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再)僕の背に口付けを 10

 30, 2011 12:05
光輝の肩に担がれてベッドに下ろされる。まだ息の荒い千尋の前で、光輝が乱暴に自分の衣服を剥いで行った。全てを脱ぎ捨て全裸の光輝が千尋の前に立つ。
「竜を見たい……」背中を向けたまま千尋が呟いた。
ベッドの上に腹這いになり「ほら」と光輝が千尋を誘った。

千尋は横座りのまま光輝に向き直り、そしてその背中に手を置いた。竜の輪郭をなぞるように千尋の指が這う。
「お前は竜の彫り物なら誰でもよかったのか?」光輝は今まで少しだけ引っかかっていた事を聞いた。
「ううん……光輝だから、光輝の竜だから……す……」千尋は無意識に出た言葉を途中ではっとして呑み込んだ。

(僕は初めから、この竜の背を持つこの男に惹かれていたんだ……)
口に出した言葉は途中で呑み込んだが、心の声は千尋の耳に届いた。自分の気持ちを認めてしまえば、後は簡単だ。心のままに受け止めればいいのだ。それが例え男でもヤグザでも……。

chihiro-kuchiduke.jpg
■イラスト by pio■
このイラストの著作権・版権はpio様に御座いますので無断転載転写は固くお断り致します。


「僕は貴方が好きだ」
千尋はそう呟くように告白して、その背に口付けた。背中の竜が大きく動いた。
「キスする場所が違うだろ」
光輝の腕が千尋を引き寄せ、広い胸に抱きしめた。
認めてしまった後の口付けは甘かった。深く口腔に差し込まれる舌にも絡んで返す。何度も角度を替える口付けに千尋の目元の色が妖しく染まって行った。光輝は千尋の手を握り自身に導いた。

「あっ」熱い塊に指が触れ、握らされる。
「あぁ……熱い」ドクドクと血管が鼓動しているようだった。
「お前を欲しがってこんなになっている」それは千尋の掌に包まれ更に嵩を増した。
「こ、これが……」(これが僕の中に挿いる?)いや事実昨夜は受け入れた……

昨日の感覚を体が覚えていて反応を示した。光輝の指がゆっくり背中を這い、そして尻の窪みを撫でる。
「あ……っ」それだけでも体がゾクッと粟立つ。光輝は片手で器用にジェルの蓋を開け、指に取った。その指がゆっくりと、焦らすように蕾の周りを這い回っている。

「やあっ……」ムズムズとした感触に快感が混ざり千尋は困惑した。だがその指はいつまで経っても、蕾の先へは進まない。千尋はもどかしさに腰が揺れた。

「どうして欲しいか自分から言ってみろ」こんなになっている癖に、光輝のその余裕が憎らしい。
耳元で「……指で……して」と千尋が囁くと「くそっ」と呻くような光輝の声と共に指が押し入って来た。その言葉を吐いた時の千尋の顔を見ていたかった。直接的な言葉がどんなに男を煽るのか千尋はまだ知らなかった。

受け入れた指が千尋の中で暴れている。
「あ……っ」その指の激しい動きに急かされるように声が漏れる。
「千尋……中が凄いぞ」
「やっ……あぁ」千尋本人も口答えできない程、自分の中が熱くなっているのが判る。

腰の下に枕を入れ腰を高く持ち上げられ脚を開かされた。この体勢がどんなに卑猥で恥ずかしいかは、こんな目に合わないと判らないだろう。
「やあーっ」長い指が奥に届き二本に増やされ甚振られる。そしてその指が三本に増える頃には、もう千尋の高ぶりは限界に来ていた。

「やっ……達きたい……こうき……もっ……達かせて」
蕩けそうな声で千尋は光輝に強請る。光輝は自分の猛りを千尋の後孔に押し当て、それから指をゆっくり抜いた。
―――ほんの一瞬でも千尋が淋しいと思わないように。

指と入れ替わって挿入された熱の塊は、千尋の体にゆっくりと埋め込まれた。
「あぁ……ぁぁ」同時に千尋の腕が光輝の首に絡まる。ゆっくりと抜き差ししながら、千尋の艶かしい顔を見下ろした。
「あぁ……ぁぁぁ」
白い頬がピンクに染まり、閉じていた瞼がゆっくりと開き光輝を見つめる。
「あぁ……こうき……あぁ……」
見つめる目が『達きたい……』と強請っていた。

「ずっと千尋の中に留まっていたい」
千尋はその言葉にジュンと体が濡れ、はにかんだ。光輝はそんな千尋の表情を初めて見た。小さい頃から苦労し、そして特異な世界で生きてきた千尋が初めて見せた年相応の顔だった。いや、この繋がりが普通では無い事は良く判ってはいる。それでも求め合うのだから仕方ない。
「千尋……達けよ」光輝は千尋を啼かせるべく体勢を整え挑みかかった。



「夕方雅さんを迎えに行くから用意しておけ」
情事が終わった後一緒にシャワー浴びながら光輝に言われた。
「はい」
「お前の両親の位牌も雅さんの所にあるのか?」
「……父の物はあります」
「母親のお位牌は無いのか?」聞き間違いかと思った。普通は両方揃っている筈だろう?

