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この世の果てで 30

 29, 2010 00:10
「さあ、もう寝よう」
瀬田に促され寝室に向かった。
相変わらず隅っこに横たわる拓海をちらっと見てから瀬田もベッドに入った。
「そんな端に居たら落ちるぞ」と声を掛けると
「子供じゃないんだから落ちませんよ」という返事が返ってきた。

「少し冷えないか?」
「え?そうですか・・・毛布もう一枚出しましょうか?」
「いや、お前が暖めてくれればいい」
そう言ったかと思うと瀬田は拓海の体を真ん中に引き寄せた。

「ちょ・ちょっと・・」
「ああ、やっぱり子供って体温高いって言うから暖かいな」
「だから子供じゃありませんってば」
拓海は大柄な瀬田にすっぽり包まれるような体勢に身じろぎするが
抱えられる腕は拓海を放してはくれない。

「お休み」
「こ・このまま寝るんですか?」
眠りに入ろうとする瀬田に慌てて聞いた。
「気にするな」
相変わらずの俺様発言に
「俺が気にするんです」と抗うが
「俺は気にしない」
「・・・」全く話にならなかった。

暫くじっとしていたら、瀬田の規則正しい寝息が耳にかかる。
『自分の方が子供みたいに寝つきいいじゃん』
拓海は心の中で呟いた。
男に抱きつかれたこの体勢で寝ろというのか?

それ以外にもうひとつ、拓海が寝付けない訳があった。

さっきの瀬田との会話で思い出した自慰だ・・・
一度意識してしまうと、体の中に燻った熱を放出したくなる。
拓海の体は何日も放出していない熱がそれを求めていた。

『参ったなぁ・・・』
この状態で自慰など出来そうにない。
だけどこの人肌から離れるのも少し惜しいような気がした。
眠ろうと、目を瞑っても睡魔は襲っては来なかった。

瀬田の寝息を確かめて、拓海は左手でパジャマの上から
自分のペニスをそっと握ってみた。
少しだけ固くなってしまっているペニスを今度はもう少し力を込めて握った。

「あ・・っ」小さな吐息が零れて慌てて口を噤んだ。
『やっぱトイレ行ってこよう』
そう拓海が思って体をずらそうとした時に耳元で瀬田の低く甘い声が響いた。
「手伝ってやろうか?」
その声に飛び上がらんばかりに驚いた。
ぎゅっと目を瞑って体を強張らせた。

「け・結構です・・・ちょっとトイレに」
「気にするな、ここですればいい」
そんな事が出来るはずもない拓海は
「いえ、気にします・・すみません起こして」

拓海は瀬田から離れベッドを降りようとするが
腰に絡んだ瀬田の腕は離れようとしなかった。
「拓海も若いんだから、もっと頻繁に出さないと頭おかしくなるぞ」
真面目な声で言われ
「そ・そうですか・・・」答えになってない返事をした。

「俺なんか拓海の年には毎晩だったよ」
「毎晩・・・」だが拓海にはそれが凄いのか普通なのか判らなかった。
「拓海は女を知ってるのか?」
どさくさに紛れて瀬田に触れられたくない事を聞かれた。

「い・いえ・・・まだです」
「なんだ、女に興味は無いのか?何をオカズに抜いてる?」
「え・・・?」
拓海の頻度はそう多くは無かった。
だからいつも体が放出を激しく求めている時しか自慰をしない。
そうなった体は扱くだけで、特別に厭らしい雑誌とかも必要なかった。

「女を抱ける所に連れて行ってやろうか?」
「け・結構です」
一体この雇い主は何を考えてるのだろう?と拓海は思った。

「拓海は誰かに此処を扱かれた事もないのか?」

瀬田の言葉に拓海の意識は一気に5年前に飛んだ。
見知らぬ男に貫かれ苦しい中・・自分は
その男に扱かれ、そして達した。

今まで他人にイカされたのは、それが最初で最後だった。

自分の暗くて人に知られたくない過去に拓海は項垂れた。
「拓海?」瀬田が心配して声を掛けてきた。
「あ・・大丈夫です・・やっぱりもう寝ます」
拓海は身も心もすっかり萎えてしまった。

「俺は何か気に触る事を言ってしまったか?」
瀬田が心配して声を掛けるが
「いえ、すみません・・お休みなさい」

瀬田は自分が余計な事を言った為に拓海が傷ついた事は判っていたが
今の拓海があの時の事をどういう風に考えているかを知る為には
酷いと思ったが確認しておきたかったのだった。





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COMMENT - 4

k.k  2010, 10. 31 [Sun] 19:17

暖かいは 必要ですね。

今 工場などのTⅤ見ていながら 雇用は人として生きる為大切だと。
そして 健康も。
それが なかなか難しいのも。

只 暖かく包まれたら何よりですが 暖かいものを自分で抱きしめるのは生きる必要性だと おもっています。

Edit | Reply | 

k.k  2010, 10. 31 [Sun] 20:26

感謝と 平伏を。
パチパチで書き散らしている事に 本心だもん!と居直り かつ 今後もどうか 続を、と。もうチュウ~~と 押し倒したいです。読み手のワガガマですワん!が ?も多くて。
「バカでは いたくない」のですが 明日もあるから『寝ましょう』 

Edit | Reply | 

kikyou  2010, 11. 01 [Mon] 10:05

k.kさま

> 暖かいは 必要ですね。
>
> 今 工場などのTⅤ見ていながら 雇用は人として生きる為大切だと。
> そして 健康も。
> それが なかなか難しいのも。
>
> 只 暖かく包まれたら何よりですが 暖かいものを自分で抱きしめるのは生きる必要性だと おもっています。


ありがとうございます。
雇用は人として生きる為・・・・そうですよね。
人は多くの物を欲しがります。
でも基本健康な体があってですよね。
勿論、病気や不自由な体でも一生懸命生きる事は大切だと思います。

そして誰もが求めるのはその先にある色々な器に入っている愛だと思っています。

Edit | Reply | 

kikyou  2010, 11. 01 [Mon] 10:07

k.kさま

> 感謝と 平伏を。
> パチパチで書き散らしている事に 本心だもん!と居直り かつ 今後もどうか 続を、と。もうチュウ~~と 押し倒したいです。読み手のワガガマですワん!が ?も多くて。
> 「バカでは いたくない」のですが 明日もあるから『寝ましょう』 


おはようございます。
こちらこそ、箱庭の最初の頃から温かいコメントありがとうございます。
読んで下さる方がいるから書き続けていけます。

まだまだ未熟者ですが、今後も応援して下さいネ。

コメントありがとうございました。

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