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罪よりも深く愛して 2

 18, 2011 00:00
速水は何度千夜を貫いても、体位を変える事はなかった。
そう……速水は後ろからしか千夜を抱かない。行為中の速水の顔を見る事も無いが、自分が吐精する時の顔も涙も見られる事もないのだ。

ホットジェルのせいで、千夜の体は指だけでは足りないと激しく息づいていた。
後孔に密着している灼熱を体内に引き込みたいと蠢いている。
速水の体重が1点に掛かり、その熱の先端が千里の体をこれでもかと言うほど押し広げる。
「ああぁっ、はぁ……」
また一滴糸を引く己の猛りに手を伸ばしたいが、両手で体を支えている以上無理な話だ。

速水の一番太い部分を、時間をかけて呑み込む。
もし充分に解しもしないで一気に受け入れたら、失神するかもしれないサイズの楔を、千夜もゆっくり息を吐きながら受け入れた。

そして先の部分を受け入れた後にもう一度、千夜は耐え切れない羞恥をあじわされる。
速水はいつも動きを途中で止めて、薄く伸ばされた皮膚に指を這わす。えも言われぬ感触に己の熱が解放を求めてのたうち回る。

「お、お願いします……触って下さい」苦しい呼吸の合間にやっと言葉に出せた。
「今日は駄目だ、これは昼間の罰だからな」
「そんな……」まだ昼間の事を拘っている速水が判らない。
(あんたのプライドはエベレストより高いのか……)千夜は、内心毒づくが言葉には出せない。

そして千夜の孔にゆっくりと、太い楔が内臓を迫り上げながら埋められた。
全てを埋め尽くしても速水は早急に動く事はしなかった。
男を抱き慣れているのだと、最近千夜は判るようになった。

3ヶ月前……千夜が初めて速水のものになった夜、速水が言った言葉を思い出した。
『高い買い物だ、簡単に壊したりはしないから安心しろ』と。
そう、千夜は1億の金で買われたのも同然の男妾……いや男娼なのだから……。


弟千里は生まれつき心臓が弱かった。健康優良児だった千夜とは全く違う生活。
思い切り走る事も泳ぐ事も出来ない、このままだと長くは生きられないだろう、と医師に宣言されていた。
残る手段は心臓移植のみ、それも日本では順番的にも無理がある。
このまま死を待つか、それともアメリカで心臓移植するかしか千里を生かす手段は無かった。
千里は18歳になったばかりだ、一縷の望みがあるのなら心臓移植をさせてやりたかった。
2年間募金を呼びかけて集まった金額は1億と少し、多くの善意に感謝しながらも……
せめてあと1億……長きに及ぶアメリカ滞在費もばかにならない。

このままでは渡米も出来ない、諦めるしかないのか?と思っている時に、千里が世話になっている病院の外科医で、若き院長でもある速水に声を掛けられたのだった。
呼ばれた院長室で話を聞いた時にはさすがに耳を疑った。
「1億円を君に融資しよう」
「え……融資って、1億も?」
喉から手が出るような金額だし、今後寄付でそれだけの金額が簡単に集まるとも思えなかった。寄付を求める人間は他にも大勢いるのだ。それが幼い子供ならなおさら、世間の同情も寄付もそちらに流れて行ってしまう。
もう千里には長い年月を掛けるだけの体力は残っていなかった。

「そうだ、1億……それ以上かかる場合も約束しよう」
「でも1億も……担保もなければ返せる約束も出来ないです」
千夜が内定している会社だって初任給20数万円だ、毎月10万返せたとしても何十年かかるか判らない。

「担保も返済も君の体でしてもらう」
「体で?」千夜は速水の言っている意味が、直ぐには理解出来なかった。
「そうだ、君はただ服を脱いで私の前で脚を広げればいいだけの事だ」
屈辱的な言葉に千夜は一瞬頭の中が真っ白になり、指の先まで怒りで震えてきた。
「断ったら……?」
「別に何も変わらない、私も君もね?ただ千里君だけが変わってしまう」
「!!……」

「貴方は医者じゃないのですか?」
「医者だよ、だから言っているのだ、日本で出来る事の最善は尽くした、もう私に出来る事はないのだと」
(千里……)
「一晩時間を下さい……」
「どうぞ何日でも」千夜は口角を上げてそう答える速水の余裕が、悔しくて堪らなかった。

本当は答えなど出ていた、自分のプライドと千里の命を秤に掛ける事など出来なかった。
生まれてきてからずっと、色々な事を我慢してきた千里を、幸せにしてやりたかった。
18年弟は堪えた……自分は今まで充分に人生を楽しんできた。
剣道で汗を流し、恋愛もそれなりにしてきた、女も抱いた……
そしてこれからはこの男に抱かれて過ごせばいいのだ……

そう考えながら院長室を出た千夜は、夜の闇に導かれるようにただ歩いた。
都会の夜は千夜の傷ついた心とは裏腹に、賑やかで明るかった。
千夜は、この明るい街に今の自分はとても相応しくないような気がして、街を背にまた歩き続けた。
一体何時間歩いたのだろう?鍛えた体は簡単に根を上げなかった。それもまた今の千夜には恨めしくもあった。

千夜と千里の父親は、千里が6歳の時に離婚して家を出て行った。
当時10歳だった千夜はその当時の事をよく覚えていた。
体の弱い弟を最初は父も可愛がっていた。
だが永遠に続くであろう生活に、一番先に根をあげたのも父だった。
最後の頃には『こんな弱い子を産んだお前が悪い』と母を責めるようになっていた。
その言葉に母も傷つき、千夜も傷ついた。
そんな言い争いが何度も続き、結局父は愛人を作り家族を捨てた。
それでも気丈に母は兄弟を育ててくれた。
千夜はなるべく母の手がかからないように、自分の事は自分で全部決め行動した。

だが子供の出来る事には限界があった。
そして今の自分に出来る事は、ひとつしか無かったのだ……
千夜は携帯電話を取り出し、今日登録したばかりの速水の携帯に電話を掛けた。
結論を伝えるには明日まで猶予があったが、迷いが生じて逃げ出したくなったら、と思うと一刻も早くその重荷を下ろしたかった。
いや……新しい重荷を背負う決心を付けた。


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【裏】大奥20に拍手コメ下さったS様
続きは、サイトの方で公開しています(加筆修正はしていませんが……)
数話分をまとめておりますので、続きだと10話から読んでくださいネ。
大奥の目次です。

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COMMENT - 2

-  2011, 06. 18 [Sat] 00:43

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kikyou  2011, 06. 18 [Sat] 01:58

鍵コメ  レ★ 様

こんばんは!

ここでは初めまして(*^_^*)
(イヤ、とても初めてのような気はしないんですが^^;)

ああ!読んで下さってましたか。
ありがとうございます。
その上欄外の事まで覚えていて下さって、嬉しいです。
そうなんですよ、1枚の絵から生まれた話です。

ここに移してしまって迷惑をおかけすると拙いので、まだ移していないんですが
間でお借り出来たらいいなぁって思っています。
あの後に、背景を明るくした絵を頂いたのですが
アップするチャンスが無かったんです。
明るい雰囲気の千夜です。


777!!ありがとうございましたo(*'▽'*)/☆゚’
コメントって案外誤魔化しが利かなくて、両方とも閉じていました……
大好きな数字なので(笑)教えて下って嬉しいです。

その後のssも書きたいですね。

おさらいして下されば嬉しいです。

すこーーしだけ萌えが尽きてしまっていたので、
これをきっかけに浮上出来ればと目論んでいます(笑)

コメントもありがとうございました。
またお話する機会があればいいですね。

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