「……母のは、母の実家にあるそうです……僕は行った事が無いので詳しい事は分かりません」千尋本人も、どう説明していいのか判らなかった。説明しようにも、雅からは何も聞かされてはいなかったのだ。
「そうか」千尋の沈んだ声に何かを感じて、それ以上は光輝も尋ねる事はしなかった。しかし内心では調べてみようと考えていた。

「やぁっ」千尋の甘い喘ぎに、光輝はっと我に返った。中の始末をしてやりながら、無意識に千尋の良い所を撫で擦っていたらしい。
「もっ、自分でやるからいいです」千尋の潤んだ目が少し怒っているようだ。
「ほう、いいぜ、自分で中に指を入れてやってみろ」
「見られていなければ出来る」だから出て行けと言うのだろう。「いや、見ていてやるから早くやれよ」
唇を噛みながら考えている様子の千尋をニヤニヤしながら見ていると「……して……して下さい」と小さな声が聞こえた。千尋は見られながら自分でするよりも、してもらう方を選んだようだ。

「ほら、そこに手を突いて」浴槽の縁に手を突かせると
「もう中には出さないで……」と千尋が反撃を開始してきた。
「ほう、随分と生意気な口を聞くようになったなぁ」そう言いながら、光輝は自分の昂ぶりにボディソープを塗っていた。

「だ、だって……」中にさえ出さなければ、こんな恥ずかしい思いはしなくても済む。
「そんな生意気な事を言うのは、この口か?」突然光輝が千尋の後孔に熱い芯を押し付けて、そしてぐいっと腰を使った。
「やあ――っ!」千尋はまさかこの状況で突然挿入されるとは全く予想していなかった。
「やぁっ……やっやっ……だめっ抜いてぇ」
「煽るお前が悪い」がっつり腰を掴まれ足掻いても抜ける事は無かった。
「煽ってなんかなぁぁ……っ」

「お前の体も目も声も……全部が俺を煽るんだ」そんなの僕のせいじゃない……と言いたいが、体がもう反応してしまっている。
「あぁぁ……っ……やぁぁぁぁ」
クチュクチュと言う音が浴室に響いて、千尋の理性を掻き乱す。
「あ――っ」
「すっげぇ締め付けているぜ千尋」
「やっ……もうだめ……こうきぃ……お、おねがい……」
「まだ駄目だ、後ろで達ってみろ」
「そ、そんなの……むり……あぁ」

「大丈夫さ、こんなに感じやすい体をしているんだから、直ぐに後ろで達けるようになるさ」
千尋は後ろで達くという事が全く判っていなかった。
「やぁ……おねがい、こうき……お願い……おかしくなる」
腹に付きそうな程膨らんだ千尋の性器には触って貰えない。

「ああ、おかしくなれよ、もっと狂え」
光輝の先端が千尋の感じる所を集中して攻める。両手は前に回して、触る前からツンと尖ってしまった尖りを転がしている。
「やあぁぁぁ……だめ……そこ……だめだからっ……」
光輝は爪の先で同時に尖りを引掻いた。
「ああもう……お願い、お願い……」千尋の声が鼻声に変わっている。
「何、泣くほど良いのか?」耳元で揶揄されるが、もう構ってはいられなかった。

コクコクと首を振って「達きたい……イカセテ」と千尋は懇願した。
「ほら達けよ」そう言うと、一度最浅まで引き抜き、そして又最奥を目指した。
「ああああ……」千尋は頭の中が真っ白になり、体がブラックホールに堕ちるような恐ろしい感覚の中に、放り出されたようだった。

「いやぁ……」千尋の中が蠢いている。ビクンビクンと体中の動脈が別々に脈打っている。
「怖い……たすけて……こうき……」
やっと光輝が千尋の中の昂ぶりをゆっくり抽挿し始めた。
「ああ……っ」自分の細胞ひとつひとつが蠢いている。こんな絶頂は知らない……。
光輝の手が千尋のまだ萎えない性器を扱いた。
「ぁぁぁぁ……」声も掠れて思うように出て来ない。

