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【それぞれのクリスマス】大地からの贈り物

 26, 2010 06:20
木崎海(きざきかい)は自分の部屋のベッドに寝転がり、
昨夜大地から貰ったクリスマスプレゼントを眺めにやにやしていた。
1枚の封筒・・それだけが大地が二人に贈ったクリスマスプレゼントだった。

「ごめん、だってどうしてもあのコート欲しかったんだもん」
プレゼントを買う予定の金で自分のコートを買った大地はそう言い訳した。
空からは革の財布と、海からはブーツを貰っておきながら、
大地が用意したのは幼稚園児なみの物だった。

「はあ?何だよこれ!風呂掃除券?」
封筒の中からは5枚の手作りチケットが出てきて、海は呆れて少し大きな声を出してしまった。
「怒らないでよ・・・気持ちこめてるんだから」
空も海もマジ呆れながら、封筒の中身を確認していた。

空のチケットは「買い物行きます券」2枚と「部屋の掃除します券」2枚
海には「風呂掃除券」2枚と空と同じく「部屋の掃除します券」2枚
そして最後の1枚は2人とも1枚づつ「何でも言う事聞きます券」が入っていたのだ。

家の中の事は空がメインで取り仕切っているが、実際は分担制になっていた。
風呂掃除も交代だし、もし遅くなって代わりに他の者がやっても
必ずそれは自分にも返ってくるわけで、「風呂掃除券」は無条件で掃除をしてもらえるって事で、それはそれで有難かった。
空も同じように思っているだろうが、空の部屋はいつもきちんと片付いていた。
部屋の掃除券など不要に思えるが、空は文句を言わずに「有難う」と受け取っていた。

そして一晩過ぎて、その券を海はじっと見ている。
『何でも言う事を聞くんだよな・・・』きっとこれを作った本人は、
掃除や買い物と同様のことを思いつかずに、こういう何でも代用出来る券にしたのだろう。
「アホな奴」海は言葉に出して大地を笑った。

何でも言う事を聞くというのは・・・つまりそういう事だ、何でもだ。
きっと空も同じ事を考えてるだろう、と海は思った。
いや頭のいい空のことだ自分以上の事に利用するつもりかもしれない。
空がどんな使い方するか見てから使おうかな?と内心計画している海だった。


「空~残ったケーキ食べていい?」
大地の声が台所から聞こえてきたので海もその声に釣られて部屋を出て行った。
すると甘い物が大好きな大地が昨夜食べ切れなかったケーキの箱をもう冷蔵庫から取り出していた。
「紅茶淹れてやろうか?」
「・・・海が優しいと何だか不気味だ・・」
「馬鹿言え俺はいつも優しいから」
「じゃ俺の分も淹れてもらおうかな、俺は珈琲がいいけど」
空も自分の部屋から出てきてちゃっかり大地に便乗している。

結局みんな珈琲に落ち着き、残りのケーキを食べながら夕飯の相談をした。
折角のクリスマスに誰も出かけなかったようだ。
大地の恋人は俺と空なのだから、勝手な行動をしてもらっても心配するだけだから、
こういうイベントの時には一緒に居て欲しい。
ま、空が邪魔だけど・・・でもそれはお互い様だろうと思って受け入れるしかない。
なんたって俺たちは3人で付き合っているんだから・・・

いつか大地がどちらか一人を選ぶ日が来るかもしれない、
もしかしたら2人とも振られて違う奴に走るかもしれない・・・
先の事は誰にも判らないけど俺たちは大地と一緒にずっと居るって決めてたから・・・

「大地、あのプレゼントのチケット使っていいか?」
「うん、いいよ・・・」少し恥ずかしそうに返事をするのは、
あの幼稚園児が贈るような物をあげてしまったという大人としての羞恥だろうと思われた。
「何を?風呂掃除俺やる?」
今日は海の当番の日だ、そう思い出して大地が聞いた。

「いや、風呂掃除は別の日に頼む・・・使うのは別のだ」
「え・・っと、何すればいいの?俺」
「別に何も・・・強いて言えば黙って俺にされてろって事だ」
「え・・・?」
つい空の顔を見ると、空は知らん顔でただニヤケていた。

