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俺、武藤駿平 7

 08, 2011 00:32
駿平は高校時代の友達の家を訪ねていた。
久しぶりに会う友達と楽しく会話が弾んでいたが、友達の年の離れた小学生の妹が、何度も顔を出し落ち着かなかった。

「悪いな、受験勉強で今まであまり相手してなかったからな。最近は人が来ても俺にベッタリなんだよ。」
「いいな、可愛いじゃないか。俺も妹欲しかったな……」
「可愛いけどな、俺に対しての独占欲が強くて困っているよ。まだお前だからいいけど、こんなんじゃ彼女なんか連れて来たら大変だよ」

友達の和真は居もしない彼女の存在まで気にして、そんな事を零していた。
和真を笑いながら、ふと駿平は考えていた。
(独占欲か……)
「あ……」
「駿平どうした?」
「いや、俺ちょっと判った気がする」
「何が判ったんだ?」
「ああ……和真、俺帰るよ」
突然立ち上がった駿平に向かって和真は口元を緩めた。
「そうか、まぁ頑張れ」
「はぁ?何言っているんだ?」

和真と妹に見送られて駿平は「じゃまた」と言うと、和真の横にいた妹が、安心したような顔で「バイバイ」と手を振ってくれた。
駿平も笑顔で「バイバイ」と言って和真の家を出て来た。

駿平は駅に着くと、近くにあるドーナッツ屋で6個のドーナッツを買ってマンションに向かった。
何となく自分のイライラした気分が理解出来たようで、足取りも軽かった。

ドアの前で一呼吸してから、そっと鍵を差し込み回す。
開けると、三和土には那月の靴が一足行儀よく並んでいただけだった。
(あれ?康二は……)
リビングに入っても、那月も康二も見当たらない。

テーブルの上に買って来たドーナッツの箱を置いて、那月の部屋をノックしたが、返事がない。
ドアの前でどうしたものかと固まっていると、背後から声が掛かった。
「駿平君?帰って来てくれたの?」
「あ……うん」
駿平は「帰って来たの?」じゃなくて「帰って来てくれた」と言う言葉に更に気分が良くなった。

振り向くと頭からタオルを被った那月が、少し照れたような顔をして立っていた。
「風呂だったんだ?」
「うん、駿平君もまだでしょ?入ってくれば?」
「じゃ入って来る。上がったらドーナッツ一緒に食べない?」
「ド……まだ食べられるの?」
那月が目を丸くした理由に駿平は、少し間をおいてから気づいた。
言われてみれば、ラーメンと炒飯、餃子2人前も食べた事を思い出した。

「若いからねー」逆に那月をからかうように言ってから、駿平は風呂場に向かった。

だがふと足を止め「そうだ康二は?」と聞くと
「デートだって言ってあれから直ぐに帰ったよ」
「デート?康二彼女いたんだ……そうかデートか、生意気に康二のくせに」
那月はそんな駿平に、デートの相手が男性だとは言い出せずに、中途半端な笑顔を見せた。

「え?那月さん何だか寂しそう……」
「そんな事ないよ、ほら早く風呂入ってきなよ」
那月の言葉に背中を押され、駿平は再び風呂場に向かった。

シャンプーしながらも「そうか康二の奴デートかぁ」と何度も繰り返していた。
そして湯船に浸かり、ふーっと体の力を抜くと又首を傾げた。
「あれ?康二って俺にとって兄貴みたいなもんだよな……」
さっき和真の家で、妹の独占欲を目の当たりにして、自分のイライラの答えもそこにあると確信したのに、辻褄が合わない事に気づいた。
「あれ?」一度雲が晴れたのに、また自分の気持ちが判らなくなった。

風呂から上がる頃を見計らって、那月が紅茶を淹れていてくれた。
「甘い物は別腹だね」
そう言って微笑む那月を駿平は、可愛いと思った。
昨夜見たあの色気のある顔とは、別人のようだと思った瞬間に、あの白い胸板を思い出した。

―――ずくん

「ん?どうしたの?」
「いや、何でもないよ」

「康二って彼女いたんだぁ」駿平は話題を逸らすように、康二の話に切り替えた。
「彼女っていうか……」と口籠る那月を駿平は、今度は追い込んだ。
「那月さんは、康二に彼女がいるのはイヤなんだ?」
「イヤじゃないよ」
「じゃどうしてそんな顔をするのかなぁ?」
挑戦的な駿平の言い方に那月は、どう答えていいか迷った。

「那月さん、康二の事そんなに好きなんだ?」
自分のこの気持ちが那月への独占欲ならば、もしかして那月も、康二にそういう感情を抱いているかもしれないと、駿平は思って聞いてみた。

「な、なんで僕が……」
慌てて真っ赤になり言い訳めいた事を言う那月を、駿平は逆に驚いて見た。
「そこ……赤くなる所?」
駿平の言葉に那月の視線が泳いだ。



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COMMENT - 3

-  2011, 05. 08 [Sun] 12:08

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kikyou  2011, 05. 08 [Sun] 14:53

鍵コメ M女さま

こんにちは。

ご無沙汰しております、お元気でしたでしょうか?


あーやっちゃいました(笑)
教えて下さってありがとうございます!

痴漢ww私似たような事をした事あります。
混んでいる電車の中、ポールを掴んでいたのが、一緒に乗っている友達だと思っていて
「あれ?マニュキュアしてなかったっけぇ?」
などと、その指や爪を触っていたら、その相手が友達ではなく
制服を着た高校生くらいの男子でしたヽ(゚∀゚)ノ

若かりし日の楽しい思い出です^^


でも、その和服美人の痴漢……違う意味興味はありますネ。
男が男に痴漢行為、怖くて気持ち悪いというのも判る気がします。
自分のキャパを超える状況ってなかなか受け入れられないですよね。


お元気なようで安心しました。

コメントありがとうございましたo(*'▽'*)/☆゚’


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kikyou  2011, 05. 08 [Sun] 14:55

拍手鍵コメさま

こんにちは。

教えて下さってありがとうございます。
訂正致しました。

読んで下さっててありがとうございます。
今回は、違うタイプの話をどう書いて行けるのか
多少の不安はありますが、ひき続き読んで下されば嬉しいです。

コメントもありがとうございました!(*^_^*)

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