「千尋愛している」
「あぁぁ……達くっ……こうき……こうきぃ……こうきっ!ああぁ……」
「くっ!」あんな声で名前を連呼され持って行かれないはずが無かった。


光輝は今度こそ本当に浴室から追い出されてしまった。ちゃんと自分で処置出来るか心配だったが、何回でも同じ事を繰り返しそうだったから、大人しく千尋の言う事を聞いて浴室を出た。
心にも身体にも千尋を抱いた余韻が残っていて、それがとても心地良い。上等な酒に酔っているような気分だった。

「あ、若頭!随分とご機嫌ですね?」
突然仁に声を掛けられ気分が台無しだ……
「あれぇ?千尋さんは?」
「風呂だ」急に無愛想な顔で言うと
「えっ?一緒だったんですか?」
「ああ」仁は渋い顔で答える光輝の顔色さえ気づかないで言葉を続ける。
「じゃ俺背中流して来ようかなぁ」と浴室に向かおうとする仁の首根っこを押さえつけ「殺すぞ」と低く呻いた。

「ひえぇー!す、すみませんっ!」仁は千尋の不思議な魅力に惹かれて、以前注意されていた事をすっかり忘れていた。
「すいませんっ!見ません!触りません!チビリマセン!」
光輝の態度が余程怖かったと見え本当にチビリそうな顔で仁が喚いていた。
「とっとと飯の仕度しろっ」
「はいっ!」
全く……折角の良い気分が台無しだと思いながらも、なかなか浴室から出て来ない千尋が気になって仕方が無い。

達く時のあの声、自分の名前を呼びながら達く千尋を思い出しただけで身震いがしそうだ。
(何があっても離れない)何度も心にそう誓う光輝だった。
(しかし時間が掛かり過ぎる……)光輝は不安になって風呂場に行ってみた。
中にはぐったり倒れるように、洗い場にしゃがみ込んでいる千尋が居た。
「千尋!どうした大丈夫か?」
「……大丈夫です……」力なく返事をする千尋をざっと拭いてバスローブを掛け抱き上げた。
そしてそのままベッドに運んだ。額に手を当てると少し熱があるようだ。

キッチンで、鼻歌混じりで料理している仁に向かって声を掛けた。
「虎太郎を呼んで来い」
そう言う光輝の顔色を見て仁は、慌てて部屋を飛び出した。

一分もしないで、虎太郎が「何事ですか?」と入って来た。
「千尋が熱を出した……」
そう言って虎太郎を千尋の横たわるベッドへ連れて行った。別に虎太郎は医学部を出た訳でも無かったが、組の連中が具合悪い時や怪我した時最初に看せるのが虎太郎だった。何時の間にかそういう慣習が豊川組の中では出来てしまっていた。 

「大丈夫だ、色々な環境の変化に体がついて行かなかっただけだ。数日安静にしたら大丈夫だ」虎太郎にそう言われ光輝が安堵の溜息を吐いた。
「熱は一日二日で下がるだろう、後は一週間くらい安静にしていれば大丈夫だ」
虎太郎はその一週間を強調して睨むように光輝に向かって言った。

光輝はその言葉に悪戯を見つかった子供のように、視線を逸らし「ちっ」と舌打ちした。
「猿じゃないんだから」と追い打ちを掛けるように言われ苦虫を噛み潰す。
「仁、お粥と何か精の付く消化の良いのを作れっ」リビングで心配そうな顔をしている仁にそう命令した。
「えーこの普通に精の付くのはどうするんですか?」
「俺らで食えばいいだろう」途端に仁の顔が嬉しそうになった。別に普通に飯は食える程の小遣いは虎太郎から貰っていたが、今日揃えた食材を自分で買えるかと言われたら買えない。

仁は器用に買って来た材料で消化の良い物を作っていく。玉子雑炊に温野菜に茹でたササミを解して上から大根おろしを混ぜた汁をかけている。
「それは何だ?」
「杏仁豆腐を固めるんで冷やしているんですよ」
「お前はヤクザもんよりも、こっちの方が向いているんじゃないか?」
「……俺、何やっても半端なんで……」仁のいつもの笑顔が暗くなった。

考えてみれば人は、いつの間にか懐き光輝の所に居付いた人間だ。
「お前はまだ二十歳だろう?半端なんて決め付けるのは早過ぎるだろう」光輝のその言葉に救われたように、仁は雑炊を乗せた盆を差し出した。
「これどうしましょう?」その顔はいつもの明るい仁の顔だった。

