駄だと諦め、立夏は言われたように自分の小さな乳首を抓んだ。
「もう少し色気欲しいな、右手はそのままで、左手でペニス握って」
「ええーっ!」
 人前に晒しているだけでも凄い事なのに、握ろとは……思わず立夏の動きが止まった。 徹が小さく舌打ちをし、立夏は一瞬息を飲んでしまった。

「おい慶吾。少し手伝ってやって」
「了解ー」
 立夏は慶吾の楽しそうな声に、徹の指示は自分の聞き間違いだったのかとさえ思ってしまった。それほどに慶吾の声には躊躇いも何も無かった。


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COMMENT - 1

ちこ  2011, 10. 11 [Tue] 19:00

うわ~~~~っ、いい具合に騙されてるぞ~~~~っ(笑)
kikyouさま、お久しぶりです~~~っ!!
ちこだじょ♪

なぜに、コロッと騙される、立夏!
ああ、この先は妄想しても言えません、テレテレ(〃▽〃)
金のため、とりあえず頑張れ!立夏!だって、貰ったものは返せないんだもんね~~~(笑)

へへへっ・・・(悪い大人のちこさん、降臨中)

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