兼介は仙波の正面に立ちバスタブに片足を掛けるように言ってきた。
「本当にいいですから……」
後ろからならまだしも兼介は自分の正面に立っているのだ、こんな体勢でどうしようというのだろうか?
だが兼介は仙波の脚を持ち上げ無理矢理バスタブの淵に置いた。
「ほら、俺の肩に手を置けよ」命令口調で言われ仙波は躊躇いながら兼介の肩に手を置いた。
兼介は片手でシャワーを持ち、空いた手で仙波の孔を拡げるように自分の吐き出した精を掻き出している。「は……恥ずかしい」兼介が指を動かす度に仙波の性器に当たるのだ。こんな時に体を反応させるのは非常にはしたないと思うのに、初めてされる行為に仙波は顔を赤くしながら下半身も熱くしていった。
「ん?気持いいのか?」
「はぁ…………っ、あなたは意地悪だ。どうなるか判っているくせに……」
その間もぐちゅぐちゅと卑猥な音をたて指が胎内で蠢いている。
シャワーの水圧がペニスや双球にいい感じに当たり仙波は身悶えしながら快感を逃がそうと必死になっていた。
明るい浴室で全てを兼介の前に晒しているのだ、逆上せそうなくらいに心臓がバクバクしている。
「この綺麗な顔で何人の女を啼かせて来たんだ?」
兼介はそんな事を言いながらマジマジと仙波の顔を眺めてみた。スレンダーな体躯と女好みの綺麗な顔をしている仙波はネオンが映えるだろう。だが兼介はネオンの下で輝く仙波よりも今の仙波の方が似合っていると思っていた。
何人の女を……などと聞いたのは自分の嫉妬のような気がして兼介は内心苦笑しているが、仙波はそんな事など気づいてはいない。体に与えられる刺激から逃げようと必死な様子の仙波の前立腺を強く擦ってやった。
「やぁぁ……っ、兼介さん……やめっ」
「お前のそんな色っぽい顔見てたらもう一度抱きたくなった」
兼介よりも先にその気になっている仙波の体をして拒否などは出来なかった。
兼介を受け入れながら仙波は喘いだ。『自分は都合のいいセフレなのだろうか?』だけどそんな事は怖くて聞けやしない。
「慎……」兼介が優しい目で顔を寄せてきた。「兼介さん……」もっと違う事を言ってしまいそうで仙波は自分からその唇に深く絡めていった。
塞いでおかなければ言葉が零れてしまいそうだ……『あなたが好きです……』
言ってしまう事で始まる確率よりも終わる確率の方が高いのなら、言わないでおこうと仙波は思った。
僕はズルイ……でも兼介さんはもっとズルイ……
欲しい体はくれるけど本当に欲しい言葉はくれない。
「はぁっ……兼介さん……もっと」
仙波が強請れば兼介の昂ぶりが胎内で嵩を増すのが判る。
自分の言葉に反応してくれるのは嬉しい。
「あぁぁ……っ、もっと……全部……欲しい……」
気が付けば熱気の篭る浴室で激し過ぎたのか仙波が意識を手放した。
再びシャワーで体を洗ってやり、バスタオルごと抱き上げてベッドに寝かした。
珍しく自分から腰を擦り付けて来た仙波に煽られたと兼介は反省していた。
気を失うまで抱くつもりではなかったのに、今夜の仙波はいつものクールさが無く情熱的だったように思えた。
乾いたタオルで仙波の額に浮かぶ汗を拭いてやり、口移しでスポーツドリンクを飲ませた。
「慎……悪かったな」声に反応して瞼がぴくと震えたがまだ目を覚ます様子はなかった。
兼介は仙波を飼い殺しにするつもりは毛頭なかった、だから自由にさせている、好きにしていいと思う……だが多分仙波が他の男に心を奪われたら自分は妨害するだろう。身勝手だがこいつを手放せないとも思う。
秀人を思う気持ちと仙波を思う気持ちの違いが何なのかは兼介も良く判らなかった。
そしてもっと判らないのは秀人への気持ちを突き詰めると執着心とか未練とかに突き当たる。
どうして付き合った事も無いのに未練なのか兼介の経験をもっても判らないままだった。
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