「俺が持って行く」
「熱いから冷ましながら食べさせて下さいよ」
「俺がか?」今までした事もされた事も無い。
「じゃ俺が……」仁のその言葉は光輝の凄い睨みで最後まで発する事は出来なかった。

「千尋……起きられるか?」
「……はい」
「ほら飯食って薬飲むぞ」
そう声を掛けて、千尋をベッドの背に凭れ掛けさせた。背中に枕を挟み体勢を整える。
光輝に「ほら、口開けろ」と言われた千尋は慌てて「そんな……自分で食べられます」と言うが「いいから、ほらっ」口元に蓮華を持って来られ千尋は仕方なく口を開けた。
「あっ……美味しい」玉子がふわっとして、うっすらと味噌の味がした。

「仁が作ったんだ。そうか美味いか」光輝の口元も緩む。
ゆっくりと数回口元に運んだ後「全く……お前は俺に初めてを何度経験させてくれるんだ?」と言った。考えてみれば、ヤクザの子供として生まれ育った光輝が誰かにこういう風に食べさせるような事をした事は無いだろう。

「すみません……」千尋は悪くて小さな声で謝った。
「別に怒っているわけじゃない……こういう事するのも初めてだし男抱くのも初めてだ……」
「えっ?だって慣れていたじゃ……」
「ああ、売れっ子を二人呼んで一から十まで見せて貰って勉強したからな」何でも無い事にようにさらっと言うが、冷静に考えれば凄い事なのだ……
戸惑う千尋に「勿論咥えたのも初めてだ」と追い討ちを掛けるような事まで言う。千尋は顔を上げていられない程恥ずかしく、そして何だか嬉しかった。
そんな千尋を愛しそうに眺め「ほら、野菜も食え」と箸で口元に持って来る。そして千尋も素直に口を開けた。
 
大した量じゃなかったし、体調が悪い訳でも無かったので千尋は出された分を全部食べ終えた。
「杏仁豆腐好きか?」
「えっ?はい……」
「今仁が作っているから、後で持って来させる」盆を持って立ちあがった光輝を目で追う千尋に、ちゅっと啄ばむだけのキスを落として「暫くはゆっくりしていろ」そう言って光輝は寝室を出て行った。

暫くすると遠慮がちに「コンコン」とドアがノックされた。
「……はい」光輝ならノックなどしない筈だ。
「起きていますかぁ?」そっと顔を覗かせたのは仁だった。
「杏仁豆腐出来たんで……食べられそうですか?」
「ありがとう、頂きます」そう返事すると仁が嬉しそうな顔で中に入って来た。

「さっきの食事美味しかったです、ありがとうございます」
「そ、そんな丁寧に……こちらこそ全部食ってくれて、ありがとうございます」
組で食事の仕度をしても、誰もこんなに喜んでくれないし、丁寧にお礼など述べてくれない。
だから千尋が美味しかったと言ってくれた事が、仁には凄く嬉しかったのだ。多分さっき少し落ち込んだから、若頭が「お前が持って行け」と言ったんだ、仁はそう思うと、尚更嬉しくなった。

今度千尋は自分でスプーンを使って食べた。そんな千尋を床に座って仁が見ている。
「うん、これも美味しいね、関口さん料理上手ですね」
「そんな……関口さんなって呼ばないで下さいよ、仁っす、仁って呼んで下さい」
「仁さん?」
「あのう……千尋さんは今何歳なんですか?」
「僕?二十二歳だよ」
「えー?じゃ辰年ですか?」
千尋が「そう」と頷くと「俺二十歳ですっ、千尋さん……あっ千尋さんって呼んでいいっすか?」
「いいよ、仁君」
「えへへへ……仁君かぁ……嬉しいっす」

「千尋さん辰年かぁ……じゃ若頭と同じですね?」
「えっ?光輝も辰年?」
仁は『光輝』と呼び捨てにする千尋に少し驚いたが「違いますよぉ、彫り物ですよ、彫り物!見た事ないんですか?昇り竜」
「あっ……」見たとも、見たことが無いとも言いにくい。

『ほら千尋、お前の竜だ』懐かしい言葉が脳裏に蘇った。

あの言葉を聞いたのはいつ?そして僕は伯父に一枚の絵を貰った。何処にしまった?捨てた?いや捨てはしない。勉強机の引き出しにある!千尋は思い出した。
そのことを思い出すと居ても立ってもいられなかった。
「仁君お願い、光輝を呼んで来て」千尋の慌てた様子に仁は急いで部屋を飛び出した。


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