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この世の果てで 2

 04, 2010 17:46
「見ーつけた」と言う瀬田の背後に立ち
「どの子ですか?」と聞くと
「286番」一言だけ返って来た。

300人中286番・・・書類審査を勝ち抜いた者の面接番号は
上位から順に付けてあった。
書類審査を優秀な成績で合格した方ではない。

番号の大きい方から5人づつ3人の面接官の前に座っている。
286番の男は今3番面接会場で面接中だった。

「あー286番至急社長室まで」
突然瀬田がマイクを使って指示を出した。
「そ・そんな面接中にあなたは何をやってるんですかっ!」
驚いて咎めるような口調になった狭山に
「ほら、ぼやぼやしてないで部屋に戻るぞ」

瀬田は手に持った300枚のコピーを狭山の胸を軽く叩くように押し付けた。
「いきなり社長室ですか!」
全く何を考えているのか・・・・


自社ビル最上階の社長室の椅子に座り、入り口に背を向け高層階から
見える風景を見ている瀬田の口元はさっきから緩みっぱなしだった。

暫くすると案内の女子社員に連れられて286番の男が社長室の扉の前に立っていた。
連れて来た女子社員は内心何か余程社長の逆鱗に触れるような事を
面接で口にしたのでは?と思っていた。

どうみてもファッション関係のこの会社に相応しい外見ではない。
野暮ったい黒縁の眼鏡に、量販店で購入したような就活スーツ
「まぁ気を落とさないで頑張ってね」
そう言うと社長室の重厚な扉をノックした。

「286番の方をお連れしました」
名前を覚える必要も感じなかったその女子社員は番号で呼び中に声を掛けた。


「入りなさい」

その声に何が何だか判らないまま、その重い扉を開けたのだった。



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