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太陽が見えない 10(観潮楼参加SS)

 31, 2011 15:00
9話のPingが送信されていなかったようです^^;
(今頃気付きました・・)
もし9話更新に気付かれない方がいらっしゃったらと思ってのご連絡でした。






「上等だよ・・・」

太陽の言葉を受けて馨は黙って目を閉じた。
だが馨が太陽の温もりを感じたのは、下半身でも唇でもなく、閉じた瞼だった。
溢れる涙を太陽の唇が黙々と吸い取っていく。
それを感じた途端逆に涙が止まらなくなり、馨はうろたえた。

「た・・太陽・・・そんな事は・・」想定外の太陽の行動に躊躇いながら馨が言うと
「うるさい、黙ってろ」と取り付く島が無い。
そしてまるでその口を塞ぐように、太陽の唇が重なった。
『あ・・っ』
太陽のキツイ言葉と裏腹にその唇は温かく優しかった。


あれは高校に入学したての頃だった。
馨の繊細な顔立ちと雰囲気は直ぐに評判になった。
たまたま馨の隣の席になった太陽は窓の外の景色を眺める風を装って馨の横顔を覗き見していた。
席替えがある前に馨と仲良くなりたいと願いもした。
そしてその太陽の願いは時間の経過とともに叶えられていき、
思った以上に馬が合い席が離れても一緒に行動するようにもなった。

ある日、同級生の一人が馨の事を「男でもあれならヤれる」
と言ったのを聞いて太陽は馨に知られないようにその同級生に制裁を加え
二度とそんな事を言わないように釘を刺した。
それからは馨をそういう眼で見て寄って来る輩に睨みを利かせてきた。
「太陽は馨とずっと一緒にいて変な気分になったことないのかよ?」
そう聞かれた事も何度かあった。

その度に強い態度で否定し続けてきたのだ。
だから馨をそんな眼で見る事は馨を侮辱し、汚す事だと思ってきた。
自分の中のそういう気持ちを他の女と付き合う事で誤魔化していたが、
そんな付き合いは長くは続くはずもない。
「誰と比べてるの?」そう言って女達は太陽に別れを告げて行った。

自分でも気付かないうちに、馨と比べていた事を知り、また馨を汚してしまったと後悔する。
自分だけは、馨をそういう厭らしい目では見ないと振りかざしていた正義も真っ黒になっていたのだ。


馨の柔らかい唇を啄ばみながら、太陽はそんな学生時代を思い出していた。
先日会社で滝沢と会った時の馨の反応を見て何かあったと感じた。
今夜馨が告げた事の殆どは嘘だが、その中に本当の事も紛れているのもまた事実。

固く閉じた唇を舌先で突付いて開けろと合図を送るが馨は理解していないようだ。
馨がキスに慣れてない事を喜びながらも、強引に唇を割って舌を差し込んだ。
口腔の粘膜を刺激しつつ舌を絡めると、逃げ腰だった馨の舌が僅かに反応を示した。
「ううっ・・」馨の発する小さな呻き声も喉の奥に飲み込まれていった。

慣れない馨の息継ぎのためにゆっくりと唇を離し、また角度を変えて重ねる。
こんな愛しむようなキスなど誰ともした事はなかった。
太陽はそんな自分に心の中で失笑した。
『馨を汚すな、と喚いていた自分が本当は一番馨を汚していたんだ・・・』

長いキスの後「馨、俺を見ろよ」と目を開けるように指示した。
影を落とした長い睫毛はゆっくりと持ち上がり潤んだ瞳が太陽を見つめた。
「本当にいいのか?」太陽の問いかけに馨は黙って頷いた。
「俺はお前を汚したくはなかった・・・」
その言葉と共にポタポタと太陽の目から雫が零れ落ち馨が目を見開いた。

「太陽?」
太陽の涙の意味など馨には判らなかった。
「僕は大学3年の時に滝沢さんと一度関係を持った・・・
愛の無いSEXした。もう僕は汚れている」

「違う・・お前は汚れてなんかいない」
最初からそういう目で見た付き合いの方が本当は純粋だと太陽は思っていた。
常識を振りかざして自分だけが真っ当だと言い続けた自分の方が汚れている。
「俺の方がずっと汚い、俺がお前を抱いたら・・・・」
本当にお前を汚してしまう・・そう言おうとしても言葉となって出てこない。

「僕は・・・僕はずっと太陽が好きだった。強くて優しくて元気で・・・
いつも僕は太陽の方を向いて生きてきた、太陽が笑っていたから僕も笑っていられた」

馨は下からすっと手を伸ばし、その指で太陽の涙を拭いた。
「だから太陽・・泣かないで」
「馨・・・」
「太陽は、僕の心の太陽なんだから・・」
「ふっお前こんな時によくそんな臭い台詞が言えるな」
太陽が泣き笑いの顔を見せた。

