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俺、武藤駿平 4

 05, 2011 00:00
「酷い事する奴らだな……」
那月の告白を聞いて駿平が唸るように呟いた。
「だから、ジャケットを脱いでたんだ」
5月とはいえまだ夜は肌寒いのに半袖のポロシャツ姿で帰宅した那月に違和感もあった。
「ごめん、あんまり気分いい話じゃないね。忘れて」
そう言って那月は立ち上った。
「本当に大丈夫?」と触れた駿平の手を那月は反射的に払いのけてしまった。

「あ、ごめん」「ごめん」
同時に出た言葉の深い意味は違うがお互いに苦笑いで済ませてしまった。

「もう寝るよ」
「うん、眠れなかったら俺の事起してもいいから」
優しい言葉を掛けてくれる駿平に礼を述べ那月は自室に篭った。

(声なんか掛けられる筈はない……)
那月の胎内に吸収されたドラッグが今の那月を苦しめいていた。
「は……っ」我慢しても自然と声が漏れる。
震える体を両手で抱きしめるようにベッドの淵に腰を下ろして疼きをやり過ごそうと那月は努力していた。

これ以上駿平に迷惑を掛ける訳にもいかないし、何よりも自分の性癖を打ち分ける訳には行かなかった。
せっかくいい関係で同居生活をスタート出来たのに、知られたらそれも解消されかねない。
那月は駿平をひとりの男として好感を持って見ていたが、それは性の対象ではない。あんな若い良い青年を自分の方に引き摺るつもりもない。

「はぁ……」だが、どう意識を逸らそうとしても、体の内から湧き出てくる刺激を逸らす事は出来そうになかった。
だからと言って、この手を伸ばして解放する事もあいつ等の企みに負けたようで悔しくて出来なかった。
(悔しい……)
無防備な自分にも、狙われやすい自分にも腹が立っていた。


その頃同じく自室に戻った駿平も眠れないでベッドに仰向けになり天井を眺めていた。
那月の話を聞いた時には男が男に痴漢する事に驚いたが、那月ならあり得る……と思ってしまった自分を恥じた。
それは男としての那月を凄く侮辱する事だと気づき違う意味落ち込みもした。

自分の年齢から見たら那月は大人だったけど、何か儚さもあった。
そして大学で見かけるそこいらの女子よりも綺麗な肌をしている。
そんな事を考えていた駿平はふとさっき洗面所で見かけた那月の体が頭に過った。
胸の尖りが色を付けていたのは、電車の中で弄られたせいだったのだ……

「やばっ!」駿平は頭を振りながらそう言って自分の思考を中断させた。
これ以上那月の事を考えたら、自分も痴漢と同じだと思い勢いよくベッドから飛び降りた。
「コーラ持って来よう」
そう言って駿平は自室を出てリビングを通りカウンターキッチンの奥にある冷蔵庫からペットボトルのコーラを取り出し音を立てキャップを開けた。

一気に半分程飲み干しそのボトルを持って部屋に戻ろうとした。
(那月さん、眠れたかな?)
心配だったけど、わざわざ部屋を訪ねるのもどうかと思い自室に戻ろうとした。
那月の部屋とはリビングを挟み反対側だ。

「はぁ……っ」
聞き耳を立てていた訳じゃないが、駿平の耳にそんな声が飛び込んで来た。
(那月さん?)
那月の苦しいような声に駿平は体が動かなくなってしまった。
その時さっき薬を挿れられた事を思い出した。
それがどういう意味の薬なのかあまり経験のない駿平には今やっと理解出来たのだ。

(射精すれば治まるのか?)
駿平はそっと自室に戻り、本棚から数冊のエロ本を抜き出した。
どう考えても那月がこういう類の雑誌を持っているとは想像つかなくて、それを持って那月の部屋をノックした。

―――コンコン

「那月さん、ちょっといい?」
「……駄目」
「あのさ、体……辛いんでしょ?俺ので良かったら……あの……おかずにしなよ」
那月にこんな言葉を掛けるのは流石の駿平も恥ずかしいものがあった。
同級生同士なら何でもない日常会話なのだけど、那月とはそんな下ネタな話など今までした事もなかったのだ。

―――カチャ

那月が細く開けたドアの隙間から顔を覗かした。
「ありがとう、でも大丈夫だよ……」
間接照明しか点けていない那月の部屋は薄暗く、そして那月の姿を妖艶なほど綺麗に見せていた。
「もしかしたら薬辛いんじゃないの?」
「……」
「那月さん?」

本当は那月もこの体の疼きを解消出来ずに持て余していた。
体が熱くて仕方ない。
「那月さん熱あるんじゃないの?」
潤んだ瞳の那月に気づき駿平がその額に手を当てた。
ビクンと体を強張らせた那月が一歩下がり、心配した駿平は逆に一歩踏み込んだ。
「那月さんやっぱり熱出てるよ。俺に何か出来る事ない?」
思った以上の額の熱さに駿平は那月の腕を取りそう聞いた。

「駿平君……」
本当にして欲しい事を言葉に出せずに那月は唇を噛み、体の疼きと発熱のせいで小刻みに体を震わせていた。


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COMMENT - 6

tukiyo  2011, 05. 05 [Thu] 10:01

本当にして欲しいことぉ・・・・(///ω///)
子供の日になに読ませるんですかっ!
もっと読ませてww

Edit | Reply | 

梨沙  2011, 05. 05 [Thu] 22:22

∑(゚∇゚|||)はぁうっ!

w(゚o゚)w オオー! どちらにとってもピンチ!?いいえ美味しい状況!?
那月はどうでるんでしょう!!って言っても この状態では…ですよね(~_~;) 駿平は初体験する事になるんでしょうか(//・_・//)カァ~ッ…

Edit | Reply | 

ちこ  2011, 05. 05 [Thu] 23:36

本当にして欲しいこと・・・言って、言って~~~(//∀//)
あなたの欲しいものは右手ですか~?
それとも・・・(//∀//)いや~ん、ちこには無理っ(//∀//)

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 05. 08 [Sun] 00:39

tukiyo さま

こんばんは。

本当にして欲しい事は、逸れてしまいましたo(*'▽'*)/☆゚’

子供の日だったんですよね。
今年はすっかり忘れていましたよ。
少し大きくなった事と、落ち着いて連休を楽しめない環境と日程でした。

夏には少し穴埋め出来たらいいなぁと思っています。

駿平の話も楽しんでもらえたら嬉しいです。

コメントありがとうございました。

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 05. 08 [Sun] 00:41

梨沙さま  ∑(゚∇゚|||)はぁうっ!

こんばんは。

えへへ(゚∀゚)ここで、一気に行ってしまったら
話は終わってしまいますからねぇ^^;
ちょっと逸らしました。

書き始めてみたはいいものの、慣れない主役に自分が戸惑っています。

もう少しスムースに話を進めて行ければいいんですけどネ。

梨沙さん!コメントいつもありがとうございますo(*'▽'*)/☆゚’

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 05. 08 [Sun] 00:45

ちこさま

こんばんは。

本当にして欲しいこと(。-∀-)ニヒ♪

ちょーーっと期待させてしまいましたネ。
詳細は闇の中です(゚∀゚)

(//∀//)嬉し恥かしの顔文字が、ちこさんの気持ちを代弁してくれました^^

何というか、ノンケ攻めって難しいです!
でも、ちょっと教え甲斐もあるかもです?(//∀//)

どういう事になるか、楽しみにしていて下さいネ。

コメントありがとうございました!

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