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立夏とふたりの野獣 1

 10, 2011 15:50
◆この話はオマケのコピー本にしようと思って書き始めた話です。
内容の詰めに時間的余裕がなくなり、コピー本への掲載を断念しましたが、1万文字程書き上がっていました。
まだゆっくり書いている余裕が無いので、この話を上げて行こうと思っています。
暫くは零時更新予定です。

タイトルから分かるように、3Pあります。
地雷の方はごめんなさい。







「先生……もう止めて下さい」
「どうして?」
「だ、だって変ですよ。僕は男なのに……こんな」
「君しかいないんだから、仕方ない。諦めた方がいいと思うよ」
「先生……恥ずかしいです。こんな……見られているし」

 相馬立夏(そうまりつか)は、佐伯慶吾に腰を掴まれた状態で、正面の椅子に座る柳川徹に目を向けた。
「俺なら構わないから、気にせずに続ければ?」
「や、柳川さん助けてくれないのですか。僕……無理です」
「目の保養だ。慶吾さっさと終わらせろよ」
「了解。ほら立夏、大きく息を吸って下腹に力入れてみて」
「痛いし、きついです。もう無理です先生……」
「もう少しだから我慢して、おい徹、見ていないで手伝えよ」

 佐伯の言葉に、徹が渋々と腰を上げ立夏の肩を抑え込んだ。
「立夏、じっとしていろよ。動くから苦しいんだ。慶吾、今のうちに一気にやれ」
「ああ、行くよ立夏」
 佐伯は、そう声を掛けるとぐいっと力を籠めた。
「あぁ……苦しい」
 涙目になる立夏の顔を徹は、にやにやして見ていた。
「立夏、綺麗だぜ」

「やっと入った!」佐伯が歓喜の声を上げた。
「あぁ苦しい……早く済ませて下さいね、先生」
「分かっているよ、ほら今度は徹の出番だよ」


 それから二時間後、立夏は半裸状態で、ぐったりとしてソファにうつ伏せになっていた。額には脂汗が滲んでいる。体を覆っているのは小さなビキニパンツだけだ。
「先生、約束通りちゃんとバイト代に上乗せして下さいよ」
「分かってるよ、五千円付けておくから心配しないで」
(二時間で五千円か……ちょっと美味しいかも)立夏はそんな事を考えていたが、まだ体は思うように動いてくれないので、横になったままだった。


「おい、立夏。二万円出すって話に乗らないか?」
「二万円!」
 立夏は上半身だけ起して、徹の方を見た。
「いい……美味しい話には何か裏があるもん。特に徹さんじゃ余計に怪しい」
「大した事じゃないさ、ただ黙って写真を撮られていればいいんだ」
「写真?」
「面白そうだね、立夏写真撮ってもらえば?」
「また変な衣装を着ろって言うんじゃないんですか?」
「心配するな、変な衣装なんか着なくてもいい」

「ちょっと、さっきから聞いていれば、何が変な衣装だよ。立派なウェディングドレスにケチ付けるつもりなのか二人とも?」
「いえいえ、素敵なドレスですよ。ちゃんとした人が着れば」
「仕方ないでだろう、モデルが急に来られなくなったのに、明日から徹が写真撮りに沖縄に行くって言うし。今日しかチャンスが無かったんだ」

「で、どうする立夏?二時間で二万円は美味しいだろう?」
「う……ん、どうしようかな?」
「時給一万円、捨てるには勿体無い話だと思うんだが?」
 徹の吐いた言葉に、立夏の目が輝いた。(時給一万円……)
「本当に、変な写真じゃないのならやってもいいけど……」
 はっきり言って、佐伯も徹も何を考えているか分からない所がある人間だ。簡単に乗る訳には行かないが、やはり今の立夏には二万円の金は、かなり魅力的だった。

 立夏は、八つ年上の姉と二人で生きて来た。その姉が来春に結婚する。まだ学生である立夏は独立をしなくてはならなかった。姉は一緒に暮らそうと言ってくれるが、結婚する姉にそこまで甘えるつもりも、甘えていいとも思っていなかった。
 立夏たちは、七年前に両親を相次いで亡くした。その時姉は二十歳になったばかりで、年の離れた弟立夏はまだ中学一年だった。その後は姉が親代わりに立夏を育ててくれた。
 そして立夏は、今その時の姉と同じ二十歳になっていた。姉からの援助と奨学金で大学にも通っている。高校までしか学歴のない姉が、男なら大学は出ておくべきと無理をして塾にも通わせてくれた。

 身内も少ないのだからと、結婚式も上げようとしない姉に立夏はウェディングドレスをプレゼントしようと決めたのだ。姉にとって最高の門出にしてやりたい、それが立夏の姉への恩返しでもあった。

 佐伯慶吾、この男が一点物のウェディングドレスを作る男だ。立夏は大学の女子に色々リサーチしてこの佐伯のドレスと出会った。女子の間では結構有名で、時々ファッション誌でも紹介されているらしい。

 立夏が電話して佐伯を訪ねたのが今から三か月前。ブランド名『慶』だったので、まさかこんな若い?男だとは思わなくて驚いた。
背は立夏よりも五センチくらい高めで、スレンダーで繊細な雰囲気の美人だ。男に美人というのも変かもしれないが、綺麗としか表現の方法が無い。だが性格は見た目や言葉使いとは違って結構男っぽかった。
 
 立夏の話に感動してくれて、喜んで引き受けてくれたが、何せ一点物のドレスは立夏には高かった。女子に聞いてある程度の値段は想像していたが、やはり直接聞いても高い……。
だけど、だからこそ姉に贈りたい。
 立夏は佐伯の元で雑用のアルバイトをする事を条件に、ドレスを作ってもらう事を約束してもらった。きっちりドレスの代金を稼げるまでは、ここのバイトの事も姉には内緒だった。

 そして、佐伯の広告用の写真を撮っているのが、繊細な写真を撮るようには見えない柳川徹。自称風景カメラマン。でも依頼が来れば何でも撮るらしい。
 徹は体格も良く185を超える大男だ。佐伯の繊細な指が綺麗なドレスを作り出すのは分かるが、この徹の武骨な指で切るシャッターからも素晴らしい写真が生まれる。

 この二人と接するようになって、立夏もクリエィティブな仕事をしたいなどと考え出したが、まだ何も見出してはいないし、何の才能も芽を出しては来ない。
 だから頑張って、アルバイトに加えて臨時で、何でもやっていた。そこから何か切欠が掴めるかもしれないと佐伯に言われ頷いたのが、事の始まりだった。



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