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太陽が見えない 13(観潮楼参加SS)

 03, 2011 23:06
「おい、馨・・・朝だよ」
心地良い夢から現実の世界に引き戻されたような気がする。
いったい今が何時で何処にいるのか理解出来ない馨は、
薄く目を開けて自分を起こした声の主を見つめた。
「太陽・・?」
「おはよう」爽やかな笑顔と一緒に唇が頬に寄せられた。

体中の血液がその頬に集中したように真っ赤に染まってしまう『思い出した!』
だけど馨が思い出したのは途中までの記憶。
そっと布団を捲って自分の体を覗き見すると、太陽のなのだろうジャージ素材の部屋着の上下を着ていた。
「ほら、早くシャワー浴びて来いよ、飛行機遅れるぞ」
太陽に急き立てられバスルームに入り熱いシャワーを浴びてると、だんだんと意識が覚醒して昨夜の事が思い出されて来た。

少し足腰にけだるさはあったものの、痛みを伴うような感じではなかった。
「あ・・っ」
その時初めて馨は自分だけが達かされて意識を手放した事に気付いた。
太陽の指と舌での執拗と思われるような攻めと、簡単にイかしてもらえないもどかしさに、散々啼かされ精の開放と共に意識を失った事を。

きっと太陽はそんな自分に呆れて・・それともやはり受け入れてはもらえなかった?
胸がキュンと痛んだ・・・
『これからどうしよう?』
そんな時に扉の外から声が掛かった。
「馨、時間ないから急げよ・・・飛行機乗り遅れたんじゃシャレにならないからな」
旅行会社に勤務する人間が、時間というルールを守らないでどうする?
って感じの言い方に馨も慌ててキュッとシャワーを止めた。

そっと扉を開くと驚いた事に太陽が大きなバスタオルを広げるように馨を待っていた。
「あの・・太陽」
「いいから、ほら早く」
そう言うと、バスタオルで馨の身体を包むようにしてぽんぽんと叩きながら拭いてくれる。
「こ・子供じゃないんだから・・自分で・・」
「ダメ!馨の事は全部俺がやるから」

その言葉に昨夜自分が吐精したはず・・と、だけど起きた時には太陽の服を着せられていた。
という事は、後の処理を全部太陽がやってくれたという事だ。
そう思うと馨の体がみるみるうちに桃色に染まってしまった。
「太陽・・夕べ・・・」
「ああっ!ダメだ、朝からそんな目で見るな!俺は北海道に行きたいんだっ!」


それから5時間後、二人は肩を並べて札幌駅に降り立った。
あの後一切太陽は昨夜の事に触れようとしないから、必然的に馨も何も言えなかった。
千歳空港に着いた時よりも、更に電車に乗って札幌に着いた時の方が北海道に来た気がするのはどうしてだろうか?
などとぼっと考えてる馨に「とりあえず、ラーメン食う?」と聞いて来た。
丁度昼食には良い時間でもあったし、やっぱり1度は食べたいメニューの一つでもあった。
こういう時は男二人だ、適当に目についた地元の人間が行きそうな店に入って醤油ベースと味噌ベースを注文する。
途中お互いの丼からスープをすくって味見するのもいつものパターンだった。

今までと何も変わらない・・学生時代も社会人になってからも・・・
『これでいいんだ・・・』
変われなかった事を悔やむよりも、変わらなかった事を喜ばなくてはならないのだ、と馨は自分に言い聞かせた。

「あー旨かったな、とりあえず小腹は満たされたから、次は土産買いに行くぞ」
「えっ・・て今着いたばかりなのに、もう土産?」
「そうだよ、今日発送しておけば俺らが帰る日曜日には届くだろう?」
「だからって・・着いた早々」
「明日から馨にそんな余裕ないから・・・」
「・・・?」

太陽の言っている意味を馨が知るのは、チェックインした札幌のホテルの部屋に入ってからの事だった。
そのホテルはとてもツアーで使えそうなホテルではなかった。
その上高層階のデラックスツインだ。
その事を太陽に問い詰めると「当たり前だろ?時期が違うんだから、ホテルもコースも参考にはならない」と簡単な答えが返って来た。
「それに・・・初夜だからな・・・」
「初夜って・・・・」馨はその言葉に頭に血が上ってしまうのが自分でも判った。

