2ntブログ

スポンサーサイト

 --, -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

彼方から 28

 18, 2011 23:59
兼介は仙波の正面に立ちバスタブに片足を掛けるように言ってきた。
「本当にいいですから……」
後ろからならまだしも兼介は自分の正面に立っているのだ、こんな体勢でどうしようというのだろうか?
だが兼介は仙波の脚を持ち上げ無理矢理バスタブの淵に置いた。
「ほら、俺の肩に手を置けよ」命令口調で言われ仙波は躊躇いながら兼介の肩に手を置いた。

兼介は片手でシャワーを持ち、空いた手で仙波の孔を拡げるように自分の吐き出した精を掻き出している。「は……恥ずかしい」兼介が指を動かす度に仙波の性器に当たるのだ。こんな時に体を反応させるのは非常にはしたないと思うのに、初めてされる行為に仙波は顔を赤くしながら下半身も熱くしていった。

「ん?気持いいのか?」
「はぁ…………っ、あなたは意地悪だ。どうなるか判っているくせに……」
その間もぐちゅぐちゅと卑猥な音をたて指が胎内で蠢いている。
シャワーの水圧がペニスや双球にいい感じに当たり仙波は身悶えしながら快感を逃がそうと必死になっていた。

明るい浴室で全てを兼介の前に晒しているのだ、逆上せそうなくらいに心臓がバクバクしている。
「この綺麗な顔で何人の女を啼かせて来たんだ?」
兼介はそんな事を言いながらマジマジと仙波の顔を眺めてみた。スレンダーな体躯と女好みの綺麗な顔をしている仙波はネオンが映えるだろう。だが兼介はネオンの下で輝く仙波よりも今の仙波の方が似合っていると思っていた。
何人の女を……などと聞いたのは自分の嫉妬のような気がして兼介は内心苦笑しているが、仙波はそんな事など気づいてはいない。体に与えられる刺激から逃げようと必死な様子の仙波の前立腺を強く擦ってやった。

「やぁぁ……っ、兼介さん……やめっ」
「お前のそんな色っぽい顔見てたらもう一度抱きたくなった」
兼介よりも先にその気になっている仙波の体をして拒否などは出来なかった。

兼介を受け入れながら仙波は喘いだ。『自分は都合のいいセフレなのだろうか?』だけどそんな事は怖くて聞けやしない。
「慎……」兼介が優しい目で顔を寄せてきた。「兼介さん……」もっと違う事を言ってしまいそうで仙波は自分からその唇に深く絡めていった。
塞いでおかなければ言葉が零れてしまいそうだ……『あなたが好きです……』
言ってしまう事で始まる確率よりも終わる確率の方が高いのなら、言わないでおこうと仙波は思った。

僕はズルイ……でも兼介さんはもっとズルイ……
欲しい体はくれるけど本当に欲しい言葉はくれない。

「はぁっ……兼介さん……もっと」
仙波が強請れば兼介の昂ぶりが胎内で嵩を増すのが判る。
自分の言葉に反応してくれるのは嬉しい。
「あぁぁ……っ、もっと……全部……欲しい……」


気が付けば熱気の篭る浴室で激し過ぎたのか仙波が意識を手放した。
再びシャワーで体を洗ってやり、バスタオルごと抱き上げてベッドに寝かした。
珍しく自分から腰を擦り付けて来た仙波に煽られたと兼介は反省していた。
気を失うまで抱くつもりではなかったのに、今夜の仙波はいつものクールさが無く情熱的だったように思えた。

乾いたタオルで仙波の額に浮かぶ汗を拭いてやり、口移しでスポーツドリンクを飲ませた。
「慎……悪かったな」声に反応して瞼がぴくと震えたがまだ目を覚ます様子はなかった。
兼介は仙波を飼い殺しにするつもりは毛頭なかった、だから自由にさせている、好きにしていいと思う……だが多分仙波が他の男に心を奪われたら自分は妨害するだろう。身勝手だがこいつを手放せないとも思う。

秀人を思う気持ちと仙波を思う気持ちの違いが何なのかは兼介も良く判らなかった。
そしてもっと判らないのは秀人への気持ちを突き詰めると執着心とか未練とかに突き当たる。
どうして付き合った事も無いのに未練なのか兼介の経験をもっても判らないままだった。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
キャッ秀麗!ポチっと押して下されば嬉しいです


FC2のランキングにも参加中です^^

関連記事

COMMENT - 2

けいったん  2011, 04. 19 [Tue] 16:36

兼介の中で 様々な感情が 絡まってますね。
秀人へ、慎へと その想いの違いは?

未練と執着を感じる秀人との関係が 明かされるまでは 想いの正体は 謎のままかも!

兼介にっとて 慎の存在が 軽い遊び相手でなくて 良かった~
ε-(o´_`o)ホォ~byebye☆

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 04. 20 [Wed] 00:04

けいったんさま

こんばんは。

兼介も仙波も現実と運命の狭間で苦しんでいます。

仙波の事も秀人への執着がなければ簡単だったかもしれないのに……

やっぱ好きじゃないと抱き合っても気持良くないしねぇ~
仙波ももう少し強く押せばいいのにΣ (゚Д゚;)

全くプロットのない進行に作者もどんどん気持ちが変わっています。
本当にどんな終わりになるのか?
見守ってて下さいねー。

コメントいつもありがとうございますo(*'▽'*)/☆゚’

Edit | Reply | 

WHAT'S NEW?