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お菓子な気持ち 4

 06, 2011 00:00
 明日から出勤するという夜まで真琴は比嘉にフェラを強請った。
 比嘉はきっちりと真琴を達かせてくれるが、真琴の中には何故か物足りないという気持ちがあった。だがそれを比嘉に告げるつもりは無い。あの風呂場でのように後ろを弄られたら堪ったもんじゃないと思いながらも、あの気持ち良さを忘れられないでいるのも確かなのだ。

 ホテルに篭った3日の間真琴は、ノートパソコンと携帯電話を離さなかった。お菓子柄のパジャマを着ている時とは別人のような顔で色々と指示をしていた。急に辞めて来たアメリカの会社からひっきりなしに電話が掛かってくるのだ。

 そして翌朝、比嘉は初めて真琴のスーツ姿を見た。一瞬見惚れた。
「……真琴さん」
「どうせ七五三って言いたいんでしょう?」
「えっ、あ……まぁ……」

 本人は童顔を気にして拗ねたような事を言っている、比嘉も見るまではそう予想していたのだ。だが目の前に現れたのは中世ヨーロッパの貴公子を思わせるような姿の真琴だった。
 持って生まれた気品は幼く見える真琴を高貴なものに塗り替えていた。

 身長だって比嘉と並ぶと小柄に見えるが172・3㎝だろうか?決して小柄という訳ではないのだ。そして何よりも微笑む口元に妙な色気がある。
(新宿には足を向けないように言っておこう)比嘉は内心そんな事を考えていた、こんな真琴が二丁目なんかに行ったら無事では済まないだろう。
 本人が望まない関係も強いられるかもしれない、真琴には早く相手を見つけろと言っておきながら比嘉はその機会を絶とうとしていた。

「今日の予定は?」
 真琴の口から上に立つ者らしい言葉が出てきた。
「はい、9時から役員会議で、真琴さんのお披露目をします。会議は2時間程ですので終わったら昼食を摂り、午後からは社長の面会に病院に行ってもらいます」
「役員会議に2時間も?」
 すべすべの眉間に皺を寄せ真琴が聞いて来た。

「はい、これが資料です」
 比嘉が今日の役員会議の資料を渡すと、真琴はぱらぱらと捲り目を通す。
「こんな内容なら40分で充分。会議が終わったら午前中に病院に顔を出して、午後からは主要取引先を5件回ります」
「ですが、急に言われても相手の都合もありますので」と比嘉が口を挿むと「別に相手の責任者が同席する必要はありません、社員の顔を見れば上に立つ者の顔も自ずと見えてくるものです」
「はい、畏まりました」比嘉も真琴の指示に秘書の顔に切り替えた。


 結局真琴は、手ぐすねを引いて待っていた役員達をぐうの音も出ない程にやり込め、揚句の果てには「名ばかりの役員はここには必要ありません、皆さんの仕事ぶりは調べさせて頂きますのでご理解下さい」とさらりと言い捨て会議室を後にした。

 その足で父親の入院している病院に見舞いに行き、先に院長を訪ね病状を把握してから病室に向かった。真琴の無駄のない動きを比嘉は感心して見ていた。
「会社の経営に乗り出そうと思いますので、父さんも病院でのんびりするのは止めて下さい。ついでに健康診断してもらうように院長に話をしておきましたから、逃げないできちんと検査を受けてから退院して下さいよ。まったく今まで検査もせずにただ入院していただなんて、本当に他の患者さんに迷惑な話です」

 父親までもやり込め、その後真琴は取引先を回り夕方5時過ぎにはホテルに戻った。
 スーツを脱ぎ捨てネクタイを外すと「あぁぁ疲れたぁ、比嘉ぁお風呂に連れて行ってぇ」と比嘉の良く知る顔に戻る。
 スーツ姿とは全くの別人である今の真琴に溜息を吐きながら、比嘉はバスタブに湯を張った。
「私は自宅に戻ります、朝8時に迎えに上がります」
 比嘉がそう言うと瞳を潤ませながら、一緒に風呂に入らないのかと聞いて来る。

「私はこれから知人と会う予定がありますので」
 比嘉が冷たく突き放すと、知人に興味を持った真琴がしつこく男か女か、恋人か友達か?などと聞いて来る。
「恋人でも普通の友達でもありません、単なるセフレです」
「セフレ……?」
 青年期をアメリカで過ごしている真琴には聞いた事の無い言葉だった。
「sex friendの事です」
 比嘉の突き放した態度など全く気にならないように、真琴は驚き今度は男か女か聞いて来た。どっちと答えても面倒そうだったので比嘉は諦めて「男です」と言い捨てた。
 だが真琴はそこで引き下がらず一層興味を持ったように「見学させて!」などと、とんでも無い事を提案してきた。

「見学?」
「うん、男同志のsexを見てみたい」
「見たければそういうDVDでも用意しますが?」
 比嘉は、まさか人が見ている前で男を抱くつもりもそんな趣味もなかった。
「いやだ、比嘉のsexが見たい」

 我儘な子供みたいにお強請りをする真琴に閉口してしまう。
「ねぇ、そのセフレさんに聞いてみてよ」などと言われ即座に却下した。
 今夜会う予定のミチルなら喜んで「カモーン」と言いそうなタイプだったから、そんな事は間違っても聞ける訳がない。