「太陽の涙なんか初めて見た・・」
馨にも少し余裕が出てきたのか、そんな揶揄する言葉が出てきた。
「俺だって小5の時・・ばぁちゃんが死んだ時以来だよ人前で泣くのなんて・・」
両親が忙しくてその愛情が薄かった太陽に、余るほどの愛を注いでくれたのが父方の祖母だった。
太陽が太陽らしく生きて来られたのも祖母のお陰だと思っている。

『俺らしく・・・か』

「もう馨には本当の顔しか見せないよ、だからお前も本当の顔だけ見せてくれ」
「―――うん、太陽・・・太陽と一つになりたい」
「ああ、俺はお前を抱く」

再び下りてきた太陽の唇を馨は少し口元を緩めて微笑みながら受け止めた。





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更新毎度遅くてすみません。
次回最終回になると思います。

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COMMENT - 12

けいったん  2011, 01. 31 [Mon] 17:07

゚+。ヨカッタ(。TωT)(TωT。)ネー。+゚

自分の本当に気持ちに 気づいた太陽と 秘めてた想いを やっと 素直に伝えた馨

二人の間に ”愛”が存在するなら もう止めません!
お好きなように お好きな時間だけ お好きな行為を 存分に 楽しんで下さいまし~♪

北海道旅行が 楽しくなりそうですねーv(^^*)byebye☆

Edit | Reply | 

びび  2011, 01. 31 [Mon] 17:34

アセアセ、お片付けー!

いや~ん、9話のコメで思わずちゃぶ台返ししちゃったのにぃ~(>人<;)
さっそくおっ片付け~♪( ´▽`)

太陽もようやく自分の気持ちに気付いて覚悟を決めたのね、良かった良かった。

馨くんも素直に告白できたし、あとはもう思いっきりヤっちゃって下さい。ウフフッ、旅行キャンセルにしない程度にね(^_-)-☆

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 01. 31 [Mon] 17:40

けいったんさま  ゚+。ヨカッタ(。TωT)(TωT。)ネー。+゚

こんばんは。

良かった良かった・・ですよね^^

> お好きなように お好きな時間だけ お好きな行為を 存分に 楽しんで下さいまし~♪

(笑)

好きなだけヤらせて頂きます!
次回多分最後になると思うので、思う存分頑張ってもらいます^^;

ヨカッタネーの可愛いタイトルありがとうございました☆:*・゚(●´∀`●)ホェ:*・゚

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 01. 31 [Mon] 18:03

びびさま アセアセ、お片付けー!

こんばんは。

あわわわ・・・自分でちゃぶ台のお片づけ・・申し訳ないです^^;

(て、可愛いびびさんv-343

太陽も馨もやっと本音で語れました。
もうあとは合体だけです(スミマセン下品で)

そうだ、旅行に行く前日!
無体な事はしないように太陽に言っておきます。

コメントいつもありがとうございます(*^_^*)

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ちこ  2011, 01. 31 [Mon] 19:55

馨くんはひまわりだったんですね~太陽だけを追い掛けて・・・うるうる(涙)
では、ごゆっくり~(T_T)/~

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紫猫  2011, 01. 31 [Mon] 20:31

やっと二人ともお互いの想いをいえましたね!
長い間ずっと片思いだと思っていたのですからその間、
とても辛かったんだと思います…でも、
これからその何倍もの愛を築いていって欲しいです!
次回、楽しみに待ってます!!

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梨沙  2011, 01. 31 [Mon] 20:57

良かったよ~

。・゚゚・o(iДi)o・゚゚・。うぇぇん  良かったよ~
一時はどうなるかと冷や冷やしたから… 太陽もちゃんと馨ちゃんのこと見守っていたんですね(*^.^*)
もう 2人離れ離れになる事のないようにお互いの気持ちを確認してね(*´∇`*)

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-  2011, 02. 01 [Tue] 00:20

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kikyou  2011, 02. 02 [Wed] 14:36

ちこさま

こんにちは。

ひまわり・・そうですね。
太陽の方だけを見ている馨です^^

馨の一途な思いを太陽が受け止めて
いや・・太陽の方がある意味一途だったのかもしれないです(*^_^*)

コメントありがとうございました。

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kikyou  2011, 02. 02 [Wed] 14:40

紫猫 さま

こんにちは。

そうです、やっと素直になれました。
お互いの思いに気付いたら早いです。

これから甘い生活が待ってると思うと・・・
続き頑張ります。

コメントありがとうございました。

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kikyou  2011, 02. 02 [Wed] 14:55

梨沙さま  良かったよ~

こんにちは。

はい、上手く行きました。
見守って下さっててありがとうございます。

あとは・・・・v-238
太陽に頑張ってもらいます(*^_^*)

コメントありがとうございました。

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kikyou  2011, 02. 02 [Wed] 15:02

鍵コメ Lさま 今回はしっかり秘コメのはず

こんにちは。

あぁ前回のはミステイクだったのですね?(笑)

いえいえ、読み手さまの思惑を裏切るのも書き手冥利に尽きるってもんですよ^^

今回は初めてタイトルとどう結びつけていいか判らなくなっています。
途中そういう雰囲気はあったんですけどネ。
う~ん難しいです。

コメントありがとうございました。

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