「もしかして最初からそのつもりで?」と馨が問うと
「いや・・馨がいつか誰かと新婚旅行で来る前に一緒に来ておきたかった・・」
「新婚旅行って・・」そんな普通の男女の行程など馨には考えられない事だった。
「お前、高校の卒業旅行の時に言っただろ?」
高校の卒業を記念して6名の仲間で沖縄に卒業旅行に行ったのは、もう5年以上前の話だった。
随分前の事を太陽が言い出し、不可解な顔をすると
「あの時、みんな沖縄気に入って彼女と旅行に来るだの、新婚旅行だのって騒いでただろ?」
そう言えば、そんな話で盛り上がったような気がした。

その時は馨はもう自分の性癖に気付いた後だったから、彼女だの新婚旅行だのの会話には真剣に加わってはいなかったのだった。
「あの時馨は、『僕は寒い冬の北海道がいいな』って言ったんだよ」
「え・・っ?」
そんな些細な、言った本人ですら忘れているような事を太陽が覚えていたのに驚いた。
「だから俺は・・深々とした景色に馨は良く似合うって・・ずっとそう思ってた」

「も・・もしかして夕べは我慢して僕を抱かなかったの?」
「俺も随分と我慢強い・・・自分で自分を褒めたよ」
自嘲気味に言う太陽の背中にそっとしがみ付くように抱きついた。

「太陽・・ごめん・・・ありがとう」

太陽は背中から馨を引き剥がすようにして、その唇に熱い唇を重ねて行った。





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な・なんかここが最終回でも良さそうな気はするが・・・・

本日12日の1周年に向けて嬉しい贈り物が届きました。
残念ながら12日までは、ひとりで楽しませて頂くつもりです^^
Kさま、ありがとうございました!


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COMMENT - 16

-  2011, 02. 04 [Fri] 00:17

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kikyou  2011, 02. 04 [Fri] 00:24

鍵コメ Bさま はじめまして

こんばんは。始めまして^^

おおお!有難う御座います。
時々やらかしてしまいます^^;

助かりました!本当に教えて戴けると感謝なんですよ(*^_^*)

読んで下さってて有難う御座います。
これからも宜しくお願い致します。

コメントありがとうございました(●^o^●)

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甲斐  2011, 02. 04 [Fri] 00:45

新婚旅行なのね

太陽くん今日もかっこいい
好きな人の一言を忘れずにいつか実現させたいと思っていたのね
馨くん感激ですわね
初夜に向けていざすすめ~

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此花咲耶  2011, 02. 04 [Fri] 02:13

kikyouさま

隅々に張り巡らされた、仕掛けがあって見つけるのも楽しいです。
新婚旅行という単語にこめられた、悲しい馨くんの過去が、太陽くんの提案で素敵なものになりそうです。
寒く凍える場所で、温かく解れてゆく二人…毛細血管がぷちっ・・・となってしまいそうです。

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ちこ  2011, 02. 04 [Fri] 07:19

甘やかす→とにかく北海道→甘やかす→とにかく高級ホテル→甘やかす→とにかくイタダキまぁす・・・新婚旅行だあ~(//∀//)
やっぱロマンチスト太陽くんは違うね~馨くんに想いが通じないままでも、馨くんと『新婚さんいらっしゃい』がしたかったんですね~(*^□^*)
でも二人の積年の想いは繋がって、お話は続くよ、どこまでも~(≧▼≦)

と、とりあえず、例の術一週間ほど延長してますから(笑)
太陽くん、ごゆっくり~一人焦らしプレイの反動が・・・コワイッ(//∀//)

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-  2011, 02. 04 [Fri] 07:33

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梨沙  2011, 02. 04 [Fri] 10:08

( * ^)oo(^ *) クスクス

太陽 いろいろと考えていたんですね!!
しかし 初夜の為にずいぶん我慢しましたね
太陽の忍耐に拍手を送りますw 馨ちゃんは 身も心も十分に愛されてねo(*^▽^*)o~♪

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けいったん  2011, 02. 04 [Fri] 10:59

