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この世の果てで 18

 18, 2010 00:00
拓海が時計を見ると、朝の6時半だった。
結局朝までこの部屋で過ごしてしまったのだ。
瀬田を起こすべきか迷ったが、早過ぎるという事は無いだろう。

「社長・・・社長?」
「んん・・おぉ尾崎か、おはよう」
「あ、おはようございます、あの・・夕べは俺寝てしまったみたいで
申し訳御座いません・・・でもどうして俺がベッドで?」

「何、一緒に寝たかったのか?」
揶揄されて真っ赤になりながらも
「そんな事ありません!・・ただ、俺がベッドに寝せてもらって
申し訳ないと思って・・・」

「まぁいいじゃないか、それより腹減った」
「えっ?」
そういえば、拓海も瀬田も夕方蕎麦を食べたっきりだった。

「俺何か作ります」
「それは有難いな、冷蔵庫の物を適当に使ってくれ」
「はい、ご飯とパンとどちらが?」
「そんなもん此処にある訳ないだろう?」

「米もパンも無いんですか?」
「無い!」
そんな威張って言う事じゃないと思うが、じゃ一体何を作ればいいのだろう?
とりあえず拓海は冷蔵庫を開けてみた。

玉子とハムやソーセージなどあったが、念のために消費期限を確認してみた。
その殆どが大分前に期限切れになっていた。
がっくり肩を落とした拓海は瀬田の元に戻り
「社長・・食べられそうな物はありません・・・」

あんな高級そうなハムやソーセージを・・・勿体無い
そう内心では思ったが、口には出さずに我慢した。

「やっぱりそうか・・以前の家政婦が辞めてからひと月以上経つからな」
「俺近くのコンビニで何か買って来ます」
「そうか?お願い出来るか?」
子供のように嬉しそうな顔をして、財布を取り出し1万円札を抜き拓海に渡した。

「そ・その財布・・・・」

拓海が目を留めた財布は5年前拓海がある男から貰ったというか、
預かった財布と同じ型の物だった。

「ああ、尾崎君のと同じだな、世の中に51個しか無い財布だ」
「え?51個ですか・・」
拓海が判る範囲で調べた時の情報だと
瀬田の会社で50周年の記念品として作られた非売品だった。

その殆どが瀬田の会社の管理職の手に渡った筈だ。

「51個・・・」
今この部屋に2個ある・・
あと49個の持ち主を調べればいいのだ。

「どうした?」
「いえ・・じゃ買い物行って来ます、パンでいいですか?」
「ああ、任せるよ」

拓海は心の何処かで、自分にこんなに気をかけてくれる瀬田が
あの財布の持ち主ではないのか?と疑っていた。
だが瀬田は自分で持っていた。

でも50周年なのにどうして51個?

そして拓海はこの非売品の財布をどうして拓海が持っているのかを
瀬田が聞かない事に気づいた。
普通に店で買える物では無い。
拓海の環境でこの財布を持っている事など普通では考えられない筈だった。

「あの・・社長・・この財布を持っている人のリスト教えてもらえませんか?」
「駄目だ、企業秘密だ」
「そうですか・・・そうですよね」
力なく拓海は瀬田に同意した。

「買い物行って来ます」








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COMMENT - 1

ぱせり  2010, 09. 18 [Sat] 09:56

拍手コメの

Hさま 嬉しいコメントありがとうございます。
続き楽しみと言ってもらえて嬉しいです!
ありがとうございました!。

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