『くそっ本当は空の使い方を見てから使いたかったのに・・・』
考えてみれば又明日から忘年会の日々・・・海には今夜しかチャンスが無かった。
期間限定じゃないから正月でも良いのだろうけど、実家に帰ったりしているうちに機会を逃しても勿体無い、善は急げ!だ。

「だから今夜は風呂で綺麗にしてこいよ、姫」
「ひ・・・」海が大地の事を姫と呼ぶ時は決まっている。

「ふ・ふざけんなよっ!そんな事に使うんじゃないから・・」
「だって何でも言う事を聞くんだろ?」と嬉しそうな顔の海と
「お前はアホだろう?」という空。
「まさか・・空まで?」空は違うだろうという目で見るが
「俺は・・そうだな年末辺りに使わせてもらおうかな?」
「ウッソ・・・」
まさか二人とも大地の考えと違う事で使うとは思いもよらなかった。

「さて晩飯何にするかな?」惚けた事を言いながら空は立ち上がった。
「俺も風呂掃除~」楽しそうに海も風呂場に消える。
「・・・」ひとり取り残され固まった大地はどうやって逃げ出すか考えていた。

「逃げても無駄だからな」振り返り海が念を押す。
大地はテーブルの上に頬を乗せため息を吐いた。
別に空や海に何かされるのがイヤな訳じゃない・・
いや抱かれるのは好きな方のような気もする。

いつも二人に甘やかされ大地の好きなようしてもらっている。
主導権を海に握られたままの夜が少し怖いような、面倒のような・・・
そしてまた追加で一つため息を吐いた。
空が大地の頭をくしゃくしゃっと撫でて傍を通り過ぎた。

これまで空の優しさと、海の明るさに支えられてきたような気がする。
「だがこれは別問題だっ!」そう言うと大地は立ち上がって風呂掃除をする海の元に行った。
「ねぇ海・・・普通のだよね?」
「え、普通じゃないのがいいのか?」
「ち・違うっ・・・」
「安心しろ、普通のじゃないから」
そう言うと海は邪魔だと言って大地を風呂の外に押しやった。
「ええーーっ!海ぃ・・・」

風呂掃除を終えて海が扉を開けると、大地がマットの上で体育座りしていた。
「おっ、まだ居たのか?」
「だって・・」
「大丈夫だって、俺が姫のいやがる事したか?」
そうだけど・・・姫って呼ぶ辺りがもう戦闘モードなのだ・・


――――そしてその夜海のベッドの上で神妙な面持ちで座る大地がいた。
「大地・・・何か緊張するな・・初めての夜みたいだな」
「馬鹿海・・そんな事言ったら俺だって緊張するだろ」
実際何されるか判らない大地は胸がドキドキと鳴っていた。

「姫・・」
海に突然手を引かれてベッドに仰向けに倒れ込んだ。
覆い被さるように、それでも大地に体重をかけずに海が大地に顔を近づけてきた。
「あ・・海」海の行為は言葉とは裏腹にいつも丁寧なのだ。
優しく唇を舐められた後ゆっくりと舌が忍び込んでくるのだ。
体育会系の逞しい体躯からは想像できないような繊細な動きをする舌に大地はいつも翻弄されてしまう。

そんな海に1枚1枚と衣服が剥ぎ取られ、大地は素肌を海の前に晒した。
「あん・・海くすぐったい」
大地の小さな尖りが海の唇の中で存在を大きくしていく。
「あぁぁっ」
「姫はここを甘く噛まれるのが好きだなぁ」
傷つけないように歯を立てられ、それだけで大地は息があがってしまう。
かりっと噛まれる度にビクンと体が撓ってしまうのは大地にも止められない事だった。

「海、いやだそこばっかり・・・あん・・」
大地が弱いのを知っていて、海は噛んだり吸ったりと時間をかけている。
唇と指で堪能した後、その体は下へ向かって下がり始めた。
「姫、どうして欲しい?」
大地のふるふると震えながら先走りを零すペニスに、息が掛かるほど近くに来ていてそんな事を聞いてくる。

「あぁぁ・・海・・意地悪だ・・」
「腰が動いてるぞ」楽しそうな声に大地は自分で手を伸ばそうとした。
触ってくれないのなら自分で触るしかない・・・
「駄目だ、触ったらその手を縛るぞ」海に脅かされ大地はその手を引っ込めた。

