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通りすがりの男(駄文をひとつ・・)

 12, 2010 00:53
これは5月に独り言の方に掲載した話です。
全く単独の流れなのですが、今回ママチャリで思い出し貼ってみました。

時期設定はまだ学生の紫苑です。

駄文で申し訳ないです!以前に読んで下さった方もおられるかと・・・



「通りすがりの男」

俺は今朝から寝不足の為か、それとも欲求不満か?
自分で言うのも何だがすこぶる機嫌が悪かった。
初夏にしては爽やか過ぎる程の空も何故だか苛々した。
多分、雨だったらもっと苛々するのだろうが・・・・

とりあえず腹に何か入れよう。
腹が減っているのも、気分が優れない理由の一つだろう。
商店街の方に行けば、蕎麦やとかバーガー屋、コンビニがある。
何を喰うか決めないでぶらぶらと足を進めていた。

10日振りだろうか?朝からゆっくり休めるのは。
ゆっくり寝ていたい気持ちもあるが、そんな事をしたら折角の休みが
寝てるだけで終わってしまう、それも勿体無い。
それでも10時までは寝ていた。
それから珈琲を飲もうとしたが、豆が無い。

不精な割りには珈琲だけは豆を買ってきて、自分で挽いている。

「そうだ、豆」そう口にして、俺が向きを変えたその時
キキーッ自転車のブレーキを掛ける音がして
自転車が大きく傾き、前と後ろのカゴから品物が飛び出した。

「ばかやろーっ!何処見てんだぁ!」
自分の不注意は棚に上げて怒鳴った。
多分下に敷いて割れないようにと一番上に置かれたのだろう玉子のパックが
飛び出し俺の足元に落ちている。
「す・すみません・・・」
若そうな声に少し良心が芽生え、その玉子を拾い上げた。

多分2・3個は割れているだろう・・白身が出て来ていた。
「ほらよっ、気をつけろよ」強気でそう言いながら、玉子のパックを差し出す。
「すみません・・・お怪我はありませんか?」
顔を上げそう言った、少女・・いや少年・・・?・・・青年?の顔を見た瞬間
拾い上げ手にしていた玉子のパックを又落とした。

「あっ!」「あっ!」同時に言葉を発した。

「あーっ悪い!」咄嗟に謝るが、その青年?は
全く気にした様子ではなく「いえ、僕の方こそ・・・すみませんでした」
「大家族なのか?」つい買い物の量の多さに突拍子も無い事を聞いてしまった。
その青年は鳩が豆鉄砲食らったような顔で一瞬フリーズした後に
「あはははは・・・・」と小気味良く笑い出した。

「やっぱり2人分にしては多すぎましたかね?」と俺に聞いて来る
「2人分?・・・やっぱり多いんじゃないか?」全く自分が何を言ってるのやら呆れる。
「でも、毎日買い物に来れる訳じゃないし、時間がある時にまとめ買いして
作り置きしておくんです、その方が経済的だし」嬉しそうに話す青年に

「お前苦労してんのか?」又変な事が口から出てしまった。
「あはははは・・・・」目尻に涙を溜めて又笑われてしまった。
手に持った玉子を見ると、普通俺は絶対買わない茶色で赤い丸いシールが貼ってある玉子だった。
カゴからはみ出した物を見ると、どれも高そうだ・・・

「あ、そんな事ないか・・・・」
高級そうな腕時計をはめ、品の良さそうな服を着ている。
顔も苦労知らずの坊ちゃんのような綺麗で艶のある顔だ。
俺は何を勘違いしていたのだろう・・・・・

「あっ!」
俺はその青年が自転車のスタンドを立てた時に気づいた。
前にも後ろにもカゴが付いたママチャリ・・・・
普段若者が乗るタイプの物では全く無い。
新聞のチラシを見て、先着00名様になるように競ってスーパーの
開店と同時にスーパーに飛び込む主婦の方々(おばさんとは言えない)
と同じタイプの自転車・・・・これが誤解の元か・・・

「そっか・・・ま頑張れよ」何を頑張るのかと突っ込んで来ない事を願って
適当な挨拶をした。
「はい、ありがとうございます」

その時、すーっと車が1台停まった。
ジャガーXJだ・・・普通のリーマンに手が出る車では無い。
車から、これも又高級と一目で判るスーツに身を包んだ美丈夫な男が降りて来た。

「紫苑、何をしている?」不機嫌そうな顔でその青年を睨むようにしている。
「あっ紫龍・・・・ちょっとぶつかってしまって」
「怪我は?」不機嫌そうな顔が急に心配そうな顔に変わった。
「僕は大丈夫だよ・・・・こちらの方にぶつかりそうになって・・本当にすみませんでした」

その紫龍と呼ばれた男が俺を見て「大丈夫ですか?」と声を掛けて来たので
「ええ・・俺もちょっと不注意で・・」
そんな大人の男2人に囲まれ青年は
「それより紫龍、どうして僕が此処に居るって判ったの?」
「GPSだ、同じ場所から動かないから探しに来た」

『GPS・・・・小学生じゃあるまいし・・・』そうも思ったが
この青年じゃ仕方ないかな?と納得もする。
「自転車は置いて車で帰ろう」と言う男に
「僕自転車で帰ります」
そして俺に向かって頭を下げて自転車のペダルを元気良く踏みながら帰って行った。

残された俺とその男はポカンとその後姿を見送っていた。
そしてふたりで肩を竦めながら「じゃ」と軽く頭を下げ
俺は歩きだす、そしてその男は又あの高級車に乗り込んだ。

俺は歩きながら、一体さっきの出来事は何だったんだ?
だが何故か心が和み、さっきまでの苛々した気分など、彼方へ飛んでいる事に気づいた。


俺の前を爽やかな初夏の風が吹いていった・・・




最後の1行だけ書き直しました^^;
そして、この「俺」は何のキャラもないエキストラみたいな男です。
勿論名前も無いです・・・・
ま、長い話の中でもう一度くらい出てきてもいいかな?って感じです^^

駄文にお付き合い下さり、ありがとうございました!


姑息に此処にもバナー貼って行きます^^;


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