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お菓子な気持ち 5

 07, 2011 00:00
「ひがぁ……」
 この情けない顔からは、昼間の凛々しさは全く想像出来ない。古狸共を黙らせ、社長にまで指示した青年が今ベッドの中で、比嘉の指に翻弄され震えている。
 まさにギャップ萌えというのだろうか?などと少々意識を違う所に飛ばしていたら、「ひゃっ!ああーん」と言う嬌声に現実に引き戻された。どうやら中の良い所を掠めたらしい。

「ここ気持ちいいですか?」
「比嘉って慣れてるんだね……」(……意外としっかり観察している)
「このくらいは常識として持ち合わせております」と苦しい言い訳をする。
「フェ……フェラも上手だし、本当は比嘉も真正のゲイなんじゃないの?」
 生意気な真琴の前立腺を今度は意思を持って強く擦ってやった。

「やぁあーーん」四つん這いになった背中が弓を引くように撓った。
「少しは集中して下さい」叱責するように言うと珍しく「……はい」と小さな返事が返って来た。
 真琴の小振りの尻が小刻みに震えている。
「もしかして怖いんですか?」
 意外な発見をした気分で比嘉は真琴の顔を覗き込んだ。

「当たり前じゃん、僕……お尻に指なんて挿れられるのって初めてなんだよ」
「本当に初めてだったんですね……」
「酷い……僕嘘吐かないもん」
「いや……その機会が全く無かったはずは無いと思っていましたからね」

「だから、好きな人じゃないとイヤだって言った」
 少し怒ったような声で真琴が言うので「じゃやっぱり止めましょうか?」と比嘉は挿入した指を抜こうとした。やはりロストバージンは好きな男とやらせてやりたいと仏心を出してしまった。

「イヤ止めないで……抜かないで、比嘉の事好きだから」
「会って間もないのに?」
 結局引き抜かなかった指を中でゆっくり動かしながら比嘉が聞く。
「僕は、ずっと前から比嘉の事知っていたんだもん」
「え……っ?」
「比嘉の事ヘッドハンティングしたのは、僕だもん」


「だって……?」
 流石の比嘉も時間軸が直ぐに頭に入って来なかった。
「僕がアメリカに行く前に比嘉を見染めたの、あぁぁ……」

 当時比嘉は突然のヘッドハンティングが異業種だった事に少し首を捻ったが、社長秘書という仕事にはあまり影響が無い事と、条件の良さに惹かれたのだ。
 信じられないような条件は履行され続け、比嘉は現在何の不満も無かった。

 最近不満があったとしたら、この社長代理の子守り……というか性欲処理だった。まぁ元々ゲイの自分には苦行では無い事は確かだったが。
 だがもし自分が抱かれる側だったら即座に辞表を書いていたに違いない。幸か不幸か、真琴は精神年齢を除けばストライクに近い部類だった。

「もしかして私は貴方の手の平で踊らされていたのでしょうか?」
 比嘉はすこぶる機嫌の悪い声でそう聞いたが、真琴の中から指を抜く事はしなかった。この締まり具合は後を引く。
「違う……そんなつもりは無いよ。ただ……」
「ただ?続きは?」
 媚薬の入ったローションと、時々擦られる前立腺からの刺激で真琴の体はとろとろに蕩けていた。

 いくら初めてとはいえ、ここまで刺激を与えられたらもっと強い刺激を真琴の体は待ちわびているだろう、と思いながらも比嘉はそれ以上の刺激を与えようとはしなかった。

「ひがぁ……」
 遠慮がちに真琴が腰を動かしている。それは何を意味するかなど比嘉には分かりきっていたが真琴の言葉を待った。
「僕が……アメリカに行っている間に……あぁぁ……」
 途中で真琴は息継ぎのように甘い吐息を漏らしてから言葉を続けた。
「僕が日本にいない間に……比嘉を誰かに取られないようにって思って……はぁっ」

