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この世の果てで 24

 24, 2010 00:00
部屋に戻ると拓海は瀬田の為に簡単なツマミを用意した。
「おお悪いな、拓海は先に風呂入れ」
「俺は後でいいです」
雇い主よりも先に風呂を貰うなんて拓海には考えられなかった。

「いいよ、そんなに畏まらなくても、気楽にしないと先が持たないぞ、
俺だって毎日早く帰れる訳じゃないんだから」
そう言われれば、瀬田より先に入る遠慮が薄れてきた。
「すみません、じゃ俺先に貰います」
瀬田は『貰います』と言う言い方が今時の若い者じゃないな・・
と思うとつい笑みが零れてしまう。

風呂場に消えた拓海の今日の事を考え、狭山に電話を掛け説明した。
「判りました、調べてみましょう、
明日は皆で合流してからアパートに行った方が良さそうですね」
瀬田も狭山の意見に賛成だった。
こんな何も判らない状況の所に拓海を一人で帰せない。

狭山との話を終えると、瀬田はシャツのボタンを外しながら風呂場へ向かった。
その時拓海は丁度シャンプーしていて、
ドアが開いた気配はしたがそこを確認する事は出来なかった。
「入るぞ」その言葉を背中で聞いた。
「しゃ、社長!ちょっと待って下さいよ」
拓海は慌てて髪に付いた泡をシャワーで洗い流し、振り向いた。

そこには腰にタオルを巻いた瀬田が立っていた。
ふっと安心のため息を吐いた後に
自分はそんな物を身につけてなど居ない事に気付いた。

『お・俺だけ裸だ・・・』
一人で風呂に入るのに腰にタオルなど巻く必要はない。

「別にいいだろ、男同士だし」
「そ・そりゃいいですけど・・・俺裸だし・・・」
自分が裸だという事を納得したばかりなのに、ついそんな事を言ってしまう。

「そうか?恥ずかしかったら俺もこれ取るけど?」
瀬田が腰のタオルを外そうとしたから、拓海は慌てて
「いえ!そのままでいいです!」叫ぶように言った。
「ほら、此処に座れ、俺が背中流してやるから」
滅相も無い!拓海は激しく動揺した。
「いいですっ!自分で洗えますから」

何処の世界に雇い主に背中を流して貰うハウスキーパーが居るだろう?
「遠慮するな」
「遠慮じゃありません!そんなの非常識ですから」
「全く融通の利かない奴だな・・・拓海は体育会系の付き合いは無かったのか?」
「スポーツは嫌いじゃないですけど・・・」
それ以上は自分の身の上を売りにしているようで言えなかった。

「そうか・・じゃやっぱり此処に座れ、今からその気分を味わせてやるから」
無理やり手を引かれて椅子に座らされた。
瀬田は拓海の肩を掴むように、その背中にソープを付けたスポンジを這わせた。
ぐるぐると円を描くように背中を洗われた後に背骨に沿って洗ってくれる。
『気持ちいい・・・』素直になれなくて心の中で呟いた。
「気持ちいいだろ?人に洗われるのって?」

「・・・はい気持ちいいです・・・凄く」
意地を張ってる自分が恥ずかしくて、今度は素直に気持ちを伝えた。
「な、これが裸の付き合いってもんだ」
「あの、今度は俺が・・」
「頼む」
瀬田からスポンジを受け取り、綺麗に洗ってからソープを付けた。

拓海が瀬田の背中を丁寧に洗ってると、瀬田が改まったような声で
「拓海、これから宜しくな」と声を掛けてきた。
「あ!俺こそ、俺の方こそ宜しくお願いします」
お互いの改まった挨拶に拓海が緊張して、少し洗う手に力が入った。

「あぁ・・気持ちいいなぁ・・」
瀬田の低くて甘い声は風呂場ではより一層綺麗に響く。
『俺って社長の声好きなんだなぁ・・・』
「あっ!」
拓海の少し驚いた声に瀬田が「どうした?」と声を掛けた。

「い・いえ・・何でも無いです・・・・・」
拓海は瀬田の声に酔いしれてる自分のむき出しのままの下半身が
少し変化している事に自身で驚いたのだった。
『まずい!』
瀬田は腰にタオルを巻いているが、自分は何も隠す物が無い。
こんな体を気付かれたら、変態と思われクビになるかもしれない・・・

『鎮まれ俺!』







ご覧頂きありがとうございます。

違う意味で拓海ピーンチ!


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