2ntブログ

スポンサーサイト

 --, -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

太陽が見えない 2(観潮楼参加SS)

 19, 2011 04:03
馨は酔っているせいか、ふと太陽が恋しくなった。
『太陽に会いたい・・・』
自分が太陽を特別な目で見ている事に気付いたのは、高校2年の時だった。
当時交際していた彼女とホテルに行ったと聞かされ、目の前が真っ暗になったのを覚えている。
今まで一番身近にいた太陽が、手の届かない場所に行ってしまったのだ。
自分のショックさに太陽に恋している事を知った。

いや、多分初めて同じクラスになった時から自分は太陽を特別な目で見ていたのだ。
高校2年の頃には、もう太陽の身長は180センチを超え、女子生徒のターゲットになっていた程だった。
だが、太陽はどんなに可愛い子と付き合っても長続きはしない。
そして何故か振られるのは、いつも太陽だった。

「ねえ、馨君って好きな子いるの?」
滝沢の突然の問いかけに、さっきまで思い出していた太陽の顔がクローズアップされる。

「い・いえ・・・」
「そうかな?何か苦しい恋をしてます、って顔に書いてあるけど?」
さすが滝沢は馨の深層の痛い所を突いてくる。
「そんなことないです・・・」

「俺が慰めてあげようか?」
「へっ?」思いもしなかった言葉に素っ頓狂な声が出てしまう。
「はっ、滝沢さんも酔ってるんですか?僕男ですよ?」
「俺は別に君が男でも構わないけど?」
そう言いながら滝沢はネクタイを緩めながら馨の傍までにじり寄って来た。

「やっ、滝沢さん・・・冗談は止めて下さい」
ソファを背にしている馨にはこれ以上逃げ場がなかった。
「馨君、君って本当に可愛いね」
「やだっ、こっちに来ないで・・・」



「あぁっ・・・やだっ・・・んぁっ・・・」
いつの間にか馨の両手首は滝沢のネクタイで一つに縛られていた。
Tシャツの裾から差し込まれた手は馨の薄い胸板を撫でた後、小さな突起を摘んだ。
「あぁん・・・やっ・・あぁっ」
滝沢を拒もうとしても、酔った体には力など入りはしなかった。
その上、摘まれた突起から、じわりと何か変な感覚が湧いてくる。
「はぁっ・・ぁぁぁ・・」

「可愛い声だね、ここ舐めるよ」
もうすっかり胸を全開に肌蹴られ、馨の慎ましやかな尖りがクーラーの冷気に晒される。
「あっ!」
ペロリと舐め上げられ、自分でも信じられないくらいの甘い声が漏れた。
「気持ちいい?」
「やだ・・・やめて・・・怖い・・」
馨は滝沢よりも、自分が快感に流されそうで怖かった。

「好きな人の指や唇だと思えばいいよ」
『好きな人・・・・』太陽の爽やかな顔が脳裏に過ぎる。
頭を振り懸命にそれを否定するが、何度否定しても思い浮かべるのは太陽の顔だった。

そう思い始めたら、そこからはなし崩しのように滝沢に縋ってしまった。
いくら思っても敵わぬ恋・・・・それならいっそのこと、このまま身を任せてしまおうか?
そして何よりも、他人から与えられる愛撫に若い馨は敏感に反応してしまっている。

「た・・滝沢さんは・・いつもこんな事してる・・んですか?」
与えられる快感から逃れるように、そんな事を聞いてみた。
「・・・俺も片思いだ、決して結ばれる事はない恋だ」
滝沢の顔が苦しそうに歪むのを馨は黙って見ていた。

「俺の好きな人はね、俺の上司なんだ・・・とても綺麗な人で
結婚して子供もいる・・」
そんな事を告白しながらも、滝沢の手が休む事は無かった。

「あ・・っ」小さく吐息を零した後に「その人は男の人なんですか?」と聞いてみた。
「・・・そうだよ、美人の奥さんと可愛い子供、俺の付け入る隙はないよ」
その状態は自分以上に苦しいものだろうと、馨は想像出来た。
太陽が彼女を作る度に、馨の心には傷がひとつ、またひとつと増え続けて来たのだから。


