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罪よりも深く愛して 15

 29, 2011 00:00
■いつも応援ありがとうございます。
御礼更新です、いつもの2話分4000文字あります。




この事実を千里にどう伝えればいいのか、そして千里の反応は……
考えるだけでも千夜は体が、慄いてしまいそうだった。
だが兄である自分がしっかりしなくてどうする?と自分に叱咤する。

そして千夜は母との別れを、速水や森川に見守られ済ませた。
千里はずっと生きる事に向けて戦ってきたのに、それに比べたら母の消滅は一瞬のような気がした。
果たして母の人生は幸せだったのだろうか?
そう思うと、また胸が切なく熱くなってしまう。

「千夜……」千夜が足を止めるたびに速水が呼び戻してくれる。
「速水院長、森川先生……今回は大変お世話になりました」
深く頭を下げる千夜に、森川も優しい声を掛けてくれた。
「うちの家内が千里君を息子のように可愛がっていてね、一緒にこっちに残りたいって言うんだが?」
手術が成功しても千里が日本の土を踏むのは、まだ半年くらい先の話だ。
母がいなくなった今、こっちで千里の世話をやく人間が必要なのだ。
「でも、そんな……そこまで迷惑掛けるなんて……」千夜もどう答えていいか判らなかった。

「そうしてもらいなさい」速水は森川の妻が残る事に賛成のようだった。
千夜が残るよりも、森川の妻に残ってもらった方が役に立つのは目に見えている。
「すみません、お言葉に甘えてお願いしても宜しいでしょうか?」
「君だってそう長くはこっちに居られないだろう、安心して後の事は任せなさい」
「はい、ありがとうございます」

「何もかも任せておけばいい」速水の後押しに千夜も頷いた。
だがまだ手術が終わった千里と対面も出来てはいないのだ。
「あの……千里は今?」
「まだ眠っています、お母さんの事は風邪で移ると大変だからと説明してあります。知らせるのは、体調が落ち着いてからの方がいいと私は思いますよ」森川に言われ千夜も頷いた。

結局その夜は千里に会う事もなく千夜と速水はホテルに向かった。
ホテルまで送ってくれた森川が「あ、部屋はひとつですか?」と驚いたような顔で速水に聞いた。
「ああ、ひとつで充分だ」
速水のその答えを千夜は身が縮む思いで聞いていた。
「……そうですか、判りました。では私も一度アパートに戻ります」
「おやすみなさい」森川の前で下げた頭を千夜は上げる事が出来なかった。

(きっと知られた……)速水が男色家である事は、多分森川ぐらいに長く付き合っていれば判るだろう。
その速水が同室という事は二人の関係をどう憶測されても仕方なかったが、
今この時期に知られた事が千夜にはどうしても抵抗があった。

「どうした?部屋に上がるぞ」
だけどそういう気持ちと裏腹に速水の声に、ぞくりとするものも千夜は感じていたのだ。


「はぁっ……」
『今日は嫌だ……』そう言った口が10分も経たないうちに、甘い吐息を吐き出している。
速水と契約してから初めて拒んだのに、速水の千夜を剥く手が止まる事はなかった。
シャワーを浴びた後の火照りが冷めぬ間に、千夜は違う熱さに翻弄されてしまう。

「いやっ……だ」
乳首を弄られ下りて来た舌に裏筋を舐め上げられる頃には、すっかりと熱を帯び勃ち上がり蜜を溢れさせていた。
速水は両の手を使って早急に千夜を高みに追い詰めようとしている。
「あぁっ……いやっ」
何に対してのイヤなのか自分でも判らない、達しようとしている自分になのか、攻め続ける速水に対してなのか……

舌先で雁首をなぞられた後速水の口腔深く咥えられた。
「ああぁっ」千夜には動こうとする腰を止める理性は、もう残ってはいない。
今までこういう執拗な攻め方を速水はした事は無かった。
双球を揉まれながらの口淫に千夜の息も上がり、開放を求めて膨らむ。
だがあと少しという所で根元をがっしり堰き止められた。
「ああ―――っ、いやぁぁっ」

