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【新連載】ラストダンスは貴方と 2

 18, 2011 00:00
見開いたレイジの目が一瞬で険しくなった。
「てめぇ!」
だがレイジの手が上がった時には、もうアキトの唇が離れた後だった。
「帰るっ」勢いよくベッドから降りた時に軽い眩暈がしたが、それでもアキトの体を押しのけレイジは歩き出した。
「意外と純情なんだな」あからさまに揶揄している言葉にレイジは拳を握りしめたが、ここで自分がアキトと喧嘩をしてもいい事など何も無いと、ギリギリの部分で踏み止まった。

ソファの背もたれに掛けてあった背広を取って、最低限の礼を述べた。
「世話になりました」
「また遊びに来いよな」余裕ある言葉を背中で聞きながら玄関の扉を閉めた。

「はぁ何だよここ?」
ようやくエレベーターに乗り込み、ロビーに出てもまだホテルにいるような感じのマンションに独り言のような声が漏れた。
同じホストという職業でもこれほど雲泥の差があるとは……
「くそっ、ここは何処だよ?」
マンションを出ると、見慣れない街と明るい陽射しに眩暈がしそうだった。

ぶらぶらと駅を目指して歩くと、新宿の繁華街とは反対側の通りだと気づいた。
途中牛丼屋に入り、簡単な昼飯を食ってまた歩き出す。
レイジが自分の小さな部屋の戻ったのは、アキトのマンションを出てから1時間も過ぎた頃だった。

軋むベッドに体を投げ出し、また小さく舌打ちをしてしまう。
狭くて古いマンションでも、ここは店から借りている部屋なのだ。
皆こういう寮みたいな狭い部屋から出る事から始まるが、レイジはそういう気にはならなかった。
部屋を借りるにしろ保証人が必要だ。親がいない訳ではないがいない方がマシだと思わせる親だった。

14歳の時に母親が再婚した。
18歳でレイジを産んだ母親は当時まだ32歳、男無しではいられない女だった。
そして再婚した相手がまた癖がある男だった。
母親の前では取り繕っていたが、留守になるとレイジの体を触りに来る。
「綺麗な肌をしているなぁ」
新しい父親は当時36歳、男盛りの年齢だったが、今思うとバイだったのだと分かる。
だが14歳のレイジは義父の異常な接触を、父親になりたがっている男の愛情手段だと勘違いしていた。

そして事件はそれから3年後の17歳の時に起こった。
母親が飲み友達と1泊の旅行に行った夜……
寝ているレイジは体に掛かる重みで目覚めた。
「……父さん?」
「レイ……お前は可愛い子だ。ちょっと我慢してくれるか?」
「え……?何を?」
全く理由が分からずに、レイジは固まっていたが、そのパジャマのズボンに手を掛けられた時に真っ青になり初めて抵抗を見せた。

その途端に、優しかった義父は豹変し、レイジの頬を打った。
「おとなしくしておけよ、ここまで育ててやったんだろう?少しは恩返ししろよ」
言葉と同時に勢いよくズボンが脱がされた。

「やだっ父さんどうして?」
「ずっと男は我慢していたが、呼び起こしたお前が悪い」
勝手な理屈に、レイジは激しく抵抗したが、ペニスを強く握り込まれその身を強張らせた。
「か、母さんがいるのに、どうしてこんな事……」
「ああ、あれもいい女だがな。それとこれは別なんだよ」
「いやだっ!」
激しく抵抗しても17歳の華奢なレイジと39歳の大人の男では力に差があった。

そして握り込まれたペニスが今まで知らなかった滑りを感じた。
「やだーっ!」
「静かにしろ、噛み切るぞ」と恐ろしい言葉にレイジは固まった。
まだ女性との経験もないレイジが、慣れた男の口淫に体を明け渡すのも時間の問題だった。

初めて人の前で吐き出した白濁は、義父の咥内に吸い取られてしまう。
「ううっ……うっ」
レイジのすすり泣きが、薄暗い部屋に響き渡る。
「次はレイのここで、父さんを気持ち良くしてもらおうかな」
射精後のだるさに放心しているレイジの、自分でも見た事のない秘部に義父の指が触れた。
「いやだ、父さん許して……」
「痛いのは最初だけだ、この世のものでは無いような気持ち良さを教えてやるから。力を抜け」

義父の指が孔の周りを撫でるように触れて来る。
「流石に固そうだな」その声はレイジが今まで聞いた事のないような、嬉しそうな声だった事に改めて体が強張った。
今まで自分が見て来た義父の姿が仮の姿だと、やっと気づいた。

静かな家の中、深夜にも関わらず電話が鳴り響いた。
「ちっ」小さく舌打ちをした義父が、その電話に出る為に立ちあがった。
きっと電話の相手は、旅行に行っている母が酔っぱらって電話してきたのだろうと察した。
最初の電話に出ないと、出るまでガンガン鳴らす母だというのはレイジも義父も身を持って知っていた。
酔うと電話魔になる母の電話に出ない事は、義父にとって非常に都合が悪い。
もうレイジが逃げないのを確信したのか、義父は簡単にレイジから離れ、隣の部屋に行く。

そしてその夜限り、レイジが両親の住む家に戻る事はなかった。
高校の事が気になり、知人の家を泊まり歩き一週間ほど経ってから、義父のいない時間帯を見計らって電話を入れた事があった。
「レイ……あんたどのツラ下げて電話なんかしてきたの?よくも内の人を誘惑してくれたわね?」
怒気を含んだ母の声に、レイジは黙って受話器を置いた。

レイジは行き詰って、生き別れの実の父に電話を掛けた。
5年ぶりに会った父は、レイジを黙って郵便局に連れて行き、暫くすると30万円の金額が打たれた父名義の通帳を寄越した。

「俺も、再婚して女房がうるさいから、これくらいしかしてやれない」
レイジは黙って、すまなそうな父の顔と通帳の額面を見比べた。
通帳でも金を引き出せる事を教えてもらい、父に頭を下げて別れた。
レイジはきっと父と会うのも、これが最後だろうと感じていた。

それからひと月が過ぎ、レイジは残高25万円の通帳を使って金を引き出した。
1万円引き出した残高が4万円……
驚いて見ると、キャッシュカードで20万円が引き出された後だった。
レイジは残りの4万円も引き出し、その通帳を通りがかったゴミ集積所に投げ捨てた。


―――その日からレイジは天涯孤独の身になった。


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