ふと、今まで拘束されていた腕が自由になった。
「えっ?」
「ごめん、馨君・・もう俺・・精神的に限界だったみたいで、君に酷い事をした」
その時の滝沢の顔が年上なのに、何だか傷ついた少年のように見えた。
みんな、苦しい恋をしているのだ・・・

「いいですよ滝沢さん・・・僕を抱いても」
馨は自分でも驚くような言葉を吐いた。
「馨君・・?」
「僕もさみしい・・・・」そう言うと堰を切ったように馨の目からボロボロと涙が零れた。


知識では知っていた行為も、いざとなると腰が引けそうだった。
恥ずかしい体勢で一番恥ずかしい所に指が入っている。
「あぁ・・っ」それでも何故か体は反応して、甘い声が漏れてしまう。
滝沢は壊れ物を扱うように優しく馨の体を解していく。

ソファの背凭れに両手を突いた姿勢のまま、今まで指が入っていた入り口に熱い塊が押し付けられた。
「馨君、本当にいいの?」
滝沢の問いかけに、ただ馨はコクコクッと首を縦に振るだけだった。
指で充分に解された体は、本能のようにもっと大きい物を求めてしまう。

後悔と期待とが入れ混ざる意識の中、馨は太陽の顔を思い浮かべた。
「ああーーっ!」それと同時に太くて熱いモノに体を貫かれる。
『太陽っ』心で好きな男の名を呼び、その顔を思い描くと痛みも愉悦に変わる。
滝沢も好きな男の事を思っているのだろうか?

暫くすると、馨の腰を支えるように、ゆっくりと滝沢が抜き差しを始めた。
「あぁっ・・あん・・・あぁ」
後ろから突かれるたびに声が出てしまい、そんな自分が浅ましく思えた。
「馨君、いっぱい感じて気持ち良くなって・・」
「馨って言って・・」

馨の言葉に刺激を受けたのか滝沢の動きがだんだんと激しくなった。
深い所を擦られ馨の体も蕩けてしまったようだった。
「馨、馨・・・中凄い、気持ちいいよ」
呼び捨てされる事で、馨の心も頭も麻痺してしまう。

「ああっ・・あぁぁぁぁ・・・」
揺すぶられながらも初めて知る男の顔が見えない事に馨は安堵していた。





BL・KANCHOROU冬の企画参加一覧


BL・KANCHOROU冬の企画に一次参加させてもらいます。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村



関連記事

COMMENT - 14

-  2011, 01. 19 [Wed] 05:39

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 

tukiyo  2011, 01. 19 [Wed] 09:45

あうぅぅぅぅ~~~~パタリ

Edit | Reply | 

けいったん  2011, 01. 19 [Wed] 13:20

哀れ、憐れ・・・

届かない恋を抱え
束の間の 温もりを 求め合う
虚しい行為と 分かっていても
縋り付いてしまう哀れな二つの心 憐れな二つの体
淋しい...

馨も 滝沢も 幸せになりますように。。。(v人v)byebye☆

Edit | Reply | 

梨沙  2011, 01. 19 [Wed] 15:44

(´;ェ;`)ウゥ・・・

切ないです…
報われない思いにがんじがらめですね。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。
慰めあってしまう気持ちが分からないでないですが… この先どう転ぶのか気になります~ε-(ーдー)ハァ

Edit | Reply | 

ちこ  2011, 01. 19 [Wed] 16:37

ふうっ・・・滝沢さんも片想いでしたか~互いのキズを舐め合うような。その時は慰められたと感じるけどキズは塞がりませんよね。逆にその時のことを思い出してはジクジクと疼いてしまいます(T_T)
馨くんは今は太陽くんとカップルなんですよね~?
あれ?違ってます?意味深なタイトルだし・・・
よ~しこうなったらちこが魔法でっ(笑)えいっ(^_^)/~°°☆。。どうなるんでしょうか(笑)続きをお待ちいたしております。