「まだだ千夜」
速水はそう声を掛けると、千夜の両脚を大きく押し拡げた。
速水がじっと見ている様子が手に取るように判り、恥ずかしさのあまり眩暈がしそうだった。
きっとそこは、速水を求めて蠢いているはずだったから……

肉厚の舌が孔の周りを這う、千夜の体がぞわっと粟立った。
内側に折られた胸の辺りに自身の先走りがポタと垂れ落ちる。
舐められる孔がどうしようもなく気持ちいい。
「ああっ……速水さん……」
「爽輔だ……」
愛という免罪符に付いてきた名前を呼んでいい、という権利に心が慄いた。
「あぁ……爽輔さ……あぁっ!」
孔に差し込まれた舌が熱い、速水も名前を呼ばれる事で、感じるものがあったのだろうか?
内壁をなぞるように蠢く熱に自然に腰が揺らいでしまう。
「やっ……もう……」
早く挿れて欲しい、激しく貫いて欲しい……口に出せない言葉が頭の中で、ぐるぐる回っている。

充分に舌先で解された孔にジェルが垂らされた。
その冷たさが気持ちいいと感じる程に体が火照っているのだ。
「あぁぁ……」
千夜の孔は形の良い速水の指を1本易々と受け入れた。
(あぁぁ気持ちいい……でも足りない)
焦らすように内壁に沿い、中を拡げるように動く指に肉が絡み付く。
指は直ぐに2本に増やされ、千夜の感じる場所を探して奥へと進んだ。
「やああっ!」吐精したのでは?と思う程の強い快感に千夜は喘ぎながら請うた。
「あぁぁお願い……もう挿れて……爽輔さん」

今の千夜には速水に貫かれる事だけが、現実の悲しみから心を護る手段のような気がしていた。

「爽輔さん……」
そう呼ばれて速水の眉がピクッと動いたのを千夜は知らない。
気持ちが通じ合った者から名を呼ばれる事が、こんなに甘美な事だと速水は初めて知った。
愛おしい―――ただそれだけだった。
自分の膝に千夜の腰を置き、自由になった左手でもう一度千夜の根元を握りこんだ。
右の指も3本に増やし、千夜の中を擦るように動かしながら唇を切っ先に付ける。

「いやだ……だめっ」腰を振って逃げようとするが、それを速水は許さない。
まるで口づけの痕を残すかのように、激しくそこを吸い上げた。
「ああああぁぁっ……いくっ!だめ、爽輔さ……」千夜の頭から全ての現実が消えていく。
あるのは快感と言う名の本能のみになった。

千夜の目の奥で幾つもの閃光が飛び交う。
速水の手で堰き止められていなければ、何度吐精したか判らないだろう。
だがまだ一度も吐き出せない欲が、千夜の中でその瞬間を待ちわびて蠢いていた。

「あぁぁいく……」千夜の顎が天を向き背中がしなる。
千夜の孔が速水の指を激しく締め付ける中、速水は千夜の一番感じる膨らみをぐいっと押した。
「あぁだめ……もっ……爽輔さん」
指だけで何度も絶頂を感じてしまった自分を千夜は怖いと思った。
それなのに望む物は速水の太くて熱い肉の塊だ。
「お願い……貴方が欲しい」喘ぎながら強請る千夜に、速水もこれ以上は我慢が出来なかった。

速水はゆっくりと3本の指を抜き出し、千夜の両腿を抱え直して体勢を整える。
千夜は孔の入り口に速水の切っ先が付けられるのを感じて、それだけで達してしまいそうになるのを、息を止めて耐えた。
「千夜……挿れていいか?」いつもと同じ台詞だったが、その言葉の持つ意味が少し違うような気がした。
今までは、千里の人生をかけた選択肢だったが、今の速水の言葉には甘さと、千夜の負担を考えたような労りがあった。

「さっきから……お願いって言っている」速水は拗ねたような言い方をする千夜に若さを見た。
多くのものを背負って来て、そして速水の下で悶えるこの青年はまだ、たった22歳なのだ……
これから羽ばたこうとする青年の羽を毟り取ったのは自分だ、と速水は思った。
違う方法もあったのに、あえて速水はこういう繋がりを千夜に望んだのだ。
それは愛という衣を着た速水のエゴだった。

