2ntブログ

スポンサーサイト

 --, -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

俺、武藤駿平 1

 02, 2011 10:52
「はぁっ……駿平お前の条件じゃ無理だよ」
「そこを何とか康にぃの力で……お願いしますよぉ」

この春、駿平の大学進学が決まったと同時に決定した父親の転勤で、駿平は一人暮らしを余技なくする事になった。
そして従兄弟が勤務する不動産会社のカウンターでなるべく自分の条件に見合った物件を探してもらっているのだが、その条件を満たす物件が見つからないのだ。

「第一千代田線沿線で1LDKで6万円以内って無いから」
「だって親からの仕送りって10万円なんだよ?光熱費とか入れたらそれだって高いんだよ。本当なら5万円が理想なんだけどなぁ……」
「あのさ、5万円でも探せばあるぞ、1Kとかな?」
「せめて1DK、その代わりバストイレ別!これだけは譲れないから」

「学生なんだから、そう贅沢な部屋じゃなくてもいいだろう?」
「風呂くらいゆっくり入りたいじゃん?」
「あのなぁ千代田線沿線って便利だから意外と人気物件なんだよ?もう少し地域を変えてみれば?」
「嫌だ、それも譲れない」
「全く……とりあえず検索してみろよ」
従兄弟の武藤康二にそう言われ駿平は渋々検索用の機械の方に行こうとした時、来店客に視線を投げた康二が「よぉこっちだ」とその客に向かって手を上げた。

「やあ、久しぶり。悪いね世話になるよ」と穏やかな口調でその男は康二に向かって微笑んだ。
「はぁ、那月お前の条件も厳しいな」あらかじめ電話である程度聞いていた康二がそう呟いた。
「やっぱり?」
カウンターの椅子から立ち上ったものの、駿平は二人の会話を横で聞いていた。
「ん?」そんな駿平を見上げ康二が「那月、これ俺の従兄弟で武藤俊平、こいつも難題を持って俺の所に来た奴」と紹介した。

「従兄弟?宜しく僕は康二とは高校の同級生で日向那月です」
スマートに手を差し出す那月の手を握り返しながら「俺武藤俊平18歳です」と挨拶をした。
(まつ毛長い……肌だってすべすべじゃん)
「君も部屋探しているの?」
那月の言葉に現実に引き戻され「あ・はい、でもなかなか条件を満たしてくれる所が無くて……」と零すと「駿平も那月も予算の割には条件厳し過ぎるんだよ」と背後から康二の声がした。

「はぁっ……」と溜め息を零す駿平に康二が「あ、お前らルームシェアすれば?」ととんでもない提案を寄越して来た。
「ルームシェア?」「ルームシェア?」駿平と那月が同時に声を発しお互いに顔を見合わせた。
「ちょっとお前らこっちに来い」康二に呼ばれ仕切りのあるカウンターの並んだ椅子に二人は腰を下ろした。


それから1週間後、千代田線沿線のとある駅から徒歩8分。
商店街も途中あり、とても便利の良い立地条件の3LDKのマンションに今日駿平は引っ越しを済ませた。
前日入居を済ませた那月も運び込まれた駿平の荷物を部屋に運んだりと手伝ってくれている。
生活に必要な家電は那月が以前に使っていた物が既に運び込まれている。

駿平は自分の身の回りの物だけで充分だったので、引っ越しと言っても簡単に終わってしまった。
「那月さん、ありがとうございます。これから宜しくお願いします」駿平はしおらしく頭を下げた。
「いや、僕の方こそ宜しくね」

家賃は折半では無い。2部屋必要だと言う那月が8万円、駿平が6万円の負担だ。
それ以外の必要経費は折半という事で話は付いていた。
荷物の整理が終わった頃に従兄弟の康二が訪ねて来た。手にはコンビニの日本蕎麦が入った袋が下がっている。

「取りあえず昼飯にしようか?」
食欲旺盛な駿平には蕎麦以外にもサラダやおにぎりを出してくれた。
「康にぃにしては気前いいな、那月さんがいるからだろう?」
などと揶揄すると「何馬鹿な……」と顔を赤くしたのは那月の方だった。

「?」一瞬首を傾げた駿平だったが那月のその表情よりも目の前のおにぎりの方に興味を示し手を伸ばした。
だが康二が帰る時に「那月を頼むな」と意味不明な事を言われ、またも首を傾げる駿平だった。
「俺の方が年下じゃん、逆だろう?」
「まあな、だけどお前は体力だけはありそうだからな?」
そう言うと腕時計をちらっと見て「じゃまた来るよ」と康二は帰って行った。

「康二の奴訳判らない……」駿平は本人を前にして呼び捨てには出来ないが、いなくなれば6歳年上の従兄弟などいつもこんな風に呼んでいた。
「僕はも少し片づけ続けるよ」と那月が自分の部屋に戻ったのをきっかけに駿平も部屋に戻り運び込んだばかりのベッドに身を投げて伸びをした。

「うーーーーっ!明日から頑張るぞー!」
駿平の新しい生活が始まった。


ランキング参加中です。ポチっと押して下されば凄く嬉しいです!
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

FC2のランキングにも参加中です^^

まだ海の物とも山の物とも判らないような状況です^^
いつもとは違うパターンですが、読んで下されば嬉しいです。

関連記事

COMMENT - 5

jun  2011, 05. 02 [Mon] 18:49

こんばんわ。
新しい読み物、楽しみです。
俊平と那月、ルームシェアーでどうなるんでしょうかネ。
期待してます。

途中のはなしですか?

Edit | Reply | 

kai  2011, 05. 02 [Mon] 21:08

元気で明るい男の子とその従兄弟、そして年上の綺麗系の兄さん、何が始まるのはわくわくします
頬染める那月ちゃん、かわいー
そこんとこなんで?っと追求したいところですけど駿平くんと同じように、さらっとスルーしておきましょう

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 05. 04 [Wed] 02:17

junさま

こんばんは。

今回はいつもと違って、年下攻めです。
まだこれからどういう風に動いていくかは判りませんが
楽しんで頂ければいいなぁって思っています。

コメントいつもありがとうございますヽ(゚∀゚)ノ

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 05. 04 [Wed] 02:20

kaiさま

こんばんは。

いつも暗い話になるので、元気な若い子を攻めちゃんに持ってきたんですが……?

どうも陰の力が強くて、そちらに引っ張られがちです^^;

今回最初に浮かんだのが「駿平」と言う名前なんです。
いつも入口が様々でして……
名前だけで元気そうなので、タイトルもそれです(笑)

これから、どういう展開になるか楽しみにしてて下さいネ。

コメントありがとうございましたo(*'▽'*)/☆゚’

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 05. 04 [Wed] 02:27

1番目の拍手コメさま

こんばんは。

ごめんなさい、拍手コメの方のお返事が最後になってしまいました。

せっかく一番目に拍手して下さったのに本当に申し訳ございません!


はい、新しい話が……そして年下攻めは2作目です。
最初は「雨の日に出逢って」の瀬名×遥というCPです。
でもあの話は年上であって年下のような扱い。
今回は、ちゃんと年上しています。

う~ん、どうなってしまうのでしょう?
ちょっと自分でも先が判らないのですが、楽しく書いて行きますネ。

コメントありがとうございました。

Edit | Reply | 

WHAT'S NEW?