Edit | Reply | 

ねむりこひめ  2011, 01. 20 [Thu] 00:19

切ない……です

こんにちわ。
初めて書き込みさせていただきます。ねむりこひめです。
それぞれの思いがある2人が切なくて、たまりませんでしたTT
えぐえぐ……。
硝子細工のように繊細なお話に、キューんです。
馨君が幸せになりますように!>切望

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 01. 22 [Sat] 03:11

鍵コメ Lさま

こんばんは。お返事が大変遅くなり申し訳ございません^^;

>見えなくたって、太陽はいつも空に在るんですもの。

素敵な言葉です!
そして馨の太陽はいつも傍にいるのに・・・
でも傍にいるからこそ言えない事もある。

あぁ・・・・どうして私は最初っから幸せな恋にしてあげないんだろう?!


あ、例の件

凄く嬉しく読ませてもらいました。
ありがとうございました。
嬉しくて、見せてしまいました。
そして二人で「嬉しいねぇ」とまるで縁側で茶をすする年寄りのように
まったりとした気分にさせてもらいました。

ありがとうございました(#^.^#)

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 01. 22 [Sat] 03:12

tukiyoさま

こんばんは。

あぁぁ・・・倒れて・・・

ごめんなさい、時間が経ってもう助けが間に合わなかったかも?

次は、間に合う時間に伺います!

コメントありがとうございました(●^o^●)

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 01. 22 [Sat] 03:22

Re: 哀れ、憐れ・・・


        届かない恋を抱え

      束の間の 温もりを 求め合う

      虚しい行為と 分かっていても

  縋り付いてしまう哀れな二つの心 憐れな二つの体

            淋しい...





> 馨も 滝沢も 幸せになりますように。。。(v人v)byebye☆


こんばんは、お返事遅くなりごめんなさいm(。≧Д≦。)mスマーン!!

けいったんのコメがあまりに素敵だったから、ちょっと詩仕立てしてみました。

もう私の拙い言葉は必要ない程です。

エヘヘ^^コメントありがとうございました。

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 01. 22 [Sat] 03:25

梨沙さま  (´;ェ;`)ウゥ・・・

こんばんは。

お返事遅くなってすいませんでした ペコリ(o_ _)o))?

なんか私、楽しい話って書けないのかも?
明るくしようと思っても「負」のオーラに吸い込まれて・・・

これからどうなるんでしょうか?

楽しみにしてて下さいませ!

毎日更新できるように頑張ります!

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 01. 22 [Sat] 03:32

魔法使いちこさま

こんばんは。

お返事遅くなってごめんなさい。

どうせ魔法をかけて下さるのなら、私の指に・・・・
高速で動くようにお願いします^^

まだ、カップルじゃないんだなぁ(笑)

イラストなしで始めた企画参加。
何だか自分でも変な感じです。

だって、お題が「冬のたからもの」なんですもん・・・・

ここから、宝物を感じさせる話にもって行けるのか私?!

コメントありがとうございました(#^.^#)

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 01. 22 [Sat] 03:36

ねむりこひめさま  切ない……です

こんばんは。

始めまして(ここでは^^)
あぁ・・・それなのに、お返事遅くなってスミマセン☆⌒(σゝω・)σゴメンネ

硝子細工のように繊細!
書き手そのものです!!
(伏せます・・・時々こういう事を言うと色々飛んで来るもので^m^)

基本ハピエンなので、そこに向かって頑張ります!

コメントありがとうございました(#^.^#)

Edit | Reply | 

jun  2011, 01. 22 [Sat] 10:30

馨君、酔って片思いのあえぎで
滝沢さんに童貞捧げちゃった。
滝沢さんも同じ想いだっつたんだから、
寂しい二人、結ばれるのも仕方ないですね。
でもこれから三角関係になるのかな?
期待してます。

Edit | Reply | 

kikyou  2011, 01. 23 [Sun] 00:12

junさま

あ、先のリコメ、タイトルにお名前を入れ忘れてしまいました。
ごめんなさい^^;

三角関係は避けたい所ですが
太陽には知られたくはない・・・

滝沢の出方がどうなるか?ですね。

冬企画のssのつもりが・・・5話くらいでまとめるつもりなのですが・・?

コメントありがとうございました。

Edit | Reply | 

WHAT'S NEW?