「千夜……お前が欲しかった」
そう懺悔するように速水は言った瞬間に、その灼熱の全てを一気に千夜の中に埋めた。
「あぁぁっ!だめっ、いくっ」
触れてもいないペニスの先から、トロトロ零れる欲望の欠片に意識が一瞬飛びそうになる。
「千夜、気持ちいいか?」
「いい……良すぎて……おかしくなる」

「俺も、お前の中が良すぎておかしくなりそうだ」
速水の言葉に驚いて速水の顔を下からじっと見つめた。速水がそんな事を言うなんて信じられなかった。
そして嬉しくて……ただ涙が零れ続けた。

深く繋がったまま速水は手を伸ばし、指でつつーっと千夜の胸を辿ったあと鎖骨を撫でる。
そして首筋……唇をそっと掠めて溢れる涙を拭った。
「千夜、泣くな」
「ち……違うんです……嬉しくて……」
きっと速水は千夜が辛くて泣いているのだと思ったのだろう、本当はこんな日に、嬉しいなどと言ってはならぬ事は判っていた。
でも速水と繋がって初めて嬉しいと感じた心もまた隠せなかった。

「――――貴方が好きです、爽輔さん」
千夜の中で速水の分身が、どくっと嵩を増したことに吐息の代わりに眉をひそめた。
「そんな顔をしても煽るな……」そう言いながら速水は千夜の腕を取り引き起こした。
「ああぁっ!」
速水の膝に抱え上げられた体はより深く速水を咥え込む。これ以上先はないだろうと思う程の深さに、速水を感じて千夜は息を吐くのも苦しいぐらいだった。

弄るように唇を捕らえられ、甘く啄ばまれたあとに口腔に舌を差し込まれ千夜は呻いた。
歯列をなぞられ逃げる舌に絡みつく速水の肉厚の舌に翻弄されながらも、体は正直に反応を続ける。
零れる唾液がまるで媚薬のようだった。
繋がったまま交わす口付けがこんなに気持ちいいとは思わなかった。
自分と速水の間に挟まれたペニスからは、媚薬に冒されたように蜜が溢れている。


腰を動かさない速水に苛立ちさえ覚えるほどに、千夜の脳は痺れていた。
先に僅かに腰を動かしたのは千夜の方だった。
「ん?どうした?」からかうような速水の言葉に千夜の目元に朱が走る。
「……貴方が悪い」挿れたままじっとしている速水が悪い。
「そうだ、悪いのは全部俺だ、お前をこんな体にしたのも全部俺だ、恨むなら俺を恨め」
速水の言葉に千夜の心に張り付いていた瘡蓋がまた1つ、ぽろりと剥がれ落ちた。





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COMMENT - 2

しお  2011, 06. 29 [Wed] 09:20

kikyoさんおはようございます
kikyoさんの小説に引き込まれて家事もそっちのけで昨日一日読み倒してましたすてきです・
まだ小説を拝見させて頂いて日が浅いのですが同人誌とか出されてますか?通販とかされてますか?それと、そして僕らは…の1と21以外が読めないんですが読める場所がありますか?質問ばかりで申し訳ありません
ホントに素敵な小説ばかりで感動で、読み返してばかりです
kikyoさん中毒です

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kikyou  2011, 07. 02 [Sat] 22:00

しおさま

こんばんは!

本当に亀なkikyouで申し訳ございません。
皆さん諦めておられるのかクレーム来ません(いや、呆れていると思います^^;)

中毒www嬉しいです。
私もそういう方に巡り会った時は、家事そっちのけになってしまっています。
自分にもそう言って下さる方がおられるとは!もう感激です。
ありがとうございます。

「僕の背……」は現在未公開なんです。
ごめんなさい、7月半ばくらいには再アップしようと思っているのですが……

同人誌は「僕の背……」だけ出しております。
個別記事を上げていないのですが、一応出しました(*゚ー゚*)ポッ

当初の話は加筆修正が必要なものばかりで、恥ずかしい限りです。
楽しんでもらえて、本当に嬉しいし、読んで下さってありがとうございます!
と言わせて下さいね。

コメントもありがとうございました!

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