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この世の果てで 17

 17, 2010 00:00
「俺だけが裸なのか?」
背中を流す拓海は着衣のまま、ズボンの裾を膝まで捲くっていた。
「どうして俺が脱ぐ必要があるんでしょうか?」
「ま、今日はいいか・・・」
残念そうな声に今日も明日も無いと思いながら
想像以上に逞しい瀬田の背中をごしごしと洗った。

まだ父が生きてた頃、こうやってよく背中を流させられた事があった。
一瞬過去に意識が飛んでしまったが
「尾崎は入らないのか?」と聞かれ現実に引き戻される。

「俺はいいです、帰ってからで・・・」
「残念だなぁ俺が背中を流してやろうと思ってたのに・・」
「俺は男と一緒に風呂に入る趣味などありませんから」
そっけなく言う拓海には男色の匂いはしなかった。

『金を得る為だけの手段だったのだろうか?』
だが瀬田はあの日、貫かれながらも最後には拓海も射精した事を忘れてはいない。

「もういいぞ、ありがとう」
やっと解放された拓海はほっとして今度こそ帰れると思った。
「あ、俺が風呂から上がる前に勝手に帰るなよ」
拓海の心を見透かしたように、釘を刺された。

仕方なく拓海がソファで読みかけの本を読んでいたが
普段の睡眠不足がたたって、だんだんと活字がぼやけてきた。

瀬田が風呂から上がると、拓海がソファの背に凭れ掛かったまま眠っていた。
ふっと口元を緩めて眠る拓海を抱き上げ自分のベッドに連れて行った。
余程疲れていたのか、その一連の動作では拓海は起きそうもなかった。

瀬田はその無防備に眠る拓海の頬にちゅっと唇を付けた。




その頃拓海のアパートの下で電気の消えている拓海の部屋を見上げながら
「此処か・・・尾崎拓海・・・俺はお前を許さない」
闇の中そう呟く一人の男が居た。





拓海が目を覚まし、一体自分が何処に居るのか理解するのに時間が掛かった。
見慣れぬ大きなベッドの上で、普通の服のまま眠っていた。
『ここは何処だ・・・・』
覚醒するまでに、少し時間を要し「あっ!」小さな声が漏れた。

そして自分が昨夜社長が風呂に入っている間に寝てしまったのだろうと気づいた。
でも自分が座っていたのはソファでベッドなどでは無い。
周りを見回しても瀬田の姿は見えなかった。

恐る恐るベッドから下りリビングに行くと
拓海が寝てた筈のソファに瀬田が横たわっていた。
「拙い・・・」
新しい雇い主のベッドを占領してしまった自分に頭を抱えた。

でもどうして・・・?

自分がソファに寝ているべきだったのに・・・・





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