「じゃあいいや、僕お風呂に入るからもう帰っていいよ」
 掌を返したように真琴はそう言うと浴室に向かった。
「では失礼します」
 肩すかしを食らったような気分で比嘉は、ホテルの部屋を後にして自宅に向かった。



 今比嘉の目の前に一糸纏わぬ姿で真琴が横たわっていた。

 何故こんな事になったかと言うと……
 一度は真琴と別れ自分のマンションに戻って風呂に入り、出かけようとした矢先に真琴からの電話を受けた。イヤな予感がしたが大事な用件かもしれない、と思うと電話に出ない訳にもいかなかった。

「比嘉ぁ……もうだめっ……」
 真琴はそれだけ言うと電話を切り、比嘉が掛け直しても電話に出る事は無かった。内心舌打ちしながらも放置しておく事も出来ずに比嘉はホテルに戻った。


 部屋に入ると真琴は既にベッドの中に入っていたのだ。
「いかがされました?」
「比嘉があんな事言うから……僕ネットで検索して見ていたら……」
「見ていたら?」
 その先は真琴の様子を見れば、聞かなくても判ったが聞かせてもらおうじゃないか!という思いで言葉を続けた。前回に引き続き今回も比嘉はデートし損なったのだ、それくらいの権利はあると思った。

「あんなの見たら……一度自分で出しただけじゃ治まらなくて……」
「分かりました……」
 比嘉は溜息を吐きながらそう言った。比嘉の言葉を聞いて真琴の顔がぱっと輝いた。昼間のスーツ姿とは全くの別人だ。もしかしたら別人かもしれない?などと比嘉らしからぬ事を思い「真琴さんは双子ではありませんよね?」とつい聞いてしまった。
「ええっ?双子だったら苦労しないよ……」
 その苦労しない意味は聞かないでおこう、と比嘉はまたも溜息を吐いた。

「真琴さん、中途半端だから満足感を得られないのですよ、この際きちんとSexされたら如何ですか?」
「ええっ?僕が挿れられちゃうの?」
「ま、そういう事になりますね……」
 比嘉は真琴が挿れる側のSexなど想像もつかなかった。

「誰が挿れてくれるの?比嘉がしてくれる?」
「初めては好きな人と、と決めておられたんじゃないのですか?」
「だって今特に好きな人いないし……比嘉だったらいいよ」
 
「比嘉は僕とエッチ出来る?」
「…………さあどうでしょう?真琴さん次第ですね」
 比嘉は本当はすっかりその気になっていたが、ここで簡単に真琴の言う事を聞いてしまう事に抵抗を感じていた。言う事が何でも通ると思われたら今後困るのは比嘉の方なのだ。

「僕次第って?」
「真琴さんが私をその気にさせる事が出来たら」
 比嘉の言葉に真琴は掛けていた毛布を捲った。
「これじゃダメ?」
 可愛らしい顔でベッドの中から比嘉を見上げるその躰は一糸纏っていなかったのだ。

「何でもう勃っているのですか?」
 完全とはいえないが、真琴のそれはもう半分ほど力を付けていたのだ。
「……だって、比嘉の顔みていたら……その、条件反射みたいな……」
「条件反射って……」
 言われてみれば、毎日真琴の望み通りに吐精させていたのは自分だ。だからと言って人をエロビデオみたいに言わないで欲しい……

 比嘉はもう一度真琴の裸体に視線を這わせた。比嘉本人は気づかなかったが『舐めるような視線』というのはこういう視線だと誰かが見たら思うだろう。
 24歳という若い肌は肌理細かくまるでパールのように光り輝いていた。

「そ・そんなに見るから……躰が熱くなって来た」
 実際真琴の白い肌が薄紅色に染まりつつあった。
「それで誘っているつもりですか?」
「う……ん、じゃあこれでいい?」
 と真琴は大胆にも仰向けになったまま、少し開いた両膝を立てた。

 ここまでされて据え膳喰わぬも男の恥……
「真琴さんローションとか持ってますか?」
 生憎比嘉はローションまで持ち歩く趣味はなかった。
「うん、あるよ……トムに餞別にもらったのが、そこの豹柄のポーチに入っている」
 真琴の視線の先を見ると色鮮やかなショキングピンクの豹柄のポーチがあった。
「開けてもいいですか?」
 比嘉は断ってからポーチを開けて見て驚いた。

「何で……こんなに沢山?」
「何だか色で微妙に成分が違うんだって……」
 ポーチの中には5本のローションが入っていた。5本というか5色……
「白が普通ので、赤いのが熱くなるんだって……ラベンダー色が癒し効果?青いのはすっとするらしい。で……紫のが……淫乱になるんだって……」

「媚薬入りってところでしょうかね?初めてという事ですから、これにしますか……」
「ぼ・僕……淫乱になっちゃうの?」
(いやもう充分に淫乱ですから……)比嘉は心の中だけで毒づいてから紫のボトルを手にした。

「あぁ……ん、何だか見られているだけで僕……気持ちいいかも?」
 真琴はそう言うと完全に勃ち上がった自分のペニスに手を伸ばそうたした。
「誘っている以上勝手に達ったら駄目ですよ?」
「あぁ……ん、だめなの?」
 比嘉の言葉に真琴は拗ねたような顔をして伸ばした手を引っ込めた。

 この日が性に開放的だった真琴が初めて我慢した記念すべき日となった。



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雷鳴9 ラスト1話前です。

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