海は手を添える事なく舌を尖らせ、大地の小さな穴に捩じ込もうとした。
「やぁ―っそれヤダッ」
「俺調べたんだぞ、ここも気持ちいいはずだから・・」
「やだ・・」

「なあここにカテーテル入れていい?」
「えっ?何カテーテルって」
大地がそう聞くと、海はごそごそっと何かを取り出した、見ると細長いゴム状の棒みたいな物だった。
用途が判らない大地は固まったまま、「え・・何それ?」と呟いた。
「これを姫の尿道に入れたい」
「イヤだ馬鹿!ふざけるなっ!そんなの入れたら痛いに決まってる」
大地は恐ろしくなって一気に立ち上がった物も萎えてしまっている。

「じゃこれは?」
次に取り出したのはくねった変な形のものだった。
「な・なんだよ・・それっ?」大地は後ずさりしながら又聞いた。
「これはエネマグラって言って前立腺を刺激するやつだ」
偉そうに説明する海に空いた口が塞がらない・・・

「何でそんな変な物ばっかり持ってるんだよっ?!」
「あ、まだあるぞ・・・」
そう言って海は男根の形の性具やらローターやらを取り出した。
「し・信じられない・・この変態海!お前なんか嫌いだ」
そう言うとさっき脱がされたばかりの衣服を身に着けた。
「おい、姫約束が違うよ・・・」
ちょっとばかりやり過ぎたかな?と思いながらもどれか一つ位は使わせてもらおうと海が慌てた。

「海とは暫く口を聞くつもりないから」
そう大地は言い捨てると、部屋から逃げ出した。
自分の部屋に戻り鍵を掛け海が追ってこれないようにした。

「海の馬鹿っ」
海が持っていた大量の性具に自分をそういう目だけで見ているのか・・と悲しくなる大地だった。
そして大地に逃げられ呆然とする海の部屋を空が開けて入ってきた。
「お前馬鹿じゃん、もっと上手くやらないと逃げられるの当たり前じゃないか」
空も呆れたように言った。
「だって、大地を早く気持ち良くさせてやりたかったんだよ・・・」
全くもって不器用な海に空も同情してしまうが、やっぱ海はアホだと思った。

そして空はその足で大地の部屋をノックした。
「空だけど、入れてくれないか?」
「・・・・」暫くすると中から鍵を開ける音がして大地が顔を覗かせた。
「ちょっといい?」
「空ぁ~海が・・・酷いんだ、俺の事そう言う目でしか見てない」
空には何故か甘えられる大地なのだ。
「そんな事ないぞ、海は大地の事しか考えてないよ、ただ不器用なだけだから」

大地の目が潤んでいる・・・だけどそれは泣いただけじゃない事は空には判っていた。
「今日はもう寝ろよ、寝るまで一緒にいてやるから」
「う・うん・・・空・・」何となく大地も煮え切らない態度だ。
「中途半端なんだろ?」
「うん・・・・」さすがに恥ずかしそうな顔で大地は答える。
「海に悪いから手だけな」そう言うと空は大地のベッドに潜り込んだ。

結局空に手と口でイカさせてもらい幸せそうに眠る大地を見て
『どんだけこいつに甘いんだろう?』と自身呆れてしまう空だった。
空もさっき大地を怒らせてしまった海もとどのつまりは大地の幸せしか考えていないのだ。
大地が幸せならば自分らも幸せだし、これは小さい時からの習性のようなものだった。
大地が泣くと二人とも辛かった。

もう自分はあの頃の子供じゃない、一緒に泣いてやるだけの子供の頃はとうの昔に卒業したのだ。
今は手を差し伸べる事も背中を押す事も覚えた、そして時には叱咤する事さえも・・・

「ううん・・・そらぁ・・かいぃ・・」
口元を緩め幸せそうな寝言に空も笑みが零れる。

「大地寝たのか?」そっとドアが開き海が顔を覗かせた。
「ああ、今そっちに連れて行くからベッド用意して」小さな声で海に言った。
この家で3人で寝れるようなベッドは海のベッドだけだ。
何となく今夜は3人で寝たい気分だった。
朝目覚めて大地は怒るかもしれないが・・・
いや大地の事だ何事も無かったように甘えてくるだろう。

