すみません、痴漢描写があります。
苦手な方はスルーして下さいね。駿平はドアの前で一瞬躊躇った(大人の男なら……黙って見守るんだろうな、だけど俺はまだそこまで大人じゃない)と自分に言い訳してから「那月さん開けるよ」と返事も聞かずにドアを開けた。
「駿平く……ん」
洗面所の鏡越しに二人して固まってしまった。
駿平の目に映った那月の姿……
「い・いったい何が?」
「出て行って!」
茫然とする駿平に那月は語尾を荒げた。
「ご・ごめん……」
駿平はリビングのソファに深く腰掛け今見た残像を思い出していた。
那月の赤く色づいた胸の突起が目に飛び込み、そして前が濡れたように色の変わった下着……
「さっぱり判んない」
今見た事が何を意味するのか、何故那月が嗚咽を漏らしていたのか駿平には全く想像出来ない事だった。
いつもは20分くらいで済まして出て来るのに30分過ぎても出て来ない那月が心配になり立ち上った時に、風呂場のドアが開く気配を感じて駿平はまたソファに腰を下ろした。
ここに自分がいない方が那月は安心するのだろうか?と思ってはみても、駿平は立ち去るつもりは無かった。
「……さっきは怒鳴ってごめん」
部屋着に着替えた那月が顔があまり見えないように頭からすっぽりとタオルを被っていた。
「俺こそごめん……あ、ビール飲む?」
「いや……でも貰おうかな?」その物言いは普段の那月と同じだった事に駿平は少し胸を撫で下ろし冷蔵庫からビールを持ってきて手渡した。
「俺はコーラで」飲めない事が残念そうに言いながら駿平は缶コーラのプルトップをプシュっと開けた。
それに続き那月も缶ビールを開ける。
「駿平君って案外真面目だね」
引っ越しした夜あまり気にせずに那月は駿平にビールを勧めてしまった事があった。
その時「俺まだ未成年だし」と苦笑いしながら断った駿平を見て「真面目だね」と呟いた事を思い出した。
その後駿平と一緒に生活してその根本に正義感があるのを感じていた。
那月はビールをぐっと煽った。
あまり強い方ではなかったが、今夜は飲まずに眠れそうにないのは判っている。
だがアルコールを摂取した事を後でこんなに悔いた事は無かった。
「俺はまだガキだから……那月さんが話してくれないのは仕方ないけど、だからって何も力になれないのも嫌だ」
「ごめん、僕もちょっと過敏だったかもしれない。大した事は無いんだ……ちょっと電車の中で痴漢に合っちゃって……」
「痴漢て?那月さん男じゃん!どうして?」
それは性の対象が異性である駿平には全く理解出来ない事だった。
そして静かに話し始めた那月の言葉を聞いているだけで、駿平は怒りに体を震わせてしまった。
普段より1時間ほど会社を出るのが遅くなった那月はひとり地下鉄に乗り込んだ。
この時間はラッシュはそうない時間帯だからちょっと安心していたのだ。
だが何かのイベントがあったのか、普段よりも激しく混んでいる車内で那月は段々と車両の繋ぎ目辺りまで追いやられていた。
自分が利用している駅の2つ前で乗り換えの為に大勢の客が降りるはずだと踏んで、那月は押されるがまま奥に立っていた。
ふと気づくと自分の前にも後ろにも体格の良い男が立っている。
そしてその男たちは自分を挟み会話を始めたので、那月は邪魔にならないように身を捩って場所を譲ろうとしたが、逆にその二人に密着され一層身動きが取れなくなってしまった。
多少アルコールが入っているのだろう、掛かる息が酒臭くて那月は顔を背けた。
その時自分の尻に誰かの手が当たっている事に気づいた。
混んでいるから多少は仕方ないと思いながらもその手が甲では無く手の平で、尻の肉を掴むように動いているのが判り偶然じゃないと気づいた。
混んでいて後ろは振り向けないが、体格の良い男がさっき自分の後ろにいたのは知っている。
身を捩る那月の前に立つ男がそんな那月を見てにやっと笑った。
(グルなのか?)そう思い那月は目いっぱい目の前の男を睨み付けた。
だがその男はそんな那月から目を離さないで、ズボンの上から那月の下半身を握り込んで来た。
「うっ!やめろ」ここで大声を出す事は出来ずに那月は小さく唸った。
前を撫でられる手を避けようと腰を引くと背後の男にさらに密着してしまう。
そして八方塞がりの状態の那月のファスナーを下ろした前の男がその手を滑り込ませてきた。
体格の良い男2人に囲まれる状態で那月は散々甚振られた。
(こいつ等……痴漢行為にも男の躰にも慣れている……)
こうも適格に感じるツボを突かれたら那月などひとたまりもない。
「やめっ……」小さな拒絶の声も地下鉄の騒音に掻き消されてしまう。
裏筋を撫で上げていた男の手がすーっと会陰に滑り落ちた時に那月は焦って前の男を睨み付けたが、それは全く逆効果だった。
「いい物やるよ」男が相変わらずニヤニヤしたまま那月の耳元で囁いた。
その時那月は自分の後孔の中に何か錠剤のような物を押し込まれたのが判った。
「やめろっ!」だが男の間でどう身を捩ってもびくともしない。
(次の駅で人が減る……)焦る気持ちで那月は待った。
だがそういう事は判り切っているのだろう、那月のペニスを扱く手が早くなった。
外からの刺激に男の躰は正直だ……
その上さっきから後ろの男がシャツを捲り那月の胸の突起を弄り回していた。
いくら気を逸らそうとしても、その刺激はダイレクトに那月の下半身を襲う。
「これで終わりだ、楽しかったぜお兄さん」そう言いながら男はペニスの先端に爪を立てるように那月の体に引導を渡した。
那月が吐精に体をビクビクと震わせた時に電車は駅に到着して、乗り換えの為に降りる大勢の乗客に紛れ二人の男も何も無かったように那月の傍を離れ降りて行った。
那月は目の前の席が空いたのを見て、普段座る事などないシートに腰を下ろし他の人間に気づかれないようにそっと身繕いをした。
膝に置いた鞄で隠したズボンの中が気持ち悪くて吐き気がした。
そして簡単に吐精してしまった自分にも反吐が出る思いだった……
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