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堂本家の正月

 01, 2011 20:45
紫龍は昨夜の悪夢を思い出しながらそっと寝室の扉を開けてリビングを覗いた。
『いた・・・』
その姿を確認すると一呼吸してからリビングに入って行く。

パジャマ姿の紫龍に気づき「何だその格好は?だらし無い」
と紫龍は新年早々小言を喰らってしまった。
「すみません、それにしても早起きだな親父も、おふくろは?」
「紫苑君と一緒にお節の準備をしている」
「でもまさか本当に泊まるとは思わなかった・・」

「仕方ないじゃないか母さんが嫁と正月の用意するのが夢だったって言うんだから」
「嫁って・・・」一応戸籍上は紫苑は養子にはなってはいるが、
嫁と言われて果たして紫苑が喜ぶのか?
だがその疑問は紫龍の心の中に仕舞っておいた。

事の始まりは、紫苑の年越し蕎麦だった。
紫苑が蕎麦を打つ所を見てみたいと親父が言い出し、
結局はこのマンションで紫苑の蕎麦打ちの披露が始まった。
親父は張り切って紫苑に蕎麦打ちのコツなど習い、
お袋は海老の天麩羅を揚げるのに忙しかった。

その後豪勢な年越し蕎麦が振舞われ、4人で賑やかな年越しをしたのだった。
紫苑や両親の嬉しそうな顔を見ていたら、文句など言えるはずもなかった。
そして呑みすぎた親父と、お節の準備をしていたお袋がここに泊まる事も文句の言えない流れだった。

「紫龍、着替えてきて」
キッチンから顔を覗かせた紫苑に言われ、紫龍は素直に寝室に戻り着替えた。
着替えて戻る頃には、テーブルの上には重箱が広げられている。
「凄いな・・・これ紫苑が作ったのか?」
「はい、ママさんに手伝ってもらって」
「あら、殆ど昨日のうちに紫苑ちゃんが下ごしらえしていたのよ」

イキイキとした母親を見て「お袋、何だか今日は若く見えるな・・・」と言うと
「もう、楽しくて・・・紫苑ちゃん何でも良く知ってるし」
「そんな事ないです、ママさんに色々な事教えてもらって・・」
どっちの顔を見ても幸せ一杯の顔をしている。


「いい正月だ」親父がぽつりと呟いた。
去年の正月は紫苑の祖母である小山田咲の喪中だったために静かな正月だった。
堂本家はまだ関係なかったのだが、親父やお袋の意向で喪に服した。


「新年おめでとうございます」
みんなで挨拶をしてから食事が始まった。
「トキさんも呼べばよかったのに・・・」紫苑が寂しい顔をするが
「誘ったんだけどね、家族水入らずでどうぞって」と紫龍の母親が言う。
「トキさんも家族なのに・・・」
「そうね・・・来年は縄を着けてでも引っ張って来るわ」
『ら・来年も来るつもりなのか?!』

「正月早々来年の話か・・・」そんな紫龍のボヤキも皆の笑いを誘う。

紫苑が幸せそうに笑っているのがいい・・・
邪魔者がいなければ、このままベッドに連れて行きたいくらいだ。

ふっと気がつけば、紫苑の顔がほんのり色づいている。
「紫苑・・・飲んだのか?」
「はい、御屠蘇ですけど」
「も・もうそれ以上飲むな・・・」
「何言ってるのよ、家の中なんだから大丈夫でしょう」無責任な母親に紫龍は頭を抱える。

「こいつ本当に酒に弱いんだから・・・」
「全く過保護なヤツだ」父親も呆れたように紫龍を責める。
「そうそう、お正月なんですから」当の本人は・・・もう酔っている。

「ま、いいか正月だもんな、でもあとで具合悪くなっても知らないぞ」
「大丈夫ですっ!」『あぁやっぱり結構酔っ払ってる・・・』
それはそれで楽しもではあるが、残念なことに今日は邪魔者が居るのだ・・・

そして暫くすると、案の定紫苑が眠そうな目を必死に開けようとしている。
「紫苑、眠かったらちょっと休めば?」
「いえ、大丈夫ですっ・・・」
夕べも片付けや準備で寝るのが遅く、今朝も早くから起きているだろうに。
紫苑の体がふらふらとしているのを笑いを堪えて紫龍は見守っていた。



それから3時間後、リビングのソファの上で目覚めた紫苑は状況を理解できないようだ。
「あれ・・・・僕?」
「結局寝ちゃったんだよ」
「ええっ?ママさんとパパさんは?」
「起こすなって言って帰ったよ、ほらこれ預かった」
紫龍が紫苑に差し出したのは、『お年玉』と書かれたポチ袋だった。

寝ぼけていた紫苑の顔がぱあっと輝いた。
「わぁっ、お年玉?!開けてもいい?」
子供のようにはしゃぐ紫苑に「開けてみれば」と紫龍も答えた。
こんな小さな袋では、入っている金額も高が知れている。

「僕、お年玉貰うの何年ぶりだろう?」
「そうか、良かったな」
「凄い、1万円だ!」
紫龍は内心子供じゃないんだから、と思っていたが紫苑が喜ぶのならそれでいい。

「紫苑、今年も宜しくな」
バタバタしてて紫苑にちゃんと挨拶してないのを思い出し、紫龍はそう言った。
紫龍の言葉を受けて紫苑はソファから下り、ラグの上に正座して
「僕の方こそ、また1年宜しくお願いします」と頭を下げる。

