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(悲願花番外) 証 前編

 15, 2011 01:36
「いやっ、止めてジョージ」
涙目の千里は、とうとうベッドの上で壁際まで追い詰められた。
「千里……俺は止めないよ」
そう言って譲二はじりじりと千里に滲み寄って行った。
「お願い……許してジョージ」瞬きした時にボロボロと涙も零れ始めた。

「千里、泣かないで……愛しているから。全てを愛しているから」
困った顔で譲二は千里の頬に手を伸ばそうとすると、千里の肩がびくんと震えた。
「……」譲二の目に悲しみの色が広がり、黙ってベッドを降りた。
「……ジョージ」譲二のその行動に千里の涙は一層止まらなくなってしまう。

「ジョージごめん、僕も愛しているんだよ……」
一人のベッドで千里はそう呟きながら、胸元を掻き合わせた。
好きだからこそ見せられないのだ、醜い傷跡を。

今まで譲二とは、いっぱいキスをしてペニスを触ってもらった。
自分の手ですら経験の無かった千里に初めての快感を教えてくれた。
アメリカの病院で初めて譲二を見た時に、胸がドキリと高鳴りその優しさと明るさに、どんどん惹かれていった。
譲二が胸の大きい綺麗な女性のドクターと仲良く立ち話をしているのを見かけ、病気では無い胸の苦しみを感じた。

これが恋なんだと気づいたのは、急なオペになると告げられた時だった。
不安でいっぱいになった千里の手をとり、励まし頬に優しくキスをしてくれた。
「大丈夫だ、千里。手術は必ず成功する。本当ならその可愛い唇を奪いたいところだけど、それは手術後にとっておくよ」
冗談ともとれる言葉に千里は頬を染めながら「お守りちょうだい」と強請った。

すると譲二は、千里の白い手首の内側の柔らかな皮膚に唇を付けた。
「痛い……」千里はその痛みが譲二に吸われている痛みだと直ぐには気づかなかったのだ。
「ほら、俺からのお守りだ」
そう言われ千里はそっと、自分の手首を見た。
日に焼ける事を知らない白い肌に、赤い花びらのような痕が付いていた。
「綺麗……」つい零れた千里の言葉に譲二の頬が緩んだ。

「それ1週間は消えないから覚悟しておいて」
「うん、お守りありがとう」
「もう直ぐ、千里のお兄さんもこっちに到着するから頑張るんだぞ」
「うん……」千里は微かに微笑んだ。


「ジョージ……ごめん」
気を取り直して千里がリビングに行くと、譲二はソファに深く凭れ掛かっていた。
「千里、俺も大人気なかった……こっちにおいで」
譲二は大人の余裕を見せて、千里の手を引き膝の上に座らせた。
「そんなにイヤ?」千里の顔を見上げるようにもう一度尋ねた。
「だって……醜いから……」
好きだからこそ見られたくは無い……胸に走る傷跡を。

「千里、俺に悪いと思っているのなら千里からキスして」
キスはもうどちらからでも沢山交わしてきた、千里は慣れた様子で譲二の顔に唇を近づけた。
長く絡めるキスを交わしている間に、譲二の手の平が千里の胸元に差し込まれた。
「えっ?」シャツの裾から忍び込んだ指先は直接千里の胸の小さな粒を抓んでいる。
「あ……」初めて受ける刺激に、千里が小さな声を漏らした。

「ここ気持ちいい?」
「な、なんか変な感じ」
すると譲二は、指の腹で触れるか触れないかの微妙な刺激を与えて来た。
それがもどかしいと感じ始めた時に次は強めに捏ねられる。
「あぁん……」自分の声が恥ずかしくて千里は譲二の胸に顔を埋めた。

「……ちゃんと元気に動いている」
譲二の大きな手の平は、千里の胸の……心臓の上にその響きを確認するかのように広げられていた。
「うん、僕……生きているよ」
「千里は、俺が同じようにボロボロな体になったら、俺から目を背けるのか?」
「まさか!どんな姿になってもジョージはジョージだよ」
「千里……俺の気持ちが分かるか?」
「……ジョージ、ごめんなさい」
千里はもう何も抵抗すまいと思った。この人なら自分の全てを受け入れてくれると分かっていたのに、それ故の抵抗があったのだ。

「ジョージ、僕の全てを見てくれる?」
「ああ、千里の全てを隅々まで見せてもらうよ」
少し揶揄するような言葉に千里は顔が熱くなってしまうが、勇気を奮ってシャツのボタンに手を掛けた。
自分で外さなければ意味が無いから、頑張ってゆっくりと外して行く。

時間を掛けて全てのボタンを外し、シャツを肩から落した。
「ジョージ……」
今まで絶対見せてもらえなかった千里の胸は醜いというよりも、痛々しかった。
でもそれ以上に愛しさが募り、譲二はその縦に走った生きている証に唇を寄せた。
「あ……っジョージ……」

(千里を生かせてくれてありがとう)
譲二は、胎内に埋め込まれた母の心臓に語りかけるように、波打つ皮膚の上にも唇を寄せる。

そして儀式は終わったと言わんばかりに、譲二の動きが変わった。
「千里、愛しているよ。千里とSexしたい」
「ジョージ……僕も……ジョージと……シタイ」
最後は蚊の鳴くような情けない声になってしまい、千里は顔を上げられなかった。
「聞こえないよ、千里。もう一度聞かせて」
「もうっ」全くジョージという男は、デリカシーがあるのか無いのか分からない。
そう拗ねたような顔を見せながらも、千里は再び囁いた。
「ジョージ、僕を抱いて……僕もずっとジョージとSexがしたかった」
千里の小悪魔のような言葉に譲二は、そのまま千里を抱き上げ寝室へ運び、壊れ物のようにベッドにそっと横たえた。




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