ガチガチになる~ ○X□△※・・・

ドM魔女っ子ちこチャンの魔法で 太陽は 準備OK!
初めての夜は 激しくなりそうーー!(*/∀\*)イヤン
せっかくの北海道の雪景色は ベッドから見る事になるのね~ンフフフフッ(ノω`*)

いいか...馨...ゴック...ヾ(・ω・*)」by太陽
「も・もちろん!ッ...(*・・*)」by馨

┬|ω・`*)チラッ...チラッ(*´・ω|┴
「ちこチャン、一緒に♪」by私
「ウン!魔法の効き目を確認しないとネッ♪ 」byちこチャン
( *´゚з゚`*)bシィー!ダヨ...byebye☆


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びび  2011, 02. 04 [Fri] 12:01

ワクワクo(^▽^)o

太陽、あっまーーーーーい!

そうか、新婚旅行ね。さすがロマンチストだわ(#^.^#)
お土産も段取りバッチリだし、すべては今夜の初夜のために♡

ガマンの反動で、どこまでいっちゃうの~?
この旅行って二泊?三泊だったかな?
ずっとこもりっぱなしですか~?きゃぁ~♪( ´▽`)

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kikyou  2011, 02. 06 [Sun] 15:27

甲斐さま  新婚旅行なのね

こんにちは亀です^^;

太陽がどれだけ自分を好きだったかというのを
馨も判ったと思います。

初めて・・・いいですよね^^
若さが羨ましい今日この頃です(笑)

コメントありがとうございました。

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kikyou  2011, 02. 06 [Sun] 15:30

此花さま

こんにちは。

仕掛けを探すのが楽しみって言ってもらえて嬉しいです^^

寂しくて辛かった馨もやっと幸せになれそうです。
どうも・・・天真爛漫カップルが書けない私は、
辛いものを背負わせてしまいがちです。

でも読んでもらえて幸せです。
コメントありがとうございました。

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kikyou  2011, 02. 06 [Sun] 15:34

ちこさま

こんにちは。

甘やかす(笑)本当にいっぱい馨を甘やかせて
そして啼かせて欲しいですね。
トロトロに溶けてしまうまで。

術・・1週間延長!
馨大変だぁ・・・・

次はほどほどの術をお願いします by馨

コメントいつもありがとうございます(●^o^●)

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kikyou  2011, 02. 06 [Sun] 15:40

鍵コメ Lさま

こんにちは。

どうしても初めては北海道で、という太陽の意思は強かったです^^
その拘りが、ずっと密かに思い続ける事が出来た秘訣かもしれません。

頑張ってよく耐えた!と太陽を褒めてあげました(笑)


あ、私の書き方をちょっと変だったかな?
Lさまに頂いたという意味でして^^;

書くことの難しさも凄く理解して下さってていつも感謝しています。

1周年に向けて動き出しました。
ちょっと張り切っています^^
待ってて頂ければ嬉しいです。

コメントいつもありがとうございます。

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kikyou  2011, 02. 06 [Sun] 15:41

梨沙さま  ( * ^)oo(^ *) クスクス

こんにちは。

意外と純粋な太陽でした^^

そして我慢も出来る男だ!
でもねぇ・・・きっとストッパーが外れたら怖いような気もします(笑)

コメントありがとうございました(*^_^*)

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kikyou  2011, 02. 06 [Sun] 15:44

けいったんさま ガチガチになる~ ○X□△※・・・

こんにちは。

魔法の効き目を確認する姿は・・・
クローゼットの中でしょうか?
出来たら私も仲間に入れて欲しい(笑)

効果は抜群だと思うので、できたら軟膏か何かも持っててネ。

コメントいつもありがとうございます(●^o^●)

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kikyou  2011, 02. 06 [Sun] 16:21

びびさま  ワクワクo(^▽^)o

こんにちは。

甘いですよね^^太陽

全て計画通りに事を進めています。
馨の弟にもカニの約束してましたしね。

2泊目は移動距離の少ない定山渓温泉です。
長くなるので2泊目は省いてしまいましたが・・・スミマセン

でもちゃんと移動に使う体力は残しておく太陽だと思います。

「本当は真っ白な雪の上で抱きたかった・・」by太陽

コメントいつもありがとうございます(*^_^*)

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