「さぁて、お節も食ったし、お年玉も貰ったし・・あとは姫始めだな」
「ヒメハジメ?」キョトンとする紫苑ににやけた顔の紫龍が
「ああ、それは・・」と紫苑以外に聞こえないようにそっと耳元で囁いた。

真っ赤になる紫苑の手を取って、ベッドに連れて行った事は・・・言うまでもない。






今回は空耳は御座いません^^;

喪中につき新年のご挨拶は出来ませんが
私の代わりに紫苑がしてくれたと思います。

本年も宜しくお願い致します。
皆様が幸せな年になりますように願っております。



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COMMENT - 11

紫猫  2011, 01. 01 [Sat] 22:00

新年から紫苑たちに癒されていましたw
どこでも正月ですね~私のとこでもですw

お年玉・・・かわいいですねw
1万円って、ふっとっぱら!ま、そうですよね♪

今年もよろしくおねがいますm(*_ _*)m

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Rink  2011, 01. 01 [Sat] 22:34

お節を作る嫁姑の姿って今はほとんどないですよね。やっぱり姑としてはお嫁さんに色々教えてあげたいんだろうな。
うちはもう義父しかいないから、私が適当料理で雑煮も作ったけど、
なんでも作り方を聞いてくるんで(笑)
適当女の私は困ります~レシピないんだもん、なんでも適当料理人なので(笑)
今年は喪中でしたね。
でも話で新年のムードは伝わりましたよ!
今年もよろしくお願いします!
北陸の空の下より・・・

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ちこ  2011, 01. 02 [Sun] 12:54

堂本家の清々しいお正月ですね~そして最後はお決まりのラブ注入~(//∀//)です(笑)紫苑ちゃんみんなな愛されてお年玉頂いて幸せ一杯のお年玉になりました゜+。(*′∇`)。+゜

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かや  2011, 01. 02 [Sun] 21:14

kikyouさま、旧年は、いろいろとお世話になりました。
こちらのお話で、どれだけ萌えと癒しを頂いたことか。
本年も、どうぞよろしくお願い致します~。

堂本家のにぎやかなお正月は、まさに、理想の家族団らんのお正月ですね。
空耳は、脳内で補っておきます・・・!
お年玉に喜ぶ紫苑ちゃんが激可愛い!
きっと、ベッドでも違うタマを・・・○(#゚Д゚)=(  #)≡○)Д`)・∴'.

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此花咲耶  2011, 01. 03 [Mon] 19:04

何があっても、清らかで愛おしい紫苑くんの佇まいは変わりません。
kikyouさまが、違うお話を書いていても、きっと紫苑くんは紫龍さんと満ち足りた空間に生きている。
そんな気がします。

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kikyou  2011, 01. 04 [Tue] 11:27

紫猫 さま

こんにちは。

こちらは良い天気に恵まれた正月になりました。
良い年を迎えられましたでしょうか?
今年1年が素晴らしい年になります事をお祈り致します。


紫苑の憧れの幸せな正月でした^^
まさか社会人にお年玉?って感じもするんですが、
やっぱ新しく家族になった紫苑ですから、紫龍ママもパパもあげたかったのだと思います。


遅いコメントのお返事になってしまいましたが
こちらこそよろしくお願い致します(#^.^#)

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kikyou  2011, 01. 04 [Tue] 11:30

Rinkさま

こんにちは。

帰省されてのコメントありがとうございました。

Rinkさんのお陰で、昨年は多くの方と知り合いになれ
とても充実した1年でした。

こちらこそ、今年もよろしくお願い致します。


嫁姑で同じ台所に立つ、それもお互いを認めながら・・・
現実ではなかなか難しい事ですよね(笑)

でもRinkさんの事だから、手際よく料理もされたことでしょう。

遅くなりましたが、コメントありがとうございました。

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kikyou  2011, 01. 04 [Tue] 11:32

ちこさま

こんにちは。

昨年はありがとうございました。

紫苑の幸せな風景を楽しんで頂けましたでしょうか。
もう堂本しか紫苑には家族はありませんから、
そんな紫苑が笑っていれば、みなが幸せ気分です^^

遅くなりましたがコメントありがとうございました。

ちこさまの1年が素晴らしい年になりますように、お祈り致します。
本年も変わらず宜しくお願い致します。

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kikyou  2011, 01. 04 [Tue] 11:35

かやさま

こんにちは。

こちらこそ昨年は大変お世話になりました。
読み手さんとしても、同士?(笑)としても仲良くして頂き感謝しております。

かやさんの1年が良い年になりますように(●^o^●)


紫苑のお年玉・・・社会人なのに素直に喜んでいる辺りがやはり紫苑です(笑)
ベッド・・・そこを突っ込むかやさん好きです^^

お返事遅くなりましたがコメントありがとうございました。

本年も宜しくお願い致します!

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kikyou  2011, 01. 04 [Tue] 11:38

此花さま

こんにちは。

昨年は色々とお世話になり、ありがとうございました。

紫苑と紫龍は満ち足りた空間に生きている・・・

嬉しいですね、そんな風に言って貰えて。
何だか本当にそんな気がしてくるから不思議^^
ふっと街で紫苑みたいな子にすれ違えそうな気がします。

遅くなりましたがコメントありがとうございました。
此花さんの1年がより充実した1年であることを願っています。

素敵なお話もまた読ませて下さいネ。

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-  2011, 01. 04 [Tue] 13:18

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