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1周年記念 「彼方から・・・」3

 14, 2011 00:00
「ああ・・・ポスター見たんだ?何だか照れるな・・・」
レンはそう言って笑顔を見せた、だが先の質問の答えは貰ってはいない。
「ああ、どうして詳しいかって?」レンは改めて隆弘に向き直ってそう聞いてきた。
「はい・・あの、俺もこいつ秀人も医学部なんです、まだ2年だから大したもんじゃないですけど・・」
「二人とも医大生!それは凄いね、優秀なんだな」
本当に嬉しそうな顔でレンは二人を褒めた。

「俺は今はモデルなんかしてるけど、こう見えても薬科学の博士課程まで修了してるんだよ」
「え・・だってそんな年には・・・レンさんって今幾つなんですか?」
大学6年と博士課程4年で早くても10年は掛かるだろう・・・若くても28歳ぐらいだ・・
「俺はアメリカで飛び級したからね今24歳だよ」何でも無い事のようにレンは言った。
「す・・凄い・・・」
「そう?そうでもないよ、シカゴ大学では18歳の時に分子遺伝学と細胞学の博士学位を取った日系の子がいるよ」
堀内は自分とはレベルの違う世界の話にただ驚くばかりだった。

「でも、どうしてモデルなんか?あ、いやモデルが悪いっていう訳じゃないんですけど・・・」
「そうだね、誰だってそう思うかもしれないけど・・・『思い出したから』じゃ納得出来ないかな?」

隆弘はそんなレンを改めてマジマジと見てしまった。
180cmの自分よりは少し高いから185・6cmだろうか?
勿論職業モデルというだけあって、その顔は男の自分が見ても見惚れる程に端正だった。
秀人が儚げな美人と言うなら、レンは妖艶で色香がある美人という感じだった。
それはモデルという職業柄なのか、元々レンが持っている雰囲気のせいなのかは隆弘には判らなかった。


「・・・・ここは何処?」ベッドルームから小さな声が聞こえた。
「秀人目が覚めたんだ!」慌てて二人で秀人の元へ駆け寄った。
「秀人、大丈夫か?」
「僕・・・どうしたの?」
「さっき渋谷の交差点で脳貧血で倒れたんだよ、気分はどう?起き上がれそうか?」
隆弘の姿を見て安心したのも束の間、傍にいるレンを見て顔を引き攣らせた。

「やっ・・隆弘怖い・・誰?ここは?」
「ああ、あの人はモデルのRenさんて人で、たまたま近くに居て、家が近いからって連れて来てくれたんだよ。」
「イヤダ怖い・・・」
「へっ?怖くなんかないよ、良い人だよ」
「やだ、怖い・・・家に帰る。此処には居たくない」
ただ怖いと怯える秀人が申し訳なくて、横にいるレンを見ると何故かとても哀しそうな顔をしていた。

親切を怖いと言われて気を悪くするのなら判るが、何とも言い表せないような、辛く哀しく・・そして寂しそうな顔をしている。
「ちょっと」とリビングに来てと目で合図され、隆弘は秀人に「大丈夫だから」と一言告げて、レンを後を追ってリビングに行った。
「レンさん申し訳ありません、せっかく助けてもらったのに、秀人があんな事言って・・」
どう謝ればいいのか隆弘もそれ以上の言葉を探せなかった。

「いや、いいんだよ、気にしないで、もう大丈夫だと思うからタクシー呼ぼうか?
それとも電車で帰る?」
「あの、俺の兄貴に迎えに来てもらってもいいですか?あと30分くらい此処に居てもいいのなら、そうしたいんですが・・・」
「そうだね、その方が安心だ。本当なら俺が送って行ってもいいんだけど、あの子に嫌われたみたいだから」そうレンはまた寂しそうに微笑んだ。

「すみません」隆弘は頭を下げるしかなかった。
「大丈夫、早くお兄さんに連絡して」そう言ってここの住所をメモしてくれた。
隆弘よりも6歳年上の兄は、大学卒業後に父の跡を継ぐ為に、関連会社を色々渡り歩いて勉強していた。
隆弘が家を出て来る時に、今日は夕方まで家にいるよ、などと言っていたから自宅に居るはずだった。

隆弘が携帯に電話をすると、案の定家で燻っていたらしい。
そんな兄に今の状況を説明したら「直ぐ迎えに行くから」と言われ住所を確認すると、さっさと電話を切られた。
心配そうな顔で隆弘と兄との電話でのやり取りを聞いてたレンが安心したような顔になった。
「うちの兄貴、秀人のこと目の中に入れても痛くないほど可愛がっているから」
そう付け足すと、レンは目を大きくして、そしてその後「まるで孫みたいだね」と笑った。

隆弘が秀人の元に戻ると、秀人はベッドの上に座りポタポタと涙を零していた。
「秀人!どうしたんだ?まだ具合悪いのか?」
「寂しい、哀しい・・・胸が苦しい・・・」
それだけ言うと秀人は黙って涙だけを零し続けた。

「どうして?どうしたんだよ?」全く理解できずに秀人に詰め寄った。
「分からない・・・ただ哀しくて、辛い・・・」
「今兄貴が迎えに来るから、もう少し待ってて」
隆弘はベッドに腰掛け、秀人の肩をそっと抱き寄せた。

理由は分からないけど、秀人が辛そうにしているのなら、自分はただ黙って寄り添ってあげるだけだ。
兄貴がマンションの前に着いたという電話をくれるまで、レンは秀人に近寄ろうとはしなかった。
手前のリビングで一人静かに待っていただけだった。

「今下りて行くから、前で待ってて」と兄の電話を切り秀人を立たせた。
「ねぇ、まださっきの人居るの?」
「当たり前じゃん、彼の部屋なんだから」
「僕・・いや・・逢いたくない」
どうしてそんなにレンを毛嫌いするのか、隆弘にはさっぱり理解出来なかった。

さっき交換したばかりのレンからメールが入った。
「俺は隣の部屋に居て、出ないから安心してって伝えて」と。
「秀人、大丈夫さっきの彼には会わずに帰ろう」
「本当?じゃ早く帰ろう?」
隆弘は後日改めて礼に来ればいいだろうと考えて、その旨返信して怯える秀人の肩を抱いてレンの部屋を後にした。

人見知りを全くしない訳では無いが、こんなに秀人が他人に対して拒絶反応を見せたのを初めて見た。
それも男でも見惚れるような男に対してだ。
隆弘もそんな秀人に納得いかなかったが、追求しようともせず秀人の無礼を容認しているレンにも驚いた。



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COMMENT - 6

ちこ  2011, 02. 14 [Mon] 10:15

綺麗なお兄さんは好きですかっ?

ええ~~~っ!!
綺麗なお兄さんなのに・・・なに!?その拒絶反応?!
もったいない!
レンさんもなぜか怒らない・・・助けてもらった恩も忘れて、毛嫌いするという失礼この上ない秀人くんを全て許してしまうような・・・
なにかがありますね~ふふふっ(^.^)b
隆弘くんのお兄さんも秀人くんを可愛いがってるんですね~~~もう、ヨリドリミドリじゃないですかっ!
そんな美麗なお兄さんに囲まれて逆ハーレム状態の秀人くんのお話、続きが楽しみです(≧▼≦)

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けいったん  2011, 02. 14 [Mon] 11:32

今日の”?”の数は ?

レンに対する 秀人の拒否加減が ハンパなーーーい!

その原因が 秀人自身にも 分かってないのに 無意識に ただ 心が拒むのは 何故か?
(-へ―;)?ん・・~~ でも レンは 知っていそうですね。

謎の原因が 中心になって 物語が 進むのでしょうか、kikyouさま?
ミステリアス続行中~?チンプン?ヽ(゚◇。)ノ?カンプン?...コメは 続く

Edit | Reply | 

びび  2011, 02. 14 [Mon] 11:37

ミステリアスですね~

「思い出したから」って意味深ですねぇo(^▽^)oワクワク!

秀人の激し過ぎる拒絶も…
うーん、気になるぅぅっ!!!

「kikyouさま、は、…っやく、ん…、先を…つづけてぇっ!」

「バカちんびびがー!キモ過ぎてkikyou様の筆が止まったらどうするんじゃ!きさーん!!」

すみません、キモくてm(_ _)m
続きを楽しみにしてます、の気持ちが強すぎてf^_^;)

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 02. 14 [Mon] 21:02

ちこさま  綺麗なお兄さんは好きですかっ?

こんばんは。

そうよりどりみどりです!

隆弘の兄も今後重要な役目になってくるかと・・・
一応そういう予定しています^^;

4話で、だいぶ話が見えてきますので
0時更新を楽しみにしてて下されば嬉しいです。

コメントいつもありがとうございます。

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kikyou  2011, 02. 14 [Mon] 22:13

けいったんさま 今日の”?”の数は ?

こんばんは。

いえいえ?はもう終わりですよぉ(笑)多分・・

4話でだいたいが明らかになりますが
そこからまた忍耐です。

今夜を楽しみにしてて下さいネ。
ちょっと私も楽しみです(*^_^*)

コメントありがとうございました。

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kikyou  2011, 02. 14 [Mon] 22:17

びびさま ミステリアスですね~

こんばんは。

ミステリアスでしたねぇ。
でも今夜からは少し判りやすい展開になると思います。

リクエストにお答えして、はや回しです。

楽しみにしてて下されば私も嬉しいです(#^.^#)

コメントいつもありがとうございます。

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