そして大地を真ん中に大地に抱きつくように3人で眠りについた。
海は『あのチケット約束履行されなかったんだから、まだ有効だよな・・』
空は『さて、海のような失敗をしないように上手く使わせてもらうぞ・・』
二人は腹の中でそんな事を考えながらも、いつしか大地と同じように深い眠りに落ちて行った。


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すみません、4つめです。
予定が大幅に狂ってしまってますが、あと一つ・・・
まだ私のクリスマスは終わっていません^^;

遅くなって本当に申し訳ないです!


そして更に、コメントのお返事遅くなってしまってます、
これを書き上げたらもうこんな時間で・・・
少し寝てから・・・・すみません、よろしくお願いします。

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COMMENT - 8

tukiyo  2010, 12. 26 [Sun] 10:31

ふたりのプレゼント代で自分のものを買ってしまうとこが
大地の可愛いとこですね~。
kikyouさんちの受けちゃんの中では少しタイプが違う大地の
こういうとこもこれまたたまらんです。

Edit | Reply | 

ちこ  2010, 12. 26 [Sun] 17:11

二人へのプレゼント代で自分の欲しい物買ってしまう大地くん、可愛い(^O^)そして幼稚園児並なプレゼントを思いつき実行してしまう行動力、指摘されてもどこ吹く風な彼が愛しいです(笑)しかもナイスな券を作り墓穴を掘ってしまう。一生二人に可愛がられてぽよぽよしたままでいて欲しいです(笑)クリスマス企画もラストスパートですね~頑張ってくださいねっ!

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purple  2010, 12. 27 [Mon] 00:34

大地……ってば、カ●オくんかよ?!
やっぱり空はいいな……ちっ大地羨ましいよと、思うが、
大地は、可愛いから、仕方がないよね。
この先、大地がどんな社会人になるかと考えると、心配と興味がつきません(笑)

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kikyou  2010, 12. 27 [Mon] 17:05

tukiyo さま

こんばんは。

大地・・・・本当に遥とは違う意味アホっ子ですねぇ(笑)
相手が2人だもの、ちょっとやそっとでは歯が立ちません。

そして、まだ空のチケットが残っていますねぇ・・・

空のことなので、海のような失敗なく上手く大地を丸め込めそうです^^

コメントいつもありがとうございます。

Edit | Reply | 

kikyou  2010, 12. 27 [Mon] 17:43

ちこさま

こんばんは。

笑ってしまうくらいマヌケな大地です。
浅はかな考えを自分では名案と思っているのですから(笑)

おっしゃる通り見事に墓穴を掘ってしまいました。
でも海も似たようなもの・・・同じく墓穴を・・・
やっぱここは空しかいませんねぇ。
策略家ですから、どんな事をさせるのか?

そのうち書ければいいと思っています。

コメントありがとうございました。

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kikyou  2010, 12. 27 [Mon] 17:48

purple さま

こんばんは。

大地・・・詰めが甘いですねぇ。
そして海も甘い・・・
大地に拒否されたらそれ以上出来ないし、先に確認とるなよっ!って感じですね。

その点、空は怖いよ~
失敗は先に海がやってくれてるから、自分は楽です。
さてどんな手を使おうかと目論んでいるはずです(笑)

読んで下さってありがとうございました。

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紫猫  2010, 12. 30 [Thu] 22:04

あははっ海も空も相変わらず大地に甘やかしていますねw
でも大地が可愛いからしょうがない事なんですよねww
彼らの数年後なんて想像ができません…3人でずっといることしか思い当たらないです
可愛い大地君と幸せそうな海と空と大地を読んでいて私も幸せになりました~ありがとうございます^^

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kikyou  2010, 12. 31 [Fri] 23:01

紫猫 さま

こんばんは。

空も海も甘いですねぇ。
自分の欲を押し付けているようで、結局は大地の事を一番に考えている。
捨てられた日の大地を知ってるから・・・
逆にあの日がトラウマなのは、空と海なのかもしれません・・

3人を読んで幸せな気分になって下さって、
こちらこそ有難う御座いました\(^o^)/

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