(全て計画通りって事か……)
 比嘉は内心怒りを感じながらも、真琴の事を何故か憎めなかった。
「もしかして社長の入院騒動も?」
「う・うん……」
「はぁっ……」比嘉は大きなため息を吐いた。

 ふっと比嘉は考えた、真琴がアメリカで危ない事をしていても貞操を守って来れた事を……
「もしかしてトムって?」
「うん……僕のボディガード」
 これ程性欲の強い体を持って、何事も無かった理由も納得出来た。
 真琴のような少年に見える金持ちがボディガードも付けずに生活をするのは危険だ。そこまで見抜けなかった自分の愚かさに苦笑しながら最後の質問をした。

「それは私とこうなりたい為だけで?」と。
「……そうだよぉ、僕は比嘉にこうして欲しかったんだよ、ずっと……初めて比嘉を見た時から」
 中途半端に与えられた刺激がもどかしくて堪らないような声で真琴が答えた。その答えを聞いて比嘉はゆっくり指を引き抜いた。

「比嘉……お・怒ったの?」
 今にも泣き出しそうな顔で真琴が聞いて来た。
「真琴さん」
「うん……」
「覚悟して下さいよ」
「ん?」ぽろっと真琴の頬を涙が伝った。

「これから私は貴方を抱きますから、覚悟して」
(参った、降参だ)比嘉はニヒルな笑顔を真琴に向けてから、ゆっくりと着ている服を脱ぎ出した。


 真琴は蕩けるような目で比嘉の一挙一動を見つめていた。
「比嘉ぁ色っぽい……」
 そんな真琴に返事をする事も無く、比嘉はっゆっくりと衣服を剥いで行く。最後の1枚に指を掛けた時に、流石に真琴は顔を逸らすだろうと思ってちらっと見ると一層目を輝かせていた。

「はぁ……貴方には恥じらいってものは無いのですか?」溜息混じりに聞いても「早くぅ全部脱いで」と強請るだけだった。
 今までの行為と真琴の熱い視線で多少高揚している下半身を晒すのも、少々躊躇いはあったものの、ここで自分が恥じらうのも逆にどうよ?と思い一気に脱ぎ捨てた。

「あぁ比嘉の……」
 人の寝起きを襲い咥えた事もある真琴なのに、初めて見るような顔で声を詰まらせていた。
「欲しいですか?これが」
 焦らすような比嘉の言葉に真琴は固唾を飲んでからこくんと頷いた。
「ずっと欲しかった」
 珍しく素直……いやいつも本音しか言わないのだ真琴は。
 それが長い間自分を騙していたか、と違う意味で感心もしてしまう。

 比嘉は真琴の足の間に膝立ちし「いつからですか?いつからそんな厭らしい目で私の事を見ていたのですか?」と聞いてみた。
「ジムのプールで初めて比嘉を見た時から」
「会員制のあのジムですか?」
 比嘉は体力作りの為に当時の会社の近くにあったジムに通っていた事があった。考えてみたらあのジムは社長の自宅からは近い、当時大学生だった真琴も通っていても不思議な事ではなかった。

「私と会いましたか?あそこで」
 そう聞きながら比嘉は当時の記憶を思い起こしてみた。
 記憶の良さには自信はある―――100倍速くらいで巻き戻した記憶の中に一人の中学生が出て来た。

 比嘉が泳いでいると近くで水遊びをしていた…………ように思えた。
「あの中学生でしたか?」
「酷い……大学生だったのに」
「あ、失礼」
 考えてみると24歳の今でも高校生に見える真琴なのだ、大学生当時が中学生に見えても全くおかしくは無い筈だ。

 比嘉は、その少年の視線が時々自分の下半身に注がれていたのは覚えていた。
「あの頃からそういう意味で見ていたんですか?此処を」
 比嘉は自分の一物に手を添えて真琴を揶揄した。
「ねぇもう昔話はいいから、早く……」
 媚薬の混ざったローションは、真琴を萎えさせる事なく効果を発揮しているようだ。




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雷鳴10 完結です◇

